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クロス第34話

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匿名ユーザー

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役場で乱闘が繰り広げられていたのと、ほぼ同時刻。
門倉雄大は、そこから決して遠くない市街地を歩いていた。
彼は、おのれの五感を最大限に研ぎ澄ましていた。
探し人を見つけるため、そして自分に襲い来る襲撃者を察知するために。
やがて集中力によって増幅された感覚は、門倉自身へ向けられた殺気を察知する。

(上か!)

その瞬間、門倉は後ろへ跳んでいた。そのすぐ後に、それまで彼がいた場所目がけて何かが落ちてくる。

(あれは……。バールのようなもの? たしかにあれに当たれば痛手だが、2階程度の高さから落としたところで一撃必殺にはなりえない。
 つまり、これは牽制。本命は次の、第二撃!)

わずかな時間でそう判断を下し、上に視線を向ける門倉。だがその時にはもう、彼の視界は革靴の裏で塞がれていた。

「!!」

その攻撃に反応しきれず、まともにくらった門倉はアスファルトの上を転がる。
一方彼に蹴りを叩き込んだ張本人であるルイージは、しっかりと大地を踏みしめ着地した。

「まさかそこの民家の窓から、直接飛び降りてくるとはな……。少々意表を突かれたよ」

気だるげな仕草で体を起こしながら、門倉はルイージに言う。顔面への打撃で鼻血が吹き出ているものの、その表情には闘志が満ちていた。

「プログラムに乗っていると判断して……かまわないか?」

門倉の問いかけに、ルイージは無言でうなずく。

「ならば……遠慮なくやらせてもらおう」

鼻血を服の袖でぬぐい取ると、門倉はその顔に不謹慎な笑みを浮かべた。
そして、ルイージに向かって猛然とダッシュを始める。
それに対しルイージは鉈を取り出して応戦しようとするが、門倉の瞬発力は彼の想像を超えていた。

「遅いんだよ」

ルイージが鉈を振るうよりも早く、門倉は相手の懐に潜り込む。そして、先程のお返しとばかりに顔面を殴りつけた。

「グムゥ……!」

たまらず後退するルイージ。だが、その視線は門倉から外されていない。
体勢を崩しながらも、門倉の命を刈るべく鉈を振るう。
しかしその一撃は回避され、相手の腕をかすめるに止まった。

「ちいっ!」

かわされてもなお、ルイージは攻撃の手を休めない。今度は、その長い脚で門倉を蹴り上げにいく。
だがバランスも整えぬまま無理に繰り出した攻撃など、門倉には通用しない。
門倉はその蹴りをしっかりと受け止め、膝関節を逆に曲げにいく。

「くっ!」

膝を破壊されてはたまらないと、ルイージは慌てて門倉の手をふりほどく。
なんとか深刻なダメージは免れたルイージだったが、その顔は焦りに満ちていた。

(ダメージ自体にたいした差はないが、流れは明らかに向こうが握っているな……。
 このままではおそらくじり貧……。さて、どうする……)

門倉をにらみつけながら、ルイージは策を練る。その結果、彼は一つの作戦を思いついた。

(これが有効かどうかは、試してみないとわからない……。だが、やってみるか……)

顔に不気味な笑みを貼り付け、ルイージはおもむろに口を開いた。

「なあ、門倉」
「なんだ」
「お前、朝倉涼子とは仲がよかったよなあ」

姉と慕う少女の名を聞き、門倉はわずかに眉をつり上げる。その反応に、ルイージは「いける」と確信を抱いた。

「涼子姉様がどうかしたというのか?」

門倉は、苛立ちを隠せぬ声でルイージに問う。ルイージは、精一杯の悪意を顔に浮かべてそれに答える。

「殺したよ。ついさっき、俺がな」

その刹那、門倉のこめかみにはち切れそうな血管が浮かび上がる。

「笑えない冗談はよしてもらおうか」
「悪いけど、冗談は言ってない。ほら、見ろよこの鉈。血がべったり付いてるだろ? 朝倉の血だよ」
「やめろ……!」
「これであいつの顔面を叩き割ってやったんだ。そりゃあ無惨だったよ。あの綺麗な顔がぐちゃぐちゃに……」
「やめろと言っているんだ!!」

ついに、門倉の怒りが臨界点を超える。吹き上がる激情に任せて蹴りを繰り出した門倉だったが、その一撃は空を切る。

(いける……)

目の前を通過していった蹴りを確認しながら、ルイージは心中で呟く。
おそらく、攻撃の威力そのものは上がっている。だが、攻撃が粗い。
心が大きく乱れているのが、手に取るようにわかる。

(後はチャンスを待つだけだ……)

ルイージはただひたすら、門倉の攻撃を避けることに徹する。矢継ぎ早に拳や蹴りを繰り出していく門倉だが、そのいずれもがルイージを捉えない。
門倉の中に、次第に焦燥感が募っていく。そしてそれが一定値を超えた時、勝負は決した。

(これだ!)

焦りに背を押された門倉が放った、大振りの一撃。ルイージは全力を振り絞り、その一撃を回避する。
荒れ狂う暴風がルイージの顔を叩くが、拳そのものはルイージに当たらない。

(勝った!)

最後の賭けをクリアし、おのれの勝利を確信しながらルイージは拳を繰り出す。
その拳はカウンターとなり、門倉の腹に突き刺さった。

「があっ!」

門倉の体が、くの字に折れ曲がる。ルイージは自分の前に晒された後頭部に、力一杯鉈を振り下ろした。
血しぶきと共に、鉈が門倉の頭にめり込む。門倉が声にならない声をあげ、崩れ落ちる。
そのまま、彼は二度と起きあがらなかった。

「勝ったか……。しかし、強敵だった……」

大きく息を吐き、ルイージはその場に腰を下ろす。勝つには勝ったが、こちらのダメージと疲労もかなりのものだ。
次に備えて、なるべく早く休憩をとらないと。そう考えるルイージだったが、運命の女神は彼に休息を与えてはくれなかった。

「雄大……」

背後からルイージの耳に飛び込んできたのは、か細い少女の声。急いで振り向けば、そこには長門有希の姿があった。
ルイージは感じ取っていた。一見いつもと変わらぬように見える無表情な彼女の顔に、はっきりと憎悪の色が浮かんでいるのを。

「やれやれ、休む間もなく次のステージか……」

気だるげに体を起こすと、ルイージは鮮血に染まった鉈を構えた。

【10番 門倉雄大 死亡】
残り15人

【25番 長門有希】
【学年】高1
【状態】軽い火傷、右肘負傷
【所持品】鎖鎌、クロスボウ、KXの支給品
【能力】知力:S 体力:A 冷静さ:S

【39番 ルイージ】
【学年】高3
【状態】精神崩壊、顔面にダメージ(大)、疲労(大)
【所持品】リボルバー、鉈、バールのようなもの、アイスピック
【能力】知力:B 体力:A ジャンプ力:S



【10番 門倉雄大】

Former

Next

死亡



【長門有希】

Former

Next




【ルイージ】

Former

Next


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