第4回オフ会&講演会
案内文
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1.講演会 |
㈱ヘイコンサルティンググループ 浅川 港氏講演
1.日 時
平成16年2月6日(金)14時00分~15時30分(第1部)
2.場 所
フォーシーズンズ志木(埼玉県志木市)
3.テーマ
「これからの自治体職員のチャレンジ課題」
4.講演概要(以下)
○今日の講演では、細かい項目に立ち入らず、大きく3つに分けて三大話としてお話したい。
○ソニー、松下、トヨタといった日本のメーカーの世界への影響力が大きい。一方で、日本のメディアは遅れている。世界では通用しない。
○唯一、日本のメディアの例外といえるのは「NHK」だ。なかでも、「NHKスペシャル」は、よく取材され、世界的な影響力を持ちうる内容であるといえる。
○日本の活字メディアには、自分たちの影響力を世界に及ぼすだけの力がない。その意味では、世界との間にある種の「壁」があるといえる。
○日本に立ちはだかるもうひとつの「壁」がある。それは、「アメリカの壁」だ。
○アメリカのやっていることについては、その背景にある歴史、国家の成り立ちを考えてみないとわからない。
○日本の都道府県の英訳である「Prefecture」について、何の疑いもなく「Prefecture=県」と考えられているが、「Prefecture」は、英語では「中央から行政官が出向いて統治する直轄領」といったニュアンスが含まれる語句である。戦前は官選知事がいてそれに近かったが、いまはそうではない。
○これでは、日本の県は、独立の自治体とは捉えられない。県を「Prefecture」ではないと考えるところから始めるべきだ。
○「取締役」についても、同様のことが言える。企業を経営するのは、取締役ではなく「Director」であると考えるべきだ。取締る役ではなく「指示役」であり「リード役」というのが本来の役割。
○ 以上、「Prefecture」と「Director」の例から言えることは、いまの日本でも、戦前からの考え方がいまだに払拭しきれていない面が多々あるという現実があるということだ。
○次に、今はどういう時代かということをお話したい。
○現在は、資源の価値が相対的に低下し、技術の価値が高まっている時代といえる。
○そのような時代にあって、日本の置かれた状況は、従来とは一変している。
○すなわち、現在は、生産能力過剰・選択消費経済の中にあるといえる。
○今の日本の状況について、「日本にはないものがない。ないのは希望だけだ」といったのは「失われた10年」という言葉を考え出した作家であったが、私はそうは思わない。日本には希望はたくさんあると思っている。ただ、ないのは「自信」ではないか。国も自治体も、あるいは政治も「自信」を持てない状況にあるのではないか。
○私は、いまようやく「普通の時代」が到来したと思っている。
○では、これまでの時代はどのような時代だったかというと、1985~1990年代はじめまでのバブル期は、「異常な時代」といえ、1985年までは、「特殊で例外的な時代」だったといえる。
○ いまは「普通の時代」になったといったが、「普通の時代」にこの国をどう運営するかというノウハウがない。高度成長を前提とした仕組みをこの「普通の時代」に使おうとしても無理がある。
○その理由は、戦後の考え方、システムが新しい時代にあったものになっていないからだ。高度成長型といえば聞こえはいいが、戦後の日本のシステムは後進国型のものだったという事実に気がつかなければいけない。
○今日は、志の高い公務員の方が集まっているので、次に公務員に対する期待、お願いを述べたい。
○経済至上主義が与えてきた「企業」への過剰な特権を見直す必要があるのではないか。
○NPO、NGOの必要性を改めて考えてみる必要がある。
○米国の覇権の見直しが必要ではないか。戦後60年も経って、第二次大戦で確定したままになっている世界中の領土問題を国連で合理的に討議することはできないのか、といった発想が必要。
○三大話のうちの3番目として、これからの国と自治体のあり方について述べたい。
○これまで、「地方」は有為の人材を「中央」に提供し、彼らが経済活動をやめて田舎に帰ると、介護その他でケアしてきた。この矛盾をいま是正することが求められている。
○また、産業の振興のために、こうした人材の供給も必要だったが、これからの経済構造では人材は各地で必要になってくる。
○ここでは、「納税先選択制」を提案したい。
○ハンガリーでは、所得税の5%を自分が選んだNGOに寄付することができる制度になっている。
○松井秀喜選手を育てた町や県は、長期的には大きな投資(学校などの整備)をしているにもかかわらずリターンがない。納税先選択制を採用すれば、このような自治体に納税したいという納税者の税金が入ってくることになる。
○また、自分の出身地や、保護したいという自然など(屋久島など)のために税金を払いたいという人も出てくるかもしれない。
○昔はコンピュータがなかったから「納税先選択」というシステムは不可能だったが、現在は、それほど難しい問題ではないと思う。
○公務員は、これからの世界を変える存在である。
○また、日本の公務員のレベルは世界的にみてもかなり高いといえる。
○しかし、宝の持ち腐れになってはいないか。そのレベルの高さが十分に発露されていないといえるのではないか。
○労働の流動化を促すインフラ整備がされていないことにその原因を求めることができる。
○税法学者からは反対されるかもしれないが、例えば、10年以上同じところに属していたら、使用者、雇用者の税金を上げるという税制が望ましいのではないか。
○日本では、勤務の流動化は、社会的にみてもきわめて大事なことだ。それによって、日本社会の動脈硬化を取り除くことができる。
○アメリカ以外の海外諸国は、日本に非常に期待している。海外に行くとそれを実感する。日本企業が、ロックフェラーセンターの買収などを行っていたとき、当地のメディアは批判的であったが、市井の人々の中には溜飲が下がると感じる人もいた。
○公務員のみなさんには、「自信」を持って世界に発信できるような仕事をしてほしいと思う。
★意見交換
質:公務員の世界は、机上の議論があまりに多いのではないか。変化に柔軟に対応できる体制づくりのためにはどうすればよいか。
答:同じようなことは、自治体に限らない。これも、日本人の真面目さに起因するのではないかと思われる。細部にこだわりすぎる、継続してやっている人が力を持つという日本文化に根ざしているといえる。しかし、自治体は、首長の交代で変化するケースがありうる。また、行政にも、司法における裁判員制度のような大規模な住民参加の仕組みを考えたらどうか。
質:自治体内部のジレンマ、有志の職員の敗北感を超えて、内部から自治体を変える仕組みはどんなものがあるのか。
答:政府で検討中の地方公務員法改正案、公務員制度改革大綱等がある。また、首長に対して、職員が建議、提案していくことがその第一歩ではないか。
質:納税先選択制について、納税先の知名度などで、格差が生じることが予想されるが、それを正すアイデアはあるか。
答:日本人は職人気質で、よいことをしていれば気づいてくれると考えがちだ。しかし、これからは、説明説得する能力を高めていかなくてはいけない。健全な競争が必要といえる。
質:「自信」について、「自信」をつけさせる学校教育が必要ではないか。
答:岩手県の「がんばらない宣言」に共感している。がんばるというのは「生産経済の中でがんばる」ことを暗黙のうちに意味している。今の教育について、「分数ができない学生」など色々言われているが、当然の現象だと思う。親、社会の側からの、子どもが学ぼうと思う動機付けがない。自分たちがああなりたいと思うイメージがない。それを作り出せないのは先行世代の責任だ。 (以 上)
<志木市長講演録>
1. 日 時
平成16年2月6日(金)16時00分~17時30分
2.場 所
フォーシーズンズ志木(埼玉県志木市)
3.テーマ
志木市における住民自治の確立と今後求められる自治体職員像
4.講演内容(志木市長)
(1)自治体の現状と課題
● 私は自治体職員や議員の経験があり皆さんの気持ちもわかる。
●昔は公務員の給料は安かった。今になって文句を言われるのは約束違反だと在籍者は主張してもよいと思う。自らの生活も大切である。一方、自治体運営のことを考えればこれ以上人件費を増やせないという結論に至っている。よって当面、新規採用しない。
●自治体改革には反対はつきものだが党派や立場を超えて「良い」と思う施策は実施できるように協力していくべきだと考える。
●国や県は住民からの距離が遠い。市役所は日々住民の存在を感じる。
●全ての仕事において納税者である住民の顔を思い出すべきだ。住民にこびる必要はないが常に住民を意識した取り組みが求められる。
(2) 制度疲労の顕在化、社会・経済環境の激変
●現在、我が国の財政は自治体だけでなく国も破綻状態である。世界的にも深刻な状況にあるといっても過言ではない。そのことは現在の行政システムのあり方と密接に関係している。
●戦後、地方行政システムが基本的に変わっていないのは異常だ。また変わらないことが異常に思わないことも異常だ。当事者意識が欠如しているためだと思われる。
●これからは現在の地方行政システムを維持することは財政的に不可能だ。
●持続可能なローコストのシステムを確立する必要がある。
●少子高齢化・人口減少への対応も遅れている。10年経てば激変する!
●日本の現状はまず地域コミュニティが崩壊し、バブル崩壊後、企業内コミュニティも崩壊した。新しい21世紀型コミュニティ(村落共同体)が必要だ。
●役所の文書は難しく情報公開も不充分だ。これらが役所の閉鎖性につながり、住民意識やニーズとますます乖離していく。
●自治体の護送船団も早晩崩壊する。極度の安全性ばかり重視すると極端に効率性が犠牲にされる。自治体運営にあたってもバランスが重要である。
●自治体業務で最も大切な教育・福祉・防災等でマンパワーが不足しており、職員だけでは十分ではない。住民自身の参加(住民自治)が必要である。
●行政評価も十分にされてこなかった。そのため行政責任は曖昧にされた。
●随分前から地方自治制度は「制度疲労」していた。経済成長による増収の影に隠れて見えなかったのが、今になって顕在化しただけだ。
(3) 住民自治の確立に向けて
●住民には主権者である自覚を前提とした住民自治確立の覚悟を求めたい。
●行政のあり方として独占的な供給者(非営利独占サービス供給者)の立場による運営から、あくまでも需要者である住民がイニシアティブを持つことが必要だ。
●行政と住民が一体化し、お互いに責任を持って役割分担すべき。
●役割分担をするためには、徹底した情報公開が前提となる。
●住民の無関心が改革にとって最も障害になる。
(4) 志木市の改革~地方行政システムの転換~
●私の基本姿勢として「発想の転換」と「先送りしない」を重視している。
●住民の視点重視と徹底した前例主義の排除がその内容となる。「規則があるからダメ」という発想は最悪である。「よいことは何とか実現する。」という発想が大切である。また、良い改革であれば1日でも早くすることを心がけている。時間が経過するにつれて実現は難しくなる。
●改革を行うにあたって公共の領域と担い手の検証を行った。またトップダウンによる明確な大目標の設定とボトムアップによる中小目標の設定を行った。
●即時断行により失敗することもある。ただ実行しなければ改革は始まらない。結果的に良い方向にいけば、朝令暮改でも良いのではないだろうか。
●改革の骨組みを明確にするため、「市政運営基本条例」を制定するとともに、住民自治を確立するために公募に応じた市民252人による「市民委員会」が役者側の組織に対応する形で設置され、「第2の市役所」として政策の企画立案やチェック機能を果たしていただいている。例えば「公用車の廃止」は市民の目から見れば当たり前のことだが、行政や議会からは自らの不利益になる点もありなかなか提案されない。そのような提案がなされ改革が進むことを期待しているのである。
●改革を進めるため、全既存事業(927事業)を、行政及び議会、市民委員会がそれぞれ検証を行い、事業見直しを考えていく上でのバックボーンとした。
●教育ではいち早く「25人程度学級」を実現した。埼玉県には1/2補助及び同意を求めたがいずれも拒否された。教育にとって教師と生徒のコミュニケーションが極めて重要であり、そのためには少人数で教育を行うことが必要だと思ったので実現に向けて決断した。
●自然再生条例や1億円以上の公共事業市民選択権保有条例などはまさに住民の視点を大切にするために制定したものである。
● 今後は市民との随時の共同プロジェクトの立ち上げなども検討している。
●職員の意識改革はなかなか困難である。現在でも私のスタンスへの理解者は1/3程度ではないだろうか。根気よく取り組んで行かねばならない。
(5) 地方自立計画の導入と21世紀型「村落共同体」の実現
●行政と市民による協働により、住民が主体となったローコストの自治体運営を行って行く必要がある。
●ローコストを実現するためには、最終的に人件費に手をつけざるを得ない。そのことによって初めて、公的サービスの持続も可能となってくる。
●私は最終的には、現在の1/10の職員で運営可能だと考えている。職員の仕事として最後に残るのは、①公権力の行使、②広い裁量権を持った業務、③特別の専門性が必要な業務に限定されることとなる。
●職員の時間外手当を削って市民参加を行うワークシェアリングは「邪道」である。そもそも職員と住民の役割分担を明確にして、参加を促すべきである。
●職員を減らす代わりに市民から有償ボランティアである「行政パートナー」に仕事を担ってもらうこととしている。現在は、700円の時給と10%の運営経費で頑張っていただいているが、将来的には、地域振興券で対価を払うようにし、地元商店街の活性化にも寄与する取り組みができないか検討している。
(6)今後求められる自治体職員像
●あくまでも発想の転換と意識改革を求めたい。住民が自治体のオーナーであり、自治体は委任を受けて独占的に非営利事業を委任を受けて実施しているという意識や前例主義との訣別、社会経済情勢への敏感なアンテナが求められる。
●専門性と住民の目線維持との比較でいけばあくまでも住民の目線を大切にしてほしい。専門性を重視しすぎると、独善性に陥りやすいと思われる。
●また情報の開示は共有が基本であり、「できない」から「できる」への発想の転換、多様な情報を収集・理解を進めることが求められる。
● 職員の責務として、それぞれの立場で責任を果たしていく必要がある。
● 人材の活用や育成、研修等も重要である。
● また、市の基本理念を理解しながら相手の立場に立った包容力のある職員が必要だ。
(7)地方から国を変える
●志木市では、積極的に特区申請の取り組みを行っている。小規模の混在型の福祉施設はその一例である。
●激動の時代であるから、提案すれば改革が実現する場合がある。これを進めていけば、地方から国を変えていくことが実現する。
● 当たり前のことを普通にやっていくことが改革の鉄則である。
★ 意見交換
質問:議会との関係はうまく言っているか。
回答:住民以外に議会とも協働を行って927事業の検証を行ってもらった。その結果をベースとして、住民自身が予算を編成する段階にまでいたっている。議会にも予算編成などの取り組みを求めていきたい。
質問:ブレーンは存在するのか。
回答:特別なブレーンはいない。タウンミーティングによる住民との触れ合いの中からアイデアを見つけ出すほか、新聞や雑誌、職員からも意見の表明を待っている。
質問:キャリアを振り返って「大きな節目」となった出来事は何か。
回答:県庁を辞める時が大きな節目であった。他にはあまりない。
質問:市民委員会の人数が252人であることの根拠は何か。
回答:根拠はない。希望者に全員入ってもらっただけである。最初は180人ぐらいと思っていたが市民の関心も低かったためわずかにとどまった。そこで職員が駅までビラを配って再度呼びかけたところ、定数よりも大幅に超過して集まった。
質問:市民委員会の取り組み等は議会の形骸化につながらないのか
回答:増額補正ができないなど議会を取り巻く規制なども撤廃していく必要がある。ただやる気があれば独自のチェックは可能で、全体を変えるという視点で、協力していきたい。
