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シンポ2-4パネルディスカッション

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kiyonk

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<パネルディスカッション>
■「住民サービスを高める自治体トップと職員の協働、人づくり」

 コーディネーター:稲継 裕昭(大阪市立大学教授)
 パネリスト:齋藤 弘(山形県知事)、白井文(尼崎市長)、逢坂誠二(ニセコ町長)、山路栄一(三重県職員) 、小堀喜康(岸和田市職員)

●稲継先生 

「住民サービスを高める人材について」三首長からご意見を伺いたい。

○逢坂町長
 職員として11年、首長として11年のキャリアがある。11年前に首長になったときは、自治の標準装備である「情報公開」「住民参加」すら、日本の自治体は持っていなかった。
 当時は国政でも自治は大きな課題ではなく、市町村合併推進法制定の際にも大きな議論がなかった。首長になって、まず「情報公開」「住民参加」に取り組み、当時とは状況がだいぶ変わってきた。
 しかし、国政に自治の感性がないため現場と乖離した政策ばかりが出される。その限界を感じ、昨日辞表を出した。
 しかし、何の後ろ盾もないにもかかわらず多くの自治体職員が自主的に集い、このような質の高いシンポジウムが開催されることに、「日本は変わるのではないか」という予感を感じている。

○白井市長
 4月25日に発生したJR福知山線の事故は、尼崎市では自然災害以外で災害対策本部を初めて立ち上げたものであった。会議は情報共有と決定事項確認の場に徹した。
 すなわち、現場で先々の対応を議論し結論を出して、会議ではその報告を受けることにした。中学校の校庭がヘリポートになったり、遺体安置所を総合体育館に設置したのも、現場の判断である。
 これらの判断について、もちろん検証は必要であるが、現場の声を活かしたタイムリーさと適切さによる、すばやい対応が出来たことは評価できると思う。
 人材育成に関しては、現場での職務を通じて「今、何が求められているか、見る・聞く・感じる」能力を高めることが何より重要であると考える。
 また、先日1億2000万円税金を徴収しそこなうというミスを外部から指摘された。調査してみると、個人は正しい判断をしても組織として間違った判断をすることがあることがわかり、非常に危機感を感じている。
 個人の能力を高めることと、組織が適切な対応をとれるかは必ずしも一致しないことを実感させられた。外部の圧力など様々な要件によって、判断を狂わされることがある。
 このようなことを防ぐために、公益通報システムやコンプライアンスの徹底などを行っていく必要がある。

○齋藤知事
 山形県の中で有志の会第1号会員になった。常日頃MLでレベルの高い議論に驚いている。
 今までのお二人とは違った視点で2つ述べたい。
 一つめは、我が国が直面する人口の急激な減少について。山形は人口減少先進県であり、将来とも急激な人口減少に伴う労働力の減少が予測される。
これに伴い、県内総生産額も減少し、今までの豊かさを享受できなくなる。
 しかし、女性が出産・育児後も生き生きと社会参画できるよう、子育て支援や就職年齢制限の撤廃等社会条件を整えることにより、現状男性比20パーセントポイントも低い女性の労働力を高めることが、総生産額の減少を少しでも防ぐ、
あるいはむしろ増加させることに寄与するのである。すなわち「男女共同参画」とは、社会・経済構造の変化が当然のこととして求めること、時代の要請なのである。
 2つめは、我々の生きる姿の変化である。すなわち、我々はこれまでになく自分のアイデンティティを確立し、そして他にそれを認めてもらいたい、と強く願うようになってきた。換言すれば、「より深く生きる」ことが価値となっている。
 行政の立場からこれを見ると、「あなたのため」という、きめ細かな行政サービスが21世紀には求められている。その意味で、三位一体改革は、財源と権限を市町村に移譲することにより、国の画一的な行政から自由度の高い行政に変
えていくものであり、是非とも実現しなければならないものである。これもまた、時代の要請なのである。

●稲継先生
 「首長と職員の協働」についてどう考えているか、日ごろ職員にどう伝えているかについてお聞きしたい。

○齋藤知事
 一番頭の痛い、難しい問題であるが、ポイントは「意識改革」と「情報の受発信」
 意識改革については、「これをやれば大丈夫」というのはないのではないか。
 「おや?」と思った気持ち(旬)を大事に育てていくことが大切。人間の歴史もまた「旬」をいかにして保つかとの戦いの歴史であったと言っても過言ではない。
 一方、「職員の仕事の進め方」としては、例えば予算については、これを積み上げるのではなく、大きな方針の下で予算を編成し、その目標を達成するために個々の職員の仕事と責任が決まるようなやり方を大切にしている。
 具体的には、特に、「いつまでに」行うのかという時間軸を持った「インナーマニフェスト」を取り入れ、実践している。
 情報の受発信(職員・県民に対して)とは、「考えていることをどうやって伝えるか」ということである。自分は就任以来原則毎日記者会見を行っているが、今、旬の事項を旬のうちに伝える、処理することが大切である。意識改革はその積み重ねの結果であり、みずからも変わっていくことでそれを示し、全体として力を発揮した組織にして行きたい。

○白井市長
 職員との協働は難しい課題である。
 「本音で付き合う、本音で語る」ことが大切であると考えるが、どこまで職員が受け止めてくれているかは不安がある。
 「わからない」「おかしい」と言い合える関係、首長の意見に対し、職員が一発で「はい」と言わないのも良い関係かもしれない。

○逢坂町長
 自分は「はっきりしゃべる」「しゃべらない」のを組み合わせと、「夢」と「暗い面」を組み合わせることが大切であると考える。
 例えば、首長としては「ビジョンを明確にする」ことが求められるが、自分にしか理解できないビジョンではだめで、相手が理解できるように、明確に具体的にしゃべっているか確認することが大切である。
 一方、最初から大きなビジョンを示すと相手とのギャップが大きすぎて実現不可能になることもある。こんな時は、相手の理解と納得に応じながら少しずつ小出しにし、小さなベクトルをあわせて少しずつ進んで行くというのも、現実に物事を進めていく上では必要である。
 また、財政難ではあるが、その中で「夢」を語れるか。「詭弁」と取られるかもしれないが、詭弁を語るのも首長の仕事である。
 一方、夢ばかりでもだめであり、批判的なことや釘をさすこともする。嫌な仕事だが、きりっとするし、職員と距離感が取れる。長いこと(首長を)やっていると、距離感が取れなくなってしまう。
 「町長室日記」は、職員とコミュニケーションをとるのに、非常に重要なツールである。

●稲継先生
 トップと職員のコミュニケーションは難しい。その中でどう協働を図っていくのか。職員の側から問題提起していただきたい。

○山路
 自分が首長さん方と並んでこの場にいるのは、本の商業出版をするということと、パネリストをするという自分の「夢」を実現させるために自分で行動した結果である。
 つまり、自分でシンポジウムを主催する側になればパネリストになれるからである。
 私の自論は、自治体の首長は、組織の長というだけではなく、地域の経営者であり、そのため選挙という民主的な方法で選ばれるのであり、職員としては自分の1票以外に影響力を行使できず、自分たちでトップを選ぶということはできない。
 有志の会のメーリング・リストで議論になったことがあるが、「改革派首長がいなかったらどうするのか」という問題がある。
 しかし、首長の任期は一期4年であり、長くても2期か3期であるのに対し、通常、40年勤務する職員は首長の改革姿勢に関わらず、できること、やらなければならないことがある。
 マスコミ受けだけを狙うのではなく、改革の実をあげるには職員が動かないといけないわけであって、そのためには、職員一人ひとりが組織のビジョンに貢献し、自らのキャリア・デザインを描く、自分の「パーソナルビジョン」「パーソナルマニフェスト」を持つことも重要ではないかと考える。
 担当の仕事をこなすだけではなく、こんなことを考えているが、こんな職員をどう評価するか。

○逢坂町長
 求める職員像は重要だが、同じタイプの職員ばかりはいらない。同じ性質の職員ばかりだと序列がついてしまう。同じ性質の職員をつくらない、という方が重要ではないか。
 多様な個性をどうはぐくむかは、職員同士が多様な個性とお互いの良さを認め合うところから始まる。ニセコ町でも、正職員の他、企業出向者、外国国籍の方、インターシップの学生など、多様な人材がいる。このことが、役所としての総合力を高めていると思う。

○白井市長
 山路さんは、自己アピールをはっきりと押し出している。全員がそんな風にできないし、そういったセンスは人によると思う。
 組織には自己アピールする人やそれを支える人など様々な個性をもった人材が必要であろう。

○齋藤知事
 首長はきちんと、鋭く意見具申をしてくれる人を求めている。しかし、具体的にどうしたら(そういう人材が育つのか)、というのが悩みである。
 求める像があるとすれば、車のハンドルやブレーキがそうであるように「遊び」を持つ職員か。  

○山路
 私はシンポジウムでは通常、聴衆の側にいるが、その際心がけていることは、講師やパネリストとの「マス対個の一方通行の関係」を「個対個の双方向の関係」に近づけるため、最前前に座り、蛮勇を奮って最初に質問することをミッションにしている。

○齋藤知事
 私も、山路さんの熱意を大いに感じ取ったが故に、有志の会に入会したいと思った。

●稲継先生
 続いて、さきほど「人材育成型人事考課制度」について報告いただいた小堀さんより問題提起をいただく。

○小堀
 事例報告をした「人事担当者」の視点からの問題提起をしたい。
 「人づくり」の重要な要素が「人事」であると考える。どこに配置され、どんな仕事になるのか、誰が昇格し、リーダーになるのか。その仕事の中で職員が育っていく。
 自分が人事制度・組織改革に取り組もうと思ったきっかけは、表向きには、職員の能力アップはモチベーションが高い組織で高く、それが人材育成につながると考えたからだが、
 裏向きには、職員のモチベーションが下がるのはふさわしくないリーダーの下に配属された時であり、これは人事の怠慢ではないかと思ったからだ。
 「人事の怠慢」には、内部の秩序を重視しすぎる、客観的な能力評価を行わないといったいわゆる「年功序列」があるが、一方では首長独自の判断により人事課の案が通らない場面もある。
 このような「人事の怠慢」をなくすべく、新しい仕組みを提案することが人事部局に必要とされているが、首長としてはどういう情報が必要なのか教えて欲しい。

●稲継先生 
 民間の経験も踏まえて、齋藤知事

○齋藤知事
 いわゆる「正六角形型」(協調性に富む、責任感が強い、など)の人材が理想と言われているが、自分は「新しい発想、スピード感、大胆な決断力」が必要と考える。
 中でも「新しい発想」にポイントを置きたい。

○白井市長
 難しい質問である。
 「企画力・判断力・折衝力」と言っても、一人の職員の評価も評価者によって全く違ったものになる。勤務評定や自己申告書も一つの評価の手段でしかない。
 「経歴」に併せて「具体的にそこで何をしたのか」ということが知りたいが、これもどこまで客観評価できるのかという問題がある。
 とにかく、いろんな職員と会ってもらうしかないと人事担当部署から言われたが、全員の職員と会ったからといってどこまでわかるのか、という問題はある。

○逢坂町長
 首長の評価は難しいのと同様に「人の評価は難しい」ことを前提に、その中でどれだけ確実な情報を得るかが重要
 一つは、人事の権限をだれが持っているかを明確にすること。
 他者からの評価も複雑であり、例えば「評判のいい課長」には、課内を鼓舞して評価が高い人もいれば、ゆるやかで波風たっていないので評判が良い人もいる。
 一つ言えることは、人事の瑣末な動きに関心のある職員は、ほとんど仕事ができないことが多い。できる人は、日常の仕事の中で「どこに行って何がしたいのか」がにじみ出ている。
 首長(人事を考えるもの)としては、一年中人事のことを考えている。自分が水を向けて反応をみることもある。ニセコ町の制度としては、意向調査と非公式ヒアリングがあり、ふさわしくない管理職の下に行くことは避けるようにしている
 人事は相当複合的でありニセコも岸和田に学んでいるところである。不確実ななかで、変数をどれだけ減らすかが課題である。

○山路
 人事についてはポストの関係もあり、必ずしも希望通りになるとは思わないが、なぜ、希望通りにならなかったか、どういうキャリアを磨けば希望がかなう可能性が高まるか、ということを本人に対するアカウンタビリティとして果たして欲しい。

○逢坂町長
 人事は首長に対する評価だと考えている。内示を出した瞬間の評価とその後の評価を静観するのも、首長としての重要な役割である。

●稲継先生
 そろそろまとめに入る。フロアの質問は時間の関係で省略させていただく。
 三首長に、自治体職員に対するエール、メッセージをいただけたらと思う。

○齋藤知事
 レジメにも書いた「幸せ正三角形の法則」が重要。三角形の面積を最大にするには、三辺の長さが一緒、すなわち正三角形となること。一辺は「自己啓発」(「学歴」より「学習暦」)、もう一辺は、「職場での活躍」(社会貢献)、残る一辺は「家庭」。
 面積を幸せに例えるならば、この最大化を維持するためには、どれか一つでも欠けることのないよう、それぞれが均等に大きくなるようになっていくよう、自分も心にとめて生きて行きたい。皆さんにもそうなっていただきたい。

○白井市長
 この会に参加すると、自分自身が元気をもらう。首長であれ、職員であれ、同じ方向に向かって、お互いに目標達成のためにがんばればよい。
 JR福知山線脱線事故、アスベストの問題など、課題をつきつけられることによって、組織として強く、成長するきっかけとなっている。
 しんどいことは多いが、仲間がいる。苦しみながらも、一緒にハードルを乗り越える。しんどそうにやっていたら、誰も後に続いてくれないので、無理をしてでも元気にふるまっている。元気で、明るく、前を向いて

○逢坂町長
 職員に勇気付けられることが多い。支えられている。それによって町が良くなる。それでなければやっていられない。
 国をつくるにあたって、「地域から」つくれるレベルになってきたと感じる。今ここでの一人ひとりの活動が、5年後、10年後日本を変えて行くことになるだろう。
 自分はその応援団になりたい。

●稲継先生
 首長と職員が同じ壇上でディスカッションをするという、まれな場であると思った。
 忌憚のない意見交換ができ、有意義であった。

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