ミシェル・レリス(1901年4月20日 - 1990年9月30日)は、フランスの作家・民族学者。シュルレアリスムとの関わりを経て、民族誌と自伝文学を横断する独自の文体を確立した。
若年期にアンドレ・ブルトンの周辺に参加し、シュルレアリスム運動に加わるが、やがて距離を置く。1931年から1933年にかけてのアフリカ横断民族学調査団に参加し、その体験を記した『アフリカの幽霊』では、植民地主義的視線と学術的客観性を自己批判的に検証した。この書物は民族誌の内省的転回を先取りするものと評価されている。
自伝的大作『成熟の年齢』では、自身の羞恥、欲望、劣等感を徹底的に分析し、告白文学の新たな形式を提示した。レリスにとって書くことは自己の解体と再構築の試みであり、民族誌的観察と内面の告白は同一の運動として結びついている。
彼の仕事は、文学と人類学の境界を曖昧にし、観察する主体そのものを問いに付す姿勢によって、戦後の批評理論やポストコロニアル研究にも影響を与えた。