それから三日後、
村にある事件が起こる。
既に日付も移り変わろうという時間。
家の扉を強く叩く音にいつきは目を覚ました。
両親を亡くし、いつき独りが住むこの家には夕刻が過ぎると
早々と就寝に入るいつきの邪魔をしてはいけないと暗黙の了解により
それ以降の時間には普段は誰も訪問する者はいない。
このような時間に誰が?
まだ寝ぼけた思考で考えながらもいつきは扉を開けると
そこにはよく知った人物が佇んでいた。
頭部の中心の髪が薄く、白髪混じりの小柄で痩せた初老の男。
彼はお梅の実父、名は菊蔵と言う。
菊蔵はいつきが口を開く前に青ざめた顔で何か切羽詰まるように尋ねた。
「い、いつきちゃん、うちの娘・・・お梅が此処さき、来て、ねぇだか?」
動揺で上手く舌が回らないのか所々噛みながら言う。
「お梅ねぇちゃん・・・?うちには来てねぇけど・・・」「そ、そうだべか・・・そだよな・・・こんな遅くにすまなんだな・・・」
がっくりと肩を落としてそのまま踵を返し去ろうとする菊蔵。
だがいつきの小さな手が菊蔵の節くれだった手を掴み制止した。
「待つだ!お梅ねぇちゃんに何かあったんだか!?教えてけろ!」
菊蔵はいつきの答えてくれるまで離さないぞと言わんばかりの眼差しにたじろいだ。
菊蔵は僅かばかりに迷ったが意を決して事の詳細を話し出した。
「実は・・・うちのお梅が帰ってこないんだよ」
「お梅ねぇちゃんが!?」菊蔵がゆっくりと頷くのを見ていつきは本当の事なんだと察する。
「夕飯食った後に水がないから酌んでくる言うて家を出たんだよ」
この村の水は村の中心にある井戸から汲み上げる事になっている。
お梅が家を出てしばらく経過してから少し遅いなと思いながらも
きっと井戸で同じように水酌みに来た誰かと長話でもしているんだろうと考え
それほど気にも留めないでいた。
しかし、それから次第に時間が経過し、いくら待ってもお梅は家に帰って来なかった。
家の扉を強く叩く音にいつきは目を覚ました。
両親を亡くし、いつき独りが住むこの家には夕刻が過ぎると
早々と就寝に入るいつきの邪魔をしてはいけないと暗黙の了解により
それ以降の時間には普段は誰も訪問する者はいない。
このような時間に誰が?
まだ寝ぼけた思考で考えながらもいつきは扉を開けると
そこにはよく知った人物が佇んでいた。
頭部の中心の髪が薄く、白髪混じりの小柄で痩せた初老の男。
彼はお梅の実父、名は菊蔵と言う。
菊蔵はいつきが口を開く前に青ざめた顔で何か切羽詰まるように尋ねた。
「い、いつきちゃん、うちの娘・・・お梅が此処さき、来て、ねぇだか?」
動揺で上手く舌が回らないのか所々噛みながら言う。
「お梅ねぇちゃん・・・?うちには来てねぇけど・・・」「そ、そうだべか・・・そだよな・・・こんな遅くにすまなんだな・・・」
がっくりと肩を落としてそのまま踵を返し去ろうとする菊蔵。
だがいつきの小さな手が菊蔵の節くれだった手を掴み制止した。
「待つだ!お梅ねぇちゃんに何かあったんだか!?教えてけろ!」
菊蔵はいつきの答えてくれるまで離さないぞと言わんばかりの眼差しにたじろいだ。
菊蔵は僅かばかりに迷ったが意を決して事の詳細を話し出した。
「実は・・・うちのお梅が帰ってこないんだよ」
「お梅ねぇちゃんが!?」菊蔵がゆっくりと頷くのを見ていつきは本当の事なんだと察する。
「夕飯食った後に水がないから酌んでくる言うて家を出たんだよ」
この村の水は村の中心にある井戸から汲み上げる事になっている。
お梅が家を出てしばらく経過してから少し遅いなと思いながらも
きっと井戸で同じように水酌みに来た誰かと長話でもしているんだろうと考え
それほど気にも留めないでいた。
しかし、それから次第に時間が経過し、いくら待ってもお梅は家に帰って来なかった。




