箱入り娘(パズル)

登録日:2025/07/11 Fri 11:31:45
更新日:2025/07/12 Sat 15:33:33NEW!
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番頭
丁稚 丁稚
丁稚 手代
出 ↓ 口


『箱入り娘』とはスライディングブロックパズルの一種。
類型のパズルは世界でも多く見られるが、本項では日本で最もメジャーな名称であろうと思われる「箱入り娘」で紹介させていただく。
また、

【概要】

このパズルはスライディングブロックパズル*1の一種。
日本では第二次大戦前の1935年(昭和10年)ごろにメジャーになったらしい。

ただ、その来歴や起源は正確には分かっていない。
後述の通り、同時期に各国で類型のゲームが散見されるため、伝聞等で徐々に広がっていったものと推測される。

「箱入り娘」とは「家庭で大切に育てられ、世間のことをあまり知らない娘」のこと。
恐らくは、商家の娘さんが、親や使用人の目を掻い潜って外出をする、もしくは嫁に出る…というイメージの下で名付けられたのであろう。


《構成》

項目冒頭の図を見て頂くのが一番わかりやすいであろう。
  • ケース:横4マス、縦5マス
  • コマ*2
    • 大ゴマ(2×2マス) … 1つ
      • いわゆる「娘」。このコマを最下段の出口に導くことがパズルの目的。
        家で一番デカいのが娘なのは…。ダイエットせい!!
    • 長コマ(2×1マス)… 5つ
      • 1つを横向き、4つを縦向きで使用する
    • 小コマ(1×1マス)… 4つ
      • 場合によっては長コマを1つ減らし、小コマを6つにするケースもある
これらを配置すると、空マスが2マス分出来るため、その空間を利用してコマを動かしていく。

一番基本の初期配置は大ゴマを最奥に、その両端に長コマを縦で1つずつ(A群)配置する。
大ゴマ横の長コマの下にも縦の長コマ(B群)を配置し、大ゴマの下には長コマを横向きで配置。
長コマBと、横向き長コマの下に、それぞれ小コマを配置すれば、設置完了。

なお、上記の初期配置の場合、最短手は81手になるらしい。


【バリエーションなど】

Klotski(クロツキー)

英語圏でのメジャーな名称。
ポーランド語で『木のブロック』を意味する“klocki”から命名された。
コマの構成等は、上記の『箱入り娘』のものと同様。

Pennant Puzzle(ペナントパズル)

1909年にシカゴでルイス・W・ハーディにより商標登録されたもの。別名『Dad's Puzzler』。
米国特許記録から遡れるものの中では最も古い箱入り娘タイプの公式製品。

コマの題材はなんと野球チームで、ブルックリンやセントルイス、フィラデルフィアなどに囲まれたシカゴ球団を救い出すのが目的。
ブロックのデフォルト配置やコマのサイズ、出口の配置が異なり、最短手は59とやや少なめ。

L'Âne rouge(ラヌ ルージュ)

フランス語版『箱入り娘』。
“L'Âne rouge”は「赤いロバ」を意味する。

・華容道

中国版『箱入り娘』。
1940年代後半以降に広く知られるようになったという。
名前でピンときた方もいるかもしれないが、赤壁の戦いでの曹操軍の敗走路である。
つまり、娘ポジが曹操であり、関羽張飛趙雲黄忠馬超といった劉備軍の猛将を掻い潜り、脱出を図るのが目的。
なお、「当時の劉備旗下に黄忠や馬超はいねぇだろ」は禁句。

三国志といういかにも歴史のありそうな題材選びとシンプルなパズル構成から高い人気を誇っている。
その人気ぶりから、中国で遊んでいるプレイヤーの多くは 中国発祥の由緒あるパズルゲーム だと勘違いしているとか。
さまざまな題材が試されている箱入り娘だが、おそらく一番マーケティングが成功した例。

・シャロム 魔城伝説III 完結編

1984年にリリースされたアクションアドベンチャーゲーム。『箱入り娘』のコンピューターゲーム移植として、日本の商業ゲームでは恐らく初の例。
ラスボスの前座となる魔王パズラの体内に閉じ込められた姫を救うという、戦闘シーンの形でこのパズルを解くことになる。
配置は記事冒頭のものとは少し異なり、最下段の小コマが上の長コマと入れ替わっているタイプである。

・ナゾ135 究極の脱出パズル

レイトン教授シリーズ1作目『レイトン教授と不思議な街』で、全てのナゾを解いた後に出現する最後のナゾ。
「箱入り娘」を横に倒した形をしている以外は全く同じ。

・箱入り娘の大家族

岐阜県高山市の「さわたく工房」が作成しているバリエーションの一つ。
“大家族”の名の通り、今まで説明したコマよりも多くのコマが使われ、ケース自体も大きい。
具体的には
  • ケース
    • 横が6マスに(縦は5マスのまま)
  • コマ
    • 長コマ、小コマがそれぞれ2つ追加。
    • 4×1マスの長大コマが追加。
      なお、コマに書かれた名前は「大番頭」。父母らよりも大番頭が幅を利かせているというのが妙なリアル感を醸し出しているのは穿ち過ぎであろうか…。
ただ、空マスが4マスになり、それもあってか通常の「箱入り娘」より、難度は低いとのこと。

なお、2025年6月の某日、X(旧Twitter)でとあるユーザーが以下のポストを行ったところ…
これは「箱入り娘の大家族」という、
『並いる家族たちをどうにかして、箱入り娘を玄関から外に出そう!』というゲームなんですけど、
家族たちがマジで手強くて気が狂いそうになるので、パズル得意なフォロワーに攻略してほしい
これが、なぜか大バズり

なんと、注文数が一気に1200倍に増加したとのこと。
工房の社長さんはテレビの取材に対し『いつかはバズってくれないかな…なんて思っていましたね』と答えており、
その夢が叶ったことは喜ばしい限りである。




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最終更新:2025年07月12日 15:33

*1 ケースの中に収められたコマを空きマスを利用して動かして、特定の配置にすることを目的とするパズル

*2 コマの名前は仮称