戦国BASARA/エロパロ保管庫

けわい2

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nozomi

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家康は慶次を睨みつけた。

「おめえなあ。こんな高えモン買う余裕があるなら、さっさとワシに金返せ」
「まあまあ。俺と家康の仲じゃない」

両手を挙げて家康を宥める慶次に、家康は幾分か眉間をほどいた。何だかんだいって彼女はお人好しなのである。

「おめえな」
「ちょっと目、閉じてて」

慶次は細長い手ぬぐいをヒョイと家康の頭に巻いて前髪を上げると、紅色の僅かに混じった白粉を大き目の刷毛で家康の顔にはたき始めた。
有無を言わさぬ慶次の行動に、家康は口をつぐむ。

「これ、大坂で作られた白粉だってさ。京でもすごく流行ってるんだぜ」

前田の屋敷のある加賀を飛び出した慶次は、京をねぐらとしている。それゆえ、流行に明るい。
喋る間にも、慶次は器用に白粉を家康の顔に薄く、均等に着けていく。首筋にもはたく。固く目を閉じた家康は、なされるがままにしている。
白粉が終わると、次は紅だ。細い刷毛でほんの少しだけ目尻を紅く染める。

「目、開けていいよ」
言われるがままに、家康が目を開けた。自分の顔が大惨事になっていないか確かめようと手鏡を取ろうとするが、慶次に手を抑えられる。
「駄目駄目、出来上がってからのお楽しみ」

慶次はにやつきながら家康を制すと、新たに紅を取った筆で家康の唇に触れた。

「そういえばさ、家康」
筆を少しずつ動かしながら、思い出したかのように慶次が話し始める。その目は家康の唇をじっと見つめたままだ。
「なんだ」
極力唇を動かさないように家康が答える。唇お化けにでもされては堪ったものではない。
眼の前の慶次の顔を見ながら、家康はその長い睫を少し羨んだ。

「あれから、いい旦那さん見つかった?」
おもむろに切り出した慶次の言葉に、家康はサッと頬を赤らめた。
「なななななんだッ!?急にッ!!」
「あーっ!!唇ずれる!動くな家康!」
慶次が声を張り上げる。間一髪で唇が大惨事になることは免れた。
仕上げに小指で唇を叩き、ほどよくぼかす。

「だって、家康もそろそろ年頃だろ?……よし、一丁あがりッ」
「年頃ってもなあ……いねえぞ、そんな相手」
ぼやく家康に満面の笑みを浮かべた慶次が手鏡を渡す。それに自分の顔を映した瞬間、家康の表情は驚きに変わった。
「け、慶次」
震える手元から慶次に目を移す家康に、慶次が満足そうに微笑んで大きく首を傾けた。夢吉も慶次を真似て首を傾ける。
「な、結構いいもんだろ、化粧も」
恥ずかしそうに家康が小さく頷き、鏡に目を戻した。

晴れの日に下女に施させる化粧よりも、慶次手ずからの化粧の方が遥かに家康の丸いが整った顔立ちを引き立てていた。
京阪の最新流行だという紅色白粉は家康の健康的な顔色を損なわず、肌をさらに滑らかに整え、目尻にさした紅は大きな目を潤んだように見せる。
実の唇より少し小さめに彩られた唇も真赤ではなく、ほどよい朱色に染まっていた。
それまで化粧、というと駿河の当主を連想していた家康は、当然のごとく化粧に対してあまりいい印象を抱いていなかったが、慶次の化粧は次元が違う。

慶次の延滞している借金のことも忘れかけ、家康は小さくため息をついた。


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