クリスタルパレス

『クリスタルパレス』

 国家傾向:中立にして善 
 国主昼:『グラウセール・イヴォリル』 ハイエルフ 女性 170歳 
 国主夜:『オーロック・ロックパレス』 ヒルドワーフ 男性 170歳 
 信仰:コアロンパンテオンとモラディンパンテオン
 国民構成:エルフ類60%(シーエルフ20%)、ドワーフ類35%、その他5%(ゴブリン類オーク類巨人類は基本存在しない)
 主要生産物:馬具(あらゆる乗用生物)、乗騎用鎧、海産物、宝石(鉱物性または真珠)


この街を一望できる場所は存在しない。ましてや時間など。
光が常にその姿を変えるように、この街は見る場所によって全く違う姿を見せる。
だが、どこから見ても美しさと言う一点において揺らぐことはない。

 『クリスタルパレス』とはこの都市の通称であり、一面の呼び方である。
正確には、この都市国家は二つの顔、そして二つの名前を持つ。
昼はクリスタルパレスと呼ばれ、エルフ達が暮らす街である。
海を望む丘の上に魔法の力を以て建てられた宮殿は、その名に違わぬクリスタルの透き通った輝きを湛え、
エルフとシーエルフ達は自らの洗練された文化に対する誇りを胸いっぱいに吸い込み、日々の生活を送っている。
昼のクリスタルパレスは、歌や詩の研鑽やその他自分たちの興味の向くままに学びや仕事を行うエルフたちの国だ。
 一方、夜となれば街の様子は一転する。
日が沈むと、街のシンボルである宮殿はその水晶の輝きを失い、
夜の星を反射する黒曜石と見まごうばかりの石の宮殿と化す。
そしてステンドグラスの輝きは炉の灯りと取ってかわり、街路を覆っていたエルフの詩歌は金属を鍛える鎚へと歌い手を変えるのだ。
夜のクリスタルパレスは、通称『ロックパレス』と呼ばれる。
ドワーフ達が自らの熟練の技に対する誇りを秘め、共同体の為に腕を振るう生活を送る。
 クリスタルパレス地上部の建築物は主にドワーフ達の手によるが、そのデザインセンスは大きくエルフに拠っている。
この為、多くの建造物で透明性の高い自然な煌びやかさを持つ素材が多用され、美しい建物が並ぶ。
クリスタルパレス(宮殿)もまたドワーフの手になるが、その維持にはエルフの秘術が使用されているのだと言われている。



 クリスタルパレスは二人の国主を擁する。
1人は、太陽の女王、エルフの『グラウセール・イヴォリル』。当年170歳になる若きエルフであり、
もう1人は、星の王、ドワーフの『オーロック・ロックパレス』。同じく当年170歳になる老年に差し掛かったドワーフである。
 クリスタルパレスは、おあしす界が産まれたころ、故郷を失ったエルフとドワーフが手を取り合って移住をしたという経緯がある。
同じエルフという種でも、ハイエルフとシーエルフが中心であり、ウッドエルフが中心の忍びの里とは別系統の出身地を持つ。
グラウセールは三代目であり、オーロックは六代目の王だ。
 長らくクリスタルパレスのエルフとドワーフは、お互いの気質に気に入らない所はありつつも、その善性を認め合いながら棲み分けをしてきた。
当代の王であるグラウセールとオーロックは幼き頃より喧嘩仲間として親しくしていたともっぱらの評判である。
一方近年は、種族による加齢の差の為か、オーロックが勢い押され気味のようだとみる市民もいる。

 クリスタルパレスでの語り草と言えば、恐竜である。
クリスタルパレスは、陸上または海上移動に恐竜を用いることが一種のステータスとなっている。
エルフは、恐竜を飼い乗りこなし、ライダーとして周囲の尊敬を集める事を望む。
ドワーフは、恐竜を乗りこなす為の優秀な乗馬具を作り出す事で自らの力量をアピールする。
年に幾度も、恐竜の速さや恐竜の強さを競う大会が行われ、都市を訪れた人々の話題を呼んでいる。
エルフは良き乗馬具の製作者を、ドワーフは馬具を使用する乗竜者を強く求め、
この結びつきがクリスタルパレスの昼と夜を固く繋いでいるのだと考えられている。
良き乗馬具を持ち良き恐竜に乗る事により高い名声を得た人々の事を、クリスタルパレスでは『乗竜階級』と呼ぶ。
クリスタルパレスでは主に海竜が捕獲される、陸上の恐竜はハウル高原から連れてこられることが多い。

 クリスタルパレスはその恐竜競技や景観の良さと言った、旅人を魅了する事柄に事欠かないが、
その住民性から観光に力を入れているとは言い難い。
昼の民であるエルフは気が長い上に自由で独立独歩の意識が強い為、旅人を迎え入れる為の施設をわざわざ用意しようとは思わない。
また彼らは自らの心を何より重んじる為、旅人を気にいる事が無ければ歓待しようなどという気にはならないのだ。
逆にエルフが一度旅人を気にいったのなら、それは既に外から来た旅人としては扱われない。
一方ドワーフと言えば、彼らは厳格で伝統を重んじる為、外から来た者にわざわざ相対しようとは考えない。
もし旅人を歓待しようという話が上がったとしても、まず彼らはそのための建物を築くことから始める為、
旅人が恩恵を受けるのは数年先の出来事となる。
では、クリスタルパレスにやってきた旅人はどうするのか?
多くの場合、クリスタルパレスに認められ居を構えたその他の種族によって、
「お客さんも難儀な所に来たね」という苦笑いと共に迎え入れられるのだ。
主としてハーフリングやヒューマンが宿泊施設を経営しており、
『エルフ料理』や『ドワーフ名物』などの旗を立てている食事処に入ると店主がハーフリングであったというような話は、
クリスタルパレスを訪れた旅人たちの定番のネタとなっている。
往々にして話の顛末には「でも騙されたと思って食べてみたらこれが美味いんだ」という言葉が添えられるという。

『観光案内』

<<親切なハーフリング、ビダンの一言>>

【ベリロス浜】
 クリスタルパレスには目だった港がない。
まばらな桟橋に、大きくとも10人乗り程度の平船が置かれている程度だ。
(これらは動力として海竜を使う)
海辺は遠浅となっており、昼間は太陽に照らされて、街並みにも負けないエメラルドの輝きを放つ。
陸では夜間にエルフを見る事はないが、海ではアクアティックエルフ(シー・エルフ)が昼夜を問わず周回しており、治安は保たれている。
しかしながら、ここ数年は近海にシー・カッパ(sea kappa)の部族が住み着いており、
クリスタルパレスのシーエルフ達の頭を悩ませている。
※kappaは混沌にして中立の乱暴なヒューマノイドである。
本来kappaは塩水によって致命的な被害を負う体質であったが、
塩水に適応したSeaKappaがいつのころからか出現した。

 クリスタルパレスのシー・エルフは基本的に外部の人間にも友好的である。
よほど分かりやすく海を汚さない限りは。
シーフードは陸のエルフも好むところであり、シーエルフのもたらす大きな資源となっている。
<<海のエルフには要注意だ、彼らが本気で交わした約束を破ると、アウルベアよりも激しい怒りを見せる>>

【海竜乗り場】
 ベリロス浜から少し離れた海岸の一角には、白い石材で作られた半陸半海の建物がある。
海竜に乗りたいが自らの恐竜を持っていないという者は、この海竜乗り場にやってくる。
ここには数名のウォータジェナシが勤めており、金銭と引き換えに海竜に乗せてくれる。
海竜乗り(超大型)      小型~中型クリーチャー 1人1gp 大型クリーチャー 5gp
海竜ゴンドラ(最低4人から) 小型~中型クリーチャー 1人3sp 大型クリーチャー 2gp
<<陸竜に乗れる者はそれなりに居るがが、海竜ときたらそうはいかない。大体の奴はたまの楽しみにここへ来る>>

【ドワーフの闇市】
 夜間にのみ開かれる市場、ドワーフの秩序だった生活の中で唯一不安定不定期に開催される。
ドワーフは、自らの技術と一族の名を背負って誇りを持ち様々なものを工作するが、
そんな彼らにも、心にノームが降りてきて奇抜なものを作りたいという欲求にかられるときがある。
こうして出来上がった表沙汰に出来ない品々を処分する為に開かれるのがドワーフの闇市だ。
ドワーフの闇市は星の光も届かない、さりとて地下でもない街の片隅で開かれる。
ドワーフの闇市では、様々な珍品奇品を手に入れる事が出来る…かもしれない。
<<といっても所詮ドワーフの倫理に沿った程度の珍品にすぎないが!>>

【劇場酒場】
 昼間にのみ開かれる酒場。舞台が設置されており、喧嘩にならない程度に好きに舞台に上がり、芸を披露する事が出来る。
エルフ達はふらりとここに立ち寄り、好みの果実酒を注文し、仲間達の詩や歌などに耳を傾け、
気が向けば自分も舞台に上がり一席打つ。
趣味の果実酒づくりが高じ「折角だから多くのエルフが集まる場所を作ろう」と考えたノエルというエルフが店主を務めている。
<<しっかりと酒を飲む場所じゃあない、ここに来る奴はロマンに酔いに来るんだ>>

【ドワーフの酒場】
<<死ぬ気か? 人間が行く場所じゃないね。 身体を大事にするんだ>>

【青への道】
 パレスへとつながる道を脇にそれると、青への道と呼ばれる断崖へとたどり着く。
ここからは遠浅の海を先まで見渡すことができる。少々無理をすれば街の一角も見降ろす事が出来るだろう。
青への道という名前は、断崖を見る角度によって空・海・街の三つの青へとつながる事からそう呼ばれている。
エルフ達は特別な日にはこの断崖へ上り、セイハニーン(月の女神)の眠る様や目覚めに祈りを捧げる。
<<ドワーフは好んで高いところには登らないからね、だから『黒の道』なんて呼び方はされないわけだ>>

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最終更新:2021年11月16日 20:47