戦国BASARA/エロパロ保管庫

鳥無き島 21

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籠手と槍がぶつかって火花が散った。
あの手につかまれては終わりだ。元親は踏みこんだのと同じ速さで飛び退った。
竹中半兵衛に比べればやりやすい。
だからと言って楽な相手であるはずもないが。

碇槍をうならせて、元親は思う。
これほど頑強な人間は初めてだ、と。
たとえ鎧や籠手が刃を防ごうとも、その衝撃までを吸収することはできない。
元親の槍は、それこそ何度も秀吉の身体をとらえているのに、揺るぎさえしない。
魔王を斃し、そして槍の又左と呼ばれるほどの利家を討ったというのも納得せざるを得ないような力だった。

すでに大勢は豊臣の負けだ。
岸は富獄が制圧し、海に浮かぶは毛利の舟ばかり。
それですらもなお、この男が両の足で立ってさえいれば、戦況はどうにでも変わる心地がする。
初めて魔王を見たとき感じたものと同じものをこの男にも感じる。純粋な力。

まつから、秀吉の戦いかたを聞いていたのがよかった。
攻撃範囲はこちらの方が上だ。
腕にだけはつかまれないよう、元親はなかなかに器用に立ち回っていた。

「その技を、なぜ我がために使わぬ! 我のもとで働け、我が国のために!」
「嫌だね、俺は自由に生きる!」

叫んだと同時に渾身の力で振り下ろした碇槍を、信じられぬことに、秀吉は片手でつかんだ。
思わず元親の口から「馬鹿な……」と言葉が漏れる。
歯を食いしばりこらえるが、単純な膂力では元親は秀吉に及ばない。限界はすぐ間近に待っている。

そのとき。
秀吉が槍をつかんでいた手を離しその場から退き、彼が今までいた場所を、長刀が横切った。
元親はあまりのことに、こんな状況にあるにもかかわらずぽかんとしてしまった。
刀は壁にぶつかって、刺さるようなことはなく地に転がった。

距離を十分に取ってから振り返ると、そこにいたのは先ほど別れたまつと、
そして元親と同じ舟に乗ってやってきた長曾我部軍の兵士だった。


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