事が済んで着物を着たものの、二人は呆けた表情のまま黙っていることしかできなかった。
気持ち良いとか恥ずかしいとかいう以前に、終わった後もどうして良いか分からない。
二人並んで正座している部屋には、傾いた日の橙色の光が差し込んでいる。
気持ち良いとか恥ずかしいとかいう以前に、終わった後もどうして良いか分からない。
二人並んで正座している部屋には、傾いた日の橙色の光が差し込んでいる。
やっている最中は無我夢中だったけれど、その後のこの気まずさをどう処理すれば良いのか。
できれば夢だと思って忘れてほしいと、いつきは思わず幸村に言ってしまいそうになったが。
できれば夢だと思って忘れてほしいと、いつきは思わず幸村に言ってしまいそうになったが。
「忘れないで」と、言ったのだ。
幸村に、戦で死ぬ以外の道を見つけてほしかったのだ。
言葉だけでは、分かってもらえない気がしたのだ。
幸村に、戦で死ぬ以外の道を見つけてほしかったのだ。
言葉だけでは、分かってもらえない気がしたのだ。
「あの…幸村、嫌じゃなかっただか?」
「そ、それは、いつき殿こそ…!」
お互いにそこまで言いかけたが、すぐに二人揃って顔を真っ赤にして俯いてしまう。
そして静かに約束した。今日ここで起こった事は、絶対に誰にも言わない。否、言えない。
「そ、それは、いつき殿こそ…!」
お互いにそこまで言いかけたが、すぐに二人揃って顔を真っ赤にして俯いてしまう。
そして静かに約束した。今日ここで起こった事は、絶対に誰にも言わない。否、言えない。
「幸村…おら、傷も治ったから、もうすぐ故郷に帰るけんど…」
「うむ…」
「戦が終わったら、また会いに来るからな!だから、死んでもいいなんて思っちゃだめだべ!」
「………!」
「うむ…」
「戦が終わったら、また会いに来るからな!だから、死んでもいいなんて思っちゃだめだべ!」
「………!」
突然強さを含んだ声で訴えるいつきの顔を、俯いていた幸村がはっとして見据える。
誓いを違えたら容赦せぬと言わんばかりの少女の眼差しに、ひとつ息を呑んで。
「………承知した、いつき殿…」
誓いを違えたら容赦せぬと言わんばかりの少女の眼差しに、ひとつ息を呑んで。
「………承知した、いつき殿…」
その言葉を聞いて、いつきは零れそうになる涙を必死に耐えながら微笑む。
上田城から見える夕日は、金色の稲穂にも負けぬほど美しかった。
(おらに出来るかどうか分かんねえけど…おらも、がんばるから)
上田城から見える夕日は、金色の稲穂にも負けぬほど美しかった。
(おらに出来るかどうか分かんねえけど…おらも、がんばるから)
欲しいのは、生まれ変わった世界で、大好きな人が笑っている未来。
平和を得るために立ちあがった少女の中に、もう一つの大きな夢が芽生えはじめていた。
平和を得るために立ちあがった少女の中に、もう一つの大きな夢が芽生えはじめていた。
(終)




