右手には鋭い日本刀。左手には首輪探知機。そして胸には固い決意。
桂ヒナギクは、一人歩き続ける。先程まで傍らにいた同行者は、もういない。
彼は、想い人と共にこの世を去ってしまった。だから、仇を討つ。
その誓いを抱き、ヒナギクは探知機が示す一つの光点目指して進んでいた。
やがて、その光点の示す人物は肉眼でも確認できるようになる。
桂ヒナギクは、一人歩き続ける。先程まで傍らにいた同行者は、もういない。
彼は、想い人と共にこの世を去ってしまった。だから、仇を討つ。
その誓いを抱き、ヒナギクは探知機が示す一つの光点目指して進んでいた。
やがて、その光点の示す人物は肉眼でも確認できるようになる。
「とりあえずはようこそと言っておこうか、桂ヒナギク……」
ヒナギクが狙っていた相手・赤木しげるは、拳銃を手に仁王立ちで彼女を出迎えた。
「接近するまで撃ってこないなんて……。余裕じゃない。撃とうと思えば撃てたんでしょ?」
「可能な限り物陰に身を隠しながら進んできて、よく言う……。まあ、それだけが撃たなかった理由じゃないがな……」
「どういうことよ」
「このプログラムを勝ち残るためには、単純な武力や策略以外のもの……そう、言うなれば勢いが必要だ。
勢いを得るための生け贄として、俺はお前を選ばせてもらった。俺はお前と真っ向から対峙して、そして勝つ。
その程度が出来なければ、とうていこのプログラムで優勝することなど出来ない」
「なるほどね……。いい度胸してるじゃない。それじゃあ、私が教えてあげるわ。
あなたは、このプログラムで優勝なんて出来ないということを」
「可能な限り物陰に身を隠しながら進んできて、よく言う……。まあ、それだけが撃たなかった理由じゃないがな……」
「どういうことよ」
「このプログラムを勝ち残るためには、単純な武力や策略以外のもの……そう、言うなれば勢いが必要だ。
勢いを得るための生け贄として、俺はお前を選ばせてもらった。俺はお前と真っ向から対峙して、そして勝つ。
その程度が出来なければ、とうていこのプログラムで優勝することなど出来ない」
「なるほどね……。いい度胸してるじゃない。それじゃあ、私が教えてあげるわ。
あなたは、このプログラムで優勝なんて出来ないということを」
険しい表情で、ヒナギクは日本刀を構える。対するアカギは、不敵な笑みを浮かべながら銃を構える。
数秒の静寂。そこから、戦いの幕が上がる。
先に動いたのは、ヒナギク。刀を上段に構え、アカギに突っ込む。
アカギもそれに合わせて発砲。銃弾はヒナギクの脇腹をかすめるが、彼女は意に介さない。
そのまま距離を詰めたヒナギクは、アカギ目がけ刀を振り下ろす。
だが、すでに回避行動に移っていたアカギは紙一重で刃を避ける。そして不安定な姿勢から、二度目の発砲。
今度は、ヒナギクの肩を弾丸がかすめていく。
数秒の静寂。そこから、戦いの幕が上がる。
先に動いたのは、ヒナギク。刀を上段に構え、アカギに突っ込む。
アカギもそれに合わせて発砲。銃弾はヒナギクの脇腹をかすめるが、彼女は意に介さない。
そのまま距離を詰めたヒナギクは、アカギ目がけ刀を振り下ろす。
だが、すでに回避行動に移っていたアカギは紙一重で刃を避ける。そして不安定な姿勢から、二度目の発砲。
今度は、ヒナギクの肩を弾丸がかすめていく。
「この……程度っ!」
痛みに顔を歪めつつも、それをこらえてヒナギクは今一度刀を振るう。
今回はアカギ、かわしきれず。刃が彼の腕を切り裂き、鮮血が流れ出す。
今回はアカギ、かわしきれず。刃が彼の腕を切り裂き、鮮血が流れ出す。
「……っ!」
「どうした……。自分が傷つけられるのは我慢できても、自分が誰かを傷つけるのは我慢できないか?」
「そ、そんな訳ないじゃない! あんたは涼宮さんとキョンくんの仇なのよ……! 私が倒さなきゃいけないのよ!」
「どうした……。自分が傷つけられるのは我慢できても、自分が誰かを傷つけるのは我慢できないか?」
「そ、そんな訳ないじゃない! あんたは涼宮さんとキョンくんの仇なのよ……! 私が倒さなきゃいけないのよ!」
アカギの言葉に対しムキになって反論するヒナギクだが、その心は傍目から見てもわかるほどに乱れていた。
その動揺を証明するように、三度目の斬撃はむなしく空を切る。
その動揺を証明するように、三度目の斬撃はむなしく空を切る。
「甘いぜ、桂……」
アカギ、三度目の発砲。弾丸は、ヒナギクの左腕を貫く。
「うっ!」
かすめる程度だったこれまでとは違い、今度の弾丸は直撃。さしものヒナギクも、その痛みに悶絶する。
その隙に乗じて、アカギはさらに発砲。ヒナギクは致命傷こそ避けたものの、それをまともに受けてしまう。
その隙に乗じて、アカギはさらに発砲。ヒナギクは致命傷こそ避けたものの、それをまともに受けてしまう。
「ぐっ……!」
これまでの人生で感じたことのない痛みを送り込まれ、ヒナギクは立っているのがやっとであった。
そこへ、アカギは容赦なく止めを刺しにいく。
そこへ、アカギは容赦なく止めを刺しにいく。
「じゃあな」
短く呟き、アカギは引き金を引く。ところが、銃口から弾丸は飛び出さない。
「……ちっ」
アカギが、わずかに顔をしかめる。ヒナギクは、それを見逃さなかった。
(弾切れ!? だとしたら、今が最後のチャンス!)
悲鳴を上げる全身を気合いで無理に動かし、ヒナギクは走る。震える腕で刀を振り上げ、友の仇目がけ振り下ろす。
「私の……勝ちだぁ!」
「いや、お前の負けだ……」
その刹那、連続した銃声が周囲に響く。そしてヒナギクは、胸に無数の風穴を開けられ、赤い液体をまき散らしながら倒れた。
「なん…で……」
そう呟くヒナギクの、視線の先。そこには、サブマシンガンを手にしたアカギの姿があった。
「いつでも持ち替えられるよう、足下に置いてたんだよ。もっとも、この草むらのせいであんたからは見えなかったようだがな……」
「油断させておいて……卑怯……だわ……」
「これから死ぬ人間に弁解をしてもしょうがないが……。いちおう言っておこう。
別に油断を誘うつもりはなかったさ。弾切れは、本当にただの不注意だ」
「そう……。でも、どっちでも……いいわ……。あんたの言うとおり……私はもう……死ぬんだから……。
ご……め……キョン……く……。仇……う……て…………」
「油断させておいて……卑怯……だわ……」
「これから死ぬ人間に弁解をしてもしょうがないが……。いちおう言っておこう。
別に油断を誘うつもりはなかったさ。弾切れは、本当にただの不注意だ」
「そう……。でも、どっちでも……いいわ……。あんたの言うとおり……私はもう……死ぬんだから……。
ご……め……キョン……く……。仇……う……て…………」
ヒナギクの声は徐々に細くなっていき、やがて完全に途切れる。
「死んだか……」
ただ一言、アカギは呟く。その声色からも、顔色からも、彼の胸中を察することは出来ない。
「なんにせよ……。俺は桂に勝った……。流れは、俺に来ている……」
独白を続けながら、アカギはヒナギクの荷物を回収していく。
「だが……流石に少し疲れた……。どこか適当な場所で、休憩を取るか……」
わずかにふらつく足取りで、死神は戦いの場から去っていった。
【9番 桂ヒナギク 死亡】
残り17人
残り17人
【2番 赤木しげる】
【学年】中1
【状態】左腕負傷
【所持品】サイレンサー付き拳銃、手榴弾×4、サブマシンガン、フルフェイスヘルメット、スナイパーライフル、日本刀、首輪探知機
【能力】知力:S 体力:B 狂気:S
【学年】中1
【状態】左腕負傷
【所持品】サイレンサー付き拳銃、手榴弾×4、サブマシンガン、フルフェイスヘルメット、スナイパーライフル、日本刀、首輪探知機
【能力】知力:S 体力:B 狂気:S
【9番 桂ヒナギク】
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