「佐助ぇ…」
地面に伏したまま幼馴染の名を呼ぶ。
涙で橙が霞む。その時だった。
「かすが!?」
漸く少女がいないことに気がついたのか、幼馴染―佐助が振り返った。
慌てて駆け寄ってくる佐助の顔は血の気が引いて真っ青になっている。
「おいおい、大丈夫か!?」
そう言いながらかすがの身体を起こしてやり、着物についた砂埃を手で払い落としてやる。
涙で濡れた頬は、砂がついて汚くなっている。
「ひぐっ…ふぇ…」
「あー、もう泣くなってかすが…」
その場にぺたんと座り込み鼻をすんすんと鳴らして泣くかすがを、
佐助が困ったように頭を掻きながら慰める。
この一つ年下の幼馴染は泣き虫だ。
転んでは泣き、怖がっては泣き、何かあるたびに泣いている気がする。
だがそんな泣き虫の幼馴染を、佐助は決して嫌っていなかった。
確かに泣かれればどうやって扱えばいいか分からず、
困ることも多いが、一度もそれを煩わしいと思ったことはない。
寧ろ「こいつは自分が守らなければ」と泣かれるたびに強く思う。
なにより、泣いた後に見せてくれる笑顔がどんな花よりも綺麗で。
佐助は、その笑顔が大好きだった。
「何処かすりむいちゃったのか?なぁ、かすが」
だから笑ってほしかった。
泣いてるところなんて、見たくなかった。
―ねぇ、笑って?笑ってみせて?
一向に泣き止む様子を見せないかすがに、佐助が困り果てたように頭を掻いていると、
「あ…」
「ん?」
かすがが何かに気付いたらしく小さく声を漏らす。
真っ赤に腫れ上がった目の見つめる先。
かすがの着ている薄桃色の、まだ新しい着物。
「着物…」
「着物が、どうした?」
小首を傾げる佐助に対し、かすがの瞳は再び涙で潤み始める。
「汚れちゃった…新しく買ってもらったものなのに…」
濡れた頬を新しい涙が伝い落ちる。
見れば、膝の辺りが血が滲んだらしく赤く汚れている。
佐助はそれを見て苦虫を数匹噛み潰したような顔になった。
そういえば「両親に新しい着物を買ってもらったのだ」と嬉しそうに話していた気がする。
余程大切な着物だったのだろう。
地面に伏したまま幼馴染の名を呼ぶ。
涙で橙が霞む。その時だった。
「かすが!?」
漸く少女がいないことに気がついたのか、幼馴染―佐助が振り返った。
慌てて駆け寄ってくる佐助の顔は血の気が引いて真っ青になっている。
「おいおい、大丈夫か!?」
そう言いながらかすがの身体を起こしてやり、着物についた砂埃を手で払い落としてやる。
涙で濡れた頬は、砂がついて汚くなっている。
「ひぐっ…ふぇ…」
「あー、もう泣くなってかすが…」
その場にぺたんと座り込み鼻をすんすんと鳴らして泣くかすがを、
佐助が困ったように頭を掻きながら慰める。
この一つ年下の幼馴染は泣き虫だ。
転んでは泣き、怖がっては泣き、何かあるたびに泣いている気がする。
だがそんな泣き虫の幼馴染を、佐助は決して嫌っていなかった。
確かに泣かれればどうやって扱えばいいか分からず、
困ることも多いが、一度もそれを煩わしいと思ったことはない。
寧ろ「こいつは自分が守らなければ」と泣かれるたびに強く思う。
なにより、泣いた後に見せてくれる笑顔がどんな花よりも綺麗で。
佐助は、その笑顔が大好きだった。
「何処かすりむいちゃったのか?なぁ、かすが」
だから笑ってほしかった。
泣いてるところなんて、見たくなかった。
―ねぇ、笑って?笑ってみせて?
一向に泣き止む様子を見せないかすがに、佐助が困り果てたように頭を掻いていると、
「あ…」
「ん?」
かすがが何かに気付いたらしく小さく声を漏らす。
真っ赤に腫れ上がった目の見つめる先。
かすがの着ている薄桃色の、まだ新しい着物。
「着物…」
「着物が、どうした?」
小首を傾げる佐助に対し、かすがの瞳は再び涙で潤み始める。
「汚れちゃった…新しく買ってもらったものなのに…」
濡れた頬を新しい涙が伝い落ちる。
見れば、膝の辺りが血が滲んだらしく赤く汚れている。
佐助はそれを見て苦虫を数匹噛み潰したような顔になった。
そういえば「両親に新しい着物を買ってもらったのだ」と嬉しそうに話していた気がする。
余程大切な着物だったのだろう。




