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ダンゲロスSS3
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黒田武志プロローグ

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dangerousss3

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プロローグ

「だぁー、暇だー」
黒田武志は相棒である槍ガングニルを手に荒れた町並みの中を歩いていた。
世の復興は進んでいるとはいえこの辺りはまだまだだ。
だが黒田の利用している用心棒の斡旋所はそんな所にある。
黒田はさっきまでそこにいて仕事終了の報告をしていた。
本当はそのまま次の仕事を紹介してもらおうと思ったが生憎面白そうなのが無かった。
最近は仕事も順調で当面は金に困ることはなく、つまらない仕事は受けたくなかった。
とはいえ暇は困る。退屈は何より嫌いなのだ。

「おいガングニル、何かおもしろいこと言えよ」
と相棒に呼びかけてみるが無口な相棒は黙ったままだ。
自我を持ち見聞きし喋る以外は普通の槍なのに、
喋らないのではまるっきり普通の槍そのものだ。存在意義が疑わしい。
ともあれただの帰り道に面白さを求めても仕方ないかと諦めて先を急ぐ。
そうしてとある路地の横を抜けたとき、突然背後から声を掛けられた。
「黒田武志さんですね?」
振り返るとそこには仕立てのいいスーツを纏った中年男性が一人立っていた。
驚かせようとわざわざ路地に隠れてでもいたのだろうか。
黒田はそういう奴は嫌いじゃない。何よりこれで退屈がまぎれそうだ。

「そうだけどあんた誰?何のご用?」
「私は中無羅漢 三郎と申します。最近評判の黒田さんに是非一手お手合わせ願いたい」
「おっ俺もけっこう有名になってきちゃった?いいね、いいよ、退屈してたんだ!」
黒田がニヤリとして返すと、中無羅漢は右手を胸に当て一礼し、
「では早速。勝利条件は相手の戦闘不能か降参。死亡しても文句はなし。
このコインが落ちたら開始といたします」
一方的に告げ終えたときには既に、どこからともなくコインが宙に弾かれていた。
黒田のことを知っていて挑むのならば中無羅漢も魔人だろう。
二人の距離はせいぜい3メートル。何かされる前に仕掛けよう。
そう考える間にコインが地面につくのを見た黒田は、
その音が耳に届く前に最速の意思で中無羅漢に突きを繰り出す。
中無羅漢はなんとか反応し、向かって左へ避けるが、
その動きは無駄に大きく明らかに間に合っていない。
だがとつぜん穂先が軌道をずらし何も無い空間を突く。
黒田がずらしたのではない。ガングニルも自我はあっても自身を操ることは出来ない。
原理は分からないが、おそらくこれが中無羅漢の能力なのだろう。
しかし手段はどうであれ初撃を逸らされることは想定内だ。
中無羅漢が回避後の残身を無駄に長くとっている間に槍を引く。
再び突く。さらに突く。突く!突く!突く!
だがそのことごとくが狙った軌道を逸らされ、
中無羅漢は悠々と大げさな動きで、見せ付けるように回避する。
念動力など見えない力が加わえられた感触はない。
見えない壁などに当たっている感触も無い。意味が分からない。
黒田はむきになって突き続け、斬り、打つがやはり当たらない。
中無羅漢の演舞に取り込まれているみたいな感じがしてくる。

一体なにが起きているのか?神の視点からは一目瞭然だ。
なんと黒田と中無羅漢の間には黒子がふたり存在しているのだ。
黒田が攻撃するたびに黒子たちが手足で弾きまたは肉体を盾として逸らしていたのだ。
黒子とは舞台上に存在しながら存在しない者だ。
『黒子がいるダンディー』
認識不能の黒子を召喚するそれが中無羅漢の能力だ。
いつの間にか中無羅漢が槍を構えている。
黒子の一人が隠し持っていたものを渡したのだ。
ただそれだけのことだが黒田の目には突然槍が現れたように映る。
中無羅漢が初めて攻撃の意思を見せた。
膠着状態に焦れていた黒田がニヤリと笑う。
敵の能力はまだ正体不明だ。わざわざ優位を崩すようなことはしないだろう。
それでもいつまでも同じことが続くより余程いい。
おそらくわざと槍を選んだ挑発的なところも面白い。
次の一撃に全力を込める。自分の最高が通じなければどうにもなるはずがない。
まっすぐ相棒を向けて中無羅漢に声を掛ける。
「なんだか飽きたからさ、ここらで決めちゃおうか?」
「かまいませんよ。そうしましょう」
そういって中無羅漢も槍を構えなおす。

先に仕掛けたのは黒田だ。正真正銘全力で踏み込み突きを繰り出す。
その前に黒子が飛び込む。
あまりに速く重く生半可な干渉では逸らすことも止めることも出来ないのだ。
槍は一人目を貫通し二人目も貫通しそれでも勢いが止まらず、
黒田の体が黒子に激突しバランスを崩す。
その隙に中無羅漢は黒田の左に回りこむ。
あとは一突きするだけだ。
認識できないながらも黒子にもたれ掛かる状態の黒田は立て直そうとするが、
ダメージが限界を越えた黒子が雲散霧消する。
支えを失った黒田は前に倒れこみ、なんとか槍を地面に突きたて堪えるが、
上半身は大きく前に倒れこみ、槍の角度も浅すぎてにっちもさっちもいかない。
そして遂に中無羅漢の槍が突きこまれるその瞬間、
「忘れてたあああああああああああ!」
という叫びと共に黒田の体が後ろに吹き飛び、
間一髪で胸の前を中無羅漢の槍が通り過ぎる。
ようやく黒田がその能力『銃グニル』を使い、
穂が地面に刺さり固定されていることで逆に柄の方が撃ち出されたのだ。

射出の反動を利用し姿勢を正した黒田は着地するなり全力で柄を引く。
光のリボンで繋がれた穂が地面から抜け勢いよく戻ってくる。
軽く加えられたスナップによって軌道は左に浅く弧を描き、
途中で中無羅漢を切り裂き柄と再接合する。
決着がつくほどの深手ではないのですかさず腰を落とし再射出の体勢を取るが、
「降参します」
槍を放し両手をあげた中無羅漢があっさりと宣言する。
黒田へ向き直り、懐から取り出した封筒を差し出す。
「あなたの実力は確認できました。我々の大会への参加資格を認めます」
封筒を受け取った黒田は表と裏とためつすがめつした後、
中身を取り出ししばらく読み込む。
「ザ・キングオブトワイライト招待状……ふむ、なるほどふむ。
賞金10億円!望みをひとつ叶える!
なによりも世界最強決定戦ってのがいいね。
ふふふ、これは名を上げるチャーンス!絶対参加する!」
「やめておけ、どうせろくなことにならない。
君が酷い目にあうのは構わないが私は巻き込まれたくない。」
「お、ガングニルが久しぶりに喋った。
でも折角のところ悪いけど俺は絶対参加するって言ったんだぜ。
今さら断れませーん。ああ残念」
ガングニルは何も言わなかった。
しかし黒田は深いため息を聞いた気がしたのだった。








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