「自治体有志の会」関西支部 第1回講演会
【日時】 平成16年11月20日(土)14:00~18:00
【場所】 こうべまちづくりセンター2階ホール
【進行】
14:00~ 総合司会 泉大津市 竹内慎一
14:10~ 開会挨拶 神戸市 大島博文
14:20~ 行政評価に関する全国自治体動向 西宮市 杉田水脈
14:55~ 神戸市の行政経営改革(経営品質と行政評価)
神戸市 豊島英明 末若雅之
15:40~ 小野市 蓬莱 務市長講演
「小野市の行政経営と求められる自治体職員像」
小野市 蓬莱市長 議事録
はじめに
こんにちは。小野市長の蓬莱です。今の感想は「大変なところにきちゃったな」というのが本音ですね。今回、難しい命題を与えられ、適当に喋ってほしいと言われましたが、行政の世界では皆さんのほうがはるかにベテランです。私は、市長になってからまだ6年目で、およそ行政のプロとはいえません。一方で、民間にいた時は、行政に頼るようでは仕事の成果は出ないし、また、不要だとも思っていました。要するに、行政に特に期待をしていなかったわけです。行政に比べて民間の仕事の方が厳しいですが、実績・成果が認められる環境にやりがいがあると思っていたからです。
売り手と買い手の立場のちがい
さて、普通、街中のお店では、お客様が来店すると店員さんは必ず席というか、道を譲ってくれるものですが、今日は、この会場の入り口にしても、誰もそのようなそぶりはなかったですね。別に「私が市長だから譲ってくれて当然だろう」と言っているのではなくて、お客様の視点で考えてどうなのか、ということです。お客様側とサービスを売る側の立場は違うものなんです。行政は基本的にサービス産業の第一線の拠点なのです。
例えば、デパートで、お客様から、仮にお客様自身が明らかに要望されたものだったとして、「この靴買ったんだけれど、サイズが合わなかったのですが」と再来店されたときにどう言うか。行政だったら、人にもよりますが、「調べさせていただいたところ、あなた様の靴の大きさについては、お買い求めのときにあなた自身でそれを確認して、そして、これでいいと言って靴を買われたわけですよね。よって当方に落ち度はございません・・・」こう言うでしょうね。民間では、まずは謝りますね。「本当に申し訳ございませんでした。念のために履いていただき、十分確認していただくことまでしなかった私どもの落ち度でございます」と。そして、不本意かもしれませんが、新しい靴と取り替える。買う立場と売る立場では、こんなにも違いがあるわけです。これは1つの例えですが、このような姿勢こそ公務員に求められる課題なのです。
市役所とは、「市内最大のサービス産業の拠点」であり、いかに「より高度でより高品質なサービスをより低コストで提供する」かということであります。「現場でのサービスとはどういうことか」ということを認識ではなく、体験で知っていることが大切なんです。こんなところで「有効性」とか「効率性」とかいくら言っても駄目です。「市民=顧客」と捉え、「顧客満足度志向」へのあくなき挑戦に尽きると思います。これは官も民も同じことです。
今はやりの「行政評価」と「ISO9001・14001」
ところで、先ほど発言のあった、今はやりの「行政評価」。私の前に発表されましたが、行政評価をやってどのような効果があったのでしょうか。行政評価を進めた結果はどうだったか。また、ISOも同じことです。ISO9001、ISO14001の認証を取得してどのような効果があったのか。紙を使って、資料をいっぱい作って、残業をいっぱいして、やっと認証取得しました。認証取得の前も後も継続して費用が要ります。本音でいえば、あれは日本が製品を輸出する場合、輸入先の横着に加担する様なものです。日本でJISをとっているからといってその商品を特別に高く評価しますか。
ISOの認証制度は、品質管理や保証の仕組みができているから品質に問題がないということで、「品質チェックの手間が省ける」という輸入先の発想です。それに体質改善とか意識改革も含めて進めているのです。外国の企業と取り引きするためには不可欠な条件で、一応取得せざるを得なかったのが実情で、それにさも最もらしく体質改善がねらいと学者がはしゃぎ、企業はPRに利用し、行政も「民間の発想を行政に」と食いついたわけです。しかし、ISO取得の成果は何だったか。ISO導入に向けては、ISO取得のための指導機関から派遣を受けて、その指導機関の担当者が認証合格の仕方を取得対象の企画部門に教えます。もし認証不合格になったらその機関は「指導の効果が出ていない」と批判されるし、受け手側の責任も問われます。ISO合格のためだけの業務が加わり、そのためのセクションや担当者が必要になるわけです。そういう仕組みがISOなんです。本来のねらいと成果はもっと高度な管理手法にありますが、ここでは敢えて本音を言っておきます。民間ならともかく、行政がこぞって流れていくのを見ていられないのです。
また、事業をやるときに、コンサルタントや大学教授に頼るのは、失礼ですが、やめた方がいいと思っています。先生方は何のためにやっているか。まず、依頼されたからですが、残念ながら先生方やコンサルタントには結果責任は問われません。その結果が国、地方合わせて700兆円を越える借金を生むことに加担したのです。そのときの決定は一体誰がしたのか。今の行政はどこでも、審議会の構成メンバーを決めるにしても、「あの辛口を言う学者は絶対に入れるな」ということが暗黙の了解としてあるようです。本当は辛口の人を入れないといけないと思います。しかし、それではまとまらない。とりあえず、専門家の話も聞いたことにしておくことが情報開示という形で表れているのです。
単なる目安箱的な広聴システムでは意味がない
それから顧客満足の話ですが、小野市では、住民から言われた苦情などは、全てコード番号を附して、私のところへまわってきます。住民の意見に対しては、記名であろうと匿名であろうと必ず文章で回答する仕組みになっています。匿名に対しては送れませんので、回答文を作成して決裁し、必要なものは広報などに掲載します。全てデータベースで管理していますから、いつ受付して、いつ回答したのか、まだ回答できていないのか、どのような回答をなぜしたのか、回答までにどれくらい時間をかけたのか、いつでもわかる形になっています。つまり、管理するということです。
そのねらいは2つあります。1つ目は、市民の目線に立って、市民の意見を市政へ反映させること。つまり、「情報は市民の財産」という理念のもと、大切に扱うことです。2つ目は、ここがポイントなんですが、「職員の問題解決能力のレベルアップを図ること」です。単なる目安箱的な広聴システムでは意味がないのです。
残業は管理者の顔が見える
データベースといえば、職員の残業についても管理しています。私のところへは毎月、残業上位50位までのリストが提出されます。金額別・時間別で出されてきます。残業の多い人は、当初はたいてい決まっていました。この原因は何なのか。特定の者の手が遅いのか、特定の者に業務が集中しているのか。管理者は、「○○を管理する」という管理項目を持たなければなりません。管理者は、コミュニケーションを図りながら、仕事の配置、仕組みを考えることが、当然の果たしうる役割です。市長は「全部見ていますよ」と言うだけで、ものの見事に残業は減りました。残業はそのセクションの仕事のまずさ、管理のまずさ、そして、管理者のレベルを見せてくれます。単なる残業削減というコスト低減活動ではないのです。
小野市ってどんなところ?
小野市ってどんなところだと思います?小野市の市花は「ひまわり」です。南に山陽自動車道、北に中国自動車道、そして南北に4車線の国道175号が縦断しており、交通の便がいいところです。今年12月19日、JR加古川線も電化されます。
小野市は、400年の歴史を持つ日本一の「そろばん」まちとして、加えて家庭用刃物の「金物」のまちとしても栄えてきましたが、今では、ほぼ100%の充足率となった工業団地(約160ヘクタール)における医療、食品、産業機械、電子部品などのハイテク産業が市の工業出荷額の50%以上を占め、市の財政基盤を支えています。
人口は昭和29年の市制施行以来、微増ながら、減ることなく増え続け、現在約50,700人のまちです。
市内には、小野ゴルフ場、小野東洋ゴルフ場などの名門コースが6つあります。
また、歴史的遺産として、東大寺の再興を果たした重源上人が建立した国宝浄土寺があります。その中には、あの仏師快慶が彫った高さ5.3mの国宝阿弥陀三尊立像が安置され、背面から夕日を受けて赤く染まった御来迎の姿が浮かびあがります。この様子は、NHKでも過去に何回も放送されました。
そして最近では、平成14年に完成した国道175号沿いの「ひまわりの丘公園」には年間100万人以上が訪れ、県下一の入込み客率の伸びとなりました。また、その中に地場産野菜売場「サンパティオおの」というのがあるのですが、今頃、どことも野菜が高騰している中で、逆に「値段は絶対にあげるな」と指示しました。そうすると、過去最高の売り上げを記録することになりました。
そして、特産の酒米山田錦の需要が減る中で、それを使ったパンの生産販売を開始したところ、これが大ヒットしました。民間では商品開発において、他の会社と同じものを開発目標にすることは絶対にしません。ちなみに、このパンは、「ひまわりの丘公園」の中の「山田錦(酒米)米パン工房」でしか販売しておりません。
また、どこへ行っても「道の駅」というのがありますが、どこも「同じもの」ですね。だから「画一的横並びではなく、ほかとは違ったことをすること」が大事と考え、この公園をつくったわけです。
小野市は今年3月、「白雲谷温泉ゆぴか」も建設しました。年間目標30万人ですが、9ヶ月を待たず目標を達成しました。このままいくと40万人以上になりそうな勢いです。経営方法は、少し他とは異なります。ノウハウは申し上げられませんが・・・。
また、小野市では「エイジ・ルネサンス・パーティ」と称して、65歳の第2の成人式をやっています。司会を上方落語協会の会長、桂三枝さんにしていただいています。そして、そのエイジ・ルネサンス・パーティは、ごくごく普通の人達、数人が「新婚さんいらっしゃい」や「波瀾万丈」とよく似たスタイルで、桂三枝さんと苦労話などのトークをやります。「私は、こんな多額の借金を返しました・・・」とか。そうすると、会場の人たちの間に「ああ、そんなに苦労されたのか・・・」と共感の輪が広がっていくんです。他の人生に対する考えが聞け、新たな発見とともに、加えて、新たな出逢いと交流の場ができるのです。
参考までに言いますと、20歳の成人式は新成人自らが企画立案し、出席率は約 80%にも達します。私は、どこにでもあるあいさつは止め、パネラーとして参加しています。
そのほか、様々な取組みは、この度初めて作った「小野市の行政経営」というパンフレットで紹介していますので是非ご覧下さい。
これから本題。今、どんな世の中?
前おきが長すぎましたが、これから本題に入ります。
「こんなはずではなかった21世紀」。人口は増え続けるものと思っていた。ところが、将来、兵庫県だって100万人減少するといわれています。すると、それに対応して、乗り物、建物、全て変わっていくでしょう。少子高齢化の流れは、全てのシステムも変えていくのです。
土地も値上がりするものだと思っていた。ところがそうではなかった。
学歴、大学さえ出ておれば、一流企業へ就職して将来を約束されると思っていた。
経済、経済は上がったり下がったりしながらも、右肩上がりで、ずーと成長し続けるものだと思っていた。同じように報酬も上がっていくと思っていた。ところがそうではなかった。
企業、大企業は絶対潰れないと思っていた。ところが、みなさんご存じのとおりです。
このこと、すなわち、今までの流れや価値観が全く機能しなくなったことを改めて認識することから、全てのシステムの再構築が不可欠となってきたのです。
私は小野市6代目の市長ですが、市長選に出る前、歴代3人の市長が汚職で逮捕されていた。なんというところだ。そのような訳で立候補しました。東京勤務のときに、オイルショックが起こりました。当時、営業部門で国内販売と輸出の仕事をしていました。途中、円が固定相場制から変動相場制に変わりました。360円が308円に、会社を辞めるときには1ドル90円。学者は75円まで円高が進むとか無責任なことを言っていましたが、そういう時代だったんです。三菱重工爆破事件の真っ只中。寄り道して日比谷公園に行って助かりました。あやうく爆破現場に巻き込まれるところでした。
大学を卒業したときの初任給が約3万円。当時、高度成長期で毎年給料は上がりました。誰もが経済は成長し続けると思っていた。銀行は潰れる訳がないと思っていた。ところが実際は皆さまご存知のとおりです。さきほどから行政の悪口ばかり言っておりますが、民間も無茶苦茶していました。あのころ、公務員を目指す者は少なかった。今は反対ですが。
理念なくして意識改革なし。意識改革なくして行動なし
やっぱり、「理念なくして意識改革なし。意識改革なくして行動なし」だと思います。「行政経営とは、より高度でより高品質なサービスをより低コストで提供すること」です。
小野市は、行政経営戦略に4つの柱を掲げ、「方針管理」というPDCAのマネジメントサイクルを展開しています。
1つ目は、市民=顧客と捉えた市役所は市内最大のサービス産業の拠点であるという「顧客満足度志向」。2つ目は、何をやっているのかではなく、何をもたらしたかという「成果主義」。3つ目は、ここしかない小野らしさを追求する「オンリーワン」。4つ目は、言われてからやるのではなく、言われる前にやる「後手管理から先手管理」です。
自治体のイノベーション
自治体のイノベーション。「掛け声だけでは、改革はできない」ということから、「新たな創造と変革」をめざした仕組み・システムとして、「方針管理制度」を導入しました。15項目に及ぶ入札制度の改革もやりました。ベースになる考え方は、「経理が分かる人と、経理ができる人は違う」、「財政がわかる人と、財政ができる人は違う」ということです。私達は「できる」人を必要とし、そのような人材を育てなければなりません。
次に、組織のあり方での重要なポイントは、「機能、すなわち果たしうる役割があって組織がある」のであって、「組織があって、機能があるわけではない」ということです。果たしうる役割によって組織というのはフレキシブルにどんどん変えていったらいい。統廃合を続けるのは、当たり前のことです。必要に応じて新しい組織もつくります。そしてラインとスタッフを分ける複線型人事管理制度も必要です。人にはそれぞれ持ち味があります。リーダーとしての力を発揮する人。目立たないがこつこつやる人。どちらが良い、悪いということではありません。その人の持ち味を平等に評価し、生かすことです。
これまで行政では、声の大きい人で、世渡りがうまい人がいつも出世してきました。民間でもそうでした。これからの組織は、従来のピラミッド型からフラット型にしたグループ制が良いと思います。グループ制にして、あるときには、「君がリーダーだよ」とすればいい。ところで、多くの市町村で合併が行われていますが、合併すれば職員の数が多くなるというより、余ってきます。管理職で例えると、1つの組織に○○課長は2人も要りません。複線型人事制度やグループ制は、合併する自治体にとっては好むと好まざるとにかかわらず不可欠な仕組み・システムです。
なお、外国では、肩書きでものを言うことはしません。呼び合うときは、役職抜きにすればいいんです。役所はやたら長ったらしい役職名が多い。一方、あなたの権限は?とか聞かれると、たいていの方は返事に窮しますね。
小野市の管理手法は「方針管理制度」
行政の管理手法として「小野市型方針管理制度(TQC)」を実施しています。成果を出して、検証して、それをどう反映するか。こんな議論をしているわけです。行政は「プラン(計画)→ドゥ(実行)」は強い。しかし、チェック(評価)が弱い。「なぜできなかったのか。難易度はどうだったのか」を考えて、半期単位でPDCAのマネジメントサイクルを回しながら、期別方針実行書を策定し、管理しています。
今言われている行政評価、これは「政策評価」だと思っています。トップとして選ばれたリーダーが、やると決めたものをやる。その決定に基づいて、実行段階でいかに効果的に効率よくやるかが大事なのです。そのための「執行評価」こそが重要であり、小野市では「方針管理制度」です。「行政評価」は政策決定を考えるための一つのツールですが、効果が見えません。いくら積み上げていっても、トップが首を横に振ったら駄目でしょう。みなさん簡単に行政評価、行政評価と言われるけれど。要は「何をなし得たか」という見える成果を出さないと意味がありません。
ポイントとして、「結果とプロセス」を管理することが大切です。ISOを認証してどうですか。やっていることは、分かっているけど。小野市なら、ISOをとろうと思えばいつでもすぐとれますが。結果として、未来永劫ずっと審査と費用を払い続けることになります。
見える形と言えば、「マニュフェスト」というものがありますが、今のマニュフェストは目標を定めること自体に意味を見出さんがためのマニュフェストになっているようにも思います。確かにこれまでは、日本の選挙でマニュフェストのようなものはなかった。しかし、実際にどのようにして実現していくのか。具体的な執行のツールが示されていないんですね。プロセスの管理システムがないのです。
「方針管理」の展開については、4月と10月に、私自身が市長方針を立てています。それを部長、課長、係長とブレイクダウンします。6月に進捗度を問います。
12月にも同様に診断します。評価が高かった人に12月と6月の賞与にインセンティブ給をオンしています。たったの5万円です。だけど昇格のチャンスに結びつきます。
ところで、上の方針は詳しく出すと駄目です。下に考えさせることが大事です。「市民=顧客満足度向上」のために、市長はどんな方針を出すのか、これを実現するために部長は何をするのか、部長方針を受けて課長は何をするのか。というように下へブレイクダウンしていくわけです。
21世紀に入り今までのやり方の時代は終わると思います。だから、新たにシステム(仕組み)づくりにチャレンジせよと言っているんです。今年の方針は「3Cの更なる展開」(Customer Satisfaction市民=顧客満足度の向上、Collaboration協働と参画の推進、Challenge挑戦)です。これを「方針管理」の手法を使って展開しているわけです。この方針管理の体系は、目的を達成するためにどういう手段を講じ、実施するか。その手段を、その下の者は、目的として、その目的を達成するためにさらに具体的な手段を講じ実施していくという「目的-手段(目的)-手段(目的)-手段の連鎖的体系」と言ってもいいかもしれません。「鋭意努力する」とかいうのは絶対に駄目です。だから組織で議論するわけです。なかには数値目標を立てられないものもあるでしょう。しかし、本当に目標をたてられないか、ほとんどないはずです。
そして、私は部長レベルをチェックします。1人40分。やり直しを言われる部長もいます。私が(市長)「あなたの自己評価は」、部長「60%です」、市長「何故できなかったのですか。何故できたのですか。出来具合を証明するデータをみせてください。なるほど。では現場を見に行きましょうか?」こんなやりとりをします。そして、ここが重要なことですが、できなかったことを責めることではないのです。目標の立て方がおかしかったのかもしれません。「なぜ目標を達成できたのか、なぜ達成できなかったのか」、その分析能力を問うているのです。評価基準は?といわれますが、10分も話をしていれば、難しい評価基準をつくらなくても対象者の評価レベルはすぐわかります。管理職にふさわしい人なら、すぐにメジャーを見出します。これを見抜けないようなら管理職としては失格ですね。
公務員は成果と報酬が連動していない社会
というわけで、小野市では、管理職を対象に、減点主義ではなく、加点主義によるインセンティブ給を支給しています。管理職の1/3を部長から推薦してもらって、そのうち1/2の人たちに支給しています。絶対評価を相対評価に切り替えることも大事ですね。
そのほか、私は、市民に説明できない「手当」などを止め、それを財源にする。それで、インセンティブ給を1万円しかもらえない人と、30万円持って帰る人が出てきてもいいじゃないかと思っています。しかし、総コストは変わりません。労使交渉で積み上げてきたものがあるじゃないか、と言われますから。要は、現在の給与体系を打破することです。実力成果主義にすべきであると思っています。
ところで、人事課長というのは、現場をまわれば「何かあるのかな」と周囲に思われるようになるのが、人事課長の務めです。それぐらいの根性がなければ、人事課長はできません。
話は変わりますが、合法的に退職していただくのは大変なことです。欧米では簡単です。「あんた、クビ」これでお終いです。それはひどいものです。日本はそこまでいっていない。ここで皆さんに言いたい。「悪いけど、君、やめてくれないか」と言わざるを得ない立場に立って仕事をしたことがありますか。それは公務員の世界にない厳しい世界です。
人事異動について言えば、5年以上は同じ職場に留まらせません。それ以上いるのは本人に能力がないか、上司に教える能力がないかのどちらかです。多くの職場を経験させた方が、能力の向上につながり、総合的に判断ができるようになる一つの方法です。
「QCD+社会的責任」を重視した入札制度改革
公共工事の入札制度改革についてお話します。「QCD+社会的責任重視の入札制度」といっていますが、具体的には、「公募型指名競争入札制度の導入」「工事検査体制の強化」「工事成績を指名要素に反映」「予定価格の事前公表廃止」などの15項目の入札制度改革を行いました。その結果、平均落札率は70%になり、4年間で年間市税に匹敵する60億から70億円の経費節減ができました。
私は「行政でも購買部門を持つべきだ」と言っています。購買部門を集中させ、そこで情報を積み上げることが不可欠です。市場の実勢価格がどうなっているのか、購入するタイミングも見計らうことができます。いわゆる、業務は、購買資材調達です。
皆さん、コスト感覚って分かりますか。例えば、大きな会議では「黒鉛筆2本・赤鉛筆1本・メモ用紙」が必ず置いてあるでしょう。本当に必要でしょうか。しかも、鉛筆を削っている人にもコストがかかっているんです。また、机の引き出しを開けてみてください。3年間働いても使わないような鉛筆・消しゴム・留めピンとかいっぱい入っているでしょう。
また、「納期」についてどう考えていますか。3週間で終わる工事に2ヶ月から3ヶ月かけているのではないですか。民間なら納期が1日遅れただけでも、即ペナルティです。請負金額の10%カットを求められます。納期はコストと密接に関わっているんです。納期管理を見過ごした発注なんて、民間企業ではあり得ない話です。
借金は増やさず、事業は過去最高
市長就任時より入札制度改革を行い、借金は増やさず、事業は過去最大にし、基金は増加するとの前提をたてました。市道舗装率や下水道普及率も向上しました。数値目標を立て市民に開示して、大切なのは、目に見える形、つまりやったことを数値で開示することです。
広報広聴の多様な展開とシステムづくり
情報は、市民の財産だと思います。市長が言っているからではなく、市民の大切な財産だから大事なんです。目安箱的なものを置いているだけでは駄目です。情報を一元化し、組織横断的に検討したうえで、全てに回答する。返事をきちんと書こうと思うと、現場を見に行かないと書けないですね。これが現場主義につながります。STA(See and Touch and Ask)の実践です。
行政改革度調査
先日、日経新聞(16年10月4日朝刊)で「行政の改革度調査」が紹介されましたが、718市区のうち小野市は77位。兵庫県では4位です。こういうのを職員に知らしていかないといけません。職員に自信を持たせることが大切です。
これからの自治体経営 官と民の役割分担
よく「官から民へ」と言われますが、官がすべきことと民でも任せられることを明確に区分し、どうしても官がすべきものは、官がしないといけない。さらに、「公務員の身分でないとできないこと」と「公務員という身分がなくてもできること」を分けることが大事です。例えば、給与計算業務などは「時間買取型」の人にやってもらったらいい。そろばんのすごい人は、暗算で何兆単位を10から20秒でできます。人材の確保は、「時間買取型」、「知識買取型」に分けることです。求められるのは、「官と民の役割分担の再構築」なのです。
次に、市民とのコラボレーションについてお話します。小野市では、市民活動拠点施設「うるおい交流館」が来年3月20日にオープンしますが、維持管理だけでなく企画運営まで全てNPOに委託しました。「全部」です。しかもそのNPOにはたくさんの市外の方も加わっています。事務局長は隣の市の方です。コスト軽減のねらいよりも、「市民に任せる」ことが大事なんです。市民に審議会に入ってもらうことが、協働と参画ではありません。市民に全部まかせて、痛みもわかってもらう。これが本当の協働と参画です。「やってみなはれ」です。きっと公務員の仕事が変わっていきます。結果が出なくてもいいじゃないですか。プロセスを評価する。これが大事です。ポイントは、「行政の下請けではない」という意識を持たせることです。
このような取組みが国の地域再生計画の認定を受け、12月に小泉総理大臣から首相官邸で認定書の交付を受けることなりました。
小野市の人事制度
人事制度についてですが、従来は、「部長→参事→課長→係長→主査」という単線型ですが、これからは複線型人事制度の考え方が大事になってきます。つまり、総合職群としてのライン職(部長・課長など)とスペシャリスト群としてのスタッフ職(参事・主幹など)を区分するわけです。さらに、ピラミッド型組織からフラット型組織にすべく、部を2つ、課を10、係を21減らし、組織の25%を削減しました。
また、企画政策室・市民安全部・水道部ではグループ制を導入しています。そして先ほども申し上げましたが、「知識買取型人材」と「時間買取型人材」を区分し、必要な人材を必要なときに確保する仕組みをつくっています。
加えて、新聞記事にもなりましたが、「ONPM計画」を進めています。ONPMというのは、オノ・ニュー・パーソナル・マネジメントの略で、内容は「小野市型期限付嘱託職員制度」です。18歳以上30歳未満の若者を多数採用します。正職員と同様に特定の業務を任せます。雇用期間は最長3年間です。この制度を導入した趣旨は、「人件費をあげることなく、多様な人材を活用した業務遂行への転換(職員の従来の超過勤務手当の一部を充当します)」、「若年層のスキルアップと成果主義による採用への道筋をつけること」、「官と民との交流促進」などです。16年度は148名の応募があり、13名を採用しました。
これは「ちょっとの時間、面接しただけでは人の能力は分からない」という考えに基づいています。つまり、嘱託として、3年間、職員とまったく同じ仕事をしてもらうことにしていまして、3年間で効果をあげれば、公務員試験を受けていただいて正職員として採用される道が開けるということです。ONPMは単なるワークシェアリングではなく、能力のある人材登用、公務員でなければできない仕事の見極めと、一方では、管理者の管理能力の向上、職員の意識改革など「したたかなねらい」があります。
職員のキャリア開発
人の前で喋れることは大事ですね。市長になって、よく講演も依頼されるようになりました。小野市では職員のキャリア開発として「職員研究発表大会」を行っています。パワーポイントでプレゼンをしてもらって、最優秀賞には金一封を渡していますが、今回の最優秀は、「市民病院でのSPDシステムによる大量消費物品の購入・管理のあり方」というテーマのものでした。小野市民病院は、赤字だらけの公立病院の中で、黒字経営を続けています。
水道部の職員も「新たな水道行政の姿~組織改革とアウトソーシング」と題して発表しました。水道といえば、24時間電話受付をしておりますし、無休といえば、図書館もそうです。うちの図書館は、5万人都市レベルでいうと6年連続「貸し出し冊数日本一!」なんです。7年連続も間違いないと思っています。
この図書館、今は月曜日が休館日です。ところが、図書館職員の間で、「もっと市民に利用していただくためには、開館時間を延長するのがいいのか、休館日をなくする方がいいのか」という議論をしました。図書館の女性職員の発案ですが。そして彼女は、「調べた結果、月曜日をあけて年中無休の方がいいという結論になりました」という論理的なプレゼンを行いました。本当にすごいですよ。それで、来年から図書館は年中無休にしたいと考えています。
目指す行動指針
次は、「目指す行動指針は『い、ろ、は』で」の話ですが、「いろは」の意味は、「い:意識改革なくして行動なし」、「ろ:論ずるより行動」、「は:反省なくして改善なし」です。また、「二束の『ほうれんそう』」ということも職員に言っていますが、「職員にとっては<報告・連絡・相談>が肝要」、「管理職にとっては<方向性・連携・総括>が肝要」ということです。つまり、管理職に言いたいのは、「あなたの管理項目がわかっていますか」ということです。部下の顔色の良し悪しを見ることも大事な管理項目であるわけです。
サントリーの社長の「まずはやってみなはれ」という有名な言葉がありますが、「出る杭は打たれるのではなく、出ない杭は地中で腐るしかないんです」。これを新任職員の入庁式で語ったら新聞記事になりました。
最後に一言
時間があったら申し上げようと思っていたのが、この最後のスライドです。昨日、帰りの新幹線の中で思いついたことを書きとめたものですが、21世紀の指標は「あ、い、う、え、お」だと思っています。「あ:アイデンティティ、アメニティ」、「い:インフォメーション、イノベーション、インターナショナル」、「う:ウェルネス、ウェルフェア」、「え:エコロジー」、「お:オンリーワン、オリジナリティ」です。オンリーワン。つまり、他と同じやり方では通用しないんですね。
次に、「だと思います」ではなく「であります」と言いなさい、と職員に言っています。職員はすぐに「ええぇ、そのぉ、そのようなことだと思います」と言いますね。これは現場を確認していないから、そうなるんです。だから「現場現物主義」を徹底するために、なるべく「であります」と言うように指導しています。
次に「誰が御輿を担いで、誰が御輿に担がれているのか」ということを明らかにすることです。データベースで管理すればすぐわかります。例えば、市民活動の支援をとりまとめている部署にいるのに、休日の地域のイベントに全然参加していない職員とか。口先だけで実行しない者が、データベースで管理しているとすぐわかります。何故こういうことになるのか。「成果と報酬が連動していない」からです。成果と報酬が連動しなければ、公務員の意識は絶対に変わらない。お金が全てではありませんが、公務員の能力・成果主義は不可欠です。「人事制度に完璧はない」、まずはやることです。
「こんなはずではなかった21世紀」を向かえた今、前例を踏襲することなかれ、かくあらねばならんという固定観念から脱却し、画一的横並びの仲良しクラブではなく、人、あるいは自治体それぞれの持ち味を追求することです。だから大いにチャレンジし続ける3Cを大事にしたい。今日は、なぜか呼ばれた。どんな会かも知りません。しかし、「経験は私にとって最良の教訓」です。これで批判されたら、私自身、その批判から学んでいきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
【日時】 平成16年11月20日(土)14:00~18:00
【場所】 こうべまちづくりセンター2階ホール
【進行】
14:00~ 総合司会 泉大津市 竹内慎一
14:10~ 開会挨拶 神戸市 大島博文
14:20~ 行政評価に関する全国自治体動向 西宮市 杉田水脈
14:55~ 神戸市の行政経営改革(経営品質と行政評価)
神戸市 豊島英明 末若雅之
15:40~ 小野市 蓬莱 務市長講演
「小野市の行政経営と求められる自治体職員像」
小野市 蓬莱市長 議事録
はじめに
こんにちは。小野市長の蓬莱です。今の感想は「大変なところにきちゃったな」というのが本音ですね。今回、難しい命題を与えられ、適当に喋ってほしいと言われましたが、行政の世界では皆さんのほうがはるかにベテランです。私は、市長になってからまだ6年目で、およそ行政のプロとはいえません。一方で、民間にいた時は、行政に頼るようでは仕事の成果は出ないし、また、不要だとも思っていました。要するに、行政に特に期待をしていなかったわけです。行政に比べて民間の仕事の方が厳しいですが、実績・成果が認められる環境にやりがいがあると思っていたからです。
売り手と買い手の立場のちがい
さて、普通、街中のお店では、お客様が来店すると店員さんは必ず席というか、道を譲ってくれるものですが、今日は、この会場の入り口にしても、誰もそのようなそぶりはなかったですね。別に「私が市長だから譲ってくれて当然だろう」と言っているのではなくて、お客様の視点で考えてどうなのか、ということです。お客様側とサービスを売る側の立場は違うものなんです。行政は基本的にサービス産業の第一線の拠点なのです。
例えば、デパートで、お客様から、仮にお客様自身が明らかに要望されたものだったとして、「この靴買ったんだけれど、サイズが合わなかったのですが」と再来店されたときにどう言うか。行政だったら、人にもよりますが、「調べさせていただいたところ、あなた様の靴の大きさについては、お買い求めのときにあなた自身でそれを確認して、そして、これでいいと言って靴を買われたわけですよね。よって当方に落ち度はございません・・・」こう言うでしょうね。民間では、まずは謝りますね。「本当に申し訳ございませんでした。念のために履いていただき、十分確認していただくことまでしなかった私どもの落ち度でございます」と。そして、不本意かもしれませんが、新しい靴と取り替える。買う立場と売る立場では、こんなにも違いがあるわけです。これは1つの例えですが、このような姿勢こそ公務員に求められる課題なのです。
市役所とは、「市内最大のサービス産業の拠点」であり、いかに「より高度でより高品質なサービスをより低コストで提供する」かということであります。「現場でのサービスとはどういうことか」ということを認識ではなく、体験で知っていることが大切なんです。こんなところで「有効性」とか「効率性」とかいくら言っても駄目です。「市民=顧客」と捉え、「顧客満足度志向」へのあくなき挑戦に尽きると思います。これは官も民も同じことです。
今はやりの「行政評価」と「ISO9001・14001」
ところで、先ほど発言のあった、今はやりの「行政評価」。私の前に発表されましたが、行政評価をやってどのような効果があったのでしょうか。行政評価を進めた結果はどうだったか。また、ISOも同じことです。ISO9001、ISO14001の認証を取得してどのような効果があったのか。紙を使って、資料をいっぱい作って、残業をいっぱいして、やっと認証取得しました。認証取得の前も後も継続して費用が要ります。本音でいえば、あれは日本が製品を輸出する場合、輸入先の横着に加担する様なものです。日本でJISをとっているからといってその商品を特別に高く評価しますか。
ISOの認証制度は、品質管理や保証の仕組みができているから品質に問題がないということで、「品質チェックの手間が省ける」という輸入先の発想です。それに体質改善とか意識改革も含めて進めているのです。外国の企業と取り引きするためには不可欠な条件で、一応取得せざるを得なかったのが実情で、それにさも最もらしく体質改善がねらいと学者がはしゃぎ、企業はPRに利用し、行政も「民間の発想を行政に」と食いついたわけです。しかし、ISO取得の成果は何だったか。ISO導入に向けては、ISO取得のための指導機関から派遣を受けて、その指導機関の担当者が認証合格の仕方を取得対象の企画部門に教えます。もし認証不合格になったらその機関は「指導の効果が出ていない」と批判されるし、受け手側の責任も問われます。ISO合格のためだけの業務が加わり、そのためのセクションや担当者が必要になるわけです。そういう仕組みがISOなんです。本来のねらいと成果はもっと高度な管理手法にありますが、ここでは敢えて本音を言っておきます。民間ならともかく、行政がこぞって流れていくのを見ていられないのです。
また、事業をやるときに、コンサルタントや大学教授に頼るのは、失礼ですが、やめた方がいいと思っています。先生方は何のためにやっているか。まず、依頼されたからですが、残念ながら先生方やコンサルタントには結果責任は問われません。その結果が国、地方合わせて700兆円を越える借金を生むことに加担したのです。そのときの決定は一体誰がしたのか。今の行政はどこでも、審議会の構成メンバーを決めるにしても、「あの辛口を言う学者は絶対に入れるな」ということが暗黙の了解としてあるようです。本当は辛口の人を入れないといけないと思います。しかし、それではまとまらない。とりあえず、専門家の話も聞いたことにしておくことが情報開示という形で表れているのです。
単なる目安箱的な広聴システムでは意味がない
それから顧客満足の話ですが、小野市では、住民から言われた苦情などは、全てコード番号を附して、私のところへまわってきます。住民の意見に対しては、記名であろうと匿名であろうと必ず文章で回答する仕組みになっています。匿名に対しては送れませんので、回答文を作成して決裁し、必要なものは広報などに掲載します。全てデータベースで管理していますから、いつ受付して、いつ回答したのか、まだ回答できていないのか、どのような回答をなぜしたのか、回答までにどれくらい時間をかけたのか、いつでもわかる形になっています。つまり、管理するということです。
そのねらいは2つあります。1つ目は、市民の目線に立って、市民の意見を市政へ反映させること。つまり、「情報は市民の財産」という理念のもと、大切に扱うことです。2つ目は、ここがポイントなんですが、「職員の問題解決能力のレベルアップを図ること」です。単なる目安箱的な広聴システムでは意味がないのです。
残業は管理者の顔が見える
データベースといえば、職員の残業についても管理しています。私のところへは毎月、残業上位50位までのリストが提出されます。金額別・時間別で出されてきます。残業の多い人は、当初はたいてい決まっていました。この原因は何なのか。特定の者の手が遅いのか、特定の者に業務が集中しているのか。管理者は、「○○を管理する」という管理項目を持たなければなりません。管理者は、コミュニケーションを図りながら、仕事の配置、仕組みを考えることが、当然の果たしうる役割です。市長は「全部見ていますよ」と言うだけで、ものの見事に残業は減りました。残業はそのセクションの仕事のまずさ、管理のまずさ、そして、管理者のレベルを見せてくれます。単なる残業削減というコスト低減活動ではないのです。
小野市ってどんなところ?
小野市ってどんなところだと思います?小野市の市花は「ひまわり」です。南に山陽自動車道、北に中国自動車道、そして南北に4車線の国道175号が縦断しており、交通の便がいいところです。今年12月19日、JR加古川線も電化されます。
小野市は、400年の歴史を持つ日本一の「そろばん」まちとして、加えて家庭用刃物の「金物」のまちとしても栄えてきましたが、今では、ほぼ100%の充足率となった工業団地(約160ヘクタール)における医療、食品、産業機械、電子部品などのハイテク産業が市の工業出荷額の50%以上を占め、市の財政基盤を支えています。
人口は昭和29年の市制施行以来、微増ながら、減ることなく増え続け、現在約50,700人のまちです。
市内には、小野ゴルフ場、小野東洋ゴルフ場などの名門コースが6つあります。
また、歴史的遺産として、東大寺の再興を果たした重源上人が建立した国宝浄土寺があります。その中には、あの仏師快慶が彫った高さ5.3mの国宝阿弥陀三尊立像が安置され、背面から夕日を受けて赤く染まった御来迎の姿が浮かびあがります。この様子は、NHKでも過去に何回も放送されました。
そして最近では、平成14年に完成した国道175号沿いの「ひまわりの丘公園」には年間100万人以上が訪れ、県下一の入込み客率の伸びとなりました。また、その中に地場産野菜売場「サンパティオおの」というのがあるのですが、今頃、どことも野菜が高騰している中で、逆に「値段は絶対にあげるな」と指示しました。そうすると、過去最高の売り上げを記録することになりました。
そして、特産の酒米山田錦の需要が減る中で、それを使ったパンの生産販売を開始したところ、これが大ヒットしました。民間では商品開発において、他の会社と同じものを開発目標にすることは絶対にしません。ちなみに、このパンは、「ひまわりの丘公園」の中の「山田錦(酒米)米パン工房」でしか販売しておりません。
また、どこへ行っても「道の駅」というのがありますが、どこも「同じもの」ですね。だから「画一的横並びではなく、ほかとは違ったことをすること」が大事と考え、この公園をつくったわけです。
小野市は今年3月、「白雲谷温泉ゆぴか」も建設しました。年間目標30万人ですが、9ヶ月を待たず目標を達成しました。このままいくと40万人以上になりそうな勢いです。経営方法は、少し他とは異なります。ノウハウは申し上げられませんが・・・。
また、小野市では「エイジ・ルネサンス・パーティ」と称して、65歳の第2の成人式をやっています。司会を上方落語協会の会長、桂三枝さんにしていただいています。そして、そのエイジ・ルネサンス・パーティは、ごくごく普通の人達、数人が「新婚さんいらっしゃい」や「波瀾万丈」とよく似たスタイルで、桂三枝さんと苦労話などのトークをやります。「私は、こんな多額の借金を返しました・・・」とか。そうすると、会場の人たちの間に「ああ、そんなに苦労されたのか・・・」と共感の輪が広がっていくんです。他の人生に対する考えが聞け、新たな発見とともに、加えて、新たな出逢いと交流の場ができるのです。
参考までに言いますと、20歳の成人式は新成人自らが企画立案し、出席率は約 80%にも達します。私は、どこにでもあるあいさつは止め、パネラーとして参加しています。
そのほか、様々な取組みは、この度初めて作った「小野市の行政経営」というパンフレットで紹介していますので是非ご覧下さい。
これから本題。今、どんな世の中?
前おきが長すぎましたが、これから本題に入ります。
「こんなはずではなかった21世紀」。人口は増え続けるものと思っていた。ところが、将来、兵庫県だって100万人減少するといわれています。すると、それに対応して、乗り物、建物、全て変わっていくでしょう。少子高齢化の流れは、全てのシステムも変えていくのです。
土地も値上がりするものだと思っていた。ところがそうではなかった。
学歴、大学さえ出ておれば、一流企業へ就職して将来を約束されると思っていた。
経済、経済は上がったり下がったりしながらも、右肩上がりで、ずーと成長し続けるものだと思っていた。同じように報酬も上がっていくと思っていた。ところがそうではなかった。
企業、大企業は絶対潰れないと思っていた。ところが、みなさんご存じのとおりです。
このこと、すなわち、今までの流れや価値観が全く機能しなくなったことを改めて認識することから、全てのシステムの再構築が不可欠となってきたのです。
私は小野市6代目の市長ですが、市長選に出る前、歴代3人の市長が汚職で逮捕されていた。なんというところだ。そのような訳で立候補しました。東京勤務のときに、オイルショックが起こりました。当時、営業部門で国内販売と輸出の仕事をしていました。途中、円が固定相場制から変動相場制に変わりました。360円が308円に、会社を辞めるときには1ドル90円。学者は75円まで円高が進むとか無責任なことを言っていましたが、そういう時代だったんです。三菱重工爆破事件の真っ只中。寄り道して日比谷公園に行って助かりました。あやうく爆破現場に巻き込まれるところでした。
大学を卒業したときの初任給が約3万円。当時、高度成長期で毎年給料は上がりました。誰もが経済は成長し続けると思っていた。銀行は潰れる訳がないと思っていた。ところが実際は皆さまご存知のとおりです。さきほどから行政の悪口ばかり言っておりますが、民間も無茶苦茶していました。あのころ、公務員を目指す者は少なかった。今は反対ですが。
理念なくして意識改革なし。意識改革なくして行動なし
やっぱり、「理念なくして意識改革なし。意識改革なくして行動なし」だと思います。「行政経営とは、より高度でより高品質なサービスをより低コストで提供すること」です。
小野市は、行政経営戦略に4つの柱を掲げ、「方針管理」というPDCAのマネジメントサイクルを展開しています。
1つ目は、市民=顧客と捉えた市役所は市内最大のサービス産業の拠点であるという「顧客満足度志向」。2つ目は、何をやっているのかではなく、何をもたらしたかという「成果主義」。3つ目は、ここしかない小野らしさを追求する「オンリーワン」。4つ目は、言われてからやるのではなく、言われる前にやる「後手管理から先手管理」です。
自治体のイノベーション
自治体のイノベーション。「掛け声だけでは、改革はできない」ということから、「新たな創造と変革」をめざした仕組み・システムとして、「方針管理制度」を導入しました。15項目に及ぶ入札制度の改革もやりました。ベースになる考え方は、「経理が分かる人と、経理ができる人は違う」、「財政がわかる人と、財政ができる人は違う」ということです。私達は「できる」人を必要とし、そのような人材を育てなければなりません。
次に、組織のあり方での重要なポイントは、「機能、すなわち果たしうる役割があって組織がある」のであって、「組織があって、機能があるわけではない」ということです。果たしうる役割によって組織というのはフレキシブルにどんどん変えていったらいい。統廃合を続けるのは、当たり前のことです。必要に応じて新しい組織もつくります。そしてラインとスタッフを分ける複線型人事管理制度も必要です。人にはそれぞれ持ち味があります。リーダーとしての力を発揮する人。目立たないがこつこつやる人。どちらが良い、悪いということではありません。その人の持ち味を平等に評価し、生かすことです。
これまで行政では、声の大きい人で、世渡りがうまい人がいつも出世してきました。民間でもそうでした。これからの組織は、従来のピラミッド型からフラット型にしたグループ制が良いと思います。グループ制にして、あるときには、「君がリーダーだよ」とすればいい。ところで、多くの市町村で合併が行われていますが、合併すれば職員の数が多くなるというより、余ってきます。管理職で例えると、1つの組織に○○課長は2人も要りません。複線型人事制度やグループ制は、合併する自治体にとっては好むと好まざるとにかかわらず不可欠な仕組み・システムです。
なお、外国では、肩書きでものを言うことはしません。呼び合うときは、役職抜きにすればいいんです。役所はやたら長ったらしい役職名が多い。一方、あなたの権限は?とか聞かれると、たいていの方は返事に窮しますね。
小野市の管理手法は「方針管理制度」
行政の管理手法として「小野市型方針管理制度(TQC)」を実施しています。成果を出して、検証して、それをどう反映するか。こんな議論をしているわけです。行政は「プラン(計画)→ドゥ(実行)」は強い。しかし、チェック(評価)が弱い。「なぜできなかったのか。難易度はどうだったのか」を考えて、半期単位でPDCAのマネジメントサイクルを回しながら、期別方針実行書を策定し、管理しています。
今言われている行政評価、これは「政策評価」だと思っています。トップとして選ばれたリーダーが、やると決めたものをやる。その決定に基づいて、実行段階でいかに効果的に効率よくやるかが大事なのです。そのための「執行評価」こそが重要であり、小野市では「方針管理制度」です。「行政評価」は政策決定を考えるための一つのツールですが、効果が見えません。いくら積み上げていっても、トップが首を横に振ったら駄目でしょう。みなさん簡単に行政評価、行政評価と言われるけれど。要は「何をなし得たか」という見える成果を出さないと意味がありません。
ポイントとして、「結果とプロセス」を管理することが大切です。ISOを認証してどうですか。やっていることは、分かっているけど。小野市なら、ISOをとろうと思えばいつでもすぐとれますが。結果として、未来永劫ずっと審査と費用を払い続けることになります。
見える形と言えば、「マニュフェスト」というものがありますが、今のマニュフェストは目標を定めること自体に意味を見出さんがためのマニュフェストになっているようにも思います。確かにこれまでは、日本の選挙でマニュフェストのようなものはなかった。しかし、実際にどのようにして実現していくのか。具体的な執行のツールが示されていないんですね。プロセスの管理システムがないのです。
「方針管理」の展開については、4月と10月に、私自身が市長方針を立てています。それを部長、課長、係長とブレイクダウンします。6月に進捗度を問います。
12月にも同様に診断します。評価が高かった人に12月と6月の賞与にインセンティブ給をオンしています。たったの5万円です。だけど昇格のチャンスに結びつきます。
ところで、上の方針は詳しく出すと駄目です。下に考えさせることが大事です。「市民=顧客満足度向上」のために、市長はどんな方針を出すのか、これを実現するために部長は何をするのか、部長方針を受けて課長は何をするのか。というように下へブレイクダウンしていくわけです。
21世紀に入り今までのやり方の時代は終わると思います。だから、新たにシステム(仕組み)づくりにチャレンジせよと言っているんです。今年の方針は「3Cの更なる展開」(Customer Satisfaction市民=顧客満足度の向上、Collaboration協働と参画の推進、Challenge挑戦)です。これを「方針管理」の手法を使って展開しているわけです。この方針管理の体系は、目的を達成するためにどういう手段を講じ、実施するか。その手段を、その下の者は、目的として、その目的を達成するためにさらに具体的な手段を講じ実施していくという「目的-手段(目的)-手段(目的)-手段の連鎖的体系」と言ってもいいかもしれません。「鋭意努力する」とかいうのは絶対に駄目です。だから組織で議論するわけです。なかには数値目標を立てられないものもあるでしょう。しかし、本当に目標をたてられないか、ほとんどないはずです。
そして、私は部長レベルをチェックします。1人40分。やり直しを言われる部長もいます。私が(市長)「あなたの自己評価は」、部長「60%です」、市長「何故できなかったのですか。何故できたのですか。出来具合を証明するデータをみせてください。なるほど。では現場を見に行きましょうか?」こんなやりとりをします。そして、ここが重要なことですが、できなかったことを責めることではないのです。目標の立て方がおかしかったのかもしれません。「なぜ目標を達成できたのか、なぜ達成できなかったのか」、その分析能力を問うているのです。評価基準は?といわれますが、10分も話をしていれば、難しい評価基準をつくらなくても対象者の評価レベルはすぐわかります。管理職にふさわしい人なら、すぐにメジャーを見出します。これを見抜けないようなら管理職としては失格ですね。
公務員は成果と報酬が連動していない社会
というわけで、小野市では、管理職を対象に、減点主義ではなく、加点主義によるインセンティブ給を支給しています。管理職の1/3を部長から推薦してもらって、そのうち1/2の人たちに支給しています。絶対評価を相対評価に切り替えることも大事ですね。
そのほか、私は、市民に説明できない「手当」などを止め、それを財源にする。それで、インセンティブ給を1万円しかもらえない人と、30万円持って帰る人が出てきてもいいじゃないかと思っています。しかし、総コストは変わりません。労使交渉で積み上げてきたものがあるじゃないか、と言われますから。要は、現在の給与体系を打破することです。実力成果主義にすべきであると思っています。
ところで、人事課長というのは、現場をまわれば「何かあるのかな」と周囲に思われるようになるのが、人事課長の務めです。それぐらいの根性がなければ、人事課長はできません。
話は変わりますが、合法的に退職していただくのは大変なことです。欧米では簡単です。「あんた、クビ」これでお終いです。それはひどいものです。日本はそこまでいっていない。ここで皆さんに言いたい。「悪いけど、君、やめてくれないか」と言わざるを得ない立場に立って仕事をしたことがありますか。それは公務員の世界にない厳しい世界です。
人事異動について言えば、5年以上は同じ職場に留まらせません。それ以上いるのは本人に能力がないか、上司に教える能力がないかのどちらかです。多くの職場を経験させた方が、能力の向上につながり、総合的に判断ができるようになる一つの方法です。
「QCD+社会的責任」を重視した入札制度改革
公共工事の入札制度改革についてお話します。「QCD+社会的責任重視の入札制度」といっていますが、具体的には、「公募型指名競争入札制度の導入」「工事検査体制の強化」「工事成績を指名要素に反映」「予定価格の事前公表廃止」などの15項目の入札制度改革を行いました。その結果、平均落札率は70%になり、4年間で年間市税に匹敵する60億から70億円の経費節減ができました。
私は「行政でも購買部門を持つべきだ」と言っています。購買部門を集中させ、そこで情報を積み上げることが不可欠です。市場の実勢価格がどうなっているのか、購入するタイミングも見計らうことができます。いわゆる、業務は、購買資材調達です。
皆さん、コスト感覚って分かりますか。例えば、大きな会議では「黒鉛筆2本・赤鉛筆1本・メモ用紙」が必ず置いてあるでしょう。本当に必要でしょうか。しかも、鉛筆を削っている人にもコストがかかっているんです。また、机の引き出しを開けてみてください。3年間働いても使わないような鉛筆・消しゴム・留めピンとかいっぱい入っているでしょう。
また、「納期」についてどう考えていますか。3週間で終わる工事に2ヶ月から3ヶ月かけているのではないですか。民間なら納期が1日遅れただけでも、即ペナルティです。請負金額の10%カットを求められます。納期はコストと密接に関わっているんです。納期管理を見過ごした発注なんて、民間企業ではあり得ない話です。
借金は増やさず、事業は過去最高
市長就任時より入札制度改革を行い、借金は増やさず、事業は過去最大にし、基金は増加するとの前提をたてました。市道舗装率や下水道普及率も向上しました。数値目標を立て市民に開示して、大切なのは、目に見える形、つまりやったことを数値で開示することです。
広報広聴の多様な展開とシステムづくり
情報は、市民の財産だと思います。市長が言っているからではなく、市民の大切な財産だから大事なんです。目安箱的なものを置いているだけでは駄目です。情報を一元化し、組織横断的に検討したうえで、全てに回答する。返事をきちんと書こうと思うと、現場を見に行かないと書けないですね。これが現場主義につながります。STA(See and Touch and Ask)の実践です。
行政改革度調査
先日、日経新聞(16年10月4日朝刊)で「行政の改革度調査」が紹介されましたが、718市区のうち小野市は77位。兵庫県では4位です。こういうのを職員に知らしていかないといけません。職員に自信を持たせることが大切です。
これからの自治体経営 官と民の役割分担
よく「官から民へ」と言われますが、官がすべきことと民でも任せられることを明確に区分し、どうしても官がすべきものは、官がしないといけない。さらに、「公務員の身分でないとできないこと」と「公務員という身分がなくてもできること」を分けることが大事です。例えば、給与計算業務などは「時間買取型」の人にやってもらったらいい。そろばんのすごい人は、暗算で何兆単位を10から20秒でできます。人材の確保は、「時間買取型」、「知識買取型」に分けることです。求められるのは、「官と民の役割分担の再構築」なのです。
次に、市民とのコラボレーションについてお話します。小野市では、市民活動拠点施設「うるおい交流館」が来年3月20日にオープンしますが、維持管理だけでなく企画運営まで全てNPOに委託しました。「全部」です。しかもそのNPOにはたくさんの市外の方も加わっています。事務局長は隣の市の方です。コスト軽減のねらいよりも、「市民に任せる」ことが大事なんです。市民に審議会に入ってもらうことが、協働と参画ではありません。市民に全部まかせて、痛みもわかってもらう。これが本当の協働と参画です。「やってみなはれ」です。きっと公務員の仕事が変わっていきます。結果が出なくてもいいじゃないですか。プロセスを評価する。これが大事です。ポイントは、「行政の下請けではない」という意識を持たせることです。
このような取組みが国の地域再生計画の認定を受け、12月に小泉総理大臣から首相官邸で認定書の交付を受けることなりました。
小野市の人事制度
人事制度についてですが、従来は、「部長→参事→課長→係長→主査」という単線型ですが、これからは複線型人事制度の考え方が大事になってきます。つまり、総合職群としてのライン職(部長・課長など)とスペシャリスト群としてのスタッフ職(参事・主幹など)を区分するわけです。さらに、ピラミッド型組織からフラット型組織にすべく、部を2つ、課を10、係を21減らし、組織の25%を削減しました。
また、企画政策室・市民安全部・水道部ではグループ制を導入しています。そして先ほども申し上げましたが、「知識買取型人材」と「時間買取型人材」を区分し、必要な人材を必要なときに確保する仕組みをつくっています。
加えて、新聞記事にもなりましたが、「ONPM計画」を進めています。ONPMというのは、オノ・ニュー・パーソナル・マネジメントの略で、内容は「小野市型期限付嘱託職員制度」です。18歳以上30歳未満の若者を多数採用します。正職員と同様に特定の業務を任せます。雇用期間は最長3年間です。この制度を導入した趣旨は、「人件費をあげることなく、多様な人材を活用した業務遂行への転換(職員の従来の超過勤務手当の一部を充当します)」、「若年層のスキルアップと成果主義による採用への道筋をつけること」、「官と民との交流促進」などです。16年度は148名の応募があり、13名を採用しました。
これは「ちょっとの時間、面接しただけでは人の能力は分からない」という考えに基づいています。つまり、嘱託として、3年間、職員とまったく同じ仕事をしてもらうことにしていまして、3年間で効果をあげれば、公務員試験を受けていただいて正職員として採用される道が開けるということです。ONPMは単なるワークシェアリングではなく、能力のある人材登用、公務員でなければできない仕事の見極めと、一方では、管理者の管理能力の向上、職員の意識改革など「したたかなねらい」があります。
職員のキャリア開発
人の前で喋れることは大事ですね。市長になって、よく講演も依頼されるようになりました。小野市では職員のキャリア開発として「職員研究発表大会」を行っています。パワーポイントでプレゼンをしてもらって、最優秀賞には金一封を渡していますが、今回の最優秀は、「市民病院でのSPDシステムによる大量消費物品の購入・管理のあり方」というテーマのものでした。小野市民病院は、赤字だらけの公立病院の中で、黒字経営を続けています。
水道部の職員も「新たな水道行政の姿~組織改革とアウトソーシング」と題して発表しました。水道といえば、24時間電話受付をしておりますし、無休といえば、図書館もそうです。うちの図書館は、5万人都市レベルでいうと6年連続「貸し出し冊数日本一!」なんです。7年連続も間違いないと思っています。
この図書館、今は月曜日が休館日です。ところが、図書館職員の間で、「もっと市民に利用していただくためには、開館時間を延長するのがいいのか、休館日をなくする方がいいのか」という議論をしました。図書館の女性職員の発案ですが。そして彼女は、「調べた結果、月曜日をあけて年中無休の方がいいという結論になりました」という論理的なプレゼンを行いました。本当にすごいですよ。それで、来年から図書館は年中無休にしたいと考えています。
目指す行動指針
次は、「目指す行動指針は『い、ろ、は』で」の話ですが、「いろは」の意味は、「い:意識改革なくして行動なし」、「ろ:論ずるより行動」、「は:反省なくして改善なし」です。また、「二束の『ほうれんそう』」ということも職員に言っていますが、「職員にとっては<報告・連絡・相談>が肝要」、「管理職にとっては<方向性・連携・総括>が肝要」ということです。つまり、管理職に言いたいのは、「あなたの管理項目がわかっていますか」ということです。部下の顔色の良し悪しを見ることも大事な管理項目であるわけです。
サントリーの社長の「まずはやってみなはれ」という有名な言葉がありますが、「出る杭は打たれるのではなく、出ない杭は地中で腐るしかないんです」。これを新任職員の入庁式で語ったら新聞記事になりました。
最後に一言
時間があったら申し上げようと思っていたのが、この最後のスライドです。昨日、帰りの新幹線の中で思いついたことを書きとめたものですが、21世紀の指標は「あ、い、う、え、お」だと思っています。「あ:アイデンティティ、アメニティ」、「い:インフォメーション、イノベーション、インターナショナル」、「う:ウェルネス、ウェルフェア」、「え:エコロジー」、「お:オンリーワン、オリジナリティ」です。オンリーワン。つまり、他と同じやり方では通用しないんですね。
次に、「だと思います」ではなく「であります」と言いなさい、と職員に言っています。職員はすぐに「ええぇ、そのぉ、そのようなことだと思います」と言いますね。これは現場を確認していないから、そうなるんです。だから「現場現物主義」を徹底するために、なるべく「であります」と言うように指導しています。
次に「誰が御輿を担いで、誰が御輿に担がれているのか」ということを明らかにすることです。データベースで管理すればすぐわかります。例えば、市民活動の支援をとりまとめている部署にいるのに、休日の地域のイベントに全然参加していない職員とか。口先だけで実行しない者が、データベースで管理しているとすぐわかります。何故こういうことになるのか。「成果と報酬が連動していない」からです。成果と報酬が連動しなければ、公務員の意識は絶対に変わらない。お金が全てではありませんが、公務員の能力・成果主義は不可欠です。「人事制度に完璧はない」、まずはやることです。
「こんなはずではなかった21世紀」を向かえた今、前例を踏襲することなかれ、かくあらねばならんという固定観念から脱却し、画一的横並びの仲良しクラブではなく、人、あるいは自治体それぞれの持ち味を追求することです。だから大いにチャレンジし続ける3Cを大事にしたい。今日は、なぜか呼ばれた。どんな会かも知りません。しかし、「経験は私にとって最良の教訓」です。これで批判されたら、私自身、その批判から学んでいきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
