腰に巻かれた下帯を揶揄された元親は、今度こそ瞳から溢れた涙が零れ落ちるのを、
止める事が出来なかった。
それでも、元就から顔を背けながら目元を擦り、「砂埃が目にしみるぜ」と、精一杯の強がりを見せる。
そしてクスン、と鼻を一回啜ると、元親は覚悟を決めたように下帯を解きにかかった。
眼帯以外に身体を覆うすべての布が取り払われた後で、元親の一糸纏わぬ姿が衆人環視の下に晒される。
その予想外の美しさに、敵味方問わず感嘆のどよめきが起こった。
女性どころか、並みの男性よりも明らかに長身な元親の裸体は、見る者の目を奪わずにいられなかった。
風に揺れる銀髪の隙間からは綺麗な首筋が覗き、海賊でありながら殆ど日に焼けていない白い肌は、陽光に照らされて輝いている。
文旦(ぼんたん)もはるかに凌ぐ程の大きさを誇る両の乳房は、元親の微かな息遣いにも反応してその存在を鼓舞し、引き締まった腰から下は女性特有のなめらかなラインを描き、すらりと長い脚が伸びている。
下腹部の、頭髪より仄かに濃い叢を両手で隠した元親は、染まった目元と頬を懸命に見られまいとしながらも、気丈な態度は崩さず元就に向き直った。
止める事が出来なかった。
それでも、元就から顔を背けながら目元を擦り、「砂埃が目にしみるぜ」と、精一杯の強がりを見せる。
そしてクスン、と鼻を一回啜ると、元親は覚悟を決めたように下帯を解きにかかった。
眼帯以外に身体を覆うすべての布が取り払われた後で、元親の一糸纏わぬ姿が衆人環視の下に晒される。
その予想外の美しさに、敵味方問わず感嘆のどよめきが起こった。
女性どころか、並みの男性よりも明らかに長身な元親の裸体は、見る者の目を奪わずにいられなかった。
風に揺れる銀髪の隙間からは綺麗な首筋が覗き、海賊でありながら殆ど日に焼けていない白い肌は、陽光に照らされて輝いている。
文旦(ぼんたん)もはるかに凌ぐ程の大きさを誇る両の乳房は、元親の微かな息遣いにも反応してその存在を鼓舞し、引き締まった腰から下は女性特有のなめらかなラインを描き、すらりと長い脚が伸びている。
下腹部の、頭髪より仄かに濃い叢を両手で隠した元親は、染まった目元と頬を懸命に見られまいとしながらも、気丈な態度は崩さず元就に向き直った。
(……強情なヤツめ)
予想に反した元親の態度に、元就は内心で面食らっていた。
どうしてそこまで出来る。
代わりの兵など、幾らでも要るではないか。
貴様が「嫌だ」と言っても、あのクズどもなら、喜んで貴様の為に命を差し出すだろうに。
それほどまでに、あいつらが大切だと言うのか。
予想に反した元親の態度に、元就は内心で面食らっていた。
どうしてそこまで出来る。
代わりの兵など、幾らでも要るではないか。
貴様が「嫌だ」と言っても、あのクズどもなら、喜んで貴様の為に命を差し出すだろうに。
それほどまでに、あいつらが大切だと言うのか。
──我との一騎打ちよりも、やはり貴様はあいつらの方が。
「こ…これでいいんだろ?」
「フン、約束は約束だ」
努めて無表情に返すと、元就は元親から背を向ける。
直後、堪え切れずに漏れ出た元親の嗚咽が耳を擽ったが、あえて聞こえないフリをすると、元就は自軍の部下に指示を出した。
「この女を連れて行け。こやつの部下どもは、船に乗せ退去させよ」
「……元就様」
「どうした」
何処かくぐもったような声をした部下の申し出に、元就は眉根を寄せながら応える。
「も、申し訳ございません…恥ずかしながら我ら、暫しの間まともに動けそうにありませぬ……」
「──は!?」
思いもよらぬ部下の言葉を聞いた元就は、無防備な感嘆の声を上げた。
瀬戸内のカイとゲルダ6
「フン、約束は約束だ」
努めて無表情に返すと、元就は元親から背を向ける。
直後、堪え切れずに漏れ出た元親の嗚咽が耳を擽ったが、あえて聞こえないフリをすると、元就は自軍の部下に指示を出した。
「この女を連れて行け。こやつの部下どもは、船に乗せ退去させよ」
「……元就様」
「どうした」
何処かくぐもったような声をした部下の申し出に、元就は眉根を寄せながら応える。
「も、申し訳ございません…恥ずかしながら我ら、暫しの間まともに動けそうにありませぬ……」
「──は!?」
思いもよらぬ部下の言葉を聞いた元就は、無防備な感嘆の声を上げた。
瀬戸内のカイとゲルダ6




