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  • 【古城】その1

【古城】その1

最終更新:2020年03月02日 00:08

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 九門賜城(くもんしき)。
 某市郊外にある城趾だ。
 堅牢な山城の性質と、権威を示すかのように美しい平城の性質を併せ持つ、
天下の名城として知られている。
 某市随一の観光名所であり、毎年数万人の観光客が訪れる。

 壇勇太郎の一家もそのうちの4人だった。
 去年の夏、うだるような暑さの中歩いたこの石畳を、勇太郎は覚えている。
 目を閉じれば、天守閣から見えた街並みと青空と家族の楽しそうな声が脳裏に蘇る。

(ここが、家族で最後に旅行した場所なんだよな。)

 ポイントを抑えてバッチリ復讐(習)だ。
 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)は過去のことは教えてくれない。
 だから、自分で定期的に思い出す必要がある。

 目を開けて、現実を見据える。
 冬も終わりに近づいているが、まだ空気は冷たい。
 森の木々が月明りすら遮り、辺りは漆黒の闇に包まれている。
 遊歩道に設けられた電灯が唯一の照明だ。

「よぉし、やってやるか!」

 深呼吸をして、勇太郎は観光客用に設けられたベンチから腰を上げた。
 対戦相手の足音が聞こえたからである。
 程なくしてから、ビジネスマン風の本棚を背負った中肉中背の男が、
城の大手門の階段から登ってきた。

「復讐は完ペキだ!あとは…死圏(しけん)を突破するだけだぜッ!!」





 石北快慶も同様に、城の石段を登りながら復習していた。

『仕事の前に、過去の仕事を思い返してシミュレーションしろ。 ――成功の絶対法則・リマ哲学 5章2節――』

 脚を持ち上げ、一段登る。
 範囲内の武装を強制解除する“絶刀界(ぜっとかい)”を駆使する魔人を、
拳の打ち合いの末に屠った。

 もう一段。
 他者を操作し、その身体と魂を眷属にする魔人能力“幽鬼庵(ゆうきあん)”を持つ、
裏社会の顔役を眷属諸共滅ぼした。

 もう一段。
 他者から受ける軽蔑と嫌悪を火力に変える魔人能力、“炎上・E(えんじょい)”で殺人を楽しんだ男を、
多大なる犠牲を払って斃した。

 成功するたびに、石北は幸せを手に入れた。
 家を手に入れた。友人を手に入れた。名声を手に入れた。金を手に入れた。
 そして、家族を手に入れた。

(私には成功(これ)しかない。)

 築いた成功と屍の山の感触を確かめる様に、足を踏みしめながら石段を上っていく。

(この方法でしか家族を喜ばせられない。家族を養えない。)

(家族を取り戻せない。)

 最後の一段を登り切る。
 そこには彼の対戦相手である少年が、城を背にして待っていた。 

 深呼吸して、頭を下げる。

「私、魔人専門の暗殺業を営んでおります、石北快慶……と申します。
どうぞよろしくお願いします。」

『挨拶は全ての基本 ――自分を変えるために今からできること 2章6節――』

 頭を下げながら、相手の死角となった懐でメモを取り、

『やるべき事をメモに取れ! ――30年後、行動力のない人間は絶滅する! 1節4章――』

 増強された行動力で駆ける。
 闘いは、石北快慶の挨拶と奇襲から始まった。





[闘いに勝つ]

 とメモを取りながら、石北快慶は駆けた勢いのまま壇勇太郎の胴を狙った鋭い蹴りを放つ。
 ピシ、と空気が割れる音がした。
 常人ならば脚の軌跡すら、下手すれば自分が攻撃されたことにすら気づかずに臓器不全を起こすであろう一撃。

 しかし、 蹴り足は勇太郎の持つ剣に阻まれていた。

「それは、ゼミでやったところだぜ。」

 勇太郎は剣を返し、反撃。差し出された足の膝から下を両断せんという試み。
 それより一瞬だけ早く石北は蹴り足を引き、辛うじてそれを回避した。

 わずか一合の応酬で、石北は目の前の少年が自分と同じ高意識者(ハイソサエティスト)であることに気が付いた。
 そして少年の魔人能力が、““成功力””に直結する何かであるという確信も同時に得た。

 通常、この齢の少年が高意識者(ハイソサエティスト)になることは非常に難しい。
 子供は大人よりも青春の謳歌に忙しく、放課後や夕食前にわずかに空いた時間も、
ベッドに寝っ転がってダラダラしたり、友人との会話や遊びに注ぎ込んでしまうため、
““成功力””を育みにくいのだ。
 だからこそ、魔人能力が彼の““成功力””を支える要因になっているのではと推測したのである。

『窮地の中で“いいこと探し”をしよう ——人生のトラブルシューティング 4章2節――』

 剣と拳ではリーチに数倍の差がある。
 勇太郎から離れれば離れるほど不利になるだろう。
 考え得る限りでまず最高の形で繰り出した奇襲は成就しなかったが、距離を詰めることには成功した。
 であれば――この状態を維持したまま攻めるべし。

 石北は左ポケットに右手を突っ込んで腰を落とした。

 ひゅう

 と息を吸って、右手を抜く。
 その手には、万年筆。

『思いついたことは出来るだけ早くメモを取れ! ――アナタをレベルアップさせる30の方法 5章1節――』

 メモで““行動力””を上げる方法は、両手が完全に埋まってしまうことがデメリットだ。
 しかし、メモと攻撃を同時に行う抜け道も存在する。

 相手の身体に直接メモを書き込むのである。

 閃光射手矢(フラッシュアイデア)

 雷霆のような速度で万年筆が放たれる。
 左脇から右肩への逆袈裟に一撃。
 ペン先を返し、首を狩るかのような横薙ぎの一撃。
 最後に一歩踏み込みながら、顔面を狙った突きの一撃。

 一撃でも躱し損ねれば、血で染まった赤ペンに、死に至る“間違い”を先生のごとく教授されたことだろう。

 しかし、

「そこも、ゼミで視た。」

 勇太郎は一撃目を後退して躱し、身体を沈めて二撃目を避け、三撃目を剣の腹で受けた。
 そのまま万年筆を弾き、空いた石北の胴に剣を振るう。

 鮮血が舞った。

 寸前で後退して致命傷は回避したが、剣はたやすく肉を断ち、石北を流血せしめた。
 石北は傷口を手で抑えながら、体勢を立て直すべくさらに一、二歩後退した。
 手傷を負ったが、石北は自身の仮説に半ば確信を得た。

『まずは自分から相手に話しかけよう。 ――心理学から見た人脈術 1章6節――』

「予習、しましたね。」

 ““人脈力””を操作し、流血を抑えるために石北は勇太郎に問いかける。

 高意識者(ハイソサエティスト)とはすなわち成功要因をより多く持つ選ばれし者である。
 学生の域を大きく上回る壇勇太郎の““成功力””。
 そしてあまりにも正確な攻撃への反応。
 そこから推測される魔人能力は、予知能力だ。
 先見の明は高意識者(ハイソサエティスト)の中でも最上位の能力であり、
現代で体得した者はビル・ゲイツとスティーブ・ジョブスの二名しかいない。

 勇太郎は特に隠すことなく応える。

「へへ、真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)のおかげさ!」

「何を犠牲にしましたか?」

「1日30分、スキマ時間を有効活用して真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)と向き合ってる。」

「……そこまでする理由はなんですか?」

「“予讐”して、家族を取り戻すためさ。」

 家族。
 石北は目の前の少年に、これから斃すべき相手に親近感を抱いた。

「私も同じです。」

 それと同時に、自分も相手も譲る気はないということを再確認した。

「同じか。」

「はい。同じです。」

「それはゼミじゃ分からなかったな。」

 勇太郎は剣を握り直す。
 真剣ゼミに分かるのは、自分に迫る危機だけだ。
 他者の危機や想いまでは予習出来ない。

 意思も、願いも同じ。
 だが、難関を超え、死圏を突破するのは一人だけ。

 いつの間にか、石北の流血は止まっていた。
 濡れた石畳を踏みしめながら、石北は拳を構えた。





 九門賜城(くもんしき) 城内


 二人の戦場は城の中、天守閣まで移動していた。
 狭く暗い室内で、白刃が月の光を反射して煌めく。
 火花が散ったのは、刃とペン先がぶつかり合ったせいだろう。

 石北が戦場を移動した理由は、剣の可動域を制限するためだけではない。

 勇太郎が闇に隠れた柱や壁にぶつからない様に小さく構えているのに対し、
 石北はまるで見えないそれらを把握しているかのように、自然に構えを取っている。

 実際に、石北は見えている。

『現場を歩け! ――「見える化」して身に着ける現場力 2章5節――』

 事前に城の敷地を歩き回り、““見える化””しておいたのだ。
 思い通りに動けない勇太郎をよそに、石北の姿が闇の中に溶ける。

 セルフコントロール。
 呼吸も、心臓の音さえも殺し、闇の中から勇太郎に接近。
 横合いから首筋を狙って、万年筆による刺突を繰り出す。
 今度はペン先に黒いインクを塗布している。
 攻撃が““見える””のなら、““見えない化””すればよい。

 ギィ ン ッ !

 金属音に静寂が破られる。
 剣で万年筆を止めた勇太郎が、闇の中に目を向ける。

「ゼミでやった通りだぜ。ここで受ければ、ニガテ克服(ぼうぎょ)プランも進路別(さくてき)プランも両立できる!」

 剣を横に大きく振るう。
 後退して回避するが、石北の背中のすぐ後ろには壁。
 今度は石北が追い詰められる番だ。

「ここだッ!」

 引いた“横線”を目途に石北の居場所を推定する。
 天守閣の角。
 教科書(ゼミ)通りに、裂帛の気合を以て逃げ場所に剣を振り下ろす。

(ここだ。)

 石北も心の中で、同様の台詞を吐いた。

  “予測(Predict)”

 石北に未来を予知することは出来ない。
 だが、未来を“限定”することは出来る。
 攻撃が不発に終われば必ず勇太郎はこちらを捕捉し、反撃に移るだろう。
 この場所に追い詰められれば、決め手は“縦線”になるはずだ。

  “防御(Defence)”

 体を半回転させ、勇太郎に背を向ける。

『知識は活用して初めて役に立つ ――日本人の8割はアウトプットが足りない 4章1節――』

 背負った本棚に収められた知識の壁が、斬撃を遮る。

  “確保(Capture)”

 そのままもう半回転。
 本の頁と背表紙が剣を絡め取り、勇太郎の手から奪い去る。

  “攻撃(Attack)”

 勢いを保ったまま、胴廻し回転蹴り。
 高意識者(ハイソサエティスト)の間では、““PDCAサイクル””と呼ばれる絶技。

 石北が戦場を移動した理由は、剣の可動域を制限するためだけではない。
 予知していても見えない技を放つため。
 そして、予知していても防げない技を放つためである。

 蹴り足が勇太郎の頭部を捉える。

(獲った。)

 成功の手ごたえがあった。
 意識を刈り取るまでには至らぬも、思考を停止させるのには十分な一撃。
 このまま追撃すべし。
 石北が着地し、拳を構えた瞬間――

 左足が沈む。

「なにっ」

 石北が足を挫いたのでも、勇太郎が反撃したわけでもない。
 天守閣それ自体が揺らいでいる。
 顔を上げた石北はすぐに原因に思い至った。
 先ほどの攻防で、石北を追い詰めるために放った勇太郎の横薙ぎが、柱を両断していたのだ。

「ゼミでやった通りなら、」

 血を床に吐きながら、勇太郎が呟く。

「その位置は助からない。」

 石北が体勢を直す前に、天井が破れ、瓦礫が降って来る。
 魔人と言えど、肉体を強化する特殊な能力を持ってない限りは、耐久力は人間と同じだ。
 位置エネルギーを伴った硬い石と木材は、人体を破壊するに十分な威力を持っている。

「ゴメンな。でも、俺どうしてもやりたいんだ。予讐。」

 石北の頭部を、瓦礫が強かに打ち付ける。
 強い耳鳴りの音と共に、勇太郎の声も、姿も““見えない化””された。





 数秒、あるいは数十秒の微睡みを経て、石北は目を醒ます。

 冷たい風が瓦礫でずたずたにされた身体を苛む。
 天守閣は完全に崩れ、辺りに夜空が広がっていた。
 視線を下げる。
 勇太郎が瓦礫の中から剣を探しているのが見える。

 負けた、と石北は思った。
 内臓が破れ、大量に出血している。
 手足も満足に動かせず、瓦礫を払いのけることすらままならない。

『失敗を引きずるな。次へ向かえ! ——人生を歩く40のルール 5章1節——』

 石北を導く““成功力””も、こう提案する。
 全てを白紙(ゼロベース)にしてやり直せ、と。
 失敗も成功の源だ。
 家族はまた探せばいい。
 リスケして、次はもっとうまくやればいい。

「………。」

 石北は、脳内で『人生を歩く40のルール』を破り捨てた。
 代わりに、別の本を開く。

『ストレスを感じた時はレバーを食え ――生活は食から変えろ 5章3節――』

 冷え切った手を自らの破れた腹部にやり、肝臓を千切って口に放り込む。
 痛みと共にマイナス思考が消え去っていく。

 負けた、と石北は思った。
 だが、これから勝つ、とも思った。





 勇太郎が瓦礫に埋もれた真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を手にした瞬間、ひやりと背筋に悪寒が走った。
 危機が迫っているという証だ。
 勇太郎が振り返ると、石北が瓦礫を押しのけて立ち上がってきた。

 勇太郎は少しだけ驚いた後、納得した。

「よほど大事なんだな、家族の事。」

 自分も同じ願いを持っているから。
 たとえどんなに身体が傷つこうとも、家族を取り戻せるなら自分も立ち上がっただろう。

「はい。」

「やっぱ、同じだ。」

 勇太郎が微笑む。
 石北もそれを見て、微笑んだ。

『目標を周りに宣言しろ! ——行動できる人間になろう 2章3節——』

「……今から、あなたに攻撃します。」

 メモ用紙は夜風に乗って、紙吹雪となって空を舞っている。
 千切れた自己啓発本の頁も同様だ。
 もうメモで““行動力””を上げる方法は使えない。

「正確には、あなたの剣を攻撃します。
あなた単独で予知が出来るのであれば、私が意識を失っていること、
危険がないこと、止めを刺すのに支障がないことも分かっていたはずです。
にも関わらず、あなたは剣の捜索を優先しました。
私はあなたの持つ剣こそが予習の鍵なのでは、と踏んでいます。
あなたの剣を破壊したのち、あなたの命を絶ちます。」

『結論、理由、総論の順番は必ず守ろう ——ミーティング巧者への道 2章1節——』

 ゆえに、宣言した。

 勇太郎は“殺す”と宣言されたにも関わらず、不思議と相手を恨む気にはなれなかった。
 石北も同様だ。
 敗北したとしても、勇太郎を恨む気にはならないだろう。

 似た者同士の両者は、似た願いを胸に、正反対の構えを取った。

 勇太郎は上段、剣を高く掲げる。
 石北は低く腰を落とし、万年筆を順手に握る。

 風が、吹いた。
 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)の切っ先に、風で舞ったメモ用紙が当たった。
 それが合図だった。

 石北は踏み込み、万年筆を振るう。

 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)が危機を察知し、勇太郎に“問”という形で教える。

問1.目の前から万年筆を持ったかいけい君が時速110kmで向かってきます。
ゆうたろう君の行動として最も適切なものを、次の(ア)~(エ)の中から選んでください。

問2.かいけい君がゆうたろう君を攻撃する際、突きを多用する理由を30字以内で説明しなさい。

 勇太郎は万年筆をいなし、捌き、避ける。
 宣言されている以上、剣で受けることは出来るだけ避けなければならない。

『常に対案を考え、用意しておこう。 ——明日から変わる!ミーティング必勝術 2章1節——』

 反撃は不可能だ。
 捌いてもそれを補うように、別の攻撃が矢継ぎ早に飛んでくる。
 完全にイニシアチブを取られている。
 この猛攻の濁流が過ぎ去るまで耐える他ない。
 が、石北の負傷を見るに長くは続かないはずだ。
 勇太郎は1日30分の予習復習を思い出しながら、繰り出される問題に答え続ける。

 石北は血を流しながら身体を動かす。
 ““人脈力””を止血に回すリソースはない。
 命が尽きる前に、ASAPで、持てる全てを用いて真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を破壊する。

問3.かいけい君は破裂した腹部の動脈から400ml失血しています。
かいけい君がさらに攻撃を続行した場合、活動限界はいつになるでしょう。

「死ぬまで、だよな?」

 その言葉に、石北は刺突で応える。
 避け切れない。勇太郎は剣で受ける。①

問4.下線部①で、ゆうたろう君は万年筆を剣で受けていますが、どうしてそうしたのでしょう。20字以内で説明しなさい。

「『剣で受けなければ致命傷になると考えたから』、ですね。」

 問題を見てもいないのに、今度は石北が解答する。
 常人ならば意識を失っていてもおかしくない出血量。

 しかし、石北快慶は意識が高い。
 ゆえに、意識だけは失わない。

 猛攻は続く。
 剣とペン先がぶつかる金属音に、異音が混じり始めた。

問5.かいけい君は合計で24回、真剣ゼミを攻撃しています。真剣ゼミが攻撃に耐えられるのはあと何回でしょう。

 真剣ゼミが警告を発する。
 石北が腰を捻りながら低く構えている。

(一回だ。)

 心の中で解答して、勇太郎は剣を引く。
 やられる前にやる。
 予讐が大事であることは勇太郎が一番よく知っている。

 両者が同時に得物を振るう。
 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)が唸りを上げ、石北の首に迫る。
 鉄の質量と抗いがたき威力を持った、掘削機(ドリル)のような突き。

  “頚惨(けいさん)パワーアップドリル”

 万年筆が流星の如き速度で腰から抜かれ、真剣ゼミに迫る。
 圧倒的なレスポンスが結果に――


  “彗星(コミット)”


 衝突。
 先ほどよりも大きな異音と閃光が生まれる。

{問6.■■―――――

 勇太郎の中から、問題文を読み上げる声が消えた。
 ペンが剣を両断し、切っ先が天守閣の瓦礫の上に落ちる。

『ペンは剣よりも強し。 ——リシュリューあるいは謀略 第2幕第2場——』

 勇太郎は真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を退会した。
 だが、まだ大会は終わりではない。
 折れたままの剣で攻撃を続行する。

(継続が大事だ。)

 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を握ってから、毎日30分を費やして気付き学んだ信念だ。
 それは退会しても忘れることはない。

『問6.勝つのはどちらでしょう。』

 自らに問いかけた勇太郎が叫ぶ。

「勝つのは、俺だ!!」

 石北は勇太郎の一撃を万年筆で受けて、逸らす。
 折れた剣は万年筆を砕きながら肩を深く抉り、上段に抜けていく。

 がら空きになった胴に飛び込む。
 踏み込んで、自らの““成功力””を練り上げて両掌に集中させる。
 生活の質と能力の開発を両立する、高意識者(ハイソサエティスト)の基本にして必殺の型。
 足元の瓦が砕ける音と、空気が割れる音がした。


  “双牙(マルチタスク)”


 両掌が勇太郎の胸部にめり込む。
 勇太郎の動きが、糸の切れた人形のように止まった。
 つ、と口の端から血が零れる。

「不合格(まけ)かな。」

 勇太郎の呟きに、石北が頷く。

「悔しいな。」

 その言葉を最期に、勇太郎は崩れ落ちた。
 石北は子どもの頭を撫でる様に、勇太郎の瞼を閉じてやった。

 死圏(しけん)は終わった。
 合格者(しょうしゃ)が夜空を見上げる。

「すまない。私には――成功(これ)しか出来ないんだ。」

 その呟きに、月と星だけが静かに聞き入っていた。
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