第3回オフ会 大分県臼杵市 後藤國利市長の講演MEMO
「『臼杵』に夢中の市役所づくり」~なぜ、短期間に市が変わったか~
日 時 1 平成15年11月28日(金)17:30~19:00
2 平成15年11月29日(土)10:00~12:00
場 所 1 臼杵市ふれあい情報センター
2 丸毛家屋敷
・臼杵市は変わったと自負している。
・財政再建をやりながらも、CATV、まちなか賑わい施設、子供図書館などのハード整備も進め、潤いのある町並みの評価など市民が評価してくれるようになった。
・合併問題説明会にも出席者が少ない。市民が安心してくれていると思われる。
・今後の課題は、より市民との協働だと思っている。
・職員の有志が始めた竹宵祭も7年目を迎え、5万人が参加する東九州を代表する祭りに成長しつつある。
・今まで補助金を活用して祭りを実行していたが、補助金削除のため実施が危ぶまれた。そのため恒例の花火大会を中止した。市民からの反対が出る心配があったが、逆によほど財政が逼迫しているのだろうと市民が寄付を集めて実施できた。また市民自ら行動を始め「この企画は私がやった」と自慢するように変わった。
・臼杵市役所は変わった。挨拶が行き交うようになり、電話の対応も感じ良いと喜ばれている。クレームに対する行動が格段に早くなり、市民から「早いね」と驚きとともに感謝されるところから自信が生まれてきている。
・大部分の職員が精鋭化しているが、全員が精鋭化しているわけではない。1/3はよく理解、1/3はついてきてくれるようになった。残り1/3は照れくさがっている。横を向いている人も何十人かはいる。
・デビューしたばかりの俳優も見られることによって次第に磨かれていくように、市の職員も市民の目を意識して磨かれてくる。
・「市役所が変われば市が変わる」が市長選の公約だ。「市長は市民の回し者」は市役所に入った頃の言葉。「悪いことをすれば平気で市民にチクルこともやりますよ」
・私は臼杵に首ったけである。夢を持っている。職員も同じ思いを持った同志である。自分の夢を実現しようとする「カリスマ職員」が次々と登場したことが私の自慢である。
・ユニークな採用試験「夢中人募集中」を行っている。一緒に夢を見れる職員がほしい。カリスマ職員に一緒に「人となり」を見てもらっている。縁故では採用しない。
・自分の得意分野を登録してもらい、それについての作文と筆記が一次試験。実地試験もやるが、そのでき具合が採用を決定するわけではない。夢中になれるか、熱中できるかで判断している。
・特技の実地試験で、自転車を庁舎に持ち込んで「ここは自転車に乗るところではない」と降りて押してきた人は合格になったが、汚れたタイヤのままの自転車を持ち込んで乗った人は採用されなかった。
・若手の活性化した職員を活用するように反響のある仕掛けを考えている。政治活動で組合をしている人は別として、組合活動をしている人は人の世話を大切にする人が多い。
・同じ「改革」でも「縮める改革」はニセモノだ。形式的で職員を萎縮させる。否定的なものに未来を切り開く力はない。「伸ばす改革」は、実質的で、自由闊達で、全方位的で、建設的でホンモノである。
・ニセモノの改革の構図は、前例・先進例・マニュアル等を前提として、事務局やコンサルタントがまとめた答申を審議会が答申として追認し、人・モノ・組織の削減や限定的な改革をアリバイ的に行うものだ。
・真の改革の構図としては、「改革の三種の神器」(勇気・イメージ力・ こころざし)を前提として、成功のホウ・レン・ソウ(方向付・連携・協働・総括)によって「実行の三大ポイント」(PLAN・DO・CHECK)を行い、「3つの壁」 (人・モノ、仕組み、こころ)を打ち破ることである。
・大分県の行財政改革委員会のメンバーになっているが、定数の削減だけを打ち出しているだけでは県民の目からの視点が感じられないと言った。
・カエルはゆっくりと茹でられると状況変化を感じない。変化への意識を敏感にして、変化を感じればすぐに行動しなければならない。何もしなければ、そのまま茹でられるだけである。大事なのは、自覚して飛び跳ねることである。行動を起 こさないことには状況は変わらない。
・行政改革3点セットを入れ替える必要がある。「シーリング」を「残高シーリング(人・モノ改革)」に、「定数削減」を「しくみ改革」に、「機構改革」を 「意識改革」に変えることである。
・改革三種の神器は、「勇気(ハラ)」「イメージ(夢)」「こころざし(信念)」である。
・こころざしとは、本当に大切なものを見極め、どんなにつらくとも信念をまげないことである。英語ではLittle Money(人は金だけのために生きるに非ず)である。チャップリンの映画”ライムライト”で踊り子の「人生に必要なものは」の問いに答え「Courage、Imagination、Little Dollar」と言っているが、Little Dollarを「少しの金があればいい」と解しているが、これは「人は金だけの為に生 きるに非ず」が正しい。
・勇気(ハラ)づくりは、①見る、調べる、検証する、知る。②隠さない、知らせる、変更する、止める、断る、捨てる、撤退する、壊す、誤る。③一人になっても、自分を信じる、苦労を覚悟する、反対を説き伏せる。④決断する、決行する、甘受する。
・くさいものに蓋をしないこと。決断、決行し、人の批判を甘んじて受けることである。
・イメージ(夢)づくりは、モデルがあれば描きやすいがモデルがなければ難しい。 「ブレイクスルー」の考え方は、中京大学の日比野教授の指導を受けて大変役に立っている。
・無心になることがイメージトレーニングではない。本物のイメージトレーニングは球を打つ姿を思い描くことである。
・本当に大切なものは説明できないものである。
・現場に求められる「ホウ・レン・ソウ」は「報告・連絡・相談」だが、改革に求められる「ホウ・レン・ソウ」は「方針・連携・総括」である。
・改革は、85点を目指すのがよい。”勢いもし使い尽くさば禍必ず至る””福もし受け尽くさば縁必ず孤なり”"規矩もし行い尽くさば人必ず繁とす"“好語もし使い尽くさば人必ず安んず”など仏果禅師の言葉で説明を受ける。次の改革に繋げ るためのコツである。
・完璧主義は無理が生じる。途中段階での適度な達成感が極めて重要である。
・何もかも成功するわけではない。イチローも3割で褒められている。欲張らずほどほどに、決まりをきつくしすぎず、いいことも言いすぎてはいけない。
・ホンモノの改革だから全方位である。
・財政改善(予算は余産):財政指数を変えようとしても変えれるものではない。心を変えれば自然と良くなる。バランスシートを取り入れた。
・予算を余らせても恩典は与えてない。職員は予算を余らせるのを楽しんでいる。
・生涯現役(ヘルスアップ):国民健康保険事業会計を悪化させないための取り組み。健康課とオムロンが“電脳歩数計(万歩計)”を開発。有酸素運動量である“しっかりウォーク(10分間以上継続して歩く)”を計測でき、データーを保存することのできる機能を開発。成人病の予防に役立てている。
・心の教育:教育長は全国PTA連合会会長をしていた方(お坊さん)にお願いして、子供図書館などユニークな取り組みをしている。
・給食(HACP、給食畑)、環境(屋根型処分場)、その他いろいろ他都市では見られない取り組みが紹介された。
・臼杵市は味噌の産地であり大きな味噌屋が三つある。そのうちの一つが手前みそである。(ユーモア 笑)
Q)市長は2期8年しか勤めないと公約されているが、後継者を育成しているか。
A)考えていない。自然と現れるだろう。
Q)改革への抵抗は強かったか
A)”市長の給与3割カット”を公約としたが、議会にかけると反対を受けるので、就任後すぐに専決処分した。議会から「議会を開く前に専決処分するとは何事か」 と問われたが、今はうまくやっている。
自民党県連にもいたので、組合は苦手だが、昔、セメント工場誘致反対運動で地区労もよく知っていた。初登庁時、職員への挨拶の時間を就業後の17時10分にすると申し入れ、改革に対する理解をもらったことがよかった。組合は手ごわい反面、大きな力を持っているので一緒に頑張っていきたい。味方を増やすことが重要である。
Q)自治体を渡り歩くプロ職員への考え方は?
A)まだ時期尚早ではないか。法律環境がそれを許さない。現在いる職員が成長することで人材確保できると考えている。
Q)改革を続けていくことで大切なことは?
A)改革そのものが自己目的化してはいけない。みんなが楽しくやれるよう、盛り上がる雰囲気が大切だ。また、あきらめることなく小さなことを積み重ねることだ。
Q)臼杵市ぐらいの規模の自治体だから改革がやりやすいという声もあるが、大きな自治体との違いは何か。
A)大きな自治体は人数が多いので優秀な職員がいる反面、安住意識が高い。変わらなければならない。我々は危機意識が強い。こうした意識を持ちつづけることも重要である。
・戦略と戦術を組み合わせながら改革を進めていく必要がある。
・戦略とは、仕組みを知り仕掛けを作ることであり、戦術とは仕掛け成功の作戦のことである。戦略を立てるには空から見ることも大事である。
・仕組みを知るためには、広い知識・豊富な経験・第三者的な冷静な観察力が重要だが、何よりも理解しようとする意欲が大切である。
・仕掛けづくりの要点は、キーマン・キーポイント・動機づけである。
・戦いに勝つためには味方を増やすしかない。そのポイントとして、1対1の戦いを制するためには適当な敵を常に持つこと、人望のある味方を増やすこと、偏った味方を持たないことである。無色透明の敵が一番困る。
・今、「うすきいろのカボス」のことで頭がいっぱいである。緑色でない黄色いカボスを臼杵のまちのまちおこしの起爆剤にしたいと考えている。
・カボスの皮を使ったチョコも「Usukiチョコ(ユー 好き チョコ)」として売り出していきたい。クリスマスツリーとして日本一高い樅の木のツリーをバレンタインまでに飾り、 恋人たちが臼杵を訪れる起爆剤にしたい。
Q)市町村合併の認識は?
A)合併しないと市町村はやっていけない。どうせ合併するなら人に相手を押し付けられるより一緒になりたいところと引っ付きたい。と言うのもこれから大変な 時期に苦楽を伴にしなければならないからである。
Q)職員への成果主義導入の是非は?
A)民間も含めて成果主義には懐疑的である。成果の測定が難しいためである。数字に現れなくても組織に貢献している人の存在意義も感じる。その人がいるだけで落ち着くような職場もある。
Q)給与体系はどのようになっているのか?
A)大分県下でラスパイレス指数が最も高い。高卒も大卒に合わせた同じ給与体系となっており、昇給は、課長職になるまでは完全なワタリとし、昇格とは無関係な給与体系をとっている。
Q)抜擢人事はどうか?
A)出世の方に目をやるよりも、仕事に関心を集中してほしいと思っている。現に、臼杵市の職員はそんなことをしなくとも仕事に頑張ってくれている。人は労働条件のことだけを考えて仕事をしているわけではない。
Q)市民の役所への評価や意識は変わってきたか?
A)変わってきたと感じている。市職員を揶揄する枕詞がなくなった。市民の意識の変化を表す言葉として市役所のことを「市役所の奴らは」から「ようやっちょる」になり、「俺たちもやろう」になってきた。職員がベストを尽くしていれば市民に自信をもって接することができる。感謝の声も聞く。祭りも自主的に開催してもらえるようになった。協働は課題である。住民にお任せできる分野があると感じている。
Q)企業再建と自治体再建はどちらが難しいか。また違いはあるか。
A)もちろん自治体再建の方が容易である。企業は売上を確保しなければならないが、自治体は税金という便利なものがあるので、身の丈で業務をやれば続けられる。財政再建の要諦は、収入に応じた自治体運営を実現するということではないか。それにしても、これから5年間で、収入は半分以下になるので、それに合わせる対応が必要である。
Q)地域経済の浮揚に実を挙げたか
A)よくわからない。造船業が好調なためあまり苦情をきかない。
Q)市長の人生の節目の中で、市役所改革を志すにあたって影響を与えた経験は?
A)私の人生経験の中で2つの事件が行動原理に大きな影響を受けている。1つは、中学の時にあまり準備もせずに生徒会の選挙に落ちた時にショックを受け、悔いが残るようならば、最善を尽くそうと考えるようになったことである。2つ目は、昭和45年頃セメント工場の誘致の話があり、問題意識は持っていたが傍観姿勢をとっていたところ、ある方から「あなたはセメント工場が出来て起こる問題点を知っていて、また臼杵市民であって何もしない。それでいいのですか」と 言われて頭をガツンと一撃受けた。その足で本屋に飛び込みセメントに関する本を全て買って、反対運動を起こしたことである。
Q)市役所の職員の態度に対する非難についてどう思うか?
A)何といっても態度の悪い職員には、意識の高い職員が一番腹を立てている。一方で、極端な非難にはくみしない。非難されて当たり前の行動は、職員の思い上 がり以外の何物でもない。
Q)市民の苦情への対応は?
A)苦情は「処理」してはならない。「対応」しなければならない。苦情対応は、市民と市役所が相互理解を進められる好機である。臼杵市の職員は、下を向くことなく苦情に立ち向かっている。自分たちに自信を持つ事ができるようになった証左 ではないか。
平成15年11月28日、臼杵市にお邪魔し第3回目の
講演会&・・・様々な体験をさせていただきました。

今回の目玉行事の一つ「トイレ掃除研修」です。
臼杵市の職員研修の皆さんと合同で行いました。
いよいよ出陣!有志の会にも緊張が・・・・
(於:臼杵市民球場)

今回は、臼杵市後藤國利市長に、「臼杵」に夢中の市役所づくり、
と題し講演して頂きました。(於:臼杵市ふれあい情報センター)

翌日、丸毛家屋敷にて後藤市長と意見交換会を持ちました。

参加者の皆さんです。(数名がお帰りになっておられます。)
第3回を迎えたオフ会&講演会ですがますます充実した内容になって
きまました。今回は二日間にわたり後藤市長を始め臼杵市の皆さんに
大変お世話になりました。ご尽力頂いた方々に厚く御礼申し上げます。
