「父上…父上ぇ」
鏡に向かい、あられもない姿でいつものように行為に耽る。これは自らへの戒め。
私は親不孝者だ。
鏡に向かい、あられもない姿でいつものように行為に耽る。これは自らへの戒め。
私は親不孝者だ。
私は宍戸様に嫁いでから一年、病弱を装い結局一度も体を許さなかった。理由は最早言うまい。
「毛利の為に嫁げ」
擦る指に力が籠もる。
「ごめんなさい…ごめんなさい父上ぇ…」
父への反逆。それをした自らへの戒め。それを思えば体が火照って止まらない。
私は父の言葉に体を熱くした。最近気付いた。父のどんな言葉にも興奮するのだ。
「父上…ココに下さったのですね…」
あの一夜。確かに父を感じた。一度だけ父が私を許した。添い寝もしてくれた。
あの一回だけで終わる筈だったのに。私の心は益々父の虜になっていく。
未だ父以外の男を受け入れない。可愛の全ては父のモノであること。それを自ら証明したいのだ。
擦る指に力が籠もる。
「ごめんなさい…ごめんなさい父上ぇ…」
父への反逆。それをした自らへの戒め。それを思えば体が火照って止まらない。
私は父の言葉に体を熱くした。最近気付いた。父のどんな言葉にも興奮するのだ。
「父上…ココに下さったのですね…」
あの一夜。確かに父を感じた。一度だけ父が私を許した。添い寝もしてくれた。
あの一回だけで終わる筈だったのに。私の心は益々父の虜になっていく。
未だ父以外の男を受け入れない。可愛の全ては父のモノであること。それを自ら証明したいのだ。
新たな欲望。それはまだ伏せる。
自らが達する時は必ず父が脳裏に浮かぶ。その父の言葉が罵声であれ、ほめ言葉であれ、必ずその言葉を返して達するのだ。あくまで妄想。それはわかっていても父の冷たい言葉が忘れられない。
そして今日は…
そして今日は…
「我をどう思っている?」
「愛しています…父上…」
どうやら今日は彼女にとって最高の質問だったようだ。
「はぁ…はぁ…父上に会いたい」
数日後。
病気療養を理由に一年という長い間の帰省を許された可愛の姿があった。輿に乗る彼女は満面の笑みである。
「可愛様?」
「え?」
「余程故郷が好きなのですね」
「そうね。私の大好きな人がいるもの」
「宍戸様よりですか?」
「余計な事は聞かない」
軽口を叩く護衛の兵の頭を小突く。
病気療養を理由に一年という長い間の帰省を許された可愛の姿があった。輿に乗る彼女は満面の笑みである。
「可愛様?」
「え?」
「余程故郷が好きなのですね」
「そうね。私の大好きな人がいるもの」
「宍戸様よりですか?」
「余計な事は聞かない」
軽口を叩く護衛の兵の頭を小突く。
可愛はやっぱり…
心が読まれない事は素晴らしい事である。