かえるのこはかえる 5KB
観察 小ネタ 飼いゆ 希少種 現代 独自設定 日記調な気がします
・21回目
・ケロちゃんです。
・虐めません。
・ていうか、虐めることができません。
・ていうかSSじゃない。
・ヨロシクオネガイシマス
二人きりの雨宿り。
それは、シチュエーション。
一つ屋根の下、他人と他人がなんともむず痒い時間を共有する時間。
他人が異性であれ同姓であれ、多少世間話の一つでもするだろう。
他人が人間であったならば。
野生のゆっくりというのは、雨が苦手であるという先入観をゆっくり自身が持っている。
本当ならば、多少ふやけることはあろうとも体全体が溶けるように崩れていくことはないはずなのに、雨に濡れたと感じてしまえばゆっくりの体は雨に流されてしまう。
先入観というものは、人間でも起こりうるが、ゆっくりは、その先入観に陥りやすい人間に近い精神構造を持つ。
ゆっくり達にとっては、『ゆっくりできない』と感じる事柄は、存在意義の消失と同等に感じられ結果、死という形になり自我を消滅させる。
と、小難しいことを並べてみたが、有り体に言えば、死んだふりだと思ったら本当に死んでいた。
つまり、そういうこと。
何故そんな話をしたのかというと。
雨宿りしているゆっくりがいたから。
つまり、そういうこと。
あまり見たことがないゆっくりだ。
薄い茶色の山高帽のような麦藁帽の上目のような飾りが付いていて、その下から綺麗な金髪とまるっとしたにこやかな顔が降り止む気配のない空を見つめていた。
どうやら私が公園の屋根付きベンチに駆け込む前からいたようで、雨に濡れた形跡はないから、飼いゆっくりかもしれないし野良ゆっくりかもしれない。
飼いゆっくりと野良ゆっくりは、野生のゆっくりとは違い、雨=死ぬという先入観がない。
濡れたとしても、せいぜい皮がしばらくぶよぶよになるだけだ。
楽しそうにプールに浮かんでる姿は夏の風物詩ですらある。海では泣き声を上げながら流されているゆっくりを見ることもできるだろう。
この雨に対しての恐怖心のなさはつまり、そういうことだろう。
そんな由無し事を考えつつ雨が止むのを待っていたが、一向に止む気配などない。
ふと、隣の素性不明の山高帽ゆっくりを見ると、嬉しそうに空を見上げていたがやがて何を思ったのかどしゃぶりの雨の中へ出て行った。
首を傾げながら私はそれをただ見送った。
が、数分後には帰ってきた。
滝のような雨の中にいたのに、帽子や皮膚がぐちゃぐちゃになるどころか、先程よりも綺麗になっている気がする。
彼女は二、三身震いして水滴を飛ばした。
少し、私の足の裾にかかったがさんざん濡れているので今更、気にすることもない。
何気なく観察していると身震いしたときにずれた山高帽と金髪の間から、山高帽のゆっくりより二回り小さい緑髪に蛙と蛇の飾りを付けたゆっくりが転がり落ちてきた。
その緑髪ゆっくりは、不恰好に着地したあと、辺りを見回して安堵したように溜息をついてから山高帽のゆっくりに微笑んだ。
山高帽のゆっくりもそれに笑顔で返す。
山高帽のゆっくりはともかく、緑髪のゆっくりは知っている。
郵便ポストに頼んだ覚えがないゆっくりのカタログが入っていたことがあり、なんとなくそれを流し読みしたことがある。
その時、唯一欲しいと思って記憶に残っていたのは、その緑髪に蛙と蛇の飾りのゆっくりで名前はたしか・・・さなえだったか。
山高帽ゆっくりの方の名前は、一向に思い出せないがさなえとの相性が良く共存する種類だということが書いていた記憶がぼんやりとある。
さなえは、さっきから見ている私に気づいたのか、軽くおじぎをしてから、山高帽のゆっくりと一緒に降り止まない雨の空を見上げた。
その姿は愛らしい。
やはり私もゆっくりを飼ってみようか考えていると、雨の中から、横向きの柱のようなものにタイヤがついたような物が、F1カーのように猛スピードでやってきた。
その柱は、雨の中から屋根の下へ走ってきてドリフトターンをしてから停止する。
思わず隅に逃げた私に対して、山高帽ゆっくりとさなえはそれを見て嬉しそうに駆け寄った。
首をかしげる私は、その笑顔の理由にすぐ納得いった。
山高帽ゆっくりよりも二回りほど大きい柱の側面が開き、中から、注連縄を背中に付けた群青の髪色のゆっくりが出てきた。
そのゆっくりは、さなえと山高帽のゆっくりと頬をすり合わせたあと、私の方を見てお辞儀をした。その折、うなじに黄色い飴玉が埋め込まれているのが見えた。どうやら飼いゆっくりだったらしい。
その風格漂う姿に何故か、私もお辞儀を返してしまった。
注連縄ゆっくりはさなえと山高帽ゆっくりと何かを話した後に柱の中へと入っていった。
続いて、さなえが柱の中へと消えていく。
山高帽ゆっくりはというと、しばらく私の方を見ていたが、ふいに口から蓮の葉のようなものを取り出した。
それを私の足元まで持ってきて、柱の中へと去ってしまった。
そのまま柱は発進し、まだ降る雨の中へ消えた。
蓮の葉は、せいぜい先程いたさなえが入る程度の大きさで、とても私が入れるような大きさではない。
だが、その心遣いになにやら晴れ晴れとした気分になった。
その蓮の葉を、頭上に翳しながらまだ降る雨の中歩く。
ゆっくり達が去ったあと、手荷物の中に合羽があることに気づいたのだ。
それでも、山高帽のゆっくりの心遣いに感謝しながら蓮の葉を使うことにした。
道の所々には、あの飼いゆっくり達とは似ても似つかない野生のゆっくり達の死骸が点在している。
その顔は、恐怖に引きつる紅白ゆっくり。
帽子の吸水力が限界を突破したのか、黒いとんがり帽子の中でぐちゃぐちゃになったゆっくり。
雨に対してか親に対してか、鬼の形相を浮かべた赤ん坊ゆっくり。
先程のゆっくり達と対照的なゆっくり達。
どのような人間にもどのようなゆっくり達にも平等に雨は降る。
綺麗なものも、醜いものも雨は洗い流してくれるだろうか。
アトガキ
雨で溶けないゆっくりがいたら楽しそうですよね。プールとかにぷかぷか浮かぶゆっくりとか。
ということで、書いてみました。微妙に守矢一家。
オンバシラー祭りがやってるとのことですが、自分にはいまいちピンとこないお祭りです。
丸いチーズを転がして追いかけるお祭り並みに。
かなこさまのお迎えがあるのに、わざわざ飼いゆのけろちゃんがさなえを迎えに行った理由はさなえが野生ゆっくりだからです。
なんとなくな感覚で、遠くで雨に怯えていたさなえを保護した。後に金バッジ飼いゆへ。
そんなほんわか裏話。書けません。
雨も安心なスィーってことでオンバスィラー。
そんな裏設定。
ご読了ありがとうございました。
どろわ
・つんつんつんつくつんつくつんつん
ぬえ
・山女って可愛いよね
・女はつらいよ
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このSSへの感想
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- ふと、桃白白が出てきた。オンバシラびゅーん -- 2010-07-13 01:49:33
- 守矢一家…欲しいな -- 2010-06-21 19:57:17
最終更新:2010年05月27日 17:41