気づかぬうちに、結構な深手を負っていたらしい。
信玄にも佐助にも散々に怒られた。無理からぬことだった。
信玄にも佐助にも散々に怒られた。無理からぬことだった。
しかし、独眼竜との邂逅を信玄に告げると、彼はまず為政者の顔になった。
奥州と甲斐は、対立関係にはないが友好関係にもない。
また、あちらから攻め入るには距離がありすぎる。そのようなことを考えていたのだろう。
奥州と甲斐は、対立関係にはないが友好関係にもない。
また、あちらから攻め入るには距離がありすぎる。そのようなことを考えていたのだろう。
そして次に、信玄は満足げにうなずいた。
「奥州の小僧のおかげで、おぬしも成長したような気がするわ」
いつものように「まことにございますかお館さま!」と叫ぶことができず、幸村はかしこまって頭を下げた。
このころになって、身体が傷の痛みを訴え出した。
このころになって、身体が傷の痛みを訴え出した。
――幸村が、物心がついて初めて私利私欲で槍を振るった相手。
独眼竜との出会いが幸村に与えたものは、小さくなかった。
武田家とは無関係のところで出会ったとしても、また自分はあの竜に得物を向けるだろう。
そんな予想が幸村の胸にはあった。
独眼竜との出会いが幸村に与えたものは、小さくなかった。
武田家とは無関係のところで出会ったとしても、また自分はあの竜に得物を向けるだろう。
そんな予想が幸村の胸にはあった。
それだけでない。幸村は、さまざまなものをについて初めて明確に思うようになった。
たとえば、花の美しさと刃物の美しさはまったく別のものなのだ、と。
武芸一辺倒で風流を解しない幸村にしては、格段の進歩だった。
たとえば、花の美しさと刃物の美しさはまったく別のものなのだ、と。
武芸一辺倒で風流を解しない幸村にしては、格段の進歩だった。
……独眼竜は、花でも刃物でもなく、弓張月の美しさだ。




