「あ~あ。やっぱ、お嬢泣いてらぁ…」
「独りが嫌いな人だからな。俺らに心配かけまいと、我慢してたんだろうなあ」
以前、南蛮人との取引で手に入れた遠眼鏡に映る主(あるじ)を見て、長曾我部
の海賊達は、何処かにやけた表情でしみじみと呟いた。
互いに取り合い・回し合いをしながら、遠眼鏡から元親の姿を堪能し続ける。
「それにしても、お嬢の泣き顔ってカワイイよなあ~♪」
「いえてる、いえてる。お嬢は笑顔が一番だけど、しおらしい顔も、本当にお姫
様みたいで……って、うぉっ!?」
「な、なんだ?どうした?」
突如上がった声に、一同は目を見張った。
「独りが嫌いな人だからな。俺らに心配かけまいと、我慢してたんだろうなあ」
以前、南蛮人との取引で手に入れた遠眼鏡に映る主(あるじ)を見て、長曾我部
の海賊達は、何処かにやけた表情でしみじみと呟いた。
互いに取り合い・回し合いをしながら、遠眼鏡から元親の姿を堪能し続ける。
「それにしても、お嬢の泣き顔ってカワイイよなあ~♪」
「いえてる、いえてる。お嬢は笑顔が一番だけど、しおらしい顔も、本当にお姫
様みたいで……って、うぉっ!?」
「な、なんだ?どうした?」
突如上がった声に、一同は目を見張った。
「泣くな」
呼びかけと共に、背後から元就が肩に手を載せてくる。
元親は立ち上がると元就の胸に顔を埋め、こみ上げてくる感情のままに、涙を零
し続けた。
元就は、そんな元親の背に腕を回しながら、耳元で優しく諭す。
「両国の安寧の為にも、避けては通れぬ事なのだ。聞き分けよ」
「判ってる…でも…っ……」
「あいつらなら、例え船が沈もうとも、貴様の元に戻ってくるだろう」
「だって…い、今までこんな風に独りになった事なんてなかったから…悲しく
て…寂しくて…こ、怖くて……」
普段から、多くの仲間に囲まれて過ごしている元親にとって、ここまで孤独な
空間に身を置くのは、初めての事なのだろう。
そんな元親の心の不安を、少しでも取り除いてやりたい。
以前の「氷の面」を纏っていた自分なら、決して考えなかった事を、元就はごく
自然に頭の中に思い描くと、元親の目から涙を指で拭ってやった。
呼びかけと共に、背後から元就が肩に手を載せてくる。
元親は立ち上がると元就の胸に顔を埋め、こみ上げてくる感情のままに、涙を零
し続けた。
元就は、そんな元親の背に腕を回しながら、耳元で優しく諭す。
「両国の安寧の為にも、避けては通れぬ事なのだ。聞き分けよ」
「判ってる…でも…っ……」
「あいつらなら、例え船が沈もうとも、貴様の元に戻ってくるだろう」
「だって…い、今までこんな風に独りになった事なんてなかったから…悲しく
て…寂しくて…こ、怖くて……」
普段から、多くの仲間に囲まれて過ごしている元親にとって、ここまで孤独な
空間に身を置くのは、初めての事なのだろう。
そんな元親の心の不安を、少しでも取り除いてやりたい。
以前の「氷の面」を纏っていた自分なら、決して考えなかった事を、元就はごく
自然に頭の中に思い描くと、元親の目から涙を指で拭ってやった。
「案ずるな。我がついている」
「え…」
「…あ…そ、その…わ、『我ら』がついている。……き、貴様に不自由はさせ
ぬ。自分の家だとでも思って、奴らが戻ってくるまで滞在してるがいい」
「ふふ…言い直さなくても良かったのに」
「え…」
「…あ…そ、その…わ、『我ら』がついている。……き、貴様に不自由はさせ
ぬ。自分の家だとでも思って、奴らが戻ってくるまで滞在してるがいい」
「ふふ…言い直さなくても良かったのに」
それでも、不器用な言葉の中に潜む元就の意図を読み取った元親は、泣くのを
止めると、嬉しそうに元就を見る。
穏やかな波の音だけが聞こえる浜辺で、やがてふたりは深く唇を重ねた。
そして、毛利の兵が心なしかにやけた顔をしながら呼びに来るまで、ふたりは
身体を寄せ合ったまま、水平線の彼方を見つめていたのだった。
止めると、嬉しそうに元就を見る。
穏やかな波の音だけが聞こえる浜辺で、やがてふたりは深く唇を重ねた。
そして、毛利の兵が心なしかにやけた顔をしながら呼びに来るまで、ふたりは
身体を寄せ合ったまま、水平線の彼方を見つめていたのだった。




