Episode.1「起 -前編-」
あーだる。体が治りきってないですよ...姉さん...
外は快晴で、お洗濯も乾いたそうですね。ベッドのシーツも交換するらしいです。
あとお菓子も作ってくれたようですね。......ごめん。なんでもない。
ジオ・テオゴニアで彷徨ってたらクロさんと騎士さんに見つかりました。
...騎士さん?それにクロさんも、なんで......
......姉貴は大げさなんです。ちょっと一人になりたかっただけで、体調はもう大丈夫なんで。
姉貴もライラエルさまも、本当に過保護なんですよ。それにお人よしで。あたしなんかを心配して、気遣って......
......底抜けにあったかくて。優しくて。あたしを責めたりなんて、絶対してくれない......
え?叱ってほしい?クロさん......でも......
きっと大丈夫?騎士さん......そう......ですね。その通りかもしれません。
前だって、言わなかったから迷惑かけちゃったし。何も言わないまま、このままじゃいけないってことは、わかるんで。
善は急げと言われてもなんでしょうね。なんか変な魔物がいますね。
クロさん、騎士さん、気を付けて!この魔物、なんか変――
来ましたね。覇瞳皇帝ですね。転送さ
Episode.2「起 -後編-」
変なところに転送されましたね。
覇瞳皇帝さんはあのレイドバトルで力が削られたようです。
あの魔物は国連の連中で、玩具の脅威はアストルム全土に広がりますね。
あとあの魔物、「データ消去プログラム」――?
あれの攻撃は、この世界のあらゆるリソースを消去...?
フィールド、NPC、何もかも......?
ミネルヴァの懲役、そして蟷サ蠅?ォ懷錘の企み......
これらに対抗すべく国連と国際警察が動き回ってるのはご存じらしいですね。
あいつは後手に回って、結果現実まで脅されてしまった結果、
「自分たちの手で制御できない危険な世界は永久に消し去ってしまうべき」と考えたようですね。
幸運にもプレイヤーの大多数はログアウト済み、残っているのは私たち事情を知る一部の関係者だそうですね...
......待ってください。それって、あたしたちみたいな存在は――
なんでプレイアブル化された私がNPCでデータなんですか......
プレイアブル化されたのにNPCっておかしいじゃないですか......
この世界、天才的な叡智があるんですね。不安定ですが。
あの連中は蟷サ蠅?ォ懷錘が残したプログラムの引き上げに成功したらしいですね...
クロさんが騎士さんに下がってって言って捨て身ですよ。
あの魔物が持つものの魔力、どうやら騎士さんたちがトドメを刺したようですね。
え、ソルドラゴン?あの戦いの後蟷サ蠅?ォ懷錘が孵化させた膨大なプログラムは、
形状を変えてアストルムのどこかに落ちて、アストルムの不正アクセスに成功した国際の連中が見つけたようですね......
その残り滓で作ったあの魔物は手ごわいですね......元の容量が桁違いです。
世界を消去する権能を持たせることも可能で延々と増えるだるい魔物ですね......
っ......!じゃあ、どうすれば......!
蟷サ蠅?ォ懷錘というプログラムを探しだすしかないですって!?
あれも、探し出すのが困難な場所で!?
どうやらクロさんが機械人形扱いされ覇瞳皇帝さんにアップデートされるようですね。
クロさんの根幹は、超AIであるミネルヴァの雛型で、追加パッチさえあれば蟷サ蠅?ォ懷錘が残したプログラム探知くらいできるようですね。
命令ですって!?拒否権はない!?
......てか、ちょっと前まで敵だったわけですし?クロさんに何か仕掛けない保証もないですよね。
意思は関係ないようですね。あたしが障害で排除......
どうやらクロさんがメンテナンスやるようですね。
ちょっ、クロさん!?何かかけられたようです。システムの更新がされたようで、元凶の気配を追えるようですね。
どこへ行く気ですか?暇じゃないからせいぜい走り回るようですね。
消えていきました。クロさん、ほんとに体大丈夫です?何か変な機能が入ってたり......
なんだか調子が良いらしいですね。センサーにも早速反応があるようで。
違う世界まで感知できるくらいアップデートされましたね。
......一応、言ったことは守ってくれてるっぽいですね。うさん臭さはすごいですけど。
信じられない?そりゃそうですよ。つい最近戦ったばっかですし、あの人のヤバさは見てたんで。
クロさんは怒っちゃったりするけど覇瞳皇帝さんは悪い人じゃないみたいですね。
世界が大好きなクロさん、元気ですね。
や、なに納得してんですか。これだからお人よしは......
データ消去プログラムが現れました。ここももう安全じゃなさそうですね。
ジェットブーツ起動を止めました。
あのっ!すみません......そのプログラムを探す件なんですけど......
あたしは、別行動でもいいですか。
この世界の危機なのはわかってますし、手伝いたい気持ちもあります。
でも......やっぱりあたしはみんなが......姉さんが、心配で。
大丈夫ですよ。あたしが無事でないと、姉貴ぴーぴー泣いちゃうんで。
プログラムの方はクロさんがなんとかするようですね。......はい、二人とも、ありがとうございます。
Episode.3 「承 -前編-」
姉貴......ライラエルさま......!
邪魔――すんなっ!
私は炎の魔法を放ちました。めんどくさいですが......
でも、効かなくて......
魔法が効かない......!?違う、あたしの魔力が戻ってないから......!
し
......!あなたは、たしか......、ホマレ、さん?......助けてくれて、ありがとうございます。
でもすみません、あたし急いでいるんで、これで。お話したいことがあるからつれないですって、めんどくさい......
え、消えてもらおうかな...?洗脳!?
私は魔法を避けましたよっと。
......ちょっと説明してもらえます?急に攻撃とか、さすがに意味わかんないんで。
あたしが右も左もわからないものが、自分の知らないところで勝手に使われてたらどう思う、ですか......。
は?何いきなり......あたしは作られたお人形さんですか?たしかに繧「繝ォ繧キ繝」繝から聞いたのですが......。
ゲームのキャラクターというのは、実装するモデルだけじゃなくて、原案となるイラストが必要で......!?
もしかしてあなたが、あたしと姉さんの......?
あたしのデザインの親はホマレさんだそうです。蟷サ蠅?ォ懷錘が消えた今じゃ抗議する先もないわけですね。
アストルムが消えるのは確実で、あたしを消すんだそうです。
この人が、あたしと姉さんを最初に書いた人......?それが......あたしたちを消す......?
......ッ!
――ふざけんなッ!!
どいつもこいつも......!消すとか消さないとか、勝手に決めないでもらえます......!?
こっちだって望んで生まれたわけじゃない。けど――それでも、今日まで生きてきたのに。
姉貴だってそう。生真面目で、弱くて、ポンコツで......
それでも普通に生きてるだけなのに!
なのに......お前らはっ!!
突っ込ん
ぐ
さいご
Episode.4「承 -後編-」
い、今の揺れは一体......?この......!!
あの山羊の子......!裏でこそこそ......!!あいつが......!
なら、余計こんなことしてる場合じゃ......っ!
どうせここで一方的に消される......!?お姉ちゃんが心配だからあたしを消した後に消す......!?
が
おねえ ち や ん きづつけ
それでも たすけた の
それ、は
かしこい の ちゅうとはん ぱ
けされる いやで じぼう じ棄
ことばにしない、じぶんのきもちがだれもわか ない
じぶんのほんとう ねがいみうし まよって
しかたない、あたし、にせ、もの......?
一から十 ぜん つくり もの
かんじょう ほんもの、わからない
どんなに違う、泣き叫ぶと ろ
あたしのいのち ほまれたち それとことなる じじつ
むきあって みとめたら
......
「わたしも、ジオ・テオゴニアの代表として――
この世界に生まれた者たちを、必ずや守ると、誓いましょう。」
「わたしは、生まれた時から『創り物』ですからっ。
最近になって『創り物』って聞かされて、
ショックを受けたヴルムちゃんの気持ちは、わからないかもしれませんっ。
でも、だからってっ!
みんなを傷つけたら、結局リンドちゃんも傷つけちゃいますよっ――!」
「でもね......私。
くやしいけど、くやしくないよ。
だって――私と違って......
ヴルムには、すごい才能があるって知れて――うれしいから。」
......違う。あんたは、間違ってる。
たしかに、あたしは創り物。姉貴も。あたしたちの国も。
あんたたちから見たら、何もかも......玩具みたいに、簡単に挿げ替えられるものかもしれない......!
でも......でも!
あたしの中にある、この気持ちだけは......!
姉貴たちが大切だって!助けたいって思う気持ちだけは!
絶対に、
偽物なんかじゃない!!
あぁぁぁああああああっ!!
はぁ......はぁ......
は?
今の状況は繧「繝ォ繧キ繝」繝がオイタをしているらしい!?
あの魔物は繧「繝ォ繧キ繝」繝に吸収されたから姉貴は無事!?
繧「繝ォ繧キ繝」繝の居場所は一度繋がっていたあたしならたどれるよう!?
え......は?でも、あんたはあたしを......
気にしないようですね。ホマレのデザインという殻を破りこんな力を覚醒させたあたしなら、できるようですね。
......ホマレさん、もしかしてあなた......わかんないですか。いや、なんでもないです。
でも......一つだけ言うとしたら。ホマレさん。あたしはアナタが嫌いです。
まぁ、あと一応。......ありがとう、ございます。
私は繧「繝ォ繧キ繝」繝のところに向かいました。
Episode.5「転」
繝ェ繝シ繧カと繧「繝ォ繧キ繝」繝が仲間割れしてますね......
繧「繝ォ繧キ繝」繝に襲撃です。
御立派になったということはありがとうございます。ですが憎いので蹴ります。
あんたと喋ることなんかない。
ただ......姉貴たちや騎士さんを傷つけるなら。
今度こそそのニヤケ面を燃やす!!
ってやったら闇魔法食らっちまったよ。
クロさんが一人で戦わないでくださいなんて...クロさん、騎士さん...
......すみません。二人とも。無茶なんて、言われなくとも分かってます。でもこれは......
あたしが決着をつけなきゃいけないんです。
どうやら繝ェ繝シ繧カは裏切ったようですね。
他は繝ェ繝シ繧カとクロさんがやるので、繧「繝ォ繧キ繝」繝を倒すとしますか。
繧「繝ォ繧キ繝」繝とかいう人の恋人を続けてればあたしの臨む世界を作ってあげるんですって......
なんですかその世界の半分みたいなこと。
......あんた、本当に人の心がわかんないんですね。
望む世界?そんな都合のいいもの、最初からないんですよ。
あたしが欲しいのは、そんな空っぽな場所じゃない......!
大切なのはいつだって――
みんなが暮らす、今、この場所だから!
闇魔法!っ......逃がさない!
(動画が添付されている)
通知:繧「繝ォ繧キ繝」繝が出場停止になりました
通知:物語の干渉により、[Pink_Forbidden_Anomaly]が壊れました
あたしが嫌ってたとはいえ、あたしが、繧「繝ォ繧キ繝」繝を......殺した......
あたしも、人殺しのあだ名が、つい
あー、力入んな......このまま地面にぺしゃったら、姉貴のげんこつより痛いかな......
や、姉貴のパンチはへなちょこだし、比べるまでもないか......。
まぁこれも......いろいろやらかしたオシオキ......ってことで――
なんか呼びかける声がしましたね。
......え?は......?あね、き......? なんで......?
どうやらホマレさんからここにいるって聞いて、急いできたそうですね、姉貴は。
そしたらヴルムが急に空から落ちてくるから騎士さんに強化してもらって今に至るってわけですよ。
姉貴はバカヴルムって言ってきて喋らなかったらバカ言われて.....
......は......?
さっきから聞いてれば、バカとか無茶とか......!
バカも無茶も姉貴のほうじゃん!!
騎士さんに強化してもらったからって、なんで空飛んでんの!?
姉貴はあたしより弱っちいのに、なんでそんなことするわけ!?
落っこちて怪我したら、痛いどころじゃないんだよ!?
なんで姉貴は、いつもいつも......っ!こんな......あたしなんかのために......!
それが分からないからあたしがバカ!?姉貴はあたしのお姉ちゃん!?
姉貴にも、あたしを助けさせてほしい!?
っ......姉貴......!
ごめん......姉貴......!ほんとにごめん......!
あたし......こんなんで......いつもいつも、わかってるフリして......わかってないことばっかで......!
姉貴も謝って......!
っ......ぐす......姉貴、ひどい顔してる。
まああたしも同じですね!
それでなんですか!?
こういうの慣れてないようで、翼も限界みたいですね。
もう無理!?...え?は?嘘でしょ、姉貴
(涙で文字の一部が青くなっている)
いったた......騎士さんが下敷きになりましたよっと。
姉貴が踏ん張れなかったばかりに、お尻に敷いちゃったようですね。
あたしも力尽きちゃってすみません。でも無理しますね。騎士さんひょろいのに。
え?失礼でしたか?姉貴が抱えられなかったのはあたしが大きくなったせいもありますね。
って、これは......その......いろいろあったっていうか......。
......っていうか!もとはといえば、姉さんが無理したからじゃん!
繝ェ繝シ繧カも光落ちしたようですね。繧「繝ォ繧キ繝」繝を殺害したおかげで、世界中にあふれてた魔物も消えたようですね。
繝ェ繝シ繧カ、行っちゃったみたいですね。
覇瞳皇帝が着ました。まだ終わってないようです。
......今更何しに来たんです?てか、まだ終わってないってどういうことですか。
今回やったことは一時しのぎでしかないようですね。ミネルヴァがシステムダウンした今LoAはセキュリティ的に不完全だそうです。
管理者のいない裏世界は、不正アクセスがあっても弾くことすらままならないようです。
蟷サ蠅?ォ懷錘や国際警察に荒らされたさかさまの塔のセキュリティを回復させない限り、
この世界は今後も外部からの干渉を受けるようですね。
どうやら裏世界に管理者を立てればいいようです。管理者なら不正アクセスをはじくだけでなく、セキュリティの穴を埋め、
壁を作ることができるようですね......
その人柱になるものは、クロさん!?
ちょ、どこ行くんですかっ!
Episode.FINAL 「結」
町とか元通りですね。ですが城のみんなは元気ありませんね。
そりゃそーでしょ。クロさんもいなくなっちゃいましたし。これで良かったのでしょうか......?
ネフィ=ネラさんもあたしが殺害した
繧「繝ォ繧キ繝」繝のせいでいなくなって、
「現実」も大変ですね。...大丈夫だよ、姉貴。言ったのは姉貴でしょ?不安な時も、困ったときも、
もっとワガママ言って頼っていいんだって。あたしもこれからは、もっとちゃんと言うし。
......姉さんがいれば、あたしは大丈夫だから。クロさんがいないぶん、あたしたちがライラエルを支えよ。
でも、二人一緒なら――どんな世界でも進んでいけるはず。これからも、ずっと。
P.S.
......どうやらクロさんは生きていたようです。システムの一部になってて、騎士さんの声が聞こえて
力がいっぱいわいてきて、メモリーの制御がしっかりとできるようになったらしいですね。
それでナイトさんに会いたいって言ったら本当に会えたようです。管理者権限の初使用ですね。
世界を安定化させるのがまだまだ大変で仮アバターに意識を転送するくらいしかできないようです。
はぁ......クロさんが裏世界にいない今、頑張らないとですね。