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クロス第33話

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匿名ユーザー

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島の中心部、役場のロビー。光太郎、6/、みなみ、滝がいたこの施設に、つい先程新たな参加者が到着した。
こなた、みくる、長門の三人だ。
奥の部屋で眠っているみなみを除く六人は今、それぞれがここまで得た情報を交換し合っていた。

「こっちが会った中で危険そうなのは、サク、キョン、桂の三人だ。そっちは?」
「こっちはマリオくんだね」
「マリオか……。あいつの身体能力もかなりのもんだからな。プログラムに乗ってるとなると、かなり高い壁になりそうだ……」

マリオと対峙する瞬間を想像し、滝は物憂げに溜め息を漏らす。
そんな中、みくるは長門が不振な動きを見せたことに気づいた。

「長門さん、どうかしました?」
「誰か来た……」
「何?」

長門の言葉につられて、一同は揃って入り口を見る。彼らが見たのは開かれた入り口の扉と、こちらに向かって転がってくる何かだった。

「やべえ! 逃げ……!」

滝が叫ぶが、時すでに遅し。直後、壮絶な爆発音が彼らの耳を貫いた。


◇ ◇ ◇


(ハハハハハ! バカな連中だよ! 入り口から丸見えのロビーに集まるなんてね!)

狂気の笑みを浮かべながら、シンヤは素早くロビーへ飛び込んだ。
ロビーにいる6/たちは、いずれもその身を硬直させている。
シンヤが投げ込んだ夏奈の支給品、スタングレネードの効果で動きを封じられているのだ。
スタングレネードが引き起こす感覚器官への直接攻撃の前には、屈強な男もか弱い女子高生も平等に無力である。

(まずは一人!)

シンヤはもっとも入り口の近くにいた滝の頭部に目がけ、力一杯バットを振った。
滝に抵抗する術はなく、その頭はあまりにもあっけなく砕かれた。

(二人目!)

滝を殺害したシンヤは、息つく間もなく二人のターゲットに襲いかかる。
狙いを定められたのは、南光太郎。シンヤは大きく振りかぶったバットを、光太郎の脳天目がけて振り下ろす。
だがその瞬間、光太郎の体が横にずれる。結果としてバットは光太郎の脳天を砕くことはなく、代わりに彼の左腕を砕いた。

「ぐああっ!」
(ちっ、外したか!)

光太郎が上げる悲鳴など気に留めず、シンヤは今度こそ彼を仕留めるべく今一度バットを構える。
だがそこで、彼の行動を邪魔する存在が現れた。

「や、やらせません~!」
「なんだと!?」

朝比奈みくるが後ろから組み付き、彼の行動を妨害してきたのである。

(くそっ! こいつら、もう動けるように……!)

はっきり言ってしまえば、シンヤはスタングレネードの威力を過信していた。
たしかにスタングレネードは、どんな相手にも一定の効果があげられる。
だが彼が使用したタイプでは、長くても十数秒ほどが動きを止められるリミットだったのである。
だからこそ予想外の介入に、シンヤは大きく取り乱す。

「ええい! 離れろ、女!」

密着した状態から、シンヤは強引にみくるへ肘打ちを放つ。それにみくるが耐えられるはずもなく、彼女はあっさりシンヤの体から離れた。

「いっそお前から……!」

床に倒れ込むみくるに向かって、改めてバットを振り上げるシンヤ。だが、それは愚策以外の何物でもない。

「やらせるか!」

背後にいたみくるに向き直るということは、それまで正面にいた光太郎に背を向けるということ。
隙だらけのシンヤの背中に、光太郎は腕の痛みをこらえながら蹴りを見舞う。
その蹴りをまともにくらったシンヤは、転倒こそ免れたものの大きくよろけた。
そこへ、さらにこなたの追撃が襲いかかる。

「やあっ!」

バランスを崩したシンヤの腕を取り、こなたは思い切り投げる。シンヤはなすすべもなく宙を舞い、固い床に叩きつけられた。

「クズどもが……。調子に乗るなあーっ!」

だが、シンヤの闘志は未だ折れていなかった。すぐさま立ち上がり、傷を負ったこなたの右肩に拳を叩き込む。
さらに彼女の腹を蹴り上げ、小さな体を吹き飛ばす。

「どいつもこいつも……。この僕を舐めるな!」

取り落としたバットを拾い直し、シンヤは椅子の上に倒れ込んだこなたに向かって突き進む。
だが、周囲がそれを黙って見ているはずがない。

「うおおおおおお!!」

シンヤの側面から、光太郎が全力で体当たりを敢行する。
逆上による視野の狭窄とダメージの蓄積が災いし、シンヤはそれを避けられず。
光太郎もろとも、床に倒れ込む。

「この! 離れろ!」

自分をがっちりホールドする光太郎を、なんとか引きはがそうとするシンヤ。
だが光太郎はシンヤの体に片腕だけでしがみつき、そのまま離れずに床の上を転がっていく。
光太郎には、彼なりの考えがあった。シンヤは強い。このまま戦闘を続ければ、みくるやこなたも滝のように殺されてしまう。
だからここは自分が身を挺して、シンヤを彼女たちから引き離す。たとえ自分が殺されても、彼女たちが逃げる時間くらいは稼げるはずだ。

(俺の命と引き替えにしてでも……。お前の好きにはさせないぞ、シンヤ!)

激しく揉み合いながら、光太郎はシンヤを巧みに誘導する。そして二人は組み合ったまま、役場を出て行った。

「南君……」

そして、その場にはみくるとこなただけが残される。

「あ、あれ? 私と泉先輩だけ? どういうことですか?」

ここでみくるは、ようやく気づく。その場にいるべき人数が、明らかに足りていないことに。

「長門さん、6/さん! どこに行っちゃったんですかー?」


◇ ◇ ◇


長門有希は、役場の廊下を走っていた。
彼女はシンヤが投げ込んだスタングレネードにいち早く気づき、超人的な瞬発力でその効果範囲から逃れたのだ。
ならばなぜ彼女は、突入してきたシンヤと戦うことを選ばなかったのか。
答えは簡単。手負いの自分では、シンヤと真正面からぶつかっても勝てないと判断したからだ。
ならばあの場にいた人間はシンヤの好きにさせ、自分は安全に殺せる相手を狙った方がいい。
そう考え、長門はすぐさま逃走を開始したのである。
彼女が向かっているのは、役場の中のとある一室。その部屋にたどり着いた長門は、物音を立てぬよう慎重にドアを開ける。
その中には、端整な顔立ちを苦痛に歪めながら眠る岩崎みなみの姿があった。

(あなたに恨みはないが……。こんな無防備な状態を晒している獲物を見逃すわけにもいかない。死んでもらう)

静かに鎖鎌を取り出し、長門はその刃をみなみの首筋に向けようとする。
だがその時、怒りを孕んだ声が彼女の鼓膜を叩いた。

「待ちな!」

反射的に、長門は部屋の入り口に視線を向ける。そこには、目をつり上げこめかみに血管を浮かべた6/の姿があった。

「ビンゴだな……! どうにも胸騒ぎがひどくてみなみのところに来てみれば……。
 さっさとその鎌どけろや、長門ぉ!」

激しい怒りを隠そうともせず、6/は吠える。だがそれほどの怒りをぶつけられようとも、長門が動揺を見せることはない。

「あなたに私の行動を読まれたのは予想外。だが、この状況で不利なのはあなたの方」

淡々と述べると、長門はみなみの体を起こしその首に改めて鎌を当てる。

「彼女の安全を保証してほしいなら、私をここで見逃してもらう」
「……わかった。みなみの安全には変えられないからな……と言うと思ったかこの野郎ーっ!」

長門の脅迫に素直に従う振りをしながら、6/はポケットに隠し持っていたクルミを投擲する。
だがクルミは大きく狙いを外し、長門の後ろの壁に当たる。

(愚かな行動を……)

6/の行動に失望しつつ、長門は鎌を持った手に力を込める。抑止力にならぬ人質など邪魔なだけ。そうそうに始末するのが最良だ。
だがその瞬間、長門の後頭部を鈍い衝撃が襲った。

「!?」

何が起こったのか理解できぬまま、バランスを崩す長門。そこへ、疾風のごとき速さで6/が跳びかかる。
彼の手は、迷いのない動きでみなみの体を長門から奪い返した。

「…………っ!」

一方人質を失った長門は、ふらつく体で壁に寄り掛かる。

「まさか……跳弾……?」
「そういうことだ。真正面から撃ったんじゃ、みなみに当たる危険性があるからな。
 さて、もう人質はいないぜ? 覚悟するんだな」

みなみを元の場所に寝かせつつ、6/は長門から視線を外さない。そして鬼のごとき表情を浮かべて、クルミを握る。
傍目から見れば、明らかに長門が追いつめられた状況。だが、それでも長門は無表情を崩さない。

「この程度で私が諦めると思わない方がいい」

長門は背後の窓に向かって、鎖鎌の鎖を投擲する。高速で鎖を叩きつけられ、窓ガラスがあっけなく砕け散る。
そして長門は、軽やかな跳躍で割れた窓から出ていった。

「ちっ、逃げられたか……」

残された6/は忌々しげに呟きながら、クルミをポケットに戻す。

「まあ、とりあえずみなみが守れただけでもよしとしておくか……」

未だ意識を取り戻さない恋人の顔をのぞき込みながら、6/は安堵の溜め息を漏らす。
ロビーに残してきた仲間たちが、悲惨な状況に追い込まれていることも知らずに。

【21番 滝和也 死亡】
残り16人

【1番 相羽シンヤ】
【学年】高3
【状態】右頬負傷
【所持品】金属バット、鉄パイプ、スタングレネード×2
【能力】知力:C 体力:S ブラコン:A

【34番 南光太郎】
【学年】高1
【状態】左腕骨折
【所持品】なし
【能力】知力:C 体力:S 歌唱力:E

【5番 朝比奈みくる】
【学年】高2
【状態】健康
【所持品】三味線糸
【能力】知力:C 体力:E お茶汲み:B

【6番 泉こなた】
【学年】高3
【状態】右肩負傷、腹部にダメージ(大)、覚醒
【所持品】カッターナイフ、みゆきの支給品
【能力】知力:C 体力:B オタク:S

【25番 長門有希】
【学年】高1
【状態】軽い火傷、右肘負傷
【所持品】鎖鎌、クロスボウ、KXの支給品
【能力】知力:S 体力:A 冷静さ:S

【7番 岩崎みなみ】
【学年】高1
【状態】気絶
【所持品】出刃包丁
【能力】知力:B 体力:B 胸:AA(カップ的な意味で)

【40番 6/】
【学年】高3
【状態】健康
【所持品】クルミ数個(ポケットに入れている)
【能力】知力:B 体力:C クルミ投げ:B

※滝と光太郎の荷物は、現在役場のロビーに放置



【21番 滝和也】

Former

Next

死亡



【1番 相羽シンヤ】

Former

Next




【34番 南光太郎】

Former

Next




【5番 朝比奈みくる】

Former

Next




【6番 泉こなた】

Former

Next




【25番 長門有希】

Former

Next




【7番 岩崎みなみ】

Former

Next




【40番 6/】

Former

Next


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