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上手くズルく生きて

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上手くズルく生きて ◆MUMEIngoJ6


 意図せず三者の口から零れた言葉に応えるように、バニーガールは身体をくねらせる。
 全身から発せられる謎の発光は収まれど、周囲の三人は呆然としたままで動かない。
 何せ、美形なのだ。どうして視線を外すことができよう。
 神代に至っては、バニーガールの両腕に挟まれて強調された胸元をあからさまに眺めている。
 何せ、男子高校生なのだ。どうして視線を外すことができよう。
 ブシコの顔色が、なぜだかやたらと熱っぽいものになっている。
 何せ、剣一筋に生きてきたのだ。どうして平静を保つことができよう。

「はっ!」
「あらぁん」

 自らの剣を足に突き刺して我に返ると、ネリシアは盾をバニーガールへと振るった。
 彼女の中では、最上位に位置するのは常に神。
 ゆえに他の二人とは違い、美形オーラから早急に脱することができたのだ。
 バニーガールのポーズが崩れてしまったことで、「おおうっ」だの「残念(ああっ)」と言った呟きが二名から漏れるが、ネリシアの知ったことではない。
 盾での初撃は舞うような跳躍で回避されるも、右手に握ったメタルキングの剣で上空を払う。
 空中にいるというのに、バニーガールはグローブを纏った拳で正確に剣の横腹を叩く。
 目を見張るネリシアをよそに、着地したバニーガールはブシコを小脇に抱える。

「お主――――」
「いいのよん、ブシコちゃんはここで見ててくれれば」
「理、理解(う、うむ)……」

 冷静さを取り戻したブシコが何かしら口にしようとしたが、唇にやさしく人差し指を押さえつけられて制される。
 先ほどの口付けがフラッシュバックし、ブシコは顔を朱に染めて俯くしかできなかった。

「正気に戻りましたか、カミシロ」
「ああ……サンキュー、ネリシアちゃん。なーんかぼーっとしてたぜ」
「『パルプンテの応用』と言っていました。私の知らない魔法のようです」

 ネリシアが振り返ることなく告げたと同時に、鈍い音が響く。
 バニーガールの拳とドラゴンシールドの接触音である。
 尋常ではない衝撃を受けつつも踏み止まり、ネリシアは剣を振るう。
 またしても横腹に裏拳を浴びせることで軌道をずらされるが、そうなることは予想済み。
 全体重をかけてシールドごと突進。さすがのバニーガールもこれには吹き飛ぶが、受身を取って体勢を整える。

「バ・ギ・ク・ロ・ス」

 一音ごとに含みを持たせるかのような口調で、バニーガールが呪文を唱える。
 殆どタイムラグもなく出現した巨大な竜巻は、しかしネリシアを避けるかのように放たれた。
 相手の真意が分からず暫し思考すると、ネリシアは勢いよく背後へと首を回す。

「カミシロ!」

 竜巻は相対しているネリシアではなく、離れて拳銃の照準を合わせていた神代を狙ったものだったのだ。
 神を信じる同志を攻撃されたことに、ネリシアの剣と盾を握る力がをよりいっそう強くなる。
 感情の高ぶりに呼応するかのように、彼女の足元の輝きがよりいっそう強くなった。

「ブシコちゃんのとこに行かないように、風の中に閉じ込めただけよぉん」
「関係ありませんっ!」

 小馬鹿にしたような口調のバニーガールへと、ネリシアは掬い上げるような逆袈裟。
 バニーガールが仰け反って回避すると、シールドを押し当てることで姿勢を崩させる。

「神を信じないような人に、用はありません」
「あらまぁ」

 冷酷な死刑宣告を浴びせられたというのに、バニーガールは普段の口調を崩さない。
 接近してくる刃を眺めながら、ゆっくりと切り出す。

「勘違いしてるわねぇ。私は、僧侶でもあるのよん♪」
「…………え?」

 その予期せぬ内容に呆気に取られるネリシアの前で、バニーガールの衣服が変化した。
 茶色のボディスーツに青い貫頭衣を纏い、頭には水色の大きな帽――まさしく僧侶に相応しい衣装である。
 パルプンテの応用による早着替え。あまりの速度に、傍から見ているものにはその過程を視認できない超技。
 戦況を眺めていたブシコが小さく残念そうな声をあげたが、彼女自身も気付いていない。

「僧侶服を着込めば信じるなどと――!」
「じゃあ、聖書でも読めばいいかしら? もちろん、丸暗記してるわよん」

 納得していない様子のネリシアに、僧侶となったバニーガールが聖書を唱える。
 艶っぽい口調で告げられる神の教えという、何とも珍しい代物だ。
 けれどもその内容は忠実らしく、やがてネリシアはかざしていた剣を下ろした。

「ですがどうして僧侶でありながら、あのような格好を……」
「あらん、失礼ねぇ」
「そ、そのような――っ」

 再びパルプンテの応用によってバニーガールの姿となると、抗議しようとしたネリシアに唇を重ねる。
 千の言葉より伝わる一つの行動があるとでも言うのか。はたまた単なる趣味か。
 口内に侵入してくるバニーガールの舌から逃れようと悶えるネリシアからは、冷徹な面はなりを潜めていた。
 いや、正確にはこちらこそが本来のネリシアなのである。
 同教徒と一緒にいる時の彼女は、いつもこのような様子なのだ。人ではない異教徒に対しては、どこまでも非情になれるだけで。
 少しずつネリシアの抵抗が弱くなり、ついにバニーガールの舌がネリシアの舌を捕らえる。

 その時、苦悶の声が大気を切り裂いた。

 すぐさま口を離して悲鳴の方に視線を飛ばすと、バニーガールの瞳には血塗れの西洋剣を携えた神代の姿が映った。
 神代の足元には、桃色の和服を赤黒く染めて地に伏せるブシコ。
 バギクロスの竜巻はまだ残っているというのに、どうして――
 疑問を抱くバニーガールに見せ付けるように、神代は王者の剣をブシコの右太腿に突き刺して捻る。
 撃ち抜かれた箇所を抉られ、ブシコからくぐもった声が漏れた。
 それ以上させまいとバニーガールが地を蹴ると、神代は口角を吊り上げてブシコの腹を蹴り上げた。
 出血の源はそこであったのだろう。血液を撒き散らして、ブシコがサッカーボールのように吹き飛んでいく。
 激痛のショックで意識を落としたらしく、もはやブシコから悲鳴は出なかった。
 気絶しているとなれば、受身は取れない。
 神代を攻撃するべく動き出したバニーガールは、あらぬ方向へと投げ出されたブシコを受け止めに向かうしかなくなった。

「ネリシアちゃん、さっさと行くぞ」
「カミシロ、どうして」
「竜巻のことか? 『ピッピ人形』だか言う人形を身代わりにしたってワケ」
「いいえ、あの方は僧侶ですし逃げなくても――」

 ネリシアとバニーガールの会話を聞いていなかった神代は、僅かに悩んで口を開く。

「あのお姉さんにはお姉さんの異教徒狩りがあるんだよ! 迷惑かけるワケにゃいかねーだろ?」

 言い切りながらも、神代は心中穏やかではない。
 即席とはいえ、あんまりにも適当な理由付けだ。
 若干の沈黙の後、ネリシアは満面の笑みを浮かべて応えた。

「なるほど。迷惑をかけるのは失礼ですし、カミシロが教えてくれて助かりました」

 神代が一人胸を撫で下ろしているのも気付かず、もう一言。

「それにしても、カミシロの異教徒への容赦なさには驚きました。私も見習わなくてはいけませんね」

 いやいや、お前にだけは言われたくないわ。
 思わずそう返しかけて、神代は必死で口を押さえた。


 ◇ ◇ ◇


 最上位回復呪文を何度か唱えることでブシコの傷を塞ぐと、彼女を背負ってバニーガールは戦場に帰還する。
 身構えていたものの、その場にはもはや誰も残っていなかった。
 足跡を探そうしたが、ネリシアはともかくとして神代がそんなものを残すはずがない。
 依然として意識を失っているバニーガールを横たわらせて、パルプンテの応用によって毛布を出現させる。

「つよ、く……な、りた、い…………」

 そんな寝言が、毛布を被せてあげたバニーガールの鼓膜を震わせる。
 遊び人らしくない神妙な表情で、彼女はどこか遠くを見据える。
 強くなりたい。
 たった七つの音から成る、しかし武の道を往くもの全てが抱く見果てぬ夢。
 そしてバニーガールもまた、かつては憧れていた幻想。
 魔法使いの家系に生まれ超一流と呼んでもいいほどまで到達しながら、戦士となったのはそのためだ。
 知識に興味がなかったからこそ、彼女は魔法使いを極めたとは公言しない。
 でも彼女は、いずれ戦士から僧侶と職を変えてしまう。
 戦士として上り詰めた末に、彼女には相手がいなくなったのだ。
 強くなりたいという思いこそあれど、鍛錬を積むことができなかった。
 夢を捨てたのは、勇者とともに魔王の元へと向かう数年前のこと。

「強く、ねえ……」

 バニーガールは自身に支給された日本刀を取り出す。
 どうやら、ブシコはまだ憧憬し続けているらしい。
 襲撃者の二人やバニーガールには及ばずとも、十分達人と言っていいレベルだというのに。
 ふと、バニーガールの頬が緩んだ。

「ブシコちゃんは恵まれてるわねぇん」

 答が返ってこないのを承知で告げると、バニーガールは日本刀を携えて腰を低く落とす。
 呼吸を整えて、まさしく夢想の名を冠する日本刀を一閃する。

「私が全力で振るっても問題ないなんて、やっぱり相当な業物ねえ」

 吸い込まれてしまいそうなほどに美しい刀身を見据えて、バニーガールは目を細めた。
 この得物であれば、これからやろうとしていることに役に立つ。

「ブシコちゃん♪ あなた、羨ましいくらい恵まれてるわよ♪」

 何せ、自身を上回る存在が稽古をつけてくれるのだから――――
 あえて口に出さずに胸中で告げて、バニーガールは顔を綻ばせた。



【一日目 夕方/C‐3 森林】

【バニー・ガール(?)(女遊び人?)@ドラゴンクエストⅢ】
【状態】美形、健康、魔力消費微
【装備】ゴッドハンド@魔界戦記ディスガイア
【道具】支給品一式、夢想正宗@女神転生if...、不明支給品0~1
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
1:ブシコを強くする。
2:仲間を集める。
3:可愛い少女を愛で尽くす。
【備考】
※遊び人の前に勇者、魔法使い、賢者を除く全てのDQ3職業を一流レベルまで極めています。
※本名とか実力とか容姿とかまだネタを持ってるのかとかなんかもう色んなことを後続に任せます。
※パルプンテのちょっとした応用です。
※魔法使いは『超』一流ですが、公言する気がありません。
※魔法使い→戦士→僧侶、と来たようです。後の職業は任せます。


【ブシド・ザ・ブシコ(ブシドー♀)@世界樹の迷宮Ⅱ-諸王の聖杯-】
【状態】気絶、衣服が血塗れ、傷は塞がっている
【装備】天空の剣@ドラゴンクエスト5
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
基本:この殺し合いの破綻。
0:強くなりたい。
1:首輪を解析できそうな仲間を優先して集める。
2:敵対するものは全て斬り伏せる。
3:姉、ブシド・ザ・ブシエに勝つ。


 ◇ ◇ ◇


 やれやれ、本当にやれやれだ。
 ニッコニコしやがって逆に腹立つなァ、おい。
 強いだけじゃなく、えらい美人でスタイルもいい。
 戦力としてはもちろん、一緒に行動しててそりゃあテンションは上がるさ。実際、手ェ出したくなるのを抑えてる。
 でもよォ、こんの相方は普段は扱いやすいくせに、プッツンモード入ると言うこと聞きゃしねーから困るぜ。
 こっちは生き残るつもりっつっても、わざわざ戦い吹っかける気はねーってのによ。
 別に戦闘に自信がねえワケじゃねえけど、単なる強さだけで最後の一人に残れるはずがない。
 強者同士で喰い合うというのもあり得るし、連戦の末に二周りほど格下の相手すらままならなくなる場合もあるだろう。
 参加者なんて、放っておいても勝手に減っていく。
 大事なのは狩り方じゃあなく、この場において生き抜く方法。
 積極的に殺していこうとする者たちに、出来うる限り参加者を減らさせる。
 急いで動かずともそういう積極派はいずれ疲弊していくので、そこを叩けばいいだけのこと。
 こちらが手を下さずに、知らないとこで死んでくんなら最良だ。
 次に、消極派の方。
 たとえ個々が大して強くなかろうと、グループなんか作られちゃあ厄介だ。
 極力、強い積極派にブチ壊してもらいてーもんだが……
 問題なのが、さっきのエロ女みたいな強い消極派。
 何人いるかなんて分からねーが、ああいうのが一番面倒くせえ。
 ただ群れてるだけなら知ったこっちゃねーが、参加者を減らしていく積極派まで止めやがるからな。
 この俺が最後の一人となる上で、最も邪魔なタイプだ。

 ――――だからこそあのエロ女も仲間の方も、さっき始末しようとしなかったんだがな。

 あの強さなら早々に脱落するワケがねえ。
 だったら、それでいい。
 死んでくれたらありがたいが、別に存分に長生きしてくれても一向に構わない。
 聴覚で接近してくるヤツなんていねーのは分かってるが、念のために振り返って後方確認。
 追ってこないところを見ると、やはり仲間を見捨てるようなヤツじゃないようだ。
 つっても九割九分そう思ってたんだけどな。そうじゃなきゃ、わざわざあんなの助けたりしねえし。
 一応確定情報にするために、剣術女のあえて死なない部位に剣を通してやった。
 あのエロ女なら完治させちまってるだろうが、だからってすぐに意識は戻らない。
 つまり俺たちを追ってこれるのは、寝ている仲間を殺し合いの場に放置できるようなヤツだけってことだ。
 そんでもって、あのエロ女はそうじゃなかった。
 剣術女の方はさして脅威にもならなそうなんで、浮かんでた仮説の証明に使わせてもらったぜ。
 あの程度の実力なんだ。人様の役に立たせてやったことを感謝して欲しいね。
 ま、強くて美形でエロいお姉さんよォ、そーいうことだわ。

 ――――死なねえなら死なねえで、引き連れてる足手纏いをもっと増やしてくれりゃそれでいいさ。




【一日目 夕方/C‐2 森林】

【ネリシア(♀クルセ)@ラグナロクオンライン】
【状態】健康
【装備】メタルキングの剣@ドラクエシリーズ、ドラゴンシールド@ドラクエシリーズ クルセの鎧(初期装備)
【道具】支給品一式×2.5 不明支給品2~6
【思考】
基本:神の信徒を保護し、神を信じないものを滅殺する。
1:カミシロについていく。
2:カミシロとともに信徒の保護、信じないものの抹殺。
3:そこまで深くものを考える性格ではないので特になし。
※発光はオーラ(レベル99になると足元から噴き出るもの)のせいです。


【神代浩司(if男主人公)@真・女神転生if…】
【状態】健康
【装備】王者の剣@ドラクエⅢ、ブレザー(上着は脱いでる)、黄金銃@真・女神転生if…
【道具】支給品一式×2.5 不明支給品0~4
【思考】
基本:生き残る。そのためならなにやってもおk
1:バニー・ガールから離れる。
2:ネリシアを利用し参加者を最大限減らす。
【備考】
※ガーディアンはバランスタイプ最強のメタトロン(レベル75)です。
※不明支給品のうち一つは、ピッピ人形@ポケットモンスター金銀でした。


046:My Love's Sold 投下順に読む 048:三者激動――(惨劇)
046:My Love's Sold 時系列順に読む 049:Leap the precipice
034:s・CRY・ed バニー・ガール(?) :[[]]
ブシド・ザ・ブシコ :[[]]
ネリシア :[[]]
神代浩司 :[[]]



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