戦国BASARA/エロパロ保管庫

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政宗は代々この地を治める領主・伊達家の娘で、生まれ持った才──人の上に立つに相応しい資質を幼にして見出され、女でありながら次期領主として育てられてきた。
そしてそれがために、政宗は男のような荒っぽい口調を使うようになった。
後継者と認められてはいたものの、周囲の幾人かは政宗を性別で侮り、またそれを隠さなかった。
男尊女卑は前時代のことだったが名残は色濃く、頭の古い人間にとっては過去のものでさえなかった。
生まれついた性別は変えられない。努力すれば変えられるというものでもない。変えようのないものをとやかく言われてもどうしようもない。
それでも口さがない連中はそのどうしようもない部分をあえて嘲り、蔑み、あげつらった。
そういった中で政宗はある時から男言葉を使うようになった。
恐らくは、ささやかな抵抗だったのだろう。せめて口調だけでも男を演じ、自分を侮る者たちと並ぼうとした、子供なりの精一杯の宣戦布告。
大人からすればそれはまさに子供の浅知恵で、児戯としか映らなかったに違いない。
しかし小十郎は、幼いながらも高い矜持と強い意志を持ち、懸命に戦おうとする高潔な姿に畏敬の念を覚えた。
命を懸けて仕えるべき主はやはりこの方の他になし、と天啓を得た思いだった。
政宗は口調の真似だけには終わらず、馬術や剣術を始め男が学ぶべき様々なものを学び、またその一方で女として求められる作法や教養も会得していった。
血の滲むような努力を積み重ね、数年が経った頃には、女であることを理由に政宗を侮る者は一人としていなくなった。
だが男言葉も完全にその身に馴染みきり、それが政宗にとって当然のものともなってしまった。
もう男の真似などする必要はないのだから粗野な言葉遣いはお止めなさい、と小十郎を始め周囲は諫言を繰り返したが、政宗は公と私では口調を使い分けるという手段を取ることで反抗の意を示した。
底の抜けた桶に水を注ぐが如き不毛な戦いの果て、公的な場において問題がないならばもうそれで良し、とついには周囲も黙認するに至った。
妥協したというより諦めた、あるいは匙を投げたと言った方が近い。
ちなみに小十郎だけは未だに諦めておらず、折に触れては口煩く諫めている。聞き入れられる気配は一向になかったが。
十五歳を過ぎた頃からは領主としての有り方を学ぶため、父親の仕事を手伝い始めた。
やがて領主代理として表舞台に立つようにもなり、今や政宗は、名実共に次期領主として扱われるようになっていた。

そんな立場であるから、政宗の身を飾るものはすべてが上等で高価なものばかりだ。
しかし今、政宗の髪を飾っていたのは宝石の細工も見事な髪飾りでも最新流行の帽子でもなく、どこの道端でも見かけるような小さな野の花だった。
政宗の身分を考えれば、それは彼女を飾るには到底相応しくない。
しかし当の政宗は気にした風もなく、むしろそれを気に入っているように見えた。
その証拠に鼻歌など歌っている政宗にわずかに口元を綻ばせ、小十郎は先刻まで主と共に見てまわった様々なものを思い返す。


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