■キャラクター名 トーリッテ
種別:アクター 性別:女性 年齢:17歳 所属:紅蓮の旅団 役職:チームメンバー 職位:今はない
種族:人間 メイン:ウォリアー サブ:シャーマン マスター:アークメイジ
身長:154cm 体重:42kg PL名:ふぃおぽん
イメージ:セイバー・リリィ(Fate/unlimited codes)
「…えぇ、皆のために戦うわ。それが私にできることだから」
人格、経歴
彼女の生まれはとある小国。その王女であった。
カベノソトにあったがそこそこ賑わっていたその国は、2年ほど前起こった『大侵攻』の餌食となり壊滅。
騎士団もいたし、それまで迎撃できていたのだが、強い敵に叶わずあっというまに負けてしまったのだ。
そうなれば非戦闘員など一瞬で蹂躙、両親も兄弟も自分を生かすためだけにその生命を終えた。
それでも魔族に襲われ、右腕を失うも、幸運か執念か彼女は生き残った。
命からがらシュセンまで逃げて保護された彼女に残ったのは、右腕のない自分の体と、一方的な虐殺を見せられたトラウマとその後遺症である味覚障害、そして強い復讐心だけであった。
その復讐心を心の糧、そして生きる希望として、利き腕でない左手を利き手にし、少しでも早く魔族を倒せるように大剣を片手で持てる技量と体力を鍛えた。
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昔の設定 |
一通りの修練を終えた後、彼女は復讐を開始する。しかし、復讐する魔族などわかるわけがない彼女は【魔族を全員滅ぼしたら、それで復讐達成】と考えつく(それが実現不可能だと理解していても)。
そして、適当に見つけたチーム《紅蓮の旅団》に加入。加入した理由には迷わず『魔族への復讐、殲滅』と言った。
自らのトラウマや復讐心を表に出したくないためか、基本的にはぼっちで無口。でも自分をかまってくれる人を無碍にはしない、いわゆるクーデレ。
もとの性格が優しく子供好きで、その性格は消えていないので子供、ないし子供っぽい仕草には笑みが溢れることも(指摘されても「それがなにか?」とあっさり言う)
戦闘になると自らを突き動かす強い殺意と復讐心から寡黙になったりするが、返答する余裕などはある状態に。常人では扱えないゴーレム用特大剣に風を纏わせ叩きつける攻撃は見るものを圧倒させる。
目的は前述通り『魔族の殲滅』だが、自分に味方してくれる魔族は滅ぼす気はない。元の性格がそうさせる。
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そうして旅団に入り、長い時を過ごしてきた間に色々とあった。
結婚、
ルミエール、
エリス、
ヴィヴィアンという3人の養子(のようなもの)、右腕が戻ってくる、実子の誕生。
その大幅な変化が性格を元に戻していき、今では殺意はほとんど無い一人の母としての生活をしている。
性格はクールのようだが内面は熱く、それでいて優しい。しかし家族に何かがあればたとえどんな相手だろうと殴りに行く肝っ玉溢れる母となっている。
家族達が皆真実を知っている中で自分だけ知らないと言うことについても、「それは私には必要ないもの」とバッサリ切り捨て、自分だけでも日常を守り抜くという決意がある。
戦闘に関しては、自分専用の剣を使って戦う。鞘ごと鈍器のように殴りつけたり殴る蹴るでひるませたり抜刀して切りつけたりと、その戦い方もワイルドさと繊細さ合わさる彼女独自の剣術である。
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使用奥義、装備武器 |
奥義【フリッカ】
彼女の最も得意とする技(これ以外に技という技がない)である。
感情により己の強さを何倍にも引き上げることが出来るという彼女が得た唯一の力を最大限に発揮し、殺意を武器に収束させて、風を巻き起こす技。巻き起こった武器は普通より遠くの敵を、普通より多く傷をつける。この技は彼女自身の感情がリセットされる(戦闘が終わる事にほぼ等しい)まで持続する。
反面、この技は感情のコントロールができないと武器に対しても殺意が向かってしまい、武器も傷つけるという欠点がある。その欠点と手入れ不足に加えて豪快な叩きつけを乱用した結果、ヒュージブレードが折れるという事件が起きた。
装備武器
グラントの里にあった『建国王の槌』のレプリカと、彼女の元相棒であるヒュージブレード。この2つを組み合わせた鎚を、さらにクラリッサの手によって作り変えた彼女専用の剣…のようなもの。
鞘にも取っ手がついていて、抜刀するためにはロックを解除する必要がある。(イメージ:GUILTY GEARのジャンクヤードドッグ)
鞘をつけたまま戦うことが出来る武器であり、その鞘は武器になるほど重いため、鈍器として運用が可能である……というより、この鞘がついた状態が基本形態である。
元々ヒュージブレードより固くできてはいるものの、感情のコントロールがより正確にできるようになった彼女の【フリッカ】は遠当てができるようにまで成長している為、武器(鞘)へのダメージは無くなっている。
抜刀すれば、細身の剣となる。(イメージ:Fate/GrandOrderのカリバーン)
片手剣よりわずかに大きいため、両手持ちとしても片手持ちとしても運用可能な絶妙な大きさである。
特殊な素材で作られているこの剣は、彼女の得意技である【フリッカ】の持続時間を減らす代わりに、風の形をより精密に作ることができるのである。
これによって作られた技が【フリッカ・サブリメイション】である。
昔用いていたヒュージブレードの形を作り、豪快かつ繊細な三連撃を繰り出して怯ませた後に、アダマンクレイモアの形に変えて跳躍後叩き斬るという技。
過去自分が使っていた技の2つを、今の自分なりに昇華(サブリメイション)したこの技はこの武器でしか行えない『必殺技』である。
名前はない。
ヒュージブレードでも建国王の槌でもない彼女だけの剣であるため、名前をつける必要がないという彼女の意志から来ているもので、強いて名前をつけるなら『名もなき剣』である。
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トーリッテという少女の軌跡
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紅蓮の旅団の恩恵と成長 |
敵をいち早く殺すために得た技術は、あっさりと他人に抜かれた。
自分より早く、それもたやすく敵を殺す術を持つものが紅蓮の旅団には多すぎた。
左腕一本で戦うことの限界だと知った。
魔法の才もなく、フェンサーの道も断たれた。
それに、護りたいものも沢山できてしまった。子供たちの笑顔は自分が守らなくてはいけない。
それらをすべて理解した彼女は戦友である黒騎士に己の思いを告げ、弟子入りを志願、快く快諾される。
彼女は【護る力】を得ることにした。自分一人では何もできないことを知っているから。自分を理解してくれる人もいるから。自分を尊敬してくれる人もいるから。それらを護るために。
敵を見ると発生する強い殺意を抑え込むため、アズマのとある村で精神鍛錬をした(その際変な印はつけられたが知ったことではない)。今なお強い憎悪は出てくるが、局地的には抑えられることができるようになった。
両手剣で守る術も身に着けた。敵への挑発や、武器でのいなし、さらにはその隙を突いた反撃も覚えた。
さらには、殺意と理性を同時に持つことで自らの膂力を高め、斬撃に風を乗せる技まで編み出した。
もう今までの自分ではない。自分だけの道を、自分だけのやり方で【復讐】を成し遂げて見せる。彼女の願いは変わらずとも、思いは変わった。
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ラビット・ビビット・ナイトメア#2 |
強敵と戦い、守るべきものを護った闘いが終わった。
彼女の心の中には臆病ながらも強く立とうとする子を見て、自らの励みとすることで自らの生きがいとなった。
ほほ笑む少女達を見て、彼女の心も、少しだけだが癒され、日常を…安らぎを感じたのであった。
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の、だが。 |
安らぎを得て、それに少しでも体を任せたのは大きなミスであった。
翌日から、普段持っていたヒュージブレードが持てなくなっていた。重すぎると思ってしまった。
強すぎる復讐と殺意だけで戦っていた彼女が、安息と守りたいものを得たことで、復讐心が薄らいだ事で、戦闘能力が格段に落ちてしまった。
やむなく、前使っていたミスリルクレイモアをもって、素早く振れなくなった分、飛び上がってからの重量任せの攻撃に変更、事なきを得ているがこれでは火力が大幅減。元から護ることを覚えて減った火力がさらに下がってしまう。
その時一緒にいた仲間たちに『よくやった』と褒められるが、焦っている彼女にはそれがどうしても煽りに聞こえてしまう。
早く元に戻さないといけない、という焦燥感すら彼女に残っている殺意と復讐心をどんどん消していってしまう状態にまで陥ってしまった。
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『月下之獣』 |
しばらく避けてきていた黒騎士との邂逅。それは割と早く訪れてしまった。
精神が参っている時に当然顔も合わせられず、顔を逸らし、距離を置く状態。
しかも襲ってきた敵は見た目はロクな戦闘力も持ち合わせていない小動物。
無抵抗の小動物無情に刃を向ける行為は彼女のトラウマである『無抵抗な相手を一方的に殺す』そのもので、ついに彼女は動けなくなってしまう(後に攻撃してきたのだが、それはあまりに遅すぎた。
それでも、自分の存在を否定するわけにもいかずに限界寸前の(あるいはとっくに限界を超えている)精神状態でついていく。
そうして出会った小動物たちの王。明らかにぶつけられた殺意と、見せられた狂気に足がすくみ完全に動けなくなる。
それなのに戦闘は続き、自分が守らなくてはいけないヴィヴィアンも、いつも守られているばかりの黒騎士も深く傷つき、『この人たちを守るために私は守る技を覚えたのだ』という想いと、騎士イーハの言葉で完全に目覚める。
彼女は震える体と恐怖心を抱えたまま、王の前に立ち、小さくとも明らかな殺意を向けた。
そこで分かった黒騎士の思いと、自分の想い。
彼は私を守り、私は彼を守る。それがとても幸福なこと。そして押しやってきた感情の名前。
闘いに勝った後、彼女は黒騎士に自らの想いを告げる。
「苦労するぞ?」
「お互い様、でしょう」
いつの間にか焦燥感は消えていた。守る者が増えたこと、その人が自分のとても大切な人であるということが彼女の責任感を強くした。
決していい状態ではない。復讐心も消えていないし、殺意は前より抑えられているものの、まだ出ている。責任感から来るモノでつぶれてしまうこともあるかもしれない。
それでも、今の彼女は、今までの彼女よりはるかに強い。そう思っている。
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ある日の二人 |
黒騎士と二人きりだということで、出かけてみた(人生初デートである)。
洋服を買ってくれるらしく、人生初の洋服の買い物。
妻だなんて言われたときは、恥ずかしかったけど悪い気持ちはしなかった。
そのあと公園でショップ店員に渡されたビスケットを舌がわずかに刺激するお茶で流し込みながら聞きたかったこと――黒騎士の過去を聞く。
壮絶な過去を聞かされて、自分も過去を打ち明ける。それは何より、溜めていた感情を吐き出したかったからである。
そうして話し合って、それでも真摯に受け止めてくれる彼を、やっぱり世界で一番好きだったのだ。
捻じ曲がりに捻じ曲がった自分の人生に、生きる意味を造って生きていた自分に、生きる理由を与えてくれる人。
そんな彼に告白されれば、首を縦に振るのは当然である。
お互いにお互いを支えあいながら、生きていく。復讐心が消えても、殺意が消えても、もう大丈夫。
守る人が、大切な人ができたから。絶対大丈夫。
夕日の沈む公園で、普段笑わない二人が笑いながら帰るのは、互いに最大の幸せを感じているからだろう。
買ってもらった白いワンピースとサンダルは基本的には着ない。可愛いし大切な服なので黒騎士の部屋に行くときに時々着る位にしている。
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19/08/14 黒騎士と結婚 |
結婚したとはいえ(恋愛経験皆無だった女の子である彼女は好きな人との接し方がわからないので)イチャラブしたりはしない。
同じ部屋になっても特に変わらず、静かな空間でぽつりぽつりと会話する時間は彼女のお気に入り。
でも寝るときは妙に緊張して、初日は眠れなかった。
好きの気持ちは紛れもなく本物かつ初々しく、黒騎士へのアタック方法を教えれば顔を真っ赤にして慌てたり真摯に聞いたりするし、黒騎士が別の女性に(自覚はなくとも)甘い言葉を使っては少しむくれて妬いたりする姿は以前の彼女からは想像できない、年頃の女性に見えるだろう。
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バレンタインのお話 |
バレンタインを知らないわけではなかった。
だが、自分が渡したところで、と思い渡すつもりはなかった。
しかし周りがバレンタイン色に染まってくると、やっぱり渡したい気持ちがどんどんこみ上げてきて。
「バレンタインチョコを作りたい」
と、知り合いのパティシエに相談したところ。
「はぁ」
と、やる気のない返事が返ってきた。その上で。
「自分一人で作りたい」
と、告げたところ。
「愉快な発想ですね」
という皮肉が返ってきた。
このパティシエ、彼女の味覚嗅覚障害に気付いた(おそらく)最初の存在である。
鼻も舌も死んでる奴が一人で(しかも未経験)調理という暴挙に出たら流石に言われてもおかしくない。
それでも本気の顔し続けたら。
「ま、したかったら玉砕覚悟でどうぞ」
といいながらメモをくれた。なんだかんだいい人である。
こうして彼女のバレンタイン作戦が始まった。
こうして始まったバレンタイン作戦だが、二つの壁がある。
『黒騎士の存在』と『チョコレートの確保』である。
一人でキッチンや買い物に行こうものなら、何かを察するか怪しんでついてくるかもしれない(後者は確実についてくるだろう)。それは避けなければならない。
これを解決するために出た案が「ルンプランにチョコレートを任せ、その間黒騎士と一緒にいて怪しまれない作戦」である(なお、妙に緊張していたらしく心配された)。
肝心のチョコレートはどうやら森でとってきたらしく(不思議な世界である)、大量に手に入った。
黒騎士の相手をシェロとヴェルーリヤに任せ、一人で調理開始(ルンプランはチョコケーキを作り始めたり手ほどきするためにいなかった)。
ルンプランメモとその成果を順を追って解説する。
1、数種類のチョコレートを刻む(溶けやすくするため)。
既に難所。片手だけで包丁を握れても、結局刻むには抑える手が必要である。
結果的に彼女の奥義である【フリッカ】の応用で風で刻んだ。無事成功。
2、刻んだチョコレートを湯煎にかける。
難所その2。湯煎するには混ぜながらボウルを抑える必要があるからである。
ボウルがグルグル回りながらも気合で湯煎するも、やっぱり混ぜムラが発生する。チョコの比率も適当。少し失敗。
3、生クリームを入れ、かき混ぜる。
入れるだけなのでさすがに簡単。投入成功。
混ぜるのはもはや諦めた。
4、一つ一つをスプーンですくって形にし、冷蔵庫で冷やす。少し固まったら手で丸める。
難所その3。丸めるのはどう考えても両手がいる。
もう不格好でいいとそのまま。
5、好みの味付け。
あのアルテミスを殴ってもいいと思った。なんだ好みの味って。味がわかれば苦労しない。
申し訳程度に(ココアパウダーや粉砂糖等)と書かれていたので振っておいた。
6、ラッピング。
無理言うな。
とりあえず見栄えが良かった5個を選出して箱に入れておしまい。
こうして完成した手作りチョコ(誰に食べさせても美味しくないとはっきりわかるくらいには出来栄えは最悪)。
あとは渡すだけである。
そして、バレンタイン当日、チョコレートまみれのダンジョンから帰ってきた後、ついに作戦の本番が始まる。
「シャワーを浴びる」と言って別れ、実際に浴びてから、ルンプランに作ってもらったチョコケーキ(嫌味ったらしくホールで作られてた)と半年記念のプレゼント、そして手作りチョコ。
全部一つの袋にまとめて、自室に戻る。
最初にケーキとプレゼント(宝石の入ったネックレス。さすがに黒瑪瑙は選べなかった)を渡す。
プレゼントは大変似合っていたし、大変喜んでいたのでよし。大成功。
問題は次である。彼もなかなかに料理の腕が立つ。それはつまり味に厳しいという事。
渡す直前に気付くも遅いと、覚悟を持って手渡し。実食。
「……味はまばら。 硬さも不自然な不均一。 初挑戦ならばさもありなん、と云った所だろう」
「だが」
「俺が初めて口にしたチョコレートが、お前が作ってくれたものだった」
「その事実だけで、そんなものは全て瑣末事でしかない」
驚かせてやりたいという小さな悪戯心はあった。優越感を取りたかった。
でも本当は、『それ』が聞きたくて。こんな無茶な行動をしたのだ。
嬉しくて泣きそうな瞬間。
唇と唇が重なる、舌に絡みつく。チョコレートの感触と舌の暖かさだけが感じるキスが、しばらく続く。
唇が離れて、恥ずかしくて叩く(踏むことは頭になかった)。
そして、一つのプレゼントをもらった。向こうもやはりバレンタインというのは分かっていたようで、男から女に贈る習慣に倣いくれたのが。
黒瑪瑙の髪飾りである。
彼の手作りらしく、昔つけたら笑われるような出来のモノ。でも、世界一綺麗だと。そう確信した。
それ以降毎日つけている位にお気に入りになった。
ホールケーキは三人の娘たちと一緒に食べた。味は案の定なくて紅茶で流し込んだけど、皆の笑顔が見れるなら、それで幸せだった。
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【砕け逝く黒瑪瑙】→【去りゆく過去に捧ぐ】 |
グラント狩りが出た、という依頼を黒騎士の元嫁の父、という少々複雑な関係の人から依頼されて、二つ返事で承諾。
黒騎士もいるから大丈夫だろう、と思っていたその時、事件が起きた。
最愛の人である黒騎士が、一瞬で死んでしまったのだ。
嘆き、悲しみより先に湧き出たのは『怒り』。
今まででも比較にならない殺意を溢れさせながら、周囲を見ることない狂戦士に逆戻りしながら、出てきたモノを倒す。
黒騎士は祭壇で蘇生するも、目は覚まさず……。次の依頼が来る直前まで、彼女は黒騎士に色々語りながら、彼の側を離れなかった。
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【去りゆく過去に捧ぐ】 |
次の依頼では、その黒騎士と因縁もあり、黒騎士を殺したモノを召喚したグラントの[錆]と遭遇。
殺意を抑え、さりとて煽りながら戦い、無傷で戦い続ける。
然し、怒りの頂点に達した彼の最大の攻撃が来る直前に。
黒騎士が戻ってきたのだ。
そうであれば(殺したい相手ではあるが)、奴より黒騎士の守護を優先、周りにやってくるヤツらの相手に注力し、トドメをエリス、ヴィヴィアン、ルミエールに譲った。
戦いが終わった後、なんやかやあり、公衆の面前で黒騎士とキスを交わすアツアツさを披露。
三人娘には母親のように接し、微笑みながら帰宅した。
帰った後にキスをみんなに野次られて始めて恥ずかしさがこみ上げて、黒騎士の足を何度も踏んだ。
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その後の彼女~『AlterEGOcoaster0 000』 |
その後の彼女の環境は、小さいようで大きく変わった。
まず、自分が愛用していた特大剣が、刀身から折れてしまったこと。
元から手入れを全く行っておらず(必要だと知らなかったから)、武器に風を纏わせたり叩きつけたりと、武器の扱いが雑であることが原因である。『それでもこれだけ持ったのは正直武器の質がいいから。感謝した方がいいよ』とは鍛冶屋クラリッサの言葉。
次に、エリスが『自分がいた昔の国の昔の自分を見た』という事。
なんでも、アルテミスの回収に向かった先がそこだったらしい。しかも、自分の知っている者たちの亡霊がいるようで、エリスを執拗に狙っていたということ。彼女は「亡霊たちが私を狙っているんだ」と感じ取り、強い恐怖心を覚えた。
これらの問題は、たった一人の存在で大きく変わる。
黒騎士の義理の父(自分にとってもそうだが、複雑な関係のため呼びづらい)である、赤銅斎である。
黒騎士の出身地での長である彼は、どうやら暇であるらしく、稽古をつけてくれる、とのことだ。
まともな師事を受けたことのない(黒騎士はアドバイスくらいしかくれなかった)彼女には、嬉しいことであった。
……が、その稽古はとてつもなく厳しいモノであった(結構な数のグラントがいたのに全部やり遂げたのが黒騎士とラピスだけなのもすぐ納得がいった)。修行とはかくも厳しいものかと本気で思ったけど、逃げることはしなかった。
一通り形にしてから、武器の事を相談すると、里に合ったすごい武器(よく覚えていない)のレプリカと混ぜて授けてくれた。
本人の希望により刃を持った槌ができて、闘い方も連撃から、重量に重きを置いた一撃型に変更。
さらに、黒騎士の得意な「相手の防護を減らす技」も身に着けた(赤銅斎が『夫婦で同じことできたらかっこいいじゃろ?』と授けた技である)。
関係ないが……修行中、基本的に初孫を急かされていた。
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『AlterEGOcoaster0 000』 |
“娘”の一人であるエリスが目を覚まさなくなった。
ひょっこりやってきた謎の存在、プロキオンが言う言葉を彼女の言葉で言うなら『色々あって精神的に参ってしまった』らしい。
その解決のため、エリスの心の中に入ることを迷いもせず決断。
そこで知る、エリスという子の優しさ。黒騎士が死んだとき、自分の事を想ってくれていたエリス。
嬉しかったけど、悔しかった。
怒りに身を任せた自分とは、何もかもが違う。『強い子』じゃなきゃ、出来ない事だったから。
その一つの転機で眠ってしまったエリスを起こすために、エリスの中の闇である『エリスの力』の形をしたモノと戦い、勝利する。
エリスは目覚めた、ルミエールもヴィヴィアンも黒騎士もゼンイチも喜んでいる。勿論自分もだ。
ひとまずの問題は終えた、という安心感があった。彼女は優しいから2度目3度目があるかもしれないけど、その時も守ってあげればいい。私達は家族なのだから、やってやれないことはないのだ。
でも、そんなことにならないように。
「お互いに辛い時こそ頼ってほしい。苦しいのを、減らせるかもしれないから」
それが正しいとは思わないけれど、自分は仮にも“親”だから、子供の前でちょっとくらい無茶しちゃってもいいと思う。
そういう責任感には慣れている。王女という者の『責任』は小さいころからあったから、慣れっこだ。
責任があれば、自分は立っていられる性格だから、それが一番いいと思ったから。この子のために頑張ろう。
余談となるが、最近の彼女は17歳とは思えないような言動が少し多い。
沢山の娘たちに囲まれて、人間らしく…もっと言えば母親らしくなった、ということだろう。
笑みを見せる回数は増えたし、黒騎士に悪戯してにやけることも増えたし、優しさを見せる数も増えた。
でもだからこそ…小さい悩みが二つある。
ルミエールとヴィヴィアンにも[お母さん]と呼んで欲しい事。
そして、エリスにまで「妹が欲しい」と言われたこと。
小さいが贅沢な悩みだと想うと、少し笑みがこぼれたりした。
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【失ったモノ、欲しいモノ】→【そして最後に残ったモノ】 |
悪夢だらけの彼女の夢に、突如悪夢でないものを見る。
それは、彼女にとんでもない交渉を持ちかけたものだった。
「あなたの一番いやな記憶と引き換えに、一番欲しいものを差し上げますよ」
胡散臭さの塊のような話だが、その圧倒的に甘い蜜に、彼女はひきよせられてしまった。
自分にとっての始まりの場所でもある王国で出会った優しそうな女性…ハーヴェスターに。
長年の夢であった、右腕と…忌まわしかったトラウマの記憶を消し去ってもらった。
夢のような時間が始まった。右腕を持っている『今』の自分が想像できなくて、外見年齢は2歳若返ってしまったけれど、些細な問題。
しかし、迎えに来た黒騎士達は、誰一人、笑っていなかった。
過去に追いすがり、苦しくても歩いてきた現在を無視した行いは誰からも評価をもらえないのは当たり前だが、それは彼女には分からない。
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【そして最後に残ったモノ】 |
四日後、運命の日が来る。
それは黒騎士の話であった。昔の思い出話を話し合ってから…地獄の始まりであった。
「…………俺達が、これまでに積み重ねてきた時間は」
「これから先、見ていた筈の時間は」
「戻らなかった筈の過去に敵わなかった」
バレンタインの日にもらった彼手作りの黒瑪瑙の髪飾りも(なぜか)なく。
拒絶され、死んだとまで言われ。
過去だけに縋った、過去に逃げたことを『否定』までされて。
「……もう」
「俺の名を、呼ぶな」
自分の中で、決定的な何かが壊れた。
目の前が真っ暗になった。幸せのために選んだ姿を否定されたという、絶望だけがあった。
ヤツはそれが目当てだった。『収穫者』ハーヴェスターと名乗る女性は、人の絶望を見て楽しむ外道。
それが出すあまりに甘すぎる罠にまんまと引っかかり、彼女の罠に絡められていたのだ。
結果、絶望に覆われた彼女を人質兼更なる餌として、自分をさらっていく。
救出に来てくれたみんなの事も目に入らず、絶望していたところに更なる絶望である、「忘れたはずのトラウマ」を再び思い出されてしまう。
そして黒騎士の必殺の一撃の盾代わりにされ、右腕が再び切断される。
幸か不幸か、トラウマを呼び起こされた彼女は、殺意と戦闘への意欲が一気に噴き出した。
そして、斬られた右腕がルミエールの炎(と、黒騎士の【ハッキング】による細工)によって腕も再生。結果的に彼女が望む最高の状態になった(体は2年前の幼いままであったが、些細な問題だ)。
ならば何を恐れることがあるか。受け入れられないのを恐れて置いてきた黒瑪瑙の髪飾りを付けて、武器を持って再び戦いの中に戻っていく。
戦いには勝った。そしてよくわからない事を誰かが(多分黒騎士が)やってくれたおかげでハーヴェスターは死んだ。
皆への謝罪、父への報告、国への別れを告げて彼女は戻っていく。
その時見せた笑顔は、かつての笑顔には比較できないほど可憐で、可愛いものであった。
その日の夜、ついに黒騎士に処女を捧げた…がその日の事は覚えていたくないらしく、翌日黒騎士の足に包帯が巻かれるほど踏んだ。
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それからは。 |
腕が戻ったことで、できることが大幅に増えて掃除洗濯といった家事手伝いを積極的に行う様に。
料理はまだできないが、味覚嗅覚が死んでいるので仕方ない。戻ってから覚えればいいし、リハビリも頑張っている。
また、肉体年齢が下がり、王女生活故の大幅な筋量低下の回復と、右腕を使った戦闘もちゃんとできるようにするために、義父(もう呼ぶのはそんなに気にしなくなった)赤銅斎の(地獄の)訓練を受けることに。吐きながらもなんとか喰らいついている。
また、精神的な成長もとても大きく、殺意のコントロールもかなりできるようになったため、無闇やたらに獲物を殺すことはほぼしなくなった。
あまり関係ないが、年齢が若返り、外見年齢が娘たち3人に近くなったため『黒騎士パパと4人の娘』に見られることが増えた。
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味覚嗅覚の事について |
『昔』の自分が結構な人に言ってしまったらしく、元に(?)戻ってから良く言い寄られた。
その結果ほぼ公然の事実となっている。心配してくれるのは嬉しいが、腫物触れるような扱いはしてほしくない。
それでも食べるのが楽しみなのが、イツキが提供してくれるスイーツの試食である。
彼女の巧みなセールストークは、『これは一体どんな味なのだろうか』という期待で胸が膨らみ美味しくなる。
もし味覚が治ったら黒騎士のご飯の次には彼女と一緒に美味しいスイーツが食べたい、と思っている。
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新たなる命の始まり |
そして、実子(女の子)が生まれる。
名前はグラント族ではないけれど、グラントを意識してか宝石の名前を取り『スピネル』とした。
その後は育児生活を基本的に行い戦闘からはしばらく離れることになってしまった。
黒騎士がマネージャーとなり心労が増えたこともあり、そのケアも彼女なりに行っているようである。
とはいえ戦闘する事は多少なりともストレス発散にもなるようで稀に依頼に行くこともある。
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所持特異点
背中の目:[先制]+1 後方での出来事に気づき、不意打ちを受けない。
※生きるために必要な技能として、まず真っ先に身に付けたこと。逃亡中に不意打ちさえ受けなければ彼女の右腕は無事だった、と語る。
「…見えてないとでも、思ったの?」
ハードトゥーダイ→白き神の使い:カムホク追加共通特技が習得可能になる。
※自らの精神を鍛え治すために、カムホクにて精神鍛錬を行った際に刻まれた印。
無くなっている右腕の付け根に白い模様が刻まれている。彼女自身は白き神を全く信じていない(もとより国が滅んだあの日から神なんか信じてはいない)。
「力を得た結果に刻まれただけの事。神の言うことを聞く気はないわ」
お金持ち→ビビッド回避:回避+1
※鍛錬で仕組まれた反射神経。
「攻撃が100回来たら、90回避けて10回は弾く…」
動かない片腕:wishstarにより削除。
※義手を付けようとすると悪夢が襲ってきていたが、悪夢の原因である国民が成仏したためと、とある事件で腕が戻った。
「まだ、もう一つ戻さないといけないものがあるわ」
無味乾燥:全く味や匂いを感じることができない。【魔法の料理人】習得不可。[感覚]-1。
※強すぎるトラウマが引き起こした症状。食べ物は食感とのどごししか感じないため、食欲はだいぶ削がれている。不安にされたり心配されるのが嫌なので誰にも伝えていない。
「………これもだめ。………何を食べても一緒、か」
トラウマ(一方的な虐殺):特定のものを突きつけられるとあらゆる判定-3。GM判断で却下可能。却下時Ft-1。
※無抵抗の相手を一方的に蹂躙、虐殺する行為をさす。相手に戦闘能力があったり、戦闘意欲がある場合はトラウマに抵触しない。
「あんな景色……もうごめんよ…!」
PickUp
アンバランス、恐怖のBSを火力に変換しながら、射程2で殴り続けるアタッカー。
最終更新:2021年06月23日 23:24