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慰安旅行・慶次編4

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「あら慶次じゃない。どうかして?」
「お濃ちゃん。」
よくよく声をかけられる日だ。
「あなたもお風呂に来たの?」
「うん、だけどお濃ちゃんは一人?旦那とかは?」
「今日は負けてあげたの。皆露天風呂に行ってるわ?」
「負けて?」
「たまに負けてあげないと光秀が寂しがるでしょう?」
じゃんけんか、じゃんけんなんだ。
いまいちここの夫婦のありかたが分からない。

「で入らないの?」
「半兵衛いるらしいんだよね。向こうは秀吉。どうしようかなって。」
「あら。」
それは大変ね。とお濃ちゃんは笑った。

「なら私の部屋で少し話でもしていったらどうかしら?」
部屋に帰ってもあいつがあーだから仕方がない。
俺はお言葉に甘え、部屋にお邪魔した。

「松永は…相変わらずのようね。」
一人で風呂に来ていたのを見て何があったのか察したのだろう。
「まあ、そういう奴だから。」
「そうね。仕方ないわね。」
どちらも悪い男に惹かれているからか、最近俺達は妙に話が合う。

「ところでさ、何で光秀に許してんの?あれが良く分かんないんだよねえ。」
気持悪いんでしょう?とお濃ちゃんはおかしそうに笑った。
「今でこそああだけど。昔から知ってるし。」
そう言って懐かしむような瞳はとても穏やかだった。

「そんなに嫌いじゃないのよ。光秀のこと。」
ああ、と思う。誰にも分からない気持がきっと二人にはあるんだろう。
お濃ちゃんは俺が入れたお茶を少し飲んで、まるで子どもみたいな笑顔でこう続けた。
「これは内緒なんだけど光秀は昔から私にだけ甘いのよ。」

それから暫くお喋りをして、そろそろ平気だろうと二人で大浴場へ向かった。
脱衣場で着物を脱いでいると、お市ちゃんがお風呂から飛び出してきた。
「あら、どうかしたの?」
「あ、義姉様。あのね。夕焼けが綺麗でね。長政様と見てくるの。」
急がなくちゃと多分お市ちゃんの中で一番早い動作で着物を着ている。
見かねた俺達は着替に手を貸してやってお市ちゃんを送り出した。

「夕焼け…か。そんな時間なのね。」
お濃ちゃんがそう呟くのを聞きながら部屋にいる久秀が頭をよぎった。
散々文句を言いながら夕日を肴に茶でも立てているのだろう。
素直じゃない。
だけど自分が素直じゃないと言うことも久秀には分からないのだ。
手拭いを一枚ずつ手に持って風呂への扉を開けるとゆっきーが飛び出してきた。


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