概要

グロソラリアglossolalia/ゼノグロシアxenoglossia
超心理学用語。原義的には「学んだことのない言語で流暢に話す」現象を指し、前世記憶などの証左とされるが、本作では主に「通常の会話が成立していない支離滅裂な発話」を指している。

作中での異言にはいくつかの種類がある。
ファイル1 くねくねハンティングでは、くねくねを見て「理解」しつつある空魚の口から、「くねくねに関する知識」がでたらめに吐き出された。
ファイル3 ステーション・フェブラリーでは、裏世界から表世界の小桜との通話中、互いに会話の成立しないでたらめな言葉を吐き出している(会話が成立したように認識されている前半の会話が実際に為されたのかどうかは不明)。言語認知が歪められているために互いが相手の言葉を意味あるものとして捉えられないものと考えられるが、「裏世界の現象は記録を嫌う」ため録音された空魚と鳥子の異言も実際のものと同一である保証はない。
ファイル8 箱の中の小鳥では空魚が読み上げた「閏間冴月の研究ノート」の内容は、空魚には読める文章として認識されていたようだったが、その発話は口構の漢字の羅列として表現されており、空魚以外の人物はおろか読者にも理解可能な言語の体を成していない。
一方、ファイル11 ささやきボイスは自己責任でも潤巳るなの母親がノートを読み上げるが、こちらは地下のまる穴で語られる内容に即した、しかし支離滅裂な内容だった。また、空魚と冴月の会話は(冴月が何と言ったのかは不明だが)空魚は意味の通った会話をしているつもりであったが傍からはまったく意味不明な言葉を発している。
逆にファイル20 Tは寺生まれのTでは、〈Tさん〉の発言はまったく支離滅裂な異言であるが、それを聞いた者は(読者以外)まったく違和を感じずに「何か会話した」という認識を得ている。

ファイル6 果ての浜辺のリゾートナイトでは、裏世界存在であろう〈半グレ〉たちは異言と呼ぶには明瞭な意味を伴った(ように聞こえる)内容を発しているが、これは意思に基づく「会話」ではなく、一連の怪異現象として理解すべきだろう。ただし、その中で明確に「個人名」を出してみせたのは、一連の発話としては「異言」というべき支離滅裂なものであるけれども、その裏には何らかの意思に基づくコンタクト、少なくとも対象を明確にし反応を期待するアクションが(それがたとえ予め仕掛けられた自動的な機能であるにせよ)推測され、その意味では純然たる異言とは若干性質を異にするというべきかも知れない。

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最終更新:2021年03月17日 10:03