涙は藍より出でて藍より涙し 過去ログ④



更に奥深く突き進んだ先に、広い空間へと出た。そこは演説講演の為に利用される広大な部屋とも思われ、高台に設置された演説台、更にその上には『藍の機関』を早朝する紋章が壁に大々的に描かれていた――――


コ ツ ――― カ ツ ――― コ ッ ―――― ガ チ ョ ン ――――― ッ ! (演説広場に駆けこんだ一同を迎え撃たんと、四つの足音が同時に重なり、一室に反響する。演説台を中心に取り囲むかのように、その高台に現れ出でた四つの人影が、彼らを出迎えた――――――)


―――――― よく来たな。まずは、「歓迎」をしよう。


かつて一番初めに対峙したスキンヘッドの男『マッド』と思わしき男性の声が口火を切る。横に並ぶ人影は天井のスポットライトによる逆光により、その影が強く濃く現れ出でていたが、徐々にその正体が明るみになっていく。そこにいたのは、以前対立した、藍の機関に属する名のある構成員。しかし、その全員の相貌が…前回と変わっていた。それはもはや別人とも言えるもの…否、"人間の姿を放棄したような禍々しい外装"を纏っていたのだ―――――


マッド「―――― そしてご覧に入れよう。これこそが、『 クロリアー 』の新たな姿にして、『 罪剣 』そのものと化した我らだ (罪剣『クロリアー』を象徴とする赤黒いデザインをそのまま踏襲したかのような外装が、自身をはじめ全員に纏われている) 」

カルナ「感じるわ、『罪』の意識を。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ……すべての感情が持ちうる負の側面の消失を。 (外装だけではない。複雑な感情が渦巻いていた瞳も元の色味を失い、赤と黒が交錯するような人ならざる魔眼を顕現させていた) 」

チャクル「ヒャハハハハァ……ッ!!『世界最強の剣』と同化したってことだよなぁ…俺たち。もはや何も恐れるものなんかねェよなァ…!!(赤黒いノイズが不規則に全身を駆け巡ると共に、周囲の空間さえもその悪影響が及ぶかのように歪みを帯びている) 」

メリィ「頗る気分がいいよ。もう一切の煩わしさを感じねぇもん。(身に纏う黒衣の外装はまるで意志を持つかのように独りでに蠢き、時折不気味な発光を繰り返す) 」

Dr.@「――――― 『 罪剣再現計画 《 リ・クロリアープロジェクト 》 』 (聞き慣れないワードを口にしながら現れた白衣の少女は、遅れて演説台に顔を出して一同を見下しながら愉悦に口の端を吊り上げていた) これが『藍の機関』の理念そのものであり、あたし自身の"最高傑作"さ。 」

Dr.@「 『 クロリアー 』に触れた者は、その剣に孕む『 罪の因子 』と結ばれる。そして『因子』と適合した人間は『 クロリアー 』を振るう権利を得て、類稀なる異能力に覚醒する。かつて、『罪剣』の研究に携わっていた「ポール」もその『因子』を自らの体に取り入れ、その血統が『娘』にも遺伝された。あの『親子』のお陰で、すべての『罪の因子』は集められ、今…ようやく我々の悲願が達成された。 」

Dr.@「見てみなよ。素晴らしいと思わないか?これが…過去何十年とこの混沌世界を揺るがしてきた『 罪剣 』の新たな姿なんだ♪感情を抑制し、支配し、人間の精神に影響さえ及ぼしてコントロールすることも容易い。『クロリアー』本来の力を正しく使った結果だッ♪(だぼだぼの袖を目一杯左右に広げて誇張する) 」

Dr.@ → アウ■ュヴ■ッツ「 この結果が―――見たかったのだ―――『私』は―――そう、あの時――――『もう一人の私』が成し遂げられなかった―――遺憾と遺恨が報われて――― (刹那、少女自身にも赤黒いノイズが走る。並列四人とは異なり、ノイズの歪みから僅かに垣間見えるは同じく白衣を纏った『別の誰か』。幼い顔立ちこそはきょつうしているが、桃色の髪は金髪にも近い色に変わり果て、再び元の色に戻る) 」

■ウ■ュヴィッ■→Dr.@「 あぁ――またひとつ、世界の『答』が―――私の脳に蓄積されて―――そうして『私』はまた一つ進化を遂げ―――――未来永劫――紡がれていく――――― (少女とも少年とも取れる童顔の科学者。しかし似て非なるその二面性の素顔が交互に入れ代わり、雑音交じりの声音も移ろいでいく) 」

Dr.@「――――― ゴ ギ ッ (首が45度が曲がると共に自身の身に怒る不可思議な現象が停止。元の少女の姿に戻るとゆっくりその首を立て掛けた) ……おっと、失礼。というわけだから、君たちには感謝しているよ。お陰で『あの娘』も思っていたより早く見つけ出せたのだからね。最後の『因子』を持つ人間…今は亡き『 クロリアー 』が遺した唯一の残滓。それを経て、今…計画は達成された。 『 クロリアー 』は今ここに蘇ったんだッ♪ (アハハッ、と無邪気に嗤う) 」

スパイダーマン「ヒュウ、プロジェクトだとか最高傑作だとか、素晴らしい力だー、みたいなセリフとか、まるっきりよくあるお誂え向きな科学者ヴィランの振る舞いでビックリ!A.I.M.とかに居なかった、君?……どう?スパイダーマンっぽい台詞回し出来てる?けっこースパイディらしい振る舞い出来てると思う゛んだけどな゛(大げさな身振り手振りでDr.@への返答を返す。反応を見るように、肩を並べる味方に振り返って話しかけた台詞の最後の方に、”地声”と思しき濁点が混じる) 」

ウェルド「……一体化、ですか。結果、異形に成り果てるとは。たかが"剣"、たかが"道具"の使い方を勘違いした結果の姿としては、なかなか似合いかもしれませんね……うーん、何分見た目が実にタイプなのが実に残念です(Dr.@の姿を見つめながら嘲る様に呟き) 」

森ノ宮「……何が理念だ、何が最高傑作だよ、あの娘連れて、あの『罪剣』なんてナマクラの為に必死になって作ったのがこのザマかよ……下らねえ戯言ばっかり垂れ流しやがって、悲願とやらも今日で終わりにしてやるよ……!(小太刀を逆手に構え直し、全身から"気"を迸らせる) 」

エドガー「(幹部それぞれを順に目で追い、天井を仰ぎ見て溜息を零す) ――――いくら演説されても頭に入ってこねえよ、今更相互理解ができるつもりでいるのか。(爪を立て五指を鳴らし、一歩前に出る)――――退けよ。 」

マッド「Dr.を、ましてや藍の機関の理念を蔑むことは許さん(憤怒を滾らせる厳格な声音を言い放つ) 」

カルナ「哀しいわね…でも仕方がないこと。貴方たちには、到底理解できるはずもない崇高な理念… 」

チャクル「言っても分からねえならその身体に刻むしかねェよなァ…ッ?勢い余って殺しちまうだろうが、そん時ァ運がなかったとして受け入れなァ…! 」

メリィ「さようなら、永遠に…もう二度と、会うことなどない――――― 」

Dr.@「―――――――  殺 れ  」


――― Vs. 〖 LAST BOSS 〗【 藍の機関 】 マッド&カルナ&チャクル&メリィ ―――




ヒロ「……悪魔の魂め…!(土刀を構える) 」

マッド「 ヒ ュ バ ッ ―――――― ズ シ ャ ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (高台からエドガーたちのもとへ、彼らをその巨掌で押し潰すように盛大に着地する) オ゛ ゥ゛ ン゛ ッ゛ ―――― ム゛ ゥ゛ ウ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! (初手の攻撃が回避されることを読み、着地と同時にその身が赤黒いオーラ――それは宛ら闘気の様――を輪郭に纏うと、突き出した拳から紅蓮の稲妻を纏う衝撃波が空間に迸り、彼らを吹き飛ばした) 」

チャクル「―――― ッ ヒ ャ ハ ァ ! ! (高台からの跳躍と共に、眼下にいたスパイダーマンを標的に落下していく) ジ ャ゛ ギ ィ゛ ィ゛ ン゛ ッ゛ ―――― シェアアァッ!!!(両腕のアームから突出している鋭利な四本爪――今となっては怪物の如き獰猛さを帯びて――で斬り裂きにかかる。その余波は"飛ぶ斬撃"の如く、見えざる刃として更に追撃をしかけていくのだった) 」

カルナ「――――――― ス (高台にいた淑女が、いつの間にかヒロの背後に音もなく旋回していた) クルルルル…ッ――――“弓虚(プファイル)” ( ド ド ド ド シ ュ ァ ァ ツ ! ! ! )(何もない手中に、『因子』によって強化されたであろう赤黒い祈祷杖を顕現。その先端から黒い光矢を放射状に、ヒロへと至近距離で放っていく) 」

メリィ「おじさんには―――借りがあるからね―――お返し―――しておこうか (高台に立っていた少女が消えたと思えば、森ノ宮やウェルドたちと同じ床上に瞬間移動。その後は右から左、左から右へと交互に瞬間移動を繰り返しながらゆっくりと接近を開始していた)   ズ  ァ゛  ア゛  ン゛  ッ゛  !  !  (赤黒い槍による一閃。刃先は二人に直撃どころか掠りもしていないが、ディレイによってワンテンポ遅れた見えざる斬撃波が二人に不意討ちとして襲い掛かった) 」

ウェルド「ああ、やれやれ……参ったな、この手の連中の相手は丸投げしたい所だったんですが……!(刀を鞘に収めたまま、槍の一閃に対して防御態勢を取る。不自然に感触が無い事から、次の動きを察知し……)……二発目、来ますよ……ッッ!!!(身を屈め、低い姿勢で素早く横に跳び、二撃目の衝撃波から間一髪逃れ) 」

森ノ宮「何が丸投げだよ、ふざけやがって……ああ、来るぞ!(小太刀を逆手に構え、迫り来るメリィの気配を確実に捉えながら、防御態勢を取り……)ぐう゛っ゛……!!ぶん殴った時は加減し損ねたんだが、元気そうで何よりだぜ嬢ちゃん…!!(初撃の一閃を透かされながらも、防御態勢を解かず……見えざる衝撃波を、"気"で強化した身体と小太刀で敢えて受け切る)……ぐおっ…! 」

スパイダーマン「ここまではスパイディらしく振舞ったけ……ど!!(身を固め、襲い来るチャクルの斬撃を全身で相殺。余波を振り払い、チャクルに向けて両の腕を構えながら”震脚”。床を踏み抜きながら睨み付け)こっからはスパイディっぽくね゛ーパワータイプな戦い方になるから、なあ゛ーーー…… 」

エドガー「ッ"………!!(マッドの拳から発せられる衝撃波。余波のみで皮膚を削り骨を軋ませるそれに対し、咄嗟に腕を交差させ急所へのダメージを軽減させつつ、靴底が浮き吹き飛ばされる) ダムッッ(壁に両足を付け着地、追撃を予測し右拳に蒼炎と力を貯め、身構える) 」

メリィ「あー、うん、おかげさまでね。本当に、"気楽"だよ。(グルルルルンッ――――ジュバッ、ズァアンッザギィィイインッ!!!)(片手のみで長柄を華麗に振り回しながら接近し、ウェルドと森ノ宮を両方相手取るように槍を豪快に振り回していく。ドーム状に広がる斬撃範囲の中で刃が視認困難なほどの複雑軌道に入り混じり、二人を牽制する) 」

チャクル「 ッ ヒ ャ ァ ハ ア ッ ! ! (―――― ベ ゴ ォ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! )(両腕を構えるスパイダーマンに対し、自身のアームを伸ばして互いに取っ組み合う。それだけで両者を中心に地盤が大きく陥没し、それでもなお体勢を崩すことなく拮抗状態を維持する) ギギギッ…悪くねェ相手だ…この力の試運転にゃあ丁度いいッ!!( ッ ド ゴ ォ ! ! ! )(取っ組み合っていた態勢からスパイダーマンの顎元目掛け膝蹴りをかまし、宙へと蹴り上げた) 」

マッド「ム゛ン゛ッ゛―――― ボ ゴ ォ ン ッ ! ! (右腕の筋肉のみを膨張させ、膨れ上がった巨椀を振りかぶる―――)――― ッ゛ ァ゛ ア゛! ! (  ゴ  ォ゛  ッ゛  !  !  )(それは宛ら迫真に迫る隕石のごとし。振り抜いた巨拳がエドガーへと繰り出された) 」

スパイダーマン「ぬあ゛ッ!!(取っ組み合うように構えていた腕から、両のアームを弾き飛ばすように”発勁”。無駄なく力を伝えてアームを振り払うと)ぐっあ゛!!!(視線が跳ね上がる。蹴り上げられた顎に引っ張られるように全身が打ち上がる。宙に浮き上がった身体をそのまま翻し、天井に腕を突っ込み固定、天に陣取る)悪いなあ゛、糸も張り付く能力もなくてよ 」

エドガー「【 水地 <アメツチ> 】(左掌を壁につけ、為行動に入った右拳以外の全身を脱力。そうして眼前に迫るマッドの鉄槌を前に回避行動を……)  ┣¨ グ  オ   ッ   (取らない。当然直撃、彼が足場にしていた壁に蜘蛛巣城の切れ目が走り、ドーム状に抉れ、崩れる。しかし等の直撃を受けた彼は、壁に添えていた左手から衝撃を逃がしており、口端から喀血が伝うも意識を保ち続け) 【火天 <ヒデン> 】ッッッ!!!!(全身に駆け巡った衝撃の半分を右腕に循環させる。マッドの攻撃の威力を上乗せした右フックを、被弾から0.3秒の時間差で振りかぶり、肋を砕きに掛かる) 」

ヒロ「なっ、背後に…!(カルナを見て)くっ!(土刀で弓を弾きにかかる) 」

チャクル「(――――“喜の乱舞(フロイデ)”) そらそらそらァッ!!! ( ド ガ シ ョ ン ッ ――― シ ュ ド ド ド ド ド ド ド ァッ ! ! ! )(天井に張り付いたスパイダーマンに照準を定めると権能を発動。全身の至る部位から赤黒いホーミングミサイルを一斉射出した) 」


ヒ ュ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ン … ッ ――――― ド ボ ボ ボ ボ ボ ボ ボ ッ ガ ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (チャクルより放たれた幾つものミサイル群が白煙で軌跡を描きながら舞い上がり、次々と天井に衝突するかの如く爆撃し、スパイダーマンに着実に爆炎が迫っていく。また、ミサイルによって崩された天井の残骸が、エドガーや森ノ宮たちにも二次災害となって降り注いでいく)


マッド「 ッ゛ ! ! ! (―――  ズ ッ゛ ガ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! )(エドガーによる強烈な反撃が胸部に炸裂したことにより、膨張した右腕は空気の抜けた風船のように縮小し、また同時に吐血を繰り出した)……ォ…ッ……――――(打撃を受けた部位を押さえつけながら退いていく。以前の戦闘から、自らの権能の弱点を確実に突いたエドガーの反撃は確かに効いた。だが、しかし――――)――――― シ ュ ゥ ゥ ゥ … … (凹みを受けた胸部が元通りに、そして口の端から垂れた吐血が蒸発した) 」

マッド「………以前の戦い方を把握した上での反撃…見事。しかし、残念だが、今回は今までのようにはいかん。言っただろう、我々は"『クロリアー』そのものになった"と。 これは『クロリアー』が持つ能力の一つ、“超回復”だ。 いくら弱点を突いたとしても、傷はすぐに癒える。貴様等に、勝ち目はないッ!!( ド ゴ ォ ァ ッ ! ! ! )(剛腕をしならせ、瓦割りを行うような手刀を振り下ろして眼前の床を真っ二つに断裂し、エドガーを牽制する) 」

カルナ「その抵抗も―――哀しいことに――無意味に終わるわ―――これが私の権能“哀の涙腺(ドラオア)”――― その効果はエリア内の物体、人物を自在に操作すること。(ヒロの周囲を瞬間移動で不規則に翻弄しながら、その死角から光矢を放ち続けている) 」

ウェルド「ガギィン!!ギン!!ギンギギィ!!(尚も刀身を鞘から抜かないまま、圧され、微かに身体を裂かれながらもメリィの槍の連撃を刀で捌き続け)得物の大きさの割には随分器用に振り回してくれますね……!っ、森ノ宮さん!(チャクルが放ったミサイルを視界の端で捉えながらも、それに対しての防御対応は一切行わず……あまつさえ、残骸の飛来に合わせて刀に両手を添え)―――"気楽"ですか、残念です。我々に刃物を使わせてくれた事が…!(メリィの一瞬の間隙を狙い、居合抜きの一閃を放つ) 」

森ノ宮「ギン!!! ギ ン! ギン!!(小太刀と体捌きをもって、メリィに対して防御に専念。場を広く使い、ウェルドよりも後方に下がりながらなんとか攻撃を捌いて居たが……)……ちっ、任せろ…!(ウェルドの呼び掛けに反応して二人を飛び越える様に高空に跳び……)―――合わせろよ、ウェルド…!東雲流、『秋月』ッ! ゴ ッ ガ ァ ン !! !(サマーソルトキックの様に、瓦礫を蹴り上げる様にして砕き……同時に、下にいるウェルドを援護する様に、メリィへと弾丸の様に小太刀を投擲) 」

メリィ「 ド ス ゥ ッ ! / ザ ギ ィ゛ ――――― ン゛ ッ゛ !(森ノ宮が投げ打った小太刀が胸を貫き、ウェルドによる居合抜きが鮮やかに喉元を炸く。血を勢いよく噴き出しながら絶命し倒れ込む…と思われた、次の瞬間―――)――――  フ  ォ  ン  ッ  (――― 倒れゆく少女が幻影となって消失した) 」

メリィ「  ギ  ュ  オ  ン  ッ  (幻影が消滅したその直後、ウェルドと森ノ宮、両者の背後の空間がそれぞれ断裂されると―――)―――― ザ ギ ィ ィ イ ン ッ ! ! / ザ ギ ィ ィ イ ン ッ ! ! (その隙間から二人に分裂したメリィが出現。槍による刺突態勢で両者に襲い掛かった) 残念これは―― / ―――『クロリアー』の空間断裂能力 (二人の少女が交互に語り掛ける)空間と一緒に―― / 私自身も断裂したってこと。 」

ヒロ「自由に操作‥だと!?(ひたすら刀で弾き続けている) 」

エドガー「(サイドステップを踏み斬撃の射程から外れつつ、被弾覚悟でマッドへ向かって駆け出す。肩を掠め飛沫が道筋を刻む、痛みを自覚する間もなくマッドへ肉薄し)知るか……んなこと知るかよッ!黙って退いてろッッ!!(地を踏み砕き、上体に負担をかけるような強引な振りかぶりの後、素早く重いジョルトブローを力任せにマッドの顔面めがけ振り下ろす) 」

カルナ「そう、例えば――――― ヒ ュ ン ッ (何もない左手に突然として刀が握られる形で現出する。この刀こそ、現に今、ヒロが攻撃をいなしている際に使用していた彼自身の刀。それを手元に転移することでヒロを無力化し、防ぐ術を失ったヒロへ容赦なく光矢が直撃することとなる――――)―――対象内にあるものの位置を変えること、などね。(以前、茅弦を攫った権能であることがヒロの脳裏でフラッシュバックする) 」

マッド「グッ゛……フゥ……ッ!!!(顔面にめり込む強力なブローに悶絶を露わにするが…)……人間は理解できぬ事態に直面すれば理性が狂う。『感情』があれば尚更だッ! ギ ュ オ ン ッ (エドガーを払い除けるとその手元に赤黒い大剣を出現させ、片手のみで軽々と振り回しながら構え直す)一つ前もって忠告しておいてやる。この剣より放たれる斬撃の一切は"永続的な傷を残す"…!『罪剣』の呪いとして受け取るがよいッ!(  ズ     ォ  ン゛  ッ゛  !  !  !  !  )(両腕で握りしめた大剣による豪快な一振り、それと同時に放たれた禍々しい紅の斬撃波が解き放たれた) 」

エドガー「(解呪不可の呪い……斬撃なら失血死が必定の即死技か……)――――"呪い"で力比べしようってんなら止めときな。年季も密度もてめえの比にならねえよ……!(超腕を前に突き出す。右手を床に翳し、左手指を絡め印を結び、蒼炎が微かに弾ける。そして)  ノ \ "  チ ィ  ッッ   (斬撃が突き出した両腕に正面から衝突、否、触れず、磁石同士が反発し合うようにして留まり赤黒と青黒の稲妻が絶えず弾ける) 」

エドガー「 ぬ"ゥ"ァ" ア"  ッ  !!(右手を真一文字に振り抜き、斬撃が歪曲、丸められ青く発火し、"青黒い蒼炎の球体"へ転換されていく。 罪剣に同化した者達なら近くできる。エドガー後からの根源も"呪い"であることが) 」

ウェルド「来た、これが……空間断裂……っっ!!(幻影が消滅した瞬間、背後からの攻撃が来ると確信。後ろに振り向きながら刀身を槍へと叩き付けて軌道を逸らし……刀は折れ、脇腹を裂かれるも致命傷は回避し)"拾い物"ですが、良い刀だったんですが……ね…!!(間髪入れず、メリィの片割れに向けて蹴りを放つ) 」

森ノ宮「―――"紫電・改"(瓦礫の破片、そして"空気"……"気"を込めた脚で、本来足場足りえないそれを一瞬で"蹴り"、空中で落下軌道を変えてメリィの刺突を紙一重で避け) バッ ーーーーヒュゥッ……分裂は予想外だが、そいつは予想の範囲内だぜ…!小太刀がぶっ刺さらなくて良かったよ、寝覚めが悪くなっちまうところだった……向こうのアホは知らねえがな(あまつさえ、メリィの槍を右脇で抱える様に掴む)(さあ、どうする…!) 」

ヒロ「なっ…!?(刀が消え、狼狽えたところに矢の餌食になる) 」

ヒロ「………(まさか、あの時….茅弦ちゃんが連れ去られた時の…!?) 」

スパイダーマン「チィーー!!(腕を振り抜くようにして張り付いていた天井を砕き、ミサイルの軌道から逃れる。空中で身体を捻りながらミサイルを躱し、間一髪足先で着弾しそうなそれを蹴り飛ばして軌道を変更、そのまま着地)オレをやりたきゃもっとキレイなのを持って来いよ。甘いだろうが(床に着弾し爆炎を巻き上げるミサイルを背景に、スパイダーマンのマスクが鋭い怒りの目を向ける。再び踏み込みが地を揺らし、空を揺らす。そこからの緩やかな重心移動が滑らかに身体を動かし、) 」


ヌ ッ(スパイダーマンの姿がチャクルの眼前に”出現”する。その雰囲気からは想像できないほどの”理合”、あまりに予備動作を残さない歩法が踏み込みの余韻だけを残し、彼本人以外の全員から移動の過程を吹き飛ばす)


スパイダーマン「しゃあっ!!(出現した直後に、その場に地に足つけた者たちの足元を払うほどの衝撃と共に”震脚”が為される。当然、これを予備動作として全身を叩きつけるような形で繰り出されるのは、所謂 鉄山靠……八極拳における正式名称は、”貼山靠”と呼ぶ。あらゆる防御を打ち崩す人型の破城槌が確かな速度と質量をもって、確実に叩き込まれる) 」

マッド「(――――!)……ホゥ… そうか、貴様も…… 望み、望まれぬ形で得た者同士か。一度この身に授かった呪詛は、『罪』は、消えぬもの。その十字架を背負い生きるしかない。ならばせめて負の感情だけでも置いていけ。私が、そうしてやろう。(  ズ  オ  ッ  )(相殺されてもなお、罪剣特有の邪気を纏う大剣を握りしめて疾走、エドガーへと横薙ぎを繰り出そうと肉薄する) 」

メリィ「(ウェルドに蹴り飛ばされた分裂体はそのまま消失する。即ち、本体は森ノ宮に槍を抑え込まれたまま空中滞空しつつ、互いに睨み合っていた)寝覚めも目覚めも心地よくなるよ。『クロリアー』に負の感情を吸い出してもらえたらね。おじさんも試してみる――――?( ギ ュ オ ン ッ )(再び引き起こされる空間断裂。6つに開かれた狭間の向こうからメリィの槍がそれぞれ6本、その先端の刃が顔を出し、今にも森ノ宮を突き刺そうと迫り出す―――) 」

カルナ「……気づいたようですね。ですが、気づいたところで、遅いのです。すべてが取り返しのつかないことになる前に…我々が救って差し上げましょう。あなた自身も…もう私のように涙を流すことも無くなるのだから――――(ヒロに語り掛けながら祈祷杖を掲げる。自らの権能を発動し、落下する天井の残骸を浮かせ、それらを渦巻くように操作しながら次々とヒロに投擲されていく) 」

チャクル「なにッ――――(速ェ――――)(スパイダーマンの俊足的な移動、その出現こそは脳では理解できた。が、それが肉体への伝達には間に合わず―――)―――― ド ブ グ ゥ゛ ッ゛ ! ! ? ( メ キ メ キ ィ メ キ ャ ァ゛ … ッ゛ … ! ! ! )(胴体の一部分が盛大に破裂する程の衝撃を受け、黒い残骸を撒き散らしながら大きく吹き飛ばされていく) 」

チャクル「…………痛ェなァァァ…ッ……――――― ガ チ ャ ガ チ ャ ガ チ ャ ァ … ッ … ! (吹き飛ばされた先であおむけに倒れ込んでいたが、穴が開いたように破裂した部位がミミズの大群が入り混じるように埋め合わされ、その表面が元の黒い装甲に覆われることで"超速再生"された)……"楽しい"なァァァ…やはり殺し合いはこうでなくちゃあよォォオ……!(ガギゴギと機械音を掻き鳴らしながら立ち上がり、再びスパイダーマンと対峙する) 」

エドガー「  ビ  ス ッ  (左へスウェイしつつ首を最低限捻り、頬を切っ先が抉る。両拳を重ね、上体全体出たい辺りのように放つ肘輝をマッドの脇腹へ浴びせ、再度間合いを離し……)―――― クンッ  (再び"両腕を前に突き出し、右手を床へ翳し、左手で印を結ぶ"。マッドの前でこの動作を魅せるのは二度目。戦闘経験豊富な彼には、その動作の絡繰りが目に見えた) 【 屍 媒 術 式 <カバネジュツシキ>】  (掌に、蒼炎で描いた魔法陣と呪印が浮かび上がっている。自らに刻まれた呪いを燃料に、ただの人間である彼が魔術を行使していた) 」


ギュ  ル   ル ル ル ル  ルルルル ル  ル   ル  (罪剣にから放たれ、充満する邪気が渦巻いて蒼炎の燃料となる。それは陽を喰らい熱を灯す月のように黒く、そして周囲を凍てつかせ膨張し―――――)


エドガー「   【 蒼 】   (右で銃を作る。口火はマッドへ向けられ、左手は腕に添えられ、引き金を引くような動作を合図に)  ┣¨  ギュ  オ  ッッ   (近づくほどに"冷気"を感じ、触れれば焼き焦がす青黒い極光の炎球が、魔力を、呪いを、エーテルを喰らい床を抉りながらマッドへ迫ってゆく) 」

スパイダーマン「…………(残心。一撃必殺を自負する自らの貼山靠にてチャクルの胴体を粉砕したことを認識しながらも、すぐさま姿勢を直して構え直す。一撃で仕留めることを信条としながら、尚且つ一撃の後も意識を戦闘体制のまま保つ)……あ゛ーーーー、めんどくさいタイプだなあ(故にすぐに気付く。粉砕した彼が再び結合するかの如く再生する様子に。小気味良い機械の稼働音を耳に入れながら、起き上がる彼を観察する)……あ゛ーー、そうだな、オレも今から楽しみだよ……お前が後何発……オレの試し打ち用の木人になってくれるかさ…… 」

ウェルド「……っ、こっちが幻影でしたか、やってくれる……!!(折れた刀を構え直し、上空の森ノ宮の方へと振り返り)二発目、いや……本命は……っ!! 」

森ノ宮「そいつは有り難い提案だ、昔の失敗が気になって寝付けない日も起きられない日も多くて困ってた所だが……!!(本体とは別枠…!恐らく、さっきウェルドと俺に分けた事の応用だな……裂け目から得物だけを出してきたって所か?こいつは予想外、だが…!)……お陰でしんどい思いをする羽目になるが、それでもその誘いは断らせてもらうよ―――東雲流、『雲龍』(全身から紅い"気"を放ち、先程と比べ物にならない程の膂力でメリィごと抱えた槍をぶん回し、再び空気を"蹴り"、背中を刺されながらも方位から強引に脱出を図る) 」

ヒロ「いくら絶望する展開になろうが、俺は…!(投擲された残骸をひたすら避け続ける)あんたに救われるわけにゃいかねえんだ! 」

マッド「ングッ―――(脇腹に一撃を与えられ僅かにしりぞけられたその直後――)―――!(この構えは…"見たな"。)(なればこそ対策は安易。痛みを"超速再生"による治癒に委ねてその意思を反撃にシフトさせようと状態を起こす。しかし―――)―――― な ッ ? ! ( ズ ガ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! )(自身から放たれる罪剣の邪気を吸い出したエドガー自身の呪詛。それが彼に新たな力を与え、彼の指先より放たれた炎弾が直撃。エーテルごと肉体を貪られながら吹き飛び、壁に激突していく) 」

マッド「 ガ ラ ラ ラ … ッ … ――――― (崩れ落ち逝く瓦礫、砂塵を押しのけてぬっとその姿を現す)……貴様を見ているとあの時戦った『男』を思い出す。隻眼の英雄とは似て非なる熱い闘志を持ちながらも、非なるものへの冷ややかなる敵意の眼差し… そう、"怒り"だ。その"怒り"こそが由縁。(対峙するエドガーに在りし日の戦闘情景が過り、彼の姿に『別の誰か』が一瞬だが重なった) 」

メリィ「――――ッ!?(――― ズ ガ ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! )(出鱈目な怪力を披露する森ノ宮に投げ飛ばされようやく地へと墜落する)……解せないなぁ…なんで人は自分が思い描く理想と真逆の方向へ歩きたがるのか… いっそ振り返れば"楽"になれんのに…。(ウェルド、そして負傷を追いながらも着地した森ノ宮を相手に槍を構え直す) 」

チャクル「だが今の一撃で確かに俺は"5回ほど死んだ"のは事実だろうなァ…褒めてやるぜェ…だが、相手が悪かったなァ…。俺ァ今…『 罪剣 』そのものなんだよォ…!存在そのものが「罪」なほど、俺ァしぶてェぜ…兄ちゃん?(鉄仮面の内側で「ククク…」と嗤いながらスパイダーマンと対立する) 」

カルナ「………哀しい… 如何して、無理に取り繕うことがあるのです…?貴方も、本当は哀しいのでしょう?この無情なる世界の有様を。心が啼(な)き、魂が嘆く…その積み重ねに耐え切れず、感情は綻びを見せるものです。認めましょう、これ以上、貴方が涙を流す前に……(ヒロを前に慈愛の皮を被った悪魔の囁きを説く) 」

エドガー「(指を捻り立ち上がるよう促す。マッドの言葉は言い得て妙で、鋼のように冷たい炎が、眼光として瞳に横たえていた)――――世界が美しいなんて生まれてこの方思ったことはねえ。不条理、不平等、理不尽、あらゆる人としての悪辣から眼を背けない。そのために、怒りという炎が必要だ。 悲しみも、妬みも、全て何かに立ち向かうために必要な薪だ。 」

森ノ宮「ハァー……ゼェ、ハァ……痛ってぇ……(囲まれてた状況だったんだ、これで済んだなら儲け物か……)理想なんざとうの昔に腐っちまったもんでな、今はマシな方に歩いてるだけだ……確かに、もう少し"楽"なら良かったんだが(身に纏う"気"が紅から青に戻り、メリィに応じる様に構えを取り)……ウェルド、合わせろよ 」

ウェルド「"雲龍"ですか、無茶しますねえ、相変わらず……(森ノ宮の後方へ位置取り、メリィを見据え)………酷い言い草だ、僕は常に思い描く理想の為に走っているのに… 」

スパイダーマン「なーーーーにが罪だ、ゴチャゴチャうるせえんだよ。さっきから黙って聞いてりゃ、悪い感情を捨てるだとかなんとか(首をコキコキと鳴らしながら、チャクルへとゆっくりと歩み寄り)そりゃ逃げてるだけじゃねーかよ。救いとかなんとか。目を逸らせるようなレベルの薄っぺらい罪とやらに俺の拳を阻めてたまるかよ、あ゛~~~?重さが違うんだよお゛!!……またスパイダーマンらしくねー口の悪さになっちまった、嫌だなあ゛ 」

ヒロ「この心が折れるまで……だ!いくら涙を流そうとも心は折れちゃあいないんだよ!(カルナの囁きを振り払う) 」

Dr.@「クククッ…♪いいね…4人とも『因子』との適合率が徐々に高くなっているのが目に取れる。4分割したとはいえ、このままいけば本当に『クロリアー』の再現が完全なものに――――(そう愉悦に口元を綻ばせていたが―――) 」

構成員「―――Dr.@!一大事です!(そんな彼女のもとへ慌てて駆け寄る) 研究室にも侵入者の目撃あり!奴らの仲間かは存じませんが…機関の重要な研究対象が次々と破壊され、迎撃に当っていた構成員も完膚なきまで返り討ちにされてしまいました…ッ…! 」

Dr.@「……あまり、聞き捨てならないね。じゃあそっちはあたしがいこうか。(冷徹な眼差しをひとつ浮かべると踵を返し広場を後にした) 」



シ ュ ン ッ ――― ヒ ュ オ ッ ―― ド ゥ ッ ―――― ド ゥ ッ ―― ド ゥ ッ ―――― ! ! ! (一方その頃、機関本部のエントランスにて繰り広げられる攻防一体の激戦。倒れ伏した有象無象の構成員など置き去りにし、見えざる影が互いに姿を現すことなく衝突し合っている。乱気流の中で交錯し合う突風のように、風を切り、大気を砕き、爆音が掻き鳴らされていた――――) 」


モララー(TURBO)「――――― シ ュ オ ン ッ (着地するように姿を現したかと思えば、口の端から滴る僅かな鮮血を腕で拭い去った)……俺の速さについてくるだけじゃなく、順応までしてやがる。面倒くせぇ相手を受け持ちまったな…(ペッ、と咥内に滲む血を吐き捨てた) 」

ザハール「(フロア内を行き交う"音"、その中でも移動する際の音はモララーによってのみ生じるものだった。こちらは全くの"無音"。幽鬼が如く羽織ったローブを緩やかに靡かせつつもモララーと渡り合う速度で移動し続ける。 一旦足を止め、5mの距離を維持し佇む。呼吸一つ乱さず、"脱力"し余裕を含んだ笑みでモララーを見据え)――――126万(そう囁くと同時に、腰を深く落とし、脱力した状態で上体を揺らし続け……) 」

ザハール「―――――。(無音、余波や空気の流れさえ感じさせず、モララーの背後に背合わせに佇んでいた。 手元でペン回しのように回転させ逆手持ちにしたナイフを、その背に突き立てようとノールックで振りかざす) 」




VS.【クリティアスヘイヴン 十二格:嵐数】ザハール


モララー(TURBO)「―――――― ッ゛ !? ( ピ ッ ―――――――)(背後に迸る静かなる殺意を汲み取り、咄嗟に身を翻してその凶刃を間一髪潜り抜けるように飛び退いた。しかし、その刃先に古びたマフラーの生地が数cm裂かれてしまう。致命傷には至らなかったものの―――)――――………(僅か、ほんの僅かだが、切り裂かれたマフラーに視線を落としてすぐにザハールを静かに睨みつける) 」

モララー(TURBO)「  パ ン ッ  (両の手を合わせ、その手中を地に突きつけた) 幻術“ディフェンス・ウィンドウ”! ( ボゴォオンッ―――ボゴォンッ――ボゴォンッ―――ボゴォオンッ――! )(両手から地面へ、魔力を込めた稲妻を走らせると、自身の姿を覆い隠すほどの高さを誇るコンクリートの障壁を何枚も展開される。だだっ広く障害物の無いフィールドに不規則に展開された壁は自信の姿を欺くだけでなく、ザハールへの陽動を図る) 」

ザハール「 カチャ (ナイフにこびり付いた断片を指で払い、掌で僅かにズレたモノクルを整える。目を凝らし立ち塞がる障壁を観察、黙して動かずにいたが……) ハッ(壁越では伺いしれないが確かに鼻で笑うと、コインを胸ポケットから取り出し、それを床へ乱雑に投げ捨てる。その際に影が"四重に増えた"がそれ以外の変化はなかった) 」

モララー(TURBO)「―――― 神聖“フルメタルレーザー”!( バシュンッ――バシュンッ――バシュンッ――バシュンッ――バシュゥウウンッ!!! )(壁を背に印を結び、魔力を蓄えた左手から当てもなく翡翠色のレーザーを発射。レーザーは周囲に張り巡らされた障壁にぶつかると次々と跳ね返り、ピンボールのように跳弾を反復させてザハールへ直撃するまで追い詰めていく) 」

ザハール「………。カチャ(モノクルを掌で整える。全方位で乱反射し、安全地帯を狭めやがて自分を穿つであろう状況下でも口端を釣り上げたまま……そして) ド ジュ  ッ  (側頭部をレーザーが貫通。一度ならずニ度、三度、部位を変えてレーザーが貫通しその度鮮血が舞う、しかし……) 」

藍の機関構成員「 ・   ・  ・ ・ ・・……(ザハールが立っていた地点を中心に、三名の構成員が側頭部や肩に一人一つ穴を開け、別方向に倒れ崩れた。当のザハール本人の姿は……――――) 」

ザハール「 【 RECRUIT 】【TRADE】…そして【TAXI】 (――――モララーの眼前、既にナイフによる横薙ぎを行う予備動作に入った状態で出現していた。)  」

モララー(TURBO)「―――――!?(壁の向こうからその様子を伺っていたが、直撃したザハールにとって代わるように倒れ込んだ屍共に目を見張る。更にそこから連想される次の行動を“アンビション”で予測するも―――)――――ン゛ ギ ィ゛ … ッ゛ ……!!( ズ シ ャ ア ア ァ ア ア ッ ! ! )(間に合わず、横薙ぎによって盛大に胸元を切り裂かれてしまった。だが――――) 」

モララー(TURBO)「――――――― ヘ ッ (「なんてな」と、演じていた苦い表情から笑みを零した) 火炎“レッドフード” ( ボ ッ キ ゙ャ ア ア ア ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! )(切り裂かれたばかりのモララーの全身が膨張し、爆破。起爆式の身代わりを張り巡る魔法によってザハールの急襲を退けた上に至近距離での爆撃を与えることで反撃した) 」

モララー(TURBO)「――― ヒ ュ ン ッ (そして本体は壁に包囲された中央部にその姿を現し、ザハールの次の行動に備えるように聖剣を携えて身構える) 」

ザハール「 ! (計ったか、存外頭が回る……ッ) ボ  グ ォ  ン   (一瞬の閃光と後に膨張する赤黒い爆炎に飲まれ姿が見えなくなる。黒煙が床を這いフロア一帯を覆っても姿を表さなかったが……) パッ  パッ  ("時間をかけてようやく"、煙の中から悠長に衣類に至るまで無傷を保ち現れる。埃を払い、掌でモノクルを整える、ネクタイを締め直す。戦闘中には意味がない動作だが、一挙一動が荒く、苛立っているように見えた)なるほど、いかに"矮小な世界"の内においても英雄と謳われるだけのことはあるようですね。 」

ザハール「だが子供染みた小細工を扱う男のネームバリューは…………23万5000ドルで事足りる。(手にしたスマートフォンを背後へ投げ捨てる。眉間に寄った皺は深く、鋭い眼光は言葉とは裏腹に相対する敵を"高く"値付けしている故の物だった) 私の資産の内、3社を"処分"する。 」

スマートフォン『 為替と株の値動きです。現在ピナソニック社の株が急激な下落を…… あ、お待ち下さい……。 速報です、ステラ自動車が破産申請を西部財政局へ申告をしたとのことです。これを受け傘下企業も後を追うように――――――』 」

ザハール「   カッッッッ   (黄金の柱。"財"が、宝が夢の中で放つような輝きの光柱がザハールを覆う。それらが霧散すると、"黄金"に染まった手袋と靴、そこから緑白色に発行する"管"が、全身を這って目元に繋がれている姿を表した)――――ケイオスにおける大手グループの資産など、他所ならガキが缶拾いをしていれば成人する頃に貯まる程度の物だ。この世界における"力"は安いな、英雄。(達人、全ての動作がその粋に達している。ステップを踏み、間合いが充分に離れているにも関わらず放ったジャブが―――――) 」


キュ     オ    ッッ   (先端が"金貨"の輪郭を得た閃光となって、空間を両断しモララーへ迫る)


モララー(TURBO)「――――― ッ゛ ! ? ( ド グ ゥ゛ ア゛ ァ゛ ン゛ ッ゛ ! ! )(目も眩むほどの輝きと共に変わり果てたザハールの姿に視界が覆われる、その隙を突かれるかのように、空間を無視した重い一撃が真正面から叩き込まれ、自身が展開した障壁を突き破って殴り飛ばされていく) 」

モララー「 シ ュ ゥ ゥ ゥ … … ッ … ――――(激突の衝撃でTURBOが解除され、全身から沸き立つ蒸気が霧散。瓦礫を押しのけながら砂塵から現れる)……随分御立腹な様子だが、そりゃあお互い様という奴だ。(無傷を誇りながらも表情を微かに歪ませるザハールに対し、こちらは傷だらけではあるが依然表情は変わらず毅然としている) はっきり言ってやるぜ。テメェは…―――― 」

モララー「(過去に対峙した者たちの禍々しい表情が脳裏にフラッシュバックし、その最後にザハールが映し出される)――――― 俺の嫌いな奴らにそっくりだ…ッ ( ボ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ォ オ オ オ ン ッ ! ! ! )(その発言の直後、周囲に張り巡らしていた壁が一斉に崩落し、その中から大量に生成された聖剣が現出。ザハールの全身を四方八方から切り裂く様なオールレンジ攻撃を仕掛けていく) 」

ザハール「(全方位からの斬撃。手数がこの男の戦法……) カチャ (モノクルの位置を整え、腕をだらりと垂らし腰を深く落とす。際限なく脱力し……) 縮 死 ッ!!!! (消失。聖剣が数多の戦士の墓標のように床へ突き刺さり) ギュ   ッッ     アッ   ッッ   (斬撃がモララーの脇腹を"掠める"。その頃には既に横薙ぎを振るった直後の硬直状態の態勢のまま、壁へ激突する寸前までスライド移動していた。)……チッッ(背腰にモララーの傷を一瞥し舌打ちする。"掠めた"のは彼の本位ではなかったようだった) 」

モララー(OBRUT)「 シ ィ  ッ ――――(脇腹を掠める刃に、スローモーション化した世界の中でその部位に視線を落とすがすぐに敵を見定めるように顔を上げた) まだまだこんなもんじゃねぇ…――― “ O B R U T ”  (  ド  オ  ォ  ゥ  ッ ! ! )(高速に特化した“TURBO”とは対を成すもう一つ形態を披露。全身に凝縮された赤いオーラが蒸気のように勢いよく噴出され、自身にのみ数十倍の重力が働く) 」

モララー(OBRUT)「ッ゛……ッ…―――― “OBRUTガルバナイズ”…ッ…!!!(  ド  グ  ゥ  オ  ォ  ン  ッ  !  !  ! )(重力の枷を、逆に我がものとする。重圧そのものを拳に乗せた高火力の一撃を大地に炸裂させ、大広間の床や壁、天井という部位のすべてに大きな亀裂を走らせ…―――――崩落させる) 」


ガ ラ ラ ラ ラ ラ … ァ ッ … … ―――――― ! ! ! (モララーの一撃によって崩落するエントランス。それらの瓦礫がザハールへと落下、もしくは濁流の如く流れ込んでくるのだった)


モララー(OBRUT → BULLET)「 シ ュ ン ッ ―――― “ BULLET ” (押し寄せる瓦礫群に紛れて出現したのは、、全身に纏われたアンビションが黒いフルフェイスの鎧を着込んだ姿へと顕現されモララーの第三の形態であった) 赤黒覚醒(クリムゾンドライブ) ―――― (その姿を曝け出した時には既にザハールの懐に潜り込んでいた。その両腕は紅蓮を纏い、今まさにザハールへと―――)――― “二重連砲”("イクスバーナー")ァッ!!( ボ グ ゥ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ン ッ ! ! ! )(―――― 炸裂させる) 」

モララー(BULLET)「――― “六重連砲”(ゼクスバーナー)ァ゛ア゛ッ!!!!( ボ グ グ グ ゥ オ オ オ オ オ ォ ォ ァ ァ ァ ア ア ア ン ン ッ ! ! !!  )(だがそれだけでは留まらない。両拳の一撃を叩き込んだその直後、それをも凌駕する乱打を炸裂させる。加えて―――)――――“八重連砲”(レクスバーナー)ァ゛ァ゛ア゛ッ゛!!!!!!( ボ ギ ャ ギ ャ ギ ャ ギ ャ ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! ! )(これでもかと盛大なダメ押しを。怒涛の大打撃の嵐がザハールの一点のみに集中的に炸裂し、床上に転がる残骸がその衝撃に吹き飛ばされるほどの余波が大気に迸った)」

ザハール「(何だ、パターンがまた変わった……悠長に付き合っている隙はない、これ以上タスクが増える前に――――)―――――?(違和感。足が思うように動かない、否、移動しようとしても全方向から重力の負荷が掛かっているような感覚に襲われた。理由は明白。モララーが重力を操作し始める初動の時点で、空間が不安定になり……高速移動という"結果を購入できなくなっていた"のだった)まさ、か……ーーーーー("何に"コストを投じ対処するか思考を巡らす。しかし時既に遅く……) 」

ザハール「   か  "    ッッッ  ッ   (眼球が落ちそうなほどに見開かれ、ここでようやく喀血する。コインが絶えず霧散するがそれも刹那で砂に変わり……)…………!!………!!(意識、がトぶ……!!不味い、思考を奪われてからでは"フィッシュジュラルド"では対処しきれない………負ける!!そう、なる前に……ーーーーー)ーーーーー ┣¨  ゴ   ォ   ッッ   (建物の原型が見えるほどの巨大な瓦礫が風圧のみで舞う。空へ石塊が吸い込まれるような光景の中、ザハールは木の葉のように舞う) 」

モララー(BULLET)「 ダ ァ ン … ッ ―――― ド シ ュ ゥ ウ ン ッ ! ! ! (ザハールを殴り抜いた直後に着地する…と思いきや、その踏み込みと同時に一瞬で吹き飛んでいく彼の先に回り込むように移動する) ド グ ゥ オ ォ ン ッ ――― ゴ オ ォ ッ ――― バ ギ ィ ァ ア ッ ―――‐ ボ ゴ オ ォ オ オ ン ッ ! ! ! (まずは上空へと蹴り上げ、続けて瞬時に回り込んで水平にタックルをかまし、更に追い抜いて斜めに殴り飛ばし、続けて追跡してフィニッシュに踵お年を繰り出し、ザハールを崩壊したエントランスへと叩きつける形で元の戦場へと舞い戻る 」

モララー(BULLET)「 シ ュ ゥ ゥ ゥ … … … ハァ………ハー……ッ……(漆黒の鎧で覆われた素顔。その仮面の内側にて、呼吸を荒くしていた)…………立てよ。まだ、"残ってんだろ"…? 」

ザハール「(思考の維持。脳が揺さぶられ、痛めつけられる最中その一点のみに集中しコストを割き続けた。そうしてあらゆるシミュレートをする、そしてあらゆるシミュレートをモララーが超え、今に至る事実を文字通り痛感する。だが彼は……) 調子に、乗るな……ッッ( 諦めなかった。 ) 」

ザハール「     ケイオスにおける"全資産"を処分する     (掠れ、消え入りそうな声が喧騒と沈黙の中で宣言した。そして……) 」


キ   イ    イ イ  イ    イ     ン   (耳をつん裂く高音。中空に一頭星が閃光を放ち、夥しい"数字"の形をした緑白色の光が帯を成して閃光を取り巻く。数字は絶えず形を変え、その全てがやがて"0"に統一されると同時に閃光が弾け)  ギュ   オ    ッッッ   (エントランスそのものが衝撃波によって"爆ぜ"、モララーを場外へ大きく吹き飛ばす)


ザハール【EMPIRE】「 ガ   ンッッ   (閃光が収まっても尚、光彩を放つ中心にその人影はあった。床へ三点着地をし、反撃の可能性を意に介さない散漫な動きで立ち上がる。 先までの衣類が、肌が、頭髪が白く染まり硬質化、金のラインという装飾が刻まれたその姿は"近未来に復活したギリシャの石膏像"のようだった。節々に0と1の数字が刻まれ、緑白色に点滅する彼の姿はまさに、"財で得た最先端の玉体") 」




ザハール【EMPIRE】「ーーーーー先行投資。これからケイオスを私の理が律するに辺り、英雄という不確定要素に全財産を擲つ。気の遠くなる、考えうる限り最悪のプランだが……お前だ、お前たちが私にこれを選ばせた(開眼。石膏の中に埋め込まれた"肉眼"がモララーを捉える。)  ガ  ンッッ   ガンッッ   (金属音を鳴らし、床をわずかに沈ませゆっくりとモララーの間合いへ踏み込み始める) 」

モララー(BULLET)「  ッ゛ ! ! ! (爆ぜるような風圧に圧倒されるも、目前の敵から目を逸らすことはなかった)……なんだ…テメェも案外男気あるじゃねぇか。(黒く覆われた甲冑の内側で、微かに口角が吊り上がる。ゆっくりと、しかし着実に接近するザハールを待ち構えんと仁王立つ) 」

ザハール【EMPIRE】「(互いのクロスレンジまで3歩、ゆっくりと距離を詰めていたが……)  フッッ  (明らかに間合いの外でいきなり拳を振りかぶる。技もへったくれもない、素人が殴り掛かるような動作だったが、その予備動作に入った刹那)  ヴ  ゥ   ン   ("立体映像の残像"を残し、モララーとゼロ距離へ"空間転移(ワープ)"した。放たれる拳はまだ遠い、しかし ) ギュ   オ  ッッ  (拳の先端から緑白色の光線が射出。空間に大穴を開く威力のそれがゼロ距離から迫る) 」

モララー(BULLET)「(―――――!!?)     ド     グ  ァ゛  ア゛     ア゛  ア゛     ン゛   ッ゛    !  ! ! ! (空間絵図を切り取ったような不可解な瞬間移動、それに目を見張る最中、零距離で放たれた光線によって瞬く間に遥か先まで吹き飛ばされる。残骸、木々、岩石…様々な障害物を貫きながら吹き飛んでいくが―――) 」

モララー(BULLET)「   バ  ッ  ! !  !    (体を大の字に広げて空中停止) バ チ … ッ … バ チ バ チ … ッ … バ リ バ リ バ リ ィ ッ ! ! !  (脚部に蒼い雷(いかずち)が走る。クラウチングスタートの態勢から一気に駆け出し、空間を飛び抜けながら飛び蹴りの態勢を維持し、そのまま高速復帰すると―――)―――― “ 蒼 白 迅 雷 ”( ホ ラ イ ズ ン パ ル ス )ッ!!!!( ド グ ォ オ オ オ オ オ オ ン ッ ! ! ! ! )(蒼い稲妻を纏った"光速"の飛び蹴りが、ザハールへと繰り出された) 」

ザハール【EMPIRE】「 ゴ  ッッッ  (飛び膝蹴りは見事顔面へ命中。上体が仰け反り、首が折れ曲がる。しかし)………。痒いな(石膏のような外皮で覆われた顔は傷一つ付かないばかりか、被弾箇所から緑白色の波紋が全身まで広がり、それが反響して被弾した部位に戻るとーーーー)┣¨ ギュオ (被弾箇所から光線が飛び、モララーを吹き飛ばす) なかなかの性能だ……これが"金で買える今のケイオスの科学力"か……。なるほど、ウィリアムがここへの投資に固執するのも理解できる 」

モララー(BULLET)「――――!?(“BULLET”の攻撃でもビクともしねぇ…こいつ…ッ―――) どぅは…ッ…! (呆気取られる間もなく光線の反撃に返り討ちにされ落下と同時に受け身を取って距離を取り始める)――――“蒼白神鳴(ホライズンインパルス)”ッ!!!( バ リ バ リ バ リ ィ ――― ボ ギ ャ ア ア ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! )(距離を置き、助走をつけた突撃から、今度は雷撃と爆撃を織り交ぜた飛び蹴りをお見舞いする) 」

ザハール「思い出したよ。資産は一定総額を超えると―――――(飛び膝蹴りが顔面を捉え首が可動域の範囲内で曲がる、続けざまにゼロ距離の爆撃が全身を覆う。しかし――――)  キュ オ   ッッ(火炎を切り裂き、全身から放たれる複数の光線が床のコンクリを、周辺の建造部物を両断し、モララーに対しても例外なく襲いかかる)―――――周囲の利益を飲み込んで、増え続ける。(ザハールの立つ位置を中心に床が"金"に変質、そして直ぐ様"土塊"に暴落し、それを代償に全身が緑白色の光で修復、光沢を帯び強度が増していく) 」

ザハール「 ヴ  ォ   ン  ッッ  (三日月状の軌跡を残し腕を振るう。それをレーザーとして放ち、先の光線がモララーに命中しようがしまいがおかまいなしと言わんばかりに彼を振り払う)―――私の世界では怠け者が多くてね。ああいや……労働はしていたんだ、だが炭鉱夫やら製造業、水商売……利益を産まない、体力を浪費するだけの生産性が低い労働だ。国力を衰退させる将来性の低い産業に縋り、そのくせ保証を政府に求める。私に対するやっかみも大分あったさ。まあ……やがて施しを得られず餓死やら自決やらしたがね。(静かに語り、ゆったりとした足取りでモララーへ距離を詰める。自らは攻撃する意思さえなく、散漫に) 」

モララー(BULLET)「 ッ゛ ッ゛ ッ゛ ! ! (無造作に迸る幾重の光線を必死に掻い潜ることしかできない) 耳が痛ぇ話、だな…ッ! ( ズガガガガァーー…ッ…!! )(三日月状の閃光、直撃こそは免れた者の余波に吹き飛ばされ、右手の五本指を地面に食い込ませながら滑るように着地する)――――“赤黒革命(クリムゾンフルドライブ)ッ!!!!( ド ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ッ ! ! ! ! )(灼熱の拳を連続で打ち込み、それに伴う無数の爆発で大きく吹き飛ばす豪快な乱撃を叩き込んでいく) 」

ザハール【EMPIRE】「 ギュ   オ  ッッッ  (外皮に、外装に打撃が当たる度ヘキサゴン状の波紋が広がり、光線を放つ。隙のない全自動反撃ではあるが……しかし。) ! (根本から新たな打撃で"潰される"。意図してのことか、モララーの"威力を抑えた乱打"は結果的に全自動反撃の対処として的確だった)………がんばるじゃないか。だが時代の海練と共に"限界は来る"。 『変動相場』(衝撃に対し"同等の威力"の光線という原則、それが……) 」

ザハール【EMPIRE】「  ┣¨ ギュ   オ  ッッッ  ("崩れた"。外装に蓄積されたエネルギーを上乗せし、1.5倍の威力で光線を放つ。打撃で葬祭しようにも"押し負ける"。手数は同等、威力は上、モララーのラッシュのゴリ押しでは近い内限界が訪れる目測だ。一歩、威圧感を以てモララーへ詰めより)―――――私は労力と時間、それらを浪費した怠け者共に言ったよ。" 自 己 責 任 だ ろ う " 」

モララー(BULLET)「 ズ ガ ガ ガ ガ ガ ッ ――――― ッ゛ (殴りに殴り、その度に全身を纏うアンビションの鎧越しに走る閃光の衝撃に耐え凌いでいたが―――)―――― チ ィ゛ ッ゛ (世の中の流れ、それこそ"金の流れ"。タイムイズマネーを体現する様なザハールの対処に退かれてしまう)……そうだろうな…なにせ、俺にもよく効く言葉だ。無駄に足掻き、無駄に奔走し、無駄に時間を費やしてきた。もっと効率的に、或いは有効的に活かせていたかもしれねえと思うと、やるせない気持ちにもなる。言わば後悔だ。だが…―――― 」

モララー(BULLET)「……存外、そうやって無駄に無駄を重ねて回り道をした先で、思いがけないものに出会えるもんだ。(かつての記憶がまざまざと蘇る。まだ名もなき小悪党を演じていた、何もかもが幼かったあの頃を。いったい何がしたかったのか、何を目指していたのか。何もわからないままに我武者羅に何かを打ち込んでいた、思い返すだけで目も背けたくなるような恥ずかしい記憶だ) 」

モララー(BULLET)「俺はその「怠け者」なんだろう…だから、何も手に入らなかった。けどな、それで悲観して人生終わりにするほど怠けちゃいねぇんだよ。 "限界は来る"?そんなもの…自分自身で勝手に決めやがれ。終わりがねえから続いてんだろう。俺も、この世界に蔓延る「怠け者」共も。 」

モララー(BULLET)「金もねえ、夢もねえ…だがそれでも"限界"を超えようとする意志が、誰にだってある。それこそ重ねてきた無駄みてぇな回りくどい人生を過ごして、金じゃ買えねぇ「出会い」を果たしてそう勇気づけられんだよ、俺たち怠けもんはな。(そんな思い返したくもない過去の記憶で、今も尚色褪せることなく刷り込まれているもの――― とある少女との出会い、交わした言葉、与えられたもの…それらが、今の自分を形作っているのだから) 」

モララー(BULLET)「……テメェみてぇな奴を相手にするのは何も初めてじゃねぇ。何かに依存した力を振りかざす輩なんざ…――――― 」

[[ナナシア]]「 この世に生きるすべての者の力を手に入れ、すべての者に代わって私がこの世に生きる  」

[[ワイズ]]「 戦えば戦うほど強い奴と遭遇する!そうして強い奴らの力を奪い、俺は更に高みへと登り詰める!  」

モララー(BULLET)「――――― これで3度目だ。(漆黒の外装が、よく見れば徐々に赤く染まりつつあった――――) 」

モララー(BULLET)「 ス … ――――― (ザハールに何かを見せつけるように、その手に握られたものを差し出す。ずっと身に着けていた『古びたマフラー』。自身が肌身離さず巻いていたものだ。年季が入っている、というほどではないが、ずっと使いこんでいるため元の淡い緑のパステルカラーだったそれはやけに黒ずんでいるようにも見える。乱雑に使用されたように糸が解れていることもなく、大切に使用しているのが誰の目にも理解できた) 」

モララー(BULLET)「金で買えねぇもんはこの世にゃあたくさんある…なんて、そんなものすら買えちまうテメェには随分聞き飽きた台詞だろうが、言わせてもらうぜ―――― 」


――――― " 先輩の自由に生きればいいのです " ―――――


モララー(BULLET)「   "あるさ"    だからこそ、愛おしいんだ、『そいつ』が。(今となって遠い遥か彼方の記憶。追憶と共に木霊する少女の声が、五臓六腑のひとつとして今の自分を形作るように。かけがえのない思い出が、自身の奥底に秘められた決意を呼び覚ます――――) 」

ザハール【EMPIRE】「………(機械化した石膏といった風貌。その容姿に等しく"数字"でしか物を判断しない彼は首を傾げた。モララーの言葉の意味を解することができない、見せられたマフラーの価値を"真面目に"査定した。歴史的価値・文化的価値・希少性、それら全てが計測できない。)ーーーーー(ブラフか。くだらない、私は……)ーーーーーそんなものは存在しない。私なら…… 」

ザハール「(片腕をモララーへ突きつける。それと同時に緑白色の光が全身を覆い、光柱となって宇宙<ソラ>を穿つ。ケイオスの夜空から一つ、"星"が消失した。それらを代価にした力は、再び光柱となってザハールへ振り注ぎ……)ーーーーーー この世界さえも買える。 (確信。それが己であるが故ではない、その行為自体は"誰でも出来る"と確信している。その権利を行使する、当然の宣言に過ぎない。) キュ   オ   オ  オ  ッッ……!!!!(衛星の命を燃料にした一撃。ここら一帯を消し飛ばすであろう光線が、掌に埋め込まれたエネルギーコアから放たれようとした) 」

モララー(BULLET)「 (頭上遥か、宇宙の彼方で消え去った「星」を見上げて、これ以上の問答は不要と判断するように目を伏せる)……わからねえなら、教えてやるよ。 」

モララー(BULLET)「  奪うなんかできねぇ…誰にでもある、だが、誰にも譲れねぇモンって奴を  (構え―――ない。無防備のままザハールより放たれた破滅の閃光に自らの見込まれていく。激しい光の中で、黒く覆われた外装に白い罅が次々と入っていく。もはやここまで…彼の言葉を借りるなら、まさに"限界"が来たのだ―――――) 」

モララー(BULLET)「   "キャストオフ "   (――――― 終わりではなく、その果てに続く"始まり"の) 」


バ  ギ  ャ゛  ア゛  ァ゛  ン゛ ッ゛  ――――――――


――――― 滾れ 心臓の"炎" ――――――


英雄を覆う黒く硬い鎧の外殻が木っ端微塵に弾け飛び、眩い閃光が迸る。そこから露わにしたのは、本来橙色をしている体が文字通り真っ赤なものに、高熱限界点を越えて激しく赤熱している彼の姿だった。溢れんばかりの白煙蒸気が逆立つ様とも相まって、その形相は宛ら火山のマグマの如し。この姿こそ、彼の新たな形態にして最高到達点。その名も――――――


モララー(IGNIS)「―――――――― “ IGNIS《 イグニース 》 ” ―――――――― 」

モララー(IGNIS)「     行くぜ "限界"の向こうへ      」




モララー(IGNIS)「   ヒ   ュ   ボ   ォ   ッ    (そこに灰燼を残して――息を吹きかけられた蝋燭の火のように――消失。だが瞬きをした次の瞬間、ザハールの目と鼻の先に双眸を真っ赤に光らせた獣が、今まさに食らいつこうと迫っていた―――――)―――――――   ┣¨    ボ     オ゛     ォ゛      ン゛      ッ゛   !    !    !    !    !    (これまでの比ではない弩級の一撃が彼の腹にめり込まれる。たったの一撃、しかして迸るは何重にも連なる一撃の乱打の如く、彼の石膏に明らかな風穴をブチ開けた) 」


臨界点を迎えた高熱の体は宛ら太陽の表面と変わりない。しかし、炎は出ず。何度もその片鱗を見せた発火によって湧き出る炎は一切その顔を出さないことから、モララー自身の体内に凝縮されているのが解る。しかし―――――


ザハール【EMPIRE】「(変わった……いや、代わった?全くの別存在……いや、何より 価値が秒単位で変動している、心電図のようなリズムを刻んで絶えず変化している? これは、いったい――――― )―――――。(眼前まで先とは比較にならない速度、別次元の重圧。"感覚"を信じる人間であれば迷わず回避する。しかし、数値の変動、未知数に思考が囚われていた彼は、"倍額の負債を叩きつければいい"と判断し、無防備を決め込む。しかし――――) 」

ザハール【EMPIRE】「  ヅ ヅ    ヅ    ヅ   !!!??!?!??!  (身体がくの字に折れ曲がり、全身を走る緑白色のラインが赤く変色し、炎を吹き出す。 自動反撃が機能しない、それ以前に"触れただけで"自身という世界における絶対の理、"数値化"の概念が書き換えられていくのを痛みと同時に感じ取った) こ"……ッ !!? 」

モララー(IGNIS)「 ギ ュ ル ン ッ ――――― (殴り抜けた直後、逆さまの態勢から片手を地に付けてウインドミルを行い、広げた両脚を旋回させると―――)―――――  ┣¨    グ   オ゛    ア゛    ン゛    ッ゛   !   !   !   !   (超高熱を帯びた旋風脚を追い打ちと言わんばかりに叩き込む。炸裂と同時に迸る衝撃は大気を焦がし、あまりの熱さに悲鳴を上げるかのような爆音が轟いた) 」


――― 熱という熱を逃さないということは、無駄な高炎を閉じ込め、"そのすべてを攻撃の一点のみに昇華する"ということだ


ザハール【EMPIRE】「(波状攻撃……!やられた、周りの一切を"無価値"にする気だ!今の私の力が"周囲の物質を資産化し扱う"事を見抜いている!!)―――――また、浪費……を"………ッ!!(吹き飛ばされモララーの接触から逃れた事で外装のランプが緑に戻り機能が回復する。"星"を撃った際の"残高"をフル活用し……)【先行投資】【機能改善】【拡張】……ッ!!(外装の右手甲が変形。円形状の"ポータル"を生成し、放たれた炎を異次元へ転送しやり過ごす) 」

モララー(IGNIS)「――――― 無駄だ (耳元に反響する様な静かながらも強かな声音がザハールの行動を制するように放たれる) 溢れた"熱"は余剰だ、それも残りカス程のな。"核"は常に内側にあんだ。星そのものがそうであるようにな!( ズ    ┣¨    ォ゛     ン゛    ッ゛   !   !   !  )(ザハールの防衛ごと蹂躙する様な型破りな進撃。ポータル諸共破壊し尽くする高熱の拳がそのまま彼本体をも殴り抜けていく) 」

ザハール【EMPIRE】「    ゴ   ッッ ッ   ッ   (英雄の一撃に"過信"はない。次のステージへ上がり、力を得てもなお全力で望む彼の拳は的確に"顎"、ウィークポイントを捉えた。 灼熱による装甲貫通のみならず、衝撃が脳を揺さぶる事による内部への透過ダメージ。 無言の悲鳴が反響し……) ヅ  ッッッ !!!! ァ  ア…… !!! (きりもみ回転をし、地上の熱で赤く照らされた夜景へ吹き飛ばされる。外装と仮面が砕け、破片が山ような金貨に変じては砂塵へ帰ってゆく) 」

ザハール【EMPIRE】「――――!! 騒々しい……ッッ 苛立たしい……ッ 数字による調和を、乱すな……定義に従え、可視化された世界を、確定した未来を受け入れろ……ッ!!(空中に不確かながらも堅固な浮遊する金の足場を生成し持ち堪える。金貨を背に収束し生成した四本の腕で、眼の前に生成した複数の"電卓"に目まぐるしい速度で何かを入力。 中空には0から始まり、一瞬で7兆5千億9百万というデタラメな数字が表示され……) 」


ニフ" ニフ" ニフ" ニフ" ニフ" ニフ" ニフ" ニフ" ニフ" ……(空が金色に、否、"金貨"に染まる。 1枚の金貨が平屋に相当する面積、それ以上の質量を誇り、デタラメな数のそれらが空を雨雲のように覆っていた。 それらがシンプルな質量と、触れれば爆散するというおまけ付きの"数の暴力"となって、 ここら一帯を圧殺・爆発せんと降り注ぐ)


ザハール【EMPIRE】「  数字が万象を定義する!! それが人が人を定義する由縁、人と獣を別つ叡智!人と人の繋がりを確かなものとする調和の象徴!! 世界を世界たらしめる……秩序だッッ!!!!!   」

モララー(IGNIS)「(降り注ぐ金貨の爆撃雨の中で、地に足を付けて――だが熱は大地を焼き焦がさない――佇んでいた) 馬鹿野郎が…―――――― ド シ ュ ウ ゥ ン ッ ! ! ! ! (爆発的な脚力で空間を駆け巡る。次々と飛来する金貨の爆撃、その余波に見舞われて僅かに苦悶の表情を浮かべるが―――) 」


だが、攻撃にすべてを転じるということは、それ以外の余計なものは取り払われる。「攻撃は最大の防御」という諺にもある通り、攻撃に最大全振りしたこの形態では、防御力が大きく欠落する。まさに諸刃の剣…しかし―――――


モララー(IGNIS)「 ギ  ュ  ン ――――― ギ  ュ  ン ――――― ギ  ュ  ン ――――― ギ  ュ  ン ――――― ギ  ュ  ン ――――― ! ! ! (ジグザグ状に荒野を瞬時に駆け抜ける。俊敏な猫はいつしか勇猛果敢な虎へと進化し、人間の常識の班長を越えた自然の摂理、計り知れることの無き本能を剥きだして、今―――――――――) 」


――――― それはつまり、"当らなければ防御なんか関係ない"ということだ


モララー(IGNIS)「   シ   ュ   オ   ン   ッ   (ザハールの目前に、瞬く間に差し迫った) 」

モララー(IGNIS)「  "限界"を越えた時点でな ――――― 数値じゃあ測れねえんだよッ ! ! ! ! ! 」


――――― “ 終 末 暁 鐘 ( ラ グ ナ ロ ク ド ラ イ ブ ) ” ―――――


モララー(IGNIS)「――――――――あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁああああぁぁぁぁああああああああーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!(    ┣¨     グ      ア゛     ァ゛    ァ゛    ア゛    ン゛    ッ゛    !   !   !   !   !    )(声にならない叫びを天へ―――限界点をとっくに超越した己が"熱"を込めた鉄拳を突き出し、ザハールの顔面にめり込ませ、描かれた数字を"無"に帰す ) 」

ザハール【EM■IR■】「―――――――――― あ り え な い  」


思考が白紙化された。 刹那的激痛、それらを超越し全ての感覚が麻痺し、意識がこんとうする最中……彼は泡沫の夢を見た


ザハール【■■■■■■】「 ジ  ジジ ジ(眼を覆っていたグリーンランプが点滅し、灰色へ暗転する。外装が完全に希機能を停止し、 花火のように眩く輝く金貨を四散させ、ただの人間に引きずり降ろされた彼は、遥か高みから"下落"してゆく) 」

その世界は何もかもが確かで、合理的で、幸福という概念が存在しない故に不幸がなかった。貧富の概念もなく、あくまで数字が多いか少ないか、燦然とした事実だけが羅列する世界。そんな中で、頂点に君臨する数字を持つ己もまた、特別な喜びはなく、限りなく底辺に近い者達との隔たりもない。ただ、数字が多いか少ないか、それだけの事実しか存在しないのだから……―――――― 」

ザハール「(砕けたモノクル、焼け焦げた衣服。何もかも失った嘗ての富者は、大の字になって背を瓦礫の山に預け横たえる) ハ……ハーーッ  ハァー ……ッッ(指先が微弱ながらも反応し、荒く、弱々しい呼吸を繰り返し、懸命に腕を高みへ伸ばし、拳を握りしめる。懸命に何かを掴み取ろうと) 」

モララー「 シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ … ッ … ――――――――― (真っ赤だった身体が淡い色を帯びて元の橙色へと戻っていく)…………(ザハールのその様子を、静かに横目にする) 」

ザハール「 まだ、だ……私には、まだ、支払える物が……(震えた手を懸命に動かし、やっと手袋を外す。 露になった手の甲には人の感性では思いつくはずのない、いかんとも形容し難い刻印が刻まれていた)――――各々が異なった信念を持つ我々<クリティアスヘイヴン>が一同に集うのは何故か……それは"覇皇"が、望む秩序を叶える力を授け、契約を結ぶからだ。 死力を尽くして運命に抗い、尚も果たされなかった時……覇皇は命と引き換えに一つの世界を"創造し直し"てくださる……! 」

ザハール「"禍名"を捨て……対価として"覇皇様"の召喚をここに奉る!!私は死力を尽くした、命を尽くして"願い"を証明した……!あの御方の温情によって、この哀れで醜い"混沌"の名によって汚れた世界は、再定義される……!!(刻印が刻まれた右腕を鷲掴みにし、懸命に天へ翳した。自身の死さえも顧みない、己の信念の証明が叶うと革新した、勝ち誇った笑みを浮かべ、その栄光を教授選と両腕を広げる)英雄よ……残念だったな。お前の信じた世界は終わりだ。私はこの命を賭してでもそうする価値があると信じている……ッ 」

モララー「……「命を賭ける価値」なんざに意味はねえよ。「命」より重い価値なんか端からねえんだからな。 」

ザハール「は、ははは……!お前にはわからんだろう、それ以上の"価値"を見出してきた、それ以上の価値を失った!!それ故に我々は集った、あの方の元に……!(先まで自身を圧倒していたモララーを前に、それ以上の存在、この世界そのものさえも恐れないと言わんばかりの勝利への確信。その歓喜を帯びて、悲鳴にも等しい声を捻りだす)   覇 皇 よ !! 来 た れ ッ !! 」


シ ・・ ・  ン  (ザハールの叫びが、更地となったフロア跡地に木霊する。返ってくるのは彼自身の声のみ、彼の言う覇皇は愚か、何者の救いの手もない。 しかし)


フ      ッ    (暗転。月明かりも、星明かりも、人工的な光さえも、ない。 視界が黒一色に塗り潰されたかのような現象が刹那、静寂と共に一帯を包む そして)


―――――"ソレ"は来た。


地上にある無機物は黒、生物は濃淡と輪郭を残したモノトーン、そして空は紅蓮一色に染まる。だが赤い空という異質なそれなど最早意識に介在しない。見上げる者達は、ある一点に意識が取り込まれていた。


ギ  ョ                口       ォ      (天蓋を覆い尽くすほどの巨大な赤黒い月……。ケイオスという天体を遥かに凌ぐであろうスケールのそれが、空に開いた"狭間"という眼球の中心で何かを見るために存在する"瞳"なのだと理解せざるを得ない)


ギ  ョ                口       ォ      (ソレはザハールとモララーを"見た"。ソラを覆う、ケイオスを飲み込まんとばかりにそびえる何かが、たった二人の人間と"目を合わせた")


ザハール「     ("絶望"していた。これまで、どんなに劣勢に立たされても、そして自らの命を擲ち、覇皇という切り札を切ろうとしていた彼が、それを一目みただけで戦意を喪失していた) がぅ……ちが、ぅ……貴様、じゃない……!契約と違う、私は条件を果たしたはずだ……!! 何が足りない、何が――――――(すがるような眼差しをモララーへ向ける。手には変身前に称していたナイフ。ここで"戦うことで許されるならそうする"と言わんばかりにそれを握りしめていた。最も、それがなんの意味もなさないことを、彼自身理解しているようだった) 」

モララー「―――――!(なんだ、空が、黒く……?なんだ、あの、「眼」は……っ……?)(空を覆い尽くす"瞳"と目を合わせ、本能的な危機感が過った) 」


『 魂を偽る事を、私は許可しない 』


ザハール「い、偽ってなどいない……!数字が万象を定理する、それがあるべき世界の形だとッッ 」


『 "秩序を渇望"し、しかし私という"混沌"の行使を望んだ。それは己への裏切りと断ずる 』

ザハール「("眼"が発した言葉に息を呑む。覇皇向けていた信頼は欠片もない。それは相手が覇皇にあらず、しかしそれに近しい恐怖の対象である故であることは明白だった)待" っ ――――――――― 」


『 再戦<ヤリナオシ>だ 』


■ハー■「―――――■■■■ーーーーー 。―■■■■ーーー―■■■■ーーー   4    」


ギ  ョ                口       ォ      ( "ソレ"は一度、モララー"のみ"に的を絞り、目線を合わせた。 陽光さえも飲み込まんばかりの深淵が続くその瞳孔は、刹那的に光を灯し……   "瞬き"をした   )


『 久しく闘争を愉しませてもらった 勝者への褒美を与えに遊びに行く   』


フ          ッ      (赤いソラは"眼"の瞬きと共に消滅した。 モララーは先までザハールと交戦していたフロアに残されている。 周囲のケンゾ物は愚か、今自分がいる建物には戦闘の余波による外傷さえなかった)


―――――そしてザハールの姿も、"初めからそこに誰もいなかった"と言わんばかりに、痕跡も含め消滅していた。


モララー「………――――(生命線が途絶えたであろうザハールから、それを下した頭上の"瞳"に視線を移すように睨み上げた) テメェは何モンd――――(そう問いかけた時――――) 」

モララー「――――――― ! (瞬きと共に何もかもが元通りになっていた周囲に困惑する。対峙していたあの富者の姿は影も形もなく、ただ自分自身のみが佇んでいたのだった。『アレ』は何だったのか。今となっては知る由もないが…―――)―――― またその内、だろうな (それを未来の話として自分の中で区切りをつけ、現在(いま)起きていることに直視しようと、奥のフロアへと駆け抜けるのだった―――) 」



Dr.@「(慌てふためきながら逃げ惑う構成員たちは逆方向へ、優雅な足取りで向かう先は爆音が絶え間なく轟く研究室。以前冷静な態度こそ垣間見れど、その瞳は憤りに満ちていたようにハイライトを失っていた――――) いったい何の騒ぎだい―――――!? (半壊した自動開閉の扉を潜り抜けた先に広がる光景に、初めて目を疑った) 」

???「  ォ   ォ   ォ   ォ   ォ   ォ   ォ   ォ   ォ   (。無残にも殺害れた構成員や研究員の屍、倒壊したコンピュータ、炎上する研究室。そんな、何もかもが崩壊した空間の中でただ一人だけ、泰然とした佇まいでそこにいた。全身を白い装甲で纏い、正義のヒーローを象徴するようなマント、素顔を覆う仮面。しかし、@の気配に振り返ったその存在は、"善意"を取り繕う外見とは裏腹に、見る者を戦慄させる恐怖を孕んでいた――――) 」

Dr.@「 お前は―――――ッ!?  」

??? → 仮面ライダーゼイン「 『 ゼイン 』 ―――― すべての悪意を駆逐する仮面ライダー  」

仮面ライダーゼイン「 \ スーパー1 / (自ら名乗り出た謎の仮面ライダー。彼が取り出すは一枚のカード。その表面には昭和ライダーの一人「スーパー1」が写し出されていた) カ シ ョ ン ッ ――――― \ 執行 / (そのカードを、腰に装着された得体の知れないドライバーの中央スロットへ装填。左側のレバーを引き抜くと、カードはシュレッダーにかけられたようにバラバラに刻まれながら足元に儚く舞い散った) 」

仮面ライダーゼイン「( シ ュ バ ァ ッ ) 赤心少林拳で終わらせましょう ――――― \ JUSTICE ORDER / (キレのある徒手空拳の構えから、今度はドライバー右側にあらかじめ装填されたプログライズキーを押し込んだ) 」

Dr.@「次から次へと… チ ャ キ ッ ―――― ダ ァ ン、 ダ ァ ン、 ダ ァ ン ッ ! ! (ついにその顔に怒りを全面的に剥きだすと、白衣の内側より引き抜いた銃型注射器「シリンゲス」をゼインへと突きつける。被弾した対象者を洗脳させる薬品が混ぜ込まれた弾丸を数発撃ち放った) 」

仮面ライダーゼイン「 フン―――ハッ――――ッツェエエイ (柔の構えから繰り出される無駄のない、洗練された動き。目視で弾丸の一つ一つを、素手で叩き落としていく)  と ぉ ッ ! (弾丸を退けると勢い良く跳躍) 」

仮面ライダーゼイン「   “スーパーライダー月面キック”!!    (赤心少林拳の極意の一つ。跳躍後に空中で月面返りをし、飾り気のない――だがその攻撃に確実な殺傷力を齎す――強力なライダーキックを繰り出した) 」

Dr.@「 づ  ァ゛  ッ゛  !  !  ?  ( ズ ガ ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! )(弾丸をことごとく退けられて驚愕する間もなく、幼女の体に容赦なく叩き込まれた正義の一撃に大きく蹴り飛ばされ、突き当りの壁まで盛大に激突した) 」

Dr.@「…ァ゛……か…は……ッ゛…… その、力……未知数、に…溢れて……――――――     ア゛     ッ゛     (  ズ  ボ  ガ  ア゙  ア゙  ァ゙  ァ゙  ァ゙  ア゙  ア゙  ア゙  ン゙  ッ゙  !  !  !  )(幼き少女の皮を被った得体の知れぬ探究者から零れだす青い血液。ゼインの一撃を直接その身に受けて理解した想像遥か絶する強さに魅入られながらも、その答を知ることもなく盛大に爆散した――――――) 」

仮面ライダーゼイン「――――― 『 荒らし《 プランダラ 》 』にしては弱すぎる。偽物でしたか。(爆散した悪意の権化、その残骸に一瞥を与えるも落胆したように踵を返す。崩落した壁の穴に向かって、逆光を浴びながら歩き進める。その遥か最果てには、『 幻影のように揺らめく巨塔 』が、微かに見えた気がした――――――) 」





マッド「―――― ズ ガ ガ ガ ガ ァ ー ー ー … ッ … … ! (その後、エドガーたちも尚も熾烈な激戦を繰り広げていた。疲弊し、傷つく彼らとは一方で、クロリアーの因子を注ぎ込まれた自分たちはその力の一端である"超速再生"により、傷を受ける度に完治する。そんなワンサイドゲームを続けていたが…) そろそろ、終わりにしよう。貴様たちも、それを望んでいるはずだ。我ら『藍の機関』の悲願を成し遂げるため…その礎となれ――――(傷が完治する…と思われた、次の瞬間――――) 」

マッド&カルナ&チャクル&メリィ『  バ リ バ リ バ リ バ リ バ リ ィ゛ ィ゛ イ゛ イ゛ ッ゛ ! ! !   ( ! ! ! ? )(突如として四人の体に迸る赤黒い電流。それは各々の意に反して逆流したかのように暴発し、彼・彼女たちの肉体を貪り尽くし始めていく――――)』

チャクル「ヅォ゛ァ゛…ッ゛……!?オ、オイ……ッ゛、んだよ、これァ……!? 」

メリィ「……は……ッ…?聞いてない、んだけど……こーゆーの……ッ…… 」

カルナ「…う、ぁ……は……ァ…… これは……ひょっと、して…… 」

マッド「おの、れ…副作用か…ッ…!?いや、我々4人との適合率は極めて高いはず…ましてや『因子』を4等分にすればそのリスクは大いに軽減されるとDr.も話して……―――――!(だがここで、ようやく根本的な事実に気づき始めたかのように目を大きく見開いた) 」

マッド「………そ、うか……ッ……違う…ッ…!!そもそも……『クロリアー』が不屈の精神を持つ強者にしか振るうことができないものだ… しかし、そんな者でも長時間『罪剣』に触れていれば、少しずつ…その精神力を貪っていくと「かの医師」も言っていた…ッ…!つまり……『罪剣《クロリアー》』は最初から、我々人間には有り余る禁断の力だったのだ……ッ…!!グゥゥ…ッ…!!(屈強な肉体が激しく痙攣し、もはや思うように肢体を動かすことも困難を極めていた) 」

モララー「――――――いいや、そいつぁ中らずと雖も遠からず、って奴だ。(ザハールを退けた隻眼の英雄が、遅れてエドガーたちのもとへ駆けつけてはマッドの発言に待ったをかける) 」

マッド「なに…ッ……? 」


クロリアーは『折れない』 これは所有者だった俺の言葉を信じてくれ。
物量で押して行けるような存在じゃあないんだ。
ただ、拒絶するほどにアイツは正の感情を嫌う。
だから――君が『語』ってやってくれ。氷冬


行ってこいよ。俺の分含めて説教してきてくれ


……寂しかった…苦しかった… 誰かを傷つける度に、「私」が傷ついていくのを…
誰かを殺す度に、「私」が殺されていくのを… 何かを壊す度に、「私」の中で、また一つ…
何かが壊れていくのを感じて……――――また、独りになるんじゃないかって…っ…


貴方は多くの"罪"を背負い過ぎた…でも、今――――― あなたは"罪"を断ち切った


モララー「―――――………(いつか何処かで見届けた『 閃劇 』。その一部始終を見知っているからこそ、断言できる。そう確固たる眼差しを突きつける――――) それがクロリアーの"意思"だからだ。テメェ等もご存知の通り、クロリアーは元を辿れば、一人の人間の計り知れない憎悪が生み出したモンだ。善悪はどうであれ、そこには確かに生前の"意思"が刻み込まれている。 」

モララー「だが、俺は知っている。その"意思"に語り掛けた強ぇ奴らを。刃と言葉で語り合ったすげえ奴らを。そいつらが、クロリアーに眠る本当の"意思"を呼び覚まさせた。そいつはもう…「罪」を司る剣なんかじゃねえ。 "負の感情に苛まれる自分自身の「罪」を断ち切るための剣" だ!!そんなことも分からねえから…クロリアーはテメェ等の意に反してんだよ…! 」

マッド「…バカな…ッ……?!クロリアーに…"意思"が…だと……ッ…!?これ、が……こんな、ものが…ッ…――――!!?(ふと自分の手足に視線を落とす。我が身を纏う赤黒い装甲に歪なノイズが走ったかと思えば、少しずつ、ゆっくりと霧散していく消滅現象が進行していたのだった――――) 」

マッド「………いいや……否ッ…!!断じて認めはしない…ッ!!でなければ、我ら『藍の機関』のこれまでの公卿が…すべて水の泡になってしまう…ッ…!!我々を御救いくださった総帥、幹部長に二度と顔向けできなくなる…ッ……!それだけは……それだけは……ッ……――――― チャクルッ!!! 」

チャクル「……ああ、同感だぜ……腹の括り時だよなァ…ッ…!!!(―――― ドガション、ドガションッ!!)(マッドの合図で四つん這いの態勢となり、その頭部…咥内から砲台を伸ばす。それは宛ら大砲形態とも形容できるものであり、続けて背面から三方向に差し込み口のようなデバイスが放射状に伸び出した) 」

マッド&カルナ&メリィ『  ガ  ギ  ョ  ン  ッ  !  !  !  (各々が手にしていた武器、その先端をチャクルの背面から伸びる接続デバイスに差し込む。すると、三人の体からそれぞれの武器を介して、チャクルに『罪の因子』による膨大なエネルギーが注ぎ込まれていくのが分かった)』

チャクル「 ギュイン、ギュイン、ギュイン、ギュイン…ッ…―――――――(三人から流し込まれるエネルギーを糧に、咥内から伸びる砲口の先端に赤黒い電流が迸るエネルギーが集束しはじめていく――――) 」

マッド「ならばせめ、『罪の因子』が完全消滅する前に…そのすべてを使い果たして貴様等を滅するッ!!!我らの"怒り"を込めてッ!!! 」

カルナ「…"哀しい"けれど、これで、お別れね… 」

メリィ「でも、ようやくみんな"楽"になれるよ、よかったね 」

チャクル「ああ…"喜ばしい"程に…、な…ッ……! 」

マッド&カルナ&チャクル&メリィ『―――――――― “ 影 光 《  グ ロ リ ア  》” ――――――――』 」


┣¨       ギ       ュ゛       ォ゛       オ゛       ッ゛      !    !    !    !   (4つの感情を乗せた大罪の如き破滅の閃光弾。放たれた直後は小さかったそれが、大気中に散らばるエーテルと化合して一回り、二回りと肥大化し、やがて太陽を彷彿とさせる程の絶対的な勢いを増した巨大な光弾へと進化し、対峙する者たちへ最後の一撃として解き放たれた―――――!)


ウェルド「果ては暴走、そして最後の一撃とは……全く、何が『罪剣』だ、何が『意思』だ、理想でさえもない、下らない妄想の果てがこの様。子供さえも巻き込みやがって……!(魔力と"気"を練り上げて折れた刀へと乗せて光弾へと向け、小さな"気"の弾丸を放ち―――閃光弾の中心に、小さな穴を開け)……苦手科目でしたが、最低限は……中心から切り開ける…! 」

森ノ宮「"中心"だな、芯からぶち抜けって事か、嫌いじゃないアイデアだぜ、ウェルド……!!(全身から再び紅い"気"を迸らせ、果敢にも閃光弾に真正面から拳を振り上げ、超高速で突進)――――――東雲流、『餓 狼』ッッ(閃光弾の中心、ウェルドが開けた穴の部分に拳を叩き付けると共に、爆発的な"気"の波を浴びせる!) 」

ヒロ「諦めの悪いやつだ……!(手を前に突き出し、土を集中させる。それが大きな球体になった瞬間に光弾に向けて放つ) 」

エドガー「許されて欲しい。己に過ちを抱えちまったと思い悩む連中が願うことは大概そんなもんだよ。 でもな―――――― 」

リズ『魔術を習得したい?』 」

エドガー『手数は多いに越したことはない。母は魔女だった、なら俺にもその適性が……』 」

リズ『 ない。 これは近い内話すつもりだったが……君には"魔術回路"がないんだよ、エデイ。あの魔女が君にそれを継承しなかったのか、できなかったのか定かではないが 』 」

エドガー『ま"っ……!? いやいや、蒼炎は扱えるじゃないか。』 」

リズ『それは"対万象の炎"という"魔法"を刻印した義手のおかげだ。それは"掃滅の炎"の火種を刻印した呪具に等しい。私が純粋に我が子の幸福を願うなら、そんなものは縫い付けなかった』 」

リズ『その腕を媒介にした魔術を行使することは理論上可能だ、だがよく考えて決めたほうがいいだろうね。その炎は"陽を喰らう黒の魔力"と、概念を拒絶する"蒼の魔力"、陰陽一体という危ういバランスの力だ。燃料として扱う場合、その均衡が崩れ君自身をも飲み込むだろう』 」

リズ『悪童ボガード……一昔前の君こそが、君の母が望む姿だったと証明するかもしれない。 何せ、世界を、運命を呪い、我が子に受け継がせるだけの理由があの女にはあったのだから―――――』 」

エドガー「――――何も特別な事じゃねえよ。あの時のどうしようもない悪童も、例えあの人が世界の掃滅を願った魔女だったとしても、それは特別な事じゃない。 苦しむのは当たり前だ、涙を流したっていいんだ、怒り、憤る権利が人にはあるんだ。それを罪だと唄うなら(両腕を広げ、掌を合わせる。左には魔術による蒼炎を、右手にはクロリアーと義手に刻印された呪いを宿し……) 」


ポ  ツ  ……・・・ ・  ・  ・   ・ (青白い発光体と赤黒い球体、相反する二つの"炎"がぶつかり合い、空間に歪みを生んで爆ぜ、混ざり合う)


エドガー「 【陽喰いの蒼月<イクリプス>】  (十指の先に、周囲の物体も、魔力も引きずり込み焼き尽くす"陽を飲み込んだ青黒い月"を生み出す 呪いと万象の炎、反発し合うエネルギーが調和し、陰陽一体を成した )――――人生という罰を生きていく (それを、罪剣の放つ極光へ放ち、空間ごと"無"と"灰"へ帰す) 」

スパイダーマン「悪あがきだな。……教えてやる。八極ってのは大爆発の事……(”震脚”。周囲の皆の放った一撃、それが開けた風穴を見て脚運びが緩やかに、しかし素早く動き出す。全ての体重が力の指向性を得て、勁となって全身を伝わり) 」


ズ    ッ


スパイダーマン「……つまり、核爆発の事だ(力の通り道。皆の攻撃が切り開き、穿ち抜いた先の一切の抵抗のないそれを、シンプルに人体の硬所、肘にて、最大限の力運びで、打ち抜いた) 」

モララー「………―――――――(最後の衝突戦に臨む者たちに加勢を…しない。その後方で、彼ら自身の戦いを見守ることに徹した「隻眼の英雄」は、拮抗の衝撃で迸る閃光の中にかつての朋(とも)を想い―――――) 」


ウンザリしてんだよ。俺も、『アイツ』も


『過去(俺)』に囚われすぎちゃあ肝心の『未来』が見えやしない


一緒に『未来』観てくれるやつが必要だ


モララー「―――――― その『未来』に、賭けてやろうぜ。なあ、『レインド』 (――――― 静かに、笑った) 」


ビ ギ ッ゛   バ ギ ィ゛ ッ゛   パ ギ ャ゛ ァ゛ ッ゛ ――――――― (「罪」に抗う彼らの揺るがない意思が、それを込めた渾身の一撃が、今――――――)


――――――――――   バ     リ゛     イ゛    ィ゛    ィ゛    イ゛    ン゛    ッ゛    !    !    !    !   (――――――――― 「大罪」を砕き切った)


マッド&カルナ&チャクル&メリィ『      !    !    !    !       』


世界が、その瞬間だげ、静寂に包まれる。音を失った世界の中で、無機質な施設がその半分を消し飛ばされ、残骸が火花のように夜空の向こうへと飛び散っていく―――――


長時間と続いた発光の果てに、徐々にその光が薄れて光景が視界に映し出されていく。「藍」は砕け、「青い」星の煌めきが曝け出された夜空が広がっている。やがては静寂に覆われていた世界も音を取り戻したのか、微かに、残骸が崩れ落ちる音が余韻のようにコツコツと刻んでいた――――


チャクル「―――――――(鉄機人だったその者は、全身を覆う黒い外装が砕け、その内側より幾つもの焼け焦げたケーブルが剝き出しとなり、不規則に電流を走らせていた。動力を失ったロボットのように、もはや再起動する兆しはなかった――――) 」

メリィ「―――――――(アンニュイな雰囲気を醸していたその者は、小柄な体を覆う衣装を溶かし、横向きに倒れ込んでいた。気怠さの果てに不貞寝を決め込んだかのように――――) 」

カルナ「―――――――(悲哀を零していたその者は、白い素肌を焦がして仰向けに転がっていた。何かに縋りつくような祈祷の杖は砕け、流していた赤い涙はやがて本来の青に戻っていた―――――) 」

マッド「――――………ォ……ァ……ッ゛……(その中でただ一人、屈強な怒りを抱くその者だけは、片膝をついて蹲っていた。敗北を喫した4人に共通することだが、赤黒い装甲と、そのオーラが消失し…元の姿に戻っていた。彼らの身に蓄えられた『罪の因子』が綻びを見せ、『罪剣』が本当の意味でこの世から消失していることを意味するかのように―――) 」


『 青は藍より出でて藍より青し 』――――― その昔…我々を導き下さった幹部長から教えられた諺だ


あの方は、「藍」の遺志を継ぐ者たちに期待を寄せられていた。人間が生まれた時より授けられた「感情」の、負なる側面を取り除くことができたのなら…誰もが幸福たり得る、と。その悲願を成し遂げるまで、「藍」はその根底に在り続けるべきなのだと…


怒りに苛まれ続けていた私も…涙を流すことしかできなかった妻も…喜びを感受できなかった同僚も…気楽に生を謳歌できなかった後輩も……


我々は…「藍」より出でた「青」になるには、まだ足りなかったようです。しかし……それでも……


きっと、少なくとも……"救われた"のだと、そう実感したい―――――――――


マッド「―――――――  ド  サ  ァ  …  ッ  …  …  !  !  (そして男は、対峙した者たちには何も告げることなく、白目を剥きながら絶命し…前のめりに倒れ伏したのだった―――――) 」

モララー「…………(決着―――戦闘不能になった4人から、いつか閃劇の舞台で感じ取ったクロリアーの気が感じられなくなったことを知り、静かに目を伏せた) 」

ウェルド「(倒れた者達を俯せに蹴り転がし、一人一人手錠を掛ける)……まあ、アレを見た後だと、起き上がらないとも限りませんしね……『クロリアー』を黙らせられたのは事実の様ですから、一先ず安心ですが……あの娘を探さないと行けませんね、他に敵が居るかもしれませんが、散会してさっさと見つけ出しましょう 」

森ノ宮「――――――――ッハアァァーーー(盛大に溜め息を吐くと共に、脂汗の滲んだ顔を顰めてその場に座り込む)………元気そうだな、お前ら………ゼェ、ハァ……こっちは少し頑張りすぎたらしい、相手は資料でしか見る事なんざ無いと思ってた『罪剣』だ、こんなもんで済んだだけ有難い、か……場所の検討は付きそうか?普通に考えれば奥に軟禁場所がありそうなもんだが…… 」

エドガー「よお……これが元気そうに見えるか……(腕を前に突き出したまま倒れたため殆ど止まるんじゃねえぞのポーズ) 頭痛がすらぁ……(生霊の継承)吐き気もだ……。あと16時間以内にエーヨンモールにいかないとフライパン在庫処分セールが終わっちまうし、マグロの解体ショーに行かないと中落ちを安く買うこともできなくなっちまう……ッ いいからっさと行くぞ……特売日が……待ってるんだ……ッ!!(痙攣して立つこともままならない状態で這って進む) 」

スパイダーマン「……ふぅ、ボロボロになっちまった(ところどころ破けたスパイダーマンスーツを見て、残念そうにパンパンと埃を払って)……こんなになっちまったけど、仕事はまだ残ってるな。スパイダーマン名乗んなら……人助けしねえと 」

ヒロ「…………やったか………(4人を見て)………あの子は、果たしてどこに…! 」





※EDが始まるまで、ここからはアイスを作る右京さんとバナナ猫と愉快な仲間たちにしばらくお付き合いください※


杉下右京「フルフル♪フルフル♪フルキャラアイス♪ 」

バナナ猫「フルフル♪フルフル♪フルキャラアイス♪ 」

こころちゃ「フルフル♪フルフル♪フルキャラアイス♪ 」

セイ〇ン「フルフル♪フルフル♪フルキャラアイス♪ 」

偽マフティー「₍₍(ง🎃)ว⁾⁾フルフル♪フルフル♪フルキャラアイス♪₍₍ᕦ(🎃)ᕤ⁾⁾ 」

神戸尊「何やってるんだお前ら……(ドン引き) 」

ヒロ「えっ明日ED!?(糖分をとって思い出す) 」

うさぎさん「しかのこのこのここしたんたん★しかのこのこのここしたんたん★(以外!!それは、トキッ!!(甲虫、出世魚、幻獣種)) 」

いかりや長介「アイスの作り方を説明しますとね。牛乳とバナナに卵黄を入れてバナナシェーキみたいにしてできあがった原液を金属の缶に入れ蓋をするんですよ。そして缶に紐をこうやてくくってをれを氷の中に入れこうしてフルフル♪フルフル♪フルキャラアイス♪(氷の容器で缶を回転させる) 」

アイスラン・ザラ「トゥトゥ!ヘァヘァ!トゥ・ヘァ・アイス! 」

フルキャラあおむし「(踊りながらアイスを作るハロウィンのアルバイトをしている) 」

ヒロ「Wow Wow Wow!ロリを食え!wow wow wow!ヒロ!wow wow wow!小鈴食え!!!!(トリコの節でアイスを奪い取りガツガツ食べる) 」

いかりや長介「コラ!みんなで食べようとしたアイスを独り占めするのはやめなさい!!(ヒロをメガホンで叩く) 」

ヒロ「ちい!!ちゃん!!!ハッスル!!!!!(キン肉マンの節でぶっ叩かれる) 」

タライ落としちぃちゃん「(無言で全員の頭にタライを落とす) 」

逆走G「うわ!前からゴキジェットが! 」

解説璃奈「Gは後退ができず前身しかせず左右にも動きますが、翅を持っているため羽ばたいて降りて行きます。(ジェットをかました張本人) 」

ヒロ「ソル!(六式・剃を発動してタライ全てに当たりにいく) 」

ダイナマイトちぃちゃん「(懐の中で爆発する) 」

デッドプール「(ベンチを設置する) 」

ピカマン「(ベンチに座る) 」

デッドプール「(ピカマンの眉間を撃ち抜く) 」

新(入りの)猫「ハッピーハッピーハッピー♪(新キャラ特権のベンチを発見して座りに行こうとする) 」

シン(入りの)・猫「 ドゥーン チチチチン……(ベンチに座られている) 」

ピカマン「(ベンチに座る) 」 」

デッドプール「なんだよ!!!!もおおおおおおお!!!!!また(ピカマン)かよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」

地雷ちぃちゃん「(にょぽむ宅内に張り巡らされている) 」

ヒロ「H・U・S・C・L・E ハッスル!H・U・S・C・L・E ハッスル!3・2・1!ちぃちゃん!!(剃による高速移動で地雷を全て踏み抜く) 」

AIさん「(ネットワーク上でカメラに無断接続)これでにょぽむは葬られ…るはずだけど… 」

謎のブジンソード「マッスルスパーク!!!(ヒロとにょぽむ宅とついでにAIさんを切り裂く) 」

AIさん「(PCごとやられデータ消失) 」



茅弦「――――――……ん………っ………(目が覚めた時、目元を覆うバイザーは既に解けており、外の形式がうすぼんやりと視界の中に飛び込んでくる。倒れ込んでいた態勢から上半身のみを起こして振り返ると、そこは半壊した何処かの一室。拘束椅子、怪しげな機材などが瓦礫と共に点灯する中に、自分はいた) 」

茅弦「………!(そして気づく。そこにいたのが自分一人ではないことを)………『お父さん』………っ……(反対側に振り返った先に横たわっていたその人物へと手を伸ばしながら、立つよりも這うように寄り添っていく) 」

ポール「――――――……ぉ…………?(少女の声にゆすぶられるように、うつ伏せに倒れ込んでいたその男性もまた目覚めていく)…………『茅弦』……か……?(まだ視界が定まらない中で、辛うじて目に浮かんだビジョンから実娘だと気づくと、安堵したように小さな溜息を零した) 」

茅弦「………ス……(全身を這い、ようやく父親の手に触れることでその再会を果たす)………無事で、良かった……(依然として表情には感情は伴っていない。しかし…) 」

ポール「――――― ギ ュ ッ (近寄る娘を、その両腕で抱きしめた)………茅弦…お前も、無事で本当に良かった……!心配かけて…ひとりにさせて………すまなかった…っ……(罪の因子による感情変質。その影響による場違いな笑みを零しながらも、その声音を迫真に震わせて、少女を強かに抱き寄せる) 」

茅弦「―――――!(抱きしめられたことで、普段より瞼を重たくしていた少女の瞳が、いつもより大きく見開かれた)………(はじめてのような感覚に近い、とてもとても久しぶりの感覚。最愛の家族から受けた寵愛。いつか、幼き頃に感じていたものが、大きくなった今になってまた感じ入ることになろうとは、夢にも思わなかったのだろう。自分は決して、父に見放されていなかった。その事実を確かに感じ取り、表に出ることのない「感情」が、揺らぐ――――) 」




ポール「……本当に……本当に……たくさんの苦労をかけさせてしまった… 茅弦にも…お母さんにも…… 私が不甲斐ない父親だったばかりに、その幸せを奪ってしまった…。だからせめて、茅弦だけでも…幸せにしてあげたかった…幸せに、生きていてほしかった……っ……  」

茅弦「……………… 」

茅弦「………………お父さん……―――――― 」

茅弦「――――――― 幸せだよ。だって、『お父さん』がいるから。 (無表情の少女の瞳、その奥で揺さぶられた感情がついに『涙』となって零れだした。生まれて初めて生み落とした、自分だけの『感情』を――――) 」

ポール「………? ………!? (茅弦の涙ぐんで震える声音に違和感を覚え、抱きしめていた体をそっと話す。そして、目撃する。今の今まで、涙を流したことのなかった娘の姿を――――)………茅弦……「泣いている」…のか……っ……?(思わず彼女の両肩を掴んでその表情を伺う) 」

茅弦「……………「泣いている」……?(自分が涙というものを流していることすら気が付いていないのか、ふと目元を指先で拭い、その水滴に視線を落とす。生まれて初めて見る「感情の具現」に、驚いたように目を丸くした) 」

ポール「………!(「信じられない」と言いたげそうに掴んでいたその手を離す)………(まさか……いや、そんな……こんなことが起ころうとは……っ… これは………奇跡、か……?)(呆然と、涙目を浮かべる娘の姿に見入っていた。そして―――)……そうか……そうか……♪(――― 心の底から、"笑った"。強制された感情の弊害を押し切って、自らの意思で、娘の成長を喜ぶように、父親は…微笑んだ) 」

茅弦「………―――――― ♪ (涙に塗れた瞳を上げて、微笑む父親と視線を交わす。少女の意思かどうかは定かではないが、この時、口元が微かに緩んだような気がした―――――) 」


かくして、感情に苛まれた親子を巡るこの小さな事件は、幕を閉じたのだった―――――



寄宿舎


バナナ猫「ハッピー!ハッピー!ハッピー!(例の事件の謝礼を待ちわびている) 」

杉下右京「そんなものはなァァいッ!!!!!!(バナナ猫にアイスの請求書を叩きつける) 」

バナナ猫「イィ~~~~~~~イィ~~~~~~~😭 」

茅弦「―――――…………(あれから数日後、久しぶりに寄宿舎へと訪れる。その両手に大きな紙袋をひとつぶら下げて。ロビーに踏み入れるな否や、誰かを探すように周囲を何度も見渡した) 」

ヒロ「……誰かをお探しかな?(茅弦に声をかける) 」

エドガー「 ガタァンッッ バンッッッッ バンッッッ(恐ろしく殺意の高い喧騒の後、キッチン奥から食パンをくわえジェラルミンケースを担ぎエプロンを引きずり殺虫剤・回覧板・集金袋エトセトラが詰まっている手提げ袋を引っ提げ、鬼気迫る形相で飛び出してくる) ママサンバレー代理!!町内会集金代理!!シロアリ退治代理!!しいたけマン駆逐代理!!壁殴り代理!!ガチャ代理!!結婚式の参列者代理!!代打バッター!!誰だこのスケュール組んだ便利屋!!!!過労でぶっ倒れるなら最初から受けるな人に押し付けるな!!!!クソ!!即日で仕事触れる暇人いねえかなぁ!!!!!(ガタッッッ ガタッッッ) 」

しいたけマン「(ボロボロにコテンパンにされた状態でエドガーに引きずられている) 」

茅弦「……!(ヒロ、それからすごい剣幕でやってきたエドガーに気づいてぺこりとお辞儀する) 」

エドガー「ココハキサマノスムセカイデハナイ!!(しいたけマンを封印(冷凍庫にぶちこむ)) はあっ、あとタスク幾つだ…… あっ(既に疲れ果てた顔で野菜ジュースを飲みつつ寄宿舎を出ようとし、ようやく茅弦に気付き目を丸くする) ああ、久しぶり。その後ポールさんはどうだ(淡々とテーブル上の贖罪を弁当箱に詰め込みながら) 」

茅弦「…うん、とても、良い感じ。……昨日、二人で、お母さんのお墓参りも、してきた。お父さんも、私も……これから、前を向いて、いこうって…。 ……あと、これ……お礼の……(そう言ってエドガーに紙袋を差し出す。中には有名な銘菓のギフトが入っていた) 」

ヒロ「ほぅ、よかったじゃないの(エドガーを横目で見て)………そうか。親父さんも………良かったな(小声で呟き) 」

エドガー「――――(母の墓参り。その存在が忘却されていなかった事に安堵し、口元が綻ぶ。)そう、か……よかった。少しずつでいいさ、立ち止まってもいい居場所が茅弦にはあるんだ(どこか羨ましそうに目を伏せると、差し出されたお土産にきょとんとし) …………。ああ(お礼と言われやっと意図を理解し頷く) ウェルドと森さんは……あれから会ってないな。 ありがとうな、みんなで分けるよ。 」


~!!!♪(寄宿舎前に大音量でチャルメラの音が鳴り響く)


茅弦「うん……♪(ヒロとエドガーに、強かに頷いて答える。藍も変わらず無表情だが、最初に出会った頃よりどこか声も高く聞こえたような気がした)」

エドガー「(罪の因子は消滅した。ポールも、この子も少しずつ……少しずつ、自由に感情を出せるように慣ればいい……) ああ、そうだ。少し待ってな(掌で拳を弾ませ、キッチンに戻る。どこか覚えのある音が厨房から響くと、程なくマグカップを手にロビーへ戻り) 今度はポールさんも来ればいい。俺は常駐じゃないけど、これも含めてここのメニューは小悪魔が作ったものだ。誰かしら用意できるはずだから( レモンティー。以前茅弦が気に入っていたものと同じそれを、卓上へ置いた) 」

長州力「あぁ?誰も来ねーってのか?!(ラーメン屋の主だが、キレて走り去る) 」

逆走爺「うおっ前からラーメン屋が!!!!!!!!!(ぶううううううううううううううううううううううううううううううんどっがあああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!)(長州力と衝突した挙句大爆発する) 」

桐生チャン「おい、キレてんのか長州 」

長州力「おいなにしやがんだジジィ!!!(さらに火に油を注ぎ、逆走爺にラリアットを見舞う) 」

茅弦「   ! !   (『レモンティー』―――僅か短い間だったが、自分にとっては随分長く馴染みのあるようなそのあたたかな飲み物にはっと息を呑んだ。沸き立つ白い湯気。ほのかに香甘酸っぱい香り。低温に温まったマグカップ。実家のような安心感を覚えるそのお気に入りの飲み物を手にすると、少女は―――――) 」

茅弦「――――― " ありがとう " ―――――( はじめての、"笑顔"を零したのだった ) 」












――――― 『 涙は藍より出でて藍より涙し 』 ―――――







――――― f i n . ―――――














~とある田舎道~


ガイル「うむ、空気が美味い。鳥達の囀りも、我が心を宥める母の声が如く 」

チャーラ「うるせぇよなァァァガイルさんよォォォ 」


旅路は三人。寝具やカンテラ、作業靴など、パツパツになったナップサックを三人共背負い、緑の背景と、茶色の道を、我々は歩く。


チャーラ「慈善事業なんて目立たねぇし、こんなクソ田舎さっさと抜け出さねぇ???マジ無理なんだよ俺大人しくしてんの 」

ガイル「そういいつつ藍の機関に在籍せず。我々と共に慈善の道へと進まんとしているではないか。其方の心は、闇夜を照らす太陽が如く、利他的にならんとす 」

チャーラ「うるせぇよなァァァガイルさんよォォォ 」


この眼で真実を見てきた。それは虚栄でもあった。我々は……私は、縋り続けてきたのだ。その感情の象徴に。


チャーラ「俺は目立てりゃそれでイイんだよ。テメェらに付き合ってんのも意外性からくる俺だけの目立ちだ。おとなしそうな顔一生しとけヴァァァカ 」


ガイル「3日程滞在した寒村にて、其方の奇抜な所作に村人は心に灯を与えられたと。海よりも、空よりも美しき、真なる道徳ではないか 」

チャーラ「うるせぇよなァァァガイルさんよォォォ 」


それでも素直にいよう。きっと私たちは、罪剣に、そして長に魅入っていた時も心奥底で信じていたのだと思う。人の心の増幅を。


ガイル「して、次は如何なる地へ 」

チャーラ「どうせ気ままに旅すんだろ。おい、どうなんだ 」


怒りと悲しみは捨ててきた。でも、この旅でそれらも拾い、抱えていこう。


喜怒哀楽。全部があって、わかりあっていこうじゃないか。


ルグネ「次会った人を、本当の『笑顔』にしていきましょう(「藍の機関」の事件が綴られた新聞紙を丸め、ナップサックのサイドポケットに挟む。機関に居た頃の彼の、貼り付けたような余裕の笑みではなく、自分のこれからへのワクワク感を隠しきれていない、普通の笑顔で) 」



―― 寄宿舎 ――


エドガー「(日没。陽光が地平の境界線となり帰路を征く人々のくたびれた喧騒が遠くなった頃、ようやく寄宿舎の前に軽バンを留め、戸をくぐり抜ける) ――――もう二度とヘルプは受けない……寝る、一週間ぶっ続けで寝てやる……(眼にクマを作り、顔を腕で拭いつつ人気のないロビーをぐるりと見渡す。壁に吊るされた勤務表に一瞥をやり、"明日勤務の人物"を確認してホッと胸を撫で下ろした) 」

エドガー「(相変わらず、人が集まる場所には厄介事が集まる。同時に、それを解決に導ける人手も集まるはずだ。今回はたまたま自分が手を貸したが、また別の何かがあれば別の誰かが手を差し伸べるだろう。そう安堵し、タイムカードを押そうと事務所のとを開こうとしたその時だった)………。(ふと、玄関に振り返る。下駄箱のスリッパの数が減っている。それ自体は珍しいことではない、だが人がいるにも関わらず寄宿舎が異様な静寂の中にあることに気付き) カランッ (冷蔵庫の方向から、空き缶が転がる音が木魂した。 右拳に手を添え、僅かに魔力を流動させつつ、その方向へ足音を消し歩み寄る……) 」

白髪の女性「――――― カランッッ (冷蔵庫の前には、そこだけ空間を切り取ったかのように"存在感が欠如した"人物が佇んでいた。 陶器のような肌、太腿まで伸びた長髪。覇気のない銀色の瞳、何を考えているのか読めないというより、明らかに何も思考していない無表情。 黒のジャージをしだらなく着込み、サンダルで瓶を片手に歩むその人物は、エドガーとほぼゼロ距離になるまで接近し……)…………  あ っ 。 (ようやく彼の存在を認知した。呆気にとられ、脱力感しかない声を発すると眼を丸くして沈黙が流れる)…………。 」

エドガー「……………。 」

白髪の女性「…………。  スタスタスタ(会釈し、そのまま肩透かしにその場を後にしようとする) 」

エドガー「いやいやいやいや。いやいやいやいやまってまってまって、おかしいって、そうじゃねえだろって(ギャグチックに腕を伸ばし肩を掴んで引き止める) あんた誰だ。一応言っておくが冷蔵庫物色しにきた空き巣にしか見えてね―ぞ 」

白髪の女性「まって、わかった、わかったから話を聞いてくれ(くるりと踵を返し、降参と言った具合に両手を上げエドガーの方を向く)……………。 じゃそういうことで(しばらく沈黙して目線を合わせ一方的に頷くと、踵を返してその場からスタスタ去ろうとする) 」

エドガー「 あはいどうも、おつかれさまでした。   ・・・・・・。  ―――――じゃねえだろおいッッッ(玄関口へキーパーよろしくブロッキングの体制を取りスライド移動する) ここに訳ありが押し寄せてくるのには慣れてる!!空き巣ならそれなりになんか持っていこうとする筈だしあんたにその気がないのもわかったッ!!だが用ぐらいは言っておけ!!怖いからッ!!怪異とかそういうのだったら怖いからッ!! 」

白髪の女性「……………。(眼が「めんどくさいなぁ」と訴えかけている) しかたない。"物"を渡しに来ただけなんだ。以前……あー結構昔か、ここの住人に迷惑をかけたのと借りがあってね(そう言うなり、ひきずっていた紙袋の前にかがみ、中身を一つずつ取り出して雑に床に置いていく)ええと……ああ、これはお詫びの品だ。"君ならわかるだろう"、今度来た時にでも渡しておいてくれ (そう言って取り出したのは"仮面"。四枚重ねになっており、それぞれ色彩と表情豊かに"喜怒哀楽"を表現しているかのようだった) ―――――で、こちらが礼の品だ。(どろりとした液体が詰まった瓶を置く。ラベルはない) 」

エドガー「…………(仮面?これに用がある奴なんて誰か……―――)――――― う わ (仮面を手に取り思考していたところ、強烈なインパクトを放つその瓶に苦虫を潰したような顔になる。その液体の正体は一目みただけで看破できた)―――――なんでマヨネーズを瓶に詰めてるんだあんた……えっ、これ礼?嫌がらせじゃなくって?(ドン引き) 」

白髪の女性「うん。マヨネーズ酒なんだ……その人はマヨラーだったと聞いてね。(よっこいしょと言いながら腰を持ち上げ……   )   フ ッ     (音もなくエドガーとすれ違い、既に寄宿舎の外へ足を運んでいた。走った形跡はなく、呼吸一つ乱さず、しだらない足取りのまま) ――――よろしくお願いするよ。そこに置いておけば、きっと受け取ってくれるさ。 」

エドガー「   カタンッ (振り返った頃には既に玄関の戸が閉まり、窓から差し込む陽光が揺らめくだけだった。呆気にとられ、床に置かれたそれらを前に絶句する)マジでなんだったんだアイツ………(嵐のような……"何か"だった。敵意はないし、悪意も感じない……というより   何もなかった ) 」

白髪の女性「(既に寄宿舎が豆のように小さく見える程遠ざかった街道をマイペースに歩く。行き交う人々、一瞬の強風で揺らめく草木、この世界ならではの奇行に走る混沌とした人々。そいった万象の一切が瞳に映らず……)…………("遠く"に見える何かに反応を示し、ようやく足を止めた) 」

杨「  カッ カッ  カッ   (ジャケットのポケットに両手を突っ込み、足取りを僅かに早く、白髪の女性に向かって歩を進める。白の人民服、金の短髪、目立つ特徴といえば頭に巻いた派手な柄のターバンといった容姿の青年。その目つきは鋭く、明らかな殺意を眼光に潜ませ――――)―――――色泉前駅で集合。そう、打ち合わせましたよね(惜しげなく、それを吐露した) 」

白髪の女性「………。 クイッ クイッ クイッ(顎に手を当て、右を見る、左を見る、空を仰ぎ見る。首を捻り……) ―――――― 杨 (冷気を帯びた、吐息が可視化できそうな冷たい声を発し刺すような目を向け)  過去のことは水に流そう、今は他に優先すべきことがあるあはずだ(キリッッッ) 」

杨「(音もなく女性の背後へ気配を殺し"移動"、さながら蛇のように腕で首を拘束し)     ゴキッッッッ    (ヘッドロック、へし折りに掛かる)  好<ヨシ>って言うわけねえよな?(青筋を無数に浮かべ、耳元まで裂けそうな引きつった笑みを浮かべ"へし折ったにも関わらず力を入れ続ける" しばらくそうしていたが、やがて脱力し……)――――――あんま"覇皇様"を待たせんでください。あんたが遊んであげないとまた星が一つ消し飛ぶんですから……(拘束を解き、埃を払うようにして女性のジャージをはたく) 散歩は終わった、でしょ?  」

杨「    【 対 成 す 者 】   」

白髪の女性「………。パンッ パンッ   グギッッ(自身でもジャージの埃を払い、仕上げに自らの首と顎へ両手を添え、捻り、元の位置に戻す。 初夏、梅雨入り間近にかかわらず乾いた木枯らしが駆け抜け言葉にならない"世界の悲鳴"は駆け抜ける中、"それ"は呆然と佇んで沈黙し、ようやく顔を上げると……)    うん。  (―――――瞳という水面に、"赤"が閃いた) 」



~荒れ果てた荒野~


モララー「 バ サ バ サ バ サ … … (崩壊した機関本部を越えた、それはそれは最果てまで続く荒野。そんな広大な大地の上を、隻眼の英雄は砂埃を運ぶ西風に抗いながらひとり歩む。首に巻いたマフラーを靡かせて―――) 」

モララー「………(ふと立ち止まると、いつか大切な人から貰った『古びたマフラー』を握りしめ、それを見つめて瞑想する) 」


―――― 「 俺は…裏切り者だ… 放っておいてくれ……! 」 ――――


――――「 放っておけるわけありません!だって…先輩は、私にとって…たったひとりの先輩ですから…! 」――――


――――「 これから…どうすればいい……?何もかもを失った俺は、これから…何のために…… 」――――


――――「 先輩の自由に生きればいいのです 」――――


モララー「――――― 『 自由 』、か……いつ口ずさんでも、心地良い響きだよな。誰よりも自由人だった『お前』が、あの時の俺には心底羨ましかったのだろうな。だからこそ、自由に生きる今が、こんなにも清々しい。やっと、俺の進むべき道が拓けたようだ。 」

モララー「 ありがとな…――――――『      』 (振り返った景色。そこにはいない誰かの名前を口ずさむ。その名前は突風に掻き消され聞こえなかったが、風は名を攫い、いつかきっと本来の持ち主に届くだろう。そう信じて不敵にほくそ笑むと―――――) 」

モララー「――――  ブ  ワ  ァ  ッ  (『 英雄 』はマフラーを靡かせて踵を返す。金もない、夢もない。だが、いつしか誰かから貰った『生きる意味』を胸に、彼は人知れず新たな旅に出るのだった――――) 」



~月見浜 石韮探偵事務所


笠間「それで、肝心な所でウェルドさんとお片付けを優先して大事なところに立ち会えず、"雲龍"で無茶したからその後ぶっ倒れて今はそんな状態って……いくら何でも不器用すぎっすよ、甲ちゃん……(石韮探偵事務所内、来客用のソファーに堂々と座り、包帯だらけの森ノ宮を呆れた目で見ながらいなりあげもちを口に運び) 」

森ノ宮「あの場じゃあ無茶しねえと切り抜けられなかったし、あの娘に一番信頼されてて、かつ一番腕が立つのは俺じゃあなくあの猫かエドガーの野郎だし、"場"はさっさと片付ける必要があった。それに、目的が達成された後でろくでもねえ警察官と胡散臭い探偵がウロチョロしてちゃあ気が休まらんだろ。空気を読むもんだ、こういう案件の時は特にな(首元の包帯を軽く掻き、キーボードを叩きながら笠間には一瞥もくれず、心底面倒そうに返し)……実際、"雲龍"を使ったとはいえ、ここまで消耗するとはな……鈍ってるな、こりゃあ…… 」

笠間「モッチャモッチャモグモグモグモッチャ……(夢中でいなりあげもちを咀嚼し、飲み込み…)うわっこれうまっ……そんな大けがして、なんか爆発事件に巻き込まれた難波さんも骨折れてんのに連れてって……結構落ち込んでたんすよあの人、女子枠として!不安そうな娘のために!つって行ったのに……余計なケガ無くて良かったっすけど…… 」

森ノ宮「私が行ったのにー!ってツラしてんな?お前は学校あるだろうが……泊まり込み前提で考えたら難波連れてくか俺が一人で行くしか無かったんだって……でもまあ、あんな連中とやり合うって分かってたらお前を連れてったら幾らか楽だったろうな……難波は"戦えない"ってのも良い所なんだが。今回みたいな案件だとその方が相手に安心感を与えやすいんだが、結果的に危ない目に合わせちまったしなあ……あいつの取り分には色付けとくよ 」

笠間「なーんでそういう所は気を使えるくせにこう……\PRRRRR!!!/あれ、電話鳴ってる……甲ちゃんのスマホっすよね?事務所の番号じゃなくて甲ちゃんに直電かぁ、仕事絡み以外っすかね?えーと……(充電ケーブルが刺さっている森ノ宮のスマホに手を伸ばし、乱雑にケーブルを抜いて手に取り)出ますよね?投げますよー(雑に持ったそれを、机に座る森ノ宮に向けて軽く放り) 」

森ノ宮「ちょっ、投げんなって……っとぉ!………出たくねえなこれ、ったく……(慌ててスマホをキャッチし、画面を操作。電話を掛けてきた相手の名前に思わず顔を顰めながらも、耳元へとスマホを運び)…………電話で何の用だよ、ウェルド 」

ウェルド「――――――\バン!!バン!!ドガン!!/おい、やめ―――ゴキッ…… どうも森ノ宮さん、久しぶり……でもないか。ケガの具合は如何です?(森ノ宮のスマホから、異様な爆発音、銃声、悲鳴……そして何かが折れる音が続いた後、いつもの声音のウェルドの声が響く)\バン!!バン!!バン!!ガガガガガガガ!!ドガン!/失礼、今ちょっと賑やかな場所でして……シネー…おっと、ゴガン!!アバァー!!……時間大丈夫です?ちょっと急ぎで伝えたいことが(明らかに穏やかで無い音が響き続ける中、尚も変わらない口調で) 」

森ノ宮「俺の怪我よりそっちの状況だろうが!?何してんだお前……!今どこだ?味方は居ないのか?(机の下に隠していた拳銃を抜き、笠間に目配せしながら机から立ち上がり)とりあえず住所教えろ、それと要件ってのは何だ(足早に事務所から飛び出し、社用車へと向かい) 」

ウェルド「(とある施設の中。とうに弾は無くなり、鈍器として使ったのかフレームの曲がった拳銃を投げ捨て……他者の返り血と、ほんの僅かに自分の流した血で紅く染まったスーツ姿で、大勢の兵士達が斃れている中で一台のノートパソコンを叩きながらスマートフォンを耳に当て)いやまあ、こっちは大丈夫です。腕っ節の強い味方がそろそろ来てくれる頃だと思いますので……\この部屋だな!/まあ、来ると思うんですがね、多分。なので、此方ではなく今から言う住所に向かってください。前回の件は無事に終わってくれましたが、少しばかり厄介な状況になってますので……今から言いますね、―――― 」

森ノ宮「……分かった、すぐに向かう。大丈夫だってんなら、お前の言う方に向かってやるさ。そっちもそんな所でくたばるんじゃねえぞ……(社用車のエンジンを掛け、目的地に向かって車を走らせる)ブロロロロ……… 」


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最終更新:2024年07月06日 20:17