「酒肴を別室に用意したから、どうぞ。あ、元就君には、このちょっと手強そうな菓子を持
ってきた」
「持って来たって、竹中。お前っ。縁組ってなんだよ」
長曾我部元親が不本意そうに言うが、弁の立つ半兵衛には歯が立たないらしい。
半兵衛は一睨みで元親を黙らせ、一同を促した。
ってきた」
「持って来たって、竹中。お前っ。縁組ってなんだよ」
長曾我部元親が不本意そうに言うが、弁の立つ半兵衛には歯が立たないらしい。
半兵衛は一睨みで元親を黙らせ、一同を促した。
謙信が立ち上がり、かすがが従う。
半兵衛に引き摺られるように政宗が立たされたが半兵衛の腕を振り払い、政宗は元就の側に
にじり寄りそっと囁いた。
半兵衛に引き摺られるように政宗が立たされたが半兵衛の腕を振り払い、政宗は元就の側に
にじり寄りそっと囁いた。
「元就。いいか、今のお前は可愛いぞ。そのまま、長曾我部を押し倒してしまえ」
「……な…っ!」
白い頬を赤く染めながら元就は政宗を睨むが、政宗は獰猛とさえ見える笑顔で部屋を後にし
た。
政宗は半兵衛の肩を何度も叩き、なにやら囁いている。
半兵衛は面倒臭そうに応じている。
「……な…っ!」
白い頬を赤く染めながら元就は政宗を睨むが、政宗は獰猛とさえ見える笑顔で部屋を後にし
た。
政宗は半兵衛の肩を何度も叩き、なにやら囁いている。
半兵衛は面倒臭そうに応じている。
「……………」
戦場以外で二人きりになったことなど、今までなかった。
元就は元親と視線を合わせないようにしているし、男ばかりの酒宴からいきなり半兵衛に連
れ出された元親は、いまひとつ事情を飲み込めていない。だが、半兵衛に、自分の行動が元
就をひどく傷つけた、ということだけは聞いていた。
戦場以外で二人きりになったことなど、今までなかった。
元就は元親と視線を合わせないようにしているし、男ばかりの酒宴からいきなり半兵衛に連
れ出された元親は、いまひとつ事情を飲み込めていない。だが、半兵衛に、自分の行動が元
就をひどく傷つけた、ということだけは聞いていた。
「なあ、毛利」
「……………なんだ」
「あの…。まず、誤解を解きたい……」
元親の言葉に、元就が顔を上げた。
「……………なんだ」
「あの…。まず、誤解を解きたい……」
元親の言葉に、元就が顔を上げた。
頬の辺りで切り揃えた栗色の髪と、淡い色合いの瞳。
元就の戦装束以外の姿は、初めて見る。兜を被っていない、その少女めいた姿が美しい。
萌黄色の狩衣はしなやかな体の線を隠しながらも、彼女の姿のよさを際立たせていた。
それだけで、元親は雰囲気に飲まれたようだった。
元就の戦装束以外の姿は、初めて見る。兜を被っていない、その少女めいた姿が美しい。
萌黄色の狩衣はしなやかな体の線を隠しながらも、彼女の姿のよさを際立たせていた。
それだけで、元親は雰囲気に飲まれたようだった。
「あんたは、俺が何も気付かなかったと思っていたらしいが、それは、あんたの誤解だ」
「何…?」
「わかっていた。あんたが、姫君だってことは…。鎧がどうとかじゃない。ちゃんと、わか
ってた」
「なぜ、今そのようなことを我に言う」
「…あー。その…あんたが、隠したがっていることを、わざわざ暴かなくてもいいと思った
から」
元親は、大坂にあっても海賊風の衣裳を変えては居ない。ただ、少しだけ肌の露出を抑えて
いるだけだった。
銀色の、逆立てた髪を乱暴に掻きながら、元親は自分を凝視する元就を見つめた。
「何…?」
「わかっていた。あんたが、姫君だってことは…。鎧がどうとかじゃない。ちゃんと、わか
ってた」
「なぜ、今そのようなことを我に言う」
「…あー。その…あんたが、隠したがっていることを、わざわざ暴かなくてもいいと思った
から」
元親は、大坂にあっても海賊風の衣裳を変えては居ない。ただ、少しだけ肌の露出を抑えて
いるだけだった。
銀色の、逆立てた髪を乱暴に掻きながら、元親は自分を凝視する元就を見つめた。
「…あんたの、嫌がることはしたくないと思った」
「……どの口がいうのか…。我は、幾度も貴様から手傷を負わされた」
「そりゃ、お互い様だ…あんたが、いつも本気で挑んで来るから」
ふっと、元就の口元が笑みを形作った。
「……どの口がいうのか…。我は、幾度も貴様から手傷を負わされた」
「そりゃ、お互い様だ…あんたが、いつも本気で挑んで来るから」
ふっと、元就の口元が笑みを形作った。
その笑みに誘われたように元親が逞しい腕を伸ばし、元就の体を引き寄せた。




