その日から光秀は沢山の血を求める様になった。
自身の家臣達が彼を畏れるのはいつもの事であったが、主たる織田に迄気味の悪い噂が立つ程に。
自身の家臣達が彼を畏れるのはいつもの事であったが、主たる織田に迄気味の悪い噂が立つ程に。
「明智光秀は妻君を亡くされてから人が変わった」
「元々ああ云うお人であった。産まれた時から気が触れていたのだ」
「妻君が楔だった、戦場とそうでない時の区別を妻君が補っていたのじゃろ。死にきれぬなぁ」
口々に囁かれる言葉の中には真実も紛れていたが、光秀は目を細めてにたり、と笑うだけであった。
「元々ああ云うお人であった。産まれた時から気が触れていたのだ」
「妻君が楔だった、戦場とそうでない時の区別を妻君が補っていたのじゃろ。死にきれぬなぁ」
口々に囁かれる言葉の中には真実も紛れていたが、光秀は目を細めてにたり、と笑うだけであった。
熈子が死んで五年。
光秀は粘着いた泡の浮く赤黒い血の河に侵っている。
ねちゃねちゃと血をかき分ければ、底に白い人影が浮かび上がった。たゆたう黒い条を伴って首に指の痕がある「彼女」が水面に上っては消える。
光秀は粘着いた泡の浮く赤黒い血の河に侵っている。
ねちゃねちゃと血をかき分ければ、底に白い人影が浮かび上がった。たゆたう黒い条を伴って首に指の痕がある「彼女」が水面に上っては消える。
そして、本能寺は燃えた。
光秀が殺したい二人の人物の内の一人と共に。
光秀が殺したい二人の人物の内の一人と共に。
「美味しかったですよ、とても…」
魔王の断末魔を聞き乍ら、死神は達成感に身を打ち震わせた。
魔王の断末魔を聞き乍ら、死神は達成感に身を打ち震わせた。




