日曜日、それは一週間で一番自由な日……そんな日にカナはせっせと何やら探し物をしていた。
「ハルカー。私のマンガ知らない? 8巻だけとんでるんだよ」
「え? 知らないよ?」
カナが探していたのはマンガの単行本。しかし部屋をいくら探しても見つかる事も無く、途方にくれて居間へやってきたのだ。
「よし、カナちゃん! 僕が見つけてあげるよ」
「ん? 何、タケルいたの?」
「いたんだよ」
「ハルカー。私のマンガ知らない? 8巻だけとんでるんだよ」
「え? 知らないよ?」
カナが探していたのはマンガの単行本。しかし部屋をいくら探しても見つかる事も無く、途方にくれて居間へやってきたのだ。
「よし、カナちゃん! 僕が見つけてあげるよ」
「ん? 何、タケルいたの?」
「いたんだよ」
そう言うと、タケルは胸ポケットからボールペンを取り出し、そのボールペンを机の上に立てて指を離す。
「このペンの倒れた方向に探し物があるよ」
倒れた方向はチアキの部屋……カナは疑いながらもペンの倒れた方へ向かった。
「このペンの倒れた方向に探し物があるよ」
倒れた方向はチアキの部屋……カナは疑いながらもペンの倒れた方へ向かった。
「あ……あった!! あったぞ!!」
部屋から聞こえるはカナの歓喜の声。そして戻って来るやいなや、チアキを問い詰める。
「チアキ! お前が犯人だったんだな!!」
「バカ野郎。それはお前が部屋に持ってきて、そのまま置いてったんだろ?」
チアキに言われて考えてみると、確かに先日持っていったきり忘れていたような気がする……
カナが笑ってごまかすとチアキは呆れた様子で、カナのマンガとは違う少し難しい本を読み始めた。
部屋から聞こえるはカナの歓喜の声。そして戻って来るやいなや、チアキを問い詰める。
「チアキ! お前が犯人だったんだな!!」
「バカ野郎。それはお前が部屋に持ってきて、そのまま置いてったんだろ?」
チアキに言われて考えてみると、確かに先日持っていったきり忘れていたような気がする……
カナが笑ってごまかすとチアキは呆れた様子で、カナのマンガとは違う少し難しい本を読み始めた。
「いや、でも一発で見つけるなんて凄いじゃないか! いったいどんな仕掛けだ?」
「あはは、そんなのないよ」
タケルの思わぬ能力に興奮するカナをしり目に、チアキが興味なさそうに本を読んでいると、それを見たカナが面白く無さそうにチアキに突っ掛かった。
「あはは、そんなのないよ」
タケルの思わぬ能力に興奮するカナをしり目に、チアキが興味なさそうに本を読んでいると、それを見たカナが面白く無さそうにチアキに突っ掛かった。
「おいチアキ、タケルの凄い能力が発見されたと言うのに、なんでお前はそんなつまらなさそうなんだ?」
「私はそんな非科学的な事を信じる人間じゃないんだよ……」
その言葉を聞いたカナは、納得いかないと言った顔で、
「そこまで言うなら、お前も試してみろ! ほら、何でも良いから言ってごらん」
とチアキにふっかけた。
「私はそんな非科学的な事を信じる人間じゃないんだよ……」
その言葉を聞いたカナは、納得いかないと言った顔で、
「そこまで言うなら、お前も試してみろ! ほら、何でも良いから言ってごらん」
とチアキにふっかけた。
「そうだな、じゃあ私の素敵なダンナ候補でも探してくれ」
相変わらず興味無さそうに目も合わせず答えたチアキに、カナは一泡吹かせてやろうとタケルに合図を送る。
「うん、それじゃあいくよ……えいッ」
指を離す瞬間の掛け声で、ようやく本から目を離してペンを見たチアキ、しかしそこには東西南北どこにも倒れず、ただ垂直に立ったボールペンがあった。
相変わらず興味無さそうに目も合わせず答えたチアキに、カナは一泡吹かせてやろうとタケルに合図を送る。
「うん、それじゃあいくよ……えいッ」
指を離す瞬間の掛け声で、ようやく本から目を離してペンを見たチアキ、しかしそこには東西南北どこにも倒れず、ただ垂直に立ったボールペンがあった。
「なんだ? 私のダンナ候補は天国在住なのか?」
「いや、そんなはずは……うわっ!」
その時、窓の外から強い風が吹き荒れ、垂直に立っていたボールペンはその勢いで玄関の方へ向かって倒れてしまう。
「いや、そんなはずは……うわっ!」
その時、窓の外から強い風が吹き荒れ、垂直に立っていたボールペンはその勢いで玄関の方へ向かって倒れてしまう。
――――ピンポーン
……と、同時になるチャイム。
一同の目はボールペンの先、玄関に集中し、何となく自分が出なくてはいけない雰囲気にため息をつきながら、チアキは玄関へ向かった。
一同の目はボールペンの先、玄関に集中し、何となく自分が出なくてはいけない雰囲気にため息をつきながら、チアキは玄関へ向かった。
「チアキちゃん、こんにちわ」
「藤岡……? どうして家に?」
「うーん……なんでかな、何となく呼ばれた気がして……それでね、ボーっとしてたら屋上までいっちゃったんだよ」
そこに現れたのは藤岡。特に約束もしていなかったにもかかわらず、何故か来たらしい。
「藤岡……? どうして家に?」
「うーん……なんでかな、何となく呼ばれた気がして……それでね、ボーっとしてたら屋上までいっちゃったんだよ」
そこに現れたのは藤岡。特に約束もしていなかったにもかかわらず、何故か来たらしい。
『私の素敵なダンナ候補』
一瞬さっきの言葉が頭を過る。チアキは少し赤くなりながらも、後ろからの強烈な視線を感じて振り返える。
すると、そこにはニヤニヤ笑うカナ達の姿が……
「へぇ~……藤岡、お前だったのか。そーか、そーか」
「え? 何の事?」
「……わっ、バカ野郎! 変な事言うな! こんなの偶然だ、偶然!!」
慌てるチアキを静止し、にやりと笑うカナ。そして藤岡へ事の真相を伝えた。
「今、チアキの素敵なダンナ様を探して占いしたらさ、屋上から玄関に来た人間……って出たんだよ。
つまり藤岡、お前がチアキの素敵なダンナ様って訳だ!」
すると、そこにはニヤニヤ笑うカナ達の姿が……
「へぇ~……藤岡、お前だったのか。そーか、そーか」
「え? 何の事?」
「……わっ、バカ野郎! 変な事言うな! こんなの偶然だ、偶然!!」
慌てるチアキを静止し、にやりと笑うカナ。そして藤岡へ事の真相を伝えた。
「今、チアキの素敵なダンナ様を探して占いしたらさ、屋上から玄関に来た人間……って出たんだよ。
つまり藤岡、お前がチアキの素敵なダンナ様って訳だ!」
(――――あんな非科学的な事は信じない……信じないけど…………)
動きを止めて、チラッと藤岡の方を向くチアキ。すると藤岡は笑顔で、
「チアキちゃんみたいな可愛い子がお嫁さんになってくれるなら、いつでも大歓迎だよ」
と答えた。
もちろん深い意味はない。でもチアキは目歩大きく開き、耳まで真っ赤にして壁に頭をトントンぶつけながら平常心を保とうとしていた。
動きを止めて、チラッと藤岡の方を向くチアキ。すると藤岡は笑顔で、
「チアキちゃんみたいな可愛い子がお嫁さんになってくれるなら、いつでも大歓迎だよ」
と答えた。
もちろん深い意味はない。でもチアキは目歩大きく開き、耳まで真っ赤にして壁に頭をトントンぶつけながら平常心を保とうとしていた。
「藤岡、とりあえず入れば……夕飯も食べてくだろ?」
チアキにそう言われ、部屋の方を見る藤岡。そこにはタケルの姿が……
「ありがとうチアキちゃん。でも今日はお客さんも来てるみたいだし、また今度にするね」
「そんな……気にするな! それにタケルはもう帰るところだから! ほら、タケル! ばいばい」
「えぇ?! チアキちゃん? おじさん今日は夕飯を一緒に……あれ? あれれ??? あっ……」
チアキにそう言われ、部屋の方を見る藤岡。そこにはタケルの姿が……
「ありがとうチアキちゃん。でも今日はお客さんも来てるみたいだし、また今度にするね」
「そんな……気にするな! それにタケルはもう帰るところだから! ほら、タケル! ばいばい」
「えぇ?! チアキちゃん? おじさん今日は夕飯を一緒に……あれ? あれれ??? あっ……」
――――バタンッ!!
チアキは丁重にタケルを送り出……追い出し、代わりにダンナ様を家へ迎え入れた。
いつも通りの席に座ると、ぽーっと藤岡の顔を見つめたり、腕に頬ずりをしてみたり……
なんだか嬉しい恋する乙女チアキは、少し大胆な行動をとっていた。
いつも通りの席に座ると、ぽーっと藤岡の顔を見つめたり、腕に頬ずりをしてみたり……
なんだか嬉しい恋する乙女チアキは、少し大胆な行動をとっていた。
「藤岡、今日は何が食べたい? 何でも好きなもの言ってくれ、私が頑張って作るから」
「なんだ? チアキ、おまえ今日はいつになく藤岡にベッタリだな。あれか、未来のダンナ様だからか?」
「バ……バカ野郎! 別にそんなんじゃ……」
「なんだ? チアキ、おまえ今日はいつになく藤岡にベッタリだな。あれか、未来のダンナ様だからか?」
「バ……バカ野郎! 別にそんなんじゃ……」
茶化されて慌てるチアキをかばう様にして、藤岡が気を使って会話に割り込む。
「チアキちゃんの作ったハンバーグが食べたいかなぁ」
するとチアキは目をキラキラと光らせ、
「よし、任せろ! 私が腕によりをかけて作ってやるからな!」
と張り切って台所へ向かった。
「チアキちゃんの作ったハンバーグが食べたいかなぁ」
するとチアキは目をキラキラと光らせ、
「よし、任せろ! 私が腕によりをかけて作ってやるからな!」
と張り切って台所へ向かった。
ちなみに、この日のハンバーグは藤岡のだけ少し大きく、さらにケチャップでハートマークまで描かれていた――――