Battle Without Honor Or Humanity ◆PELOaKeBfU
島の南東端に位置するリゾートタウン、ただしこの区画はどうやら建設途中にバブルが弾けたらしく、
すでに荒れ放題の様相を呈し始めている…夜風に晒され大好評分譲中と書かれたのぼりが悲しげにはためいている。
そんな街中を抜けると申し訳程度の大きさの教会がある、売り文句は海が見える教会で永遠の誓いを!
といったところか?
ただやはり荒れ放題の外観は、どちらかといえば神よりも悪魔が似合いそうだ…。
だがしかしそんな場所にもやはり救いを求めんとする者はいるらしい、
事実扉を開け、いや除けるとそこには祭壇に跪き祈りを捧げる少女の姿があった。
「神様…」
月明かりに照らされ、少女の横顔が露になる…銀髪が目を引く小柄な少女だ。
「何故、私はここにいるのでしょうか?何故」
理解できる話だ、彼女もまたこの理不尽な運命を呪い神の声を求めようとしているのだろうか?
しかし…少女の独白は予想外の方向へと進んでいった、それは救いを求めるというよりも…。
「何故、私に2度目の生を、何故私を冥府より再び地上へとお戻しになったのですか?…それとも」
やはりここが地獄、なのだろうか?とアイン、いや吾妻エレンは呟いた。
すでに荒れ放題の様相を呈し始めている…夜風に晒され大好評分譲中と書かれたのぼりが悲しげにはためいている。
そんな街中を抜けると申し訳程度の大きさの教会がある、売り文句は海が見える教会で永遠の誓いを!
といったところか?
ただやはり荒れ放題の外観は、どちらかといえば神よりも悪魔が似合いそうだ…。
だがしかしそんな場所にもやはり救いを求めんとする者はいるらしい、
事実扉を開け、いや除けるとそこには祭壇に跪き祈りを捧げる少女の姿があった。
「神様…」
月明かりに照らされ、少女の横顔が露になる…銀髪が目を引く小柄な少女だ。
「何故、私はここにいるのでしょうか?何故」
理解できる話だ、彼女もまたこの理不尽な運命を呪い神の声を求めようとしているのだろうか?
しかし…少女の独白は予想外の方向へと進んでいった、それは救いを求めるというよりも…。
「何故、私に2度目の生を、何故私を冥府より再び地上へとお戻しになったのですか?…それとも」
やはりここが地獄、なのだろうか?とアイン、いや吾妻エレンは呟いた。
正直な話、自分があれからどうなったのか、なんてことは彼女もまったく憶えていない、当然の話ではあるが。
が、それでもあの時確かに自分が死んだ、ということだけははっきりと認識、理解は出来ていた、
ただ、それを上手く説明することが出来ない、自分自身に対しても…つまり彼女は困惑していたのだ。
「しかもその上…」
エレンの脳裏に言峰の言葉が甦る、最後の1人まで殺しあえと来たものだ。
が、それでもあの時確かに自分が死んだ、ということだけははっきりと認識、理解は出来ていた、
ただ、それを上手く説明することが出来ない、自分自身に対しても…つまり彼女は困惑していたのだ。
「しかもその上…」
エレンの脳裏に言峰の言葉が甦る、最後の1人まで殺しあえと来たものだ。
おぼろげながら現世であるということを認識したのは名簿の中に玲二とドライの名を見つけたときだろうか?
その名を見つけるまでは、この地にて永久の殺戮の炎に焼かれるのもありだと思っていた、それが神罰だと。
が、親しき者…かつて愛した者の名を見たとき、その疑問は氷解した、
彼らはまだここに来るべき人間ではないのだから。
その名を見つけるまでは、この地にて永久の殺戮の炎に焼かれるのもありだと思っていた、それが神罰だと。
が、親しき者…かつて愛した者の名を見たとき、その疑問は氷解した、
彼らはまだここに来るべき人間ではないのだから。
しかしエレンは思う、だがらといってどうするのだと、もっと最初は玲二らと合流し、
最後の最後まで戦い抜きたいと思ったことも事実だ、だが自分はすでに死した存在、
死者が生者の世界に関わってはならないという想いが彼女の心にストップをかける…。
最後の最後まで戦い抜きたいと思ったことも事実だ、だが自分はすでに死した存在、
死者が生者の世界に関わってはならないという想いが彼女の心にストップをかける…。
それに玲二は自分ではなく彼女を選んだ…自分が不在の間ずっと支えになっていたという少女を。
それを考えると少し寂しい…が、玲二なら大丈夫だろう、
ドライが…いやキャルがきっと彼を守ってくれる…だから。
それを考えると少し寂しい…が、玲二なら大丈夫だろう、
ドライが…いやキャルがきっと彼を守ってくれる…だから。
エレンは朽ちた主の像にまたもう一度祈りを捧げる。
「神様、私はもう迷いません」
疑問こそ口にしたが、エレンそのものの目的はまったくブレてはいなかった。
そう、かつてファントム・アインとして恐れられた暗殺者は、
あの日、篠倉学園で梧桐組の戦闘部隊と戦い死んだのだ。
だからもういい…これが神罰でないのならば今度は自分の心のままに生きてみよう。
そして私の…吾妻エレンの為すべき事は。
そっと黒白二振りの短剣を構えるエレン、
「神様…これは罰ではなく私に償いの機会を与えてくれた最後のチャンスと思うことにします」
エレンが祭壇を飛び退いた瞬間、縦薙ぎの刃が祭壇もろとも彼女の立っていた場所を両断する。
飛び退いたエレンの目に映ったのは、自分と同い年くらいの少女…、
ただしその片腕は刃と化していたが…の姿だった。
「神様、私はもう迷いません」
疑問こそ口にしたが、エレンそのものの目的はまったくブレてはいなかった。
そう、かつてファントム・アインとして恐れられた暗殺者は、
あの日、篠倉学園で梧桐組の戦闘部隊と戦い死んだのだ。
だからもういい…これが神罰でないのならば今度は自分の心のままに生きてみよう。
そして私の…吾妻エレンの為すべき事は。
そっと黒白二振りの短剣を構えるエレン、
「神様…これは罰ではなく私に償いの機会を与えてくれた最後のチャンスと思うことにします」
エレンが祭壇を飛び退いた瞬間、縦薙ぎの刃が祭壇もろとも彼女の立っていた場所を両断する。
飛び退いたエレンの目に映ったのは、自分と同い年くらいの少女…、
ただしその片腕は刃と化していたが…の姿だった。
外された!
表情には出ないが、その少女、深優・グリーアは計算違いを悟り舌打ちする。
少なくとも目の前の少女が祈りを捧げる姿は無防備その物に見えたのだから…。
しかし原因は相手の実力を見誤っただけではない。
深優は刃と化した己の腕を一瞥する…その輝きからしてやはり微妙に出力が落ちている、
それが自分の挙動全体にも影響を及ぼしているのだ。
(AIの修正の必要があるようです…さて)
しかし深優が考えていられるのもそこまでだった、瞬き一つの間にエレンの反撃の刃が彼女の喉元に迫る。
小柄な身体からは想像もできないほど鋭く力強い斬撃を辛くも受け止める深優、
エレンの剣を受けた深優の刃が妖しく光りだす、が。
表情には出ないが、その少女、深優・グリーアは計算違いを悟り舌打ちする。
少なくとも目の前の少女が祈りを捧げる姿は無防備その物に見えたのだから…。
しかし原因は相手の実力を見誤っただけではない。
深優は刃と化した己の腕を一瞥する…その輝きからしてやはり微妙に出力が落ちている、
それが自分の挙動全体にも影響を及ぼしているのだ。
(AIの修正の必要があるようです…さて)
しかし深優が考えていられるのもそこまでだった、瞬き一つの間にエレンの反撃の刃が彼女の喉元に迫る。
小柄な身体からは想像もできないほど鋭く力強い斬撃を辛くも受け止める深優、
エレンの剣を受けた深優の刃が妖しく光りだす、が。
(バカな!アンチマテリアルライザーが)
消滅するはずの剣は微動だにしない、チャイルドすら容易に斬り裂くはずの物質化無効能力が、
この剣には通用しないというのか?
だが、呆然としている隙はない…こんどはエレンの脚が深優の下半身を攻め立てる。
一端間合いを取ろうとする深優、距離と僅かな時間があればガトリングバルカンを使える。
が、エレンはそんな深優の思考を感じ取ってか取らずか、ぴったりと密着し逃がそうとはしない。
戦闘能力そのものでは遙かに深優の方が勝っているのだが、エレンの経験に裏打ちされた動きにまるで対応できない。
防御するのがやっとだ。
消滅するはずの剣は微動だにしない、チャイルドすら容易に斬り裂くはずの物質化無効能力が、
この剣には通用しないというのか?
だが、呆然としている隙はない…こんどはエレンの脚が深優の下半身を攻め立てる。
一端間合いを取ろうとする深優、距離と僅かな時間があればガトリングバルカンを使える。
が、エレンはそんな深優の思考を感じ取ってか取らずか、ぴったりと密着し逃がそうとはしない。
戦闘能力そのものでは遙かに深優の方が勝っているのだが、エレンの経験に裏打ちされた動きにまるで対応できない。
防御するのがやっとだ。
「あなた、何故戦うの?」
吐息すら感じられる距離で刃を交えながら問いかけるエレン。
「回答の必然性を認めません」
無表情で言い返す深優。
(相手の心拍数その他…変動無し…)
これほどまでに激しい攻防を繰り返しながら少なくとも身体データ上はエレンはまったく疲弊していない…ということか。
それに今現在の自分の戦闘能力がどこまで信頼できるのかも分からない…。
深優は制圧ではなく逃走を本気で考えようとしていた。
吐息すら感じられる距離で刃を交えながら問いかけるエレン。
「回答の必然性を認めません」
無表情で言い返す深優。
(相手の心拍数その他…変動無し…)
これほどまでに激しい攻防を繰り返しながら少なくとも身体データ上はエレンはまったく疲弊していない…ということか。
それに今現在の自分の戦闘能力がどこまで信頼できるのかも分からない…。
深優は制圧ではなく逃走を本気で考えようとしていた。
が、一方のエレンもまた相手の異常性に気が付いていた。
(この子…全然殺気が読めない)
先ほどもそうだった、背後にせまる影と足音で察知はできていたものの、
彼女自身のやる気についてはまるで分からなかった。
場合によっては今頃は真っ二つだろう。
しかももっと奇妙なことがある、これほどの攻防であるにも関わらず、相手の漏れる呼吸にまったく乱れがなく、
その白い顔には汗一つない…これではまるで。
(人形と戦っているみたいね…きりがないわ)
(この子…全然殺気が読めない)
先ほどもそうだった、背後にせまる影と足音で察知はできていたものの、
彼女自身のやる気についてはまるで分からなかった。
場合によっては今頃は真っ二つだろう。
しかももっと奇妙なことがある、これほどの攻防であるにも関わらず、相手の漏れる呼吸にまったく乱れがなく、
その白い顔には汗一つない…これではまるで。
(人形と戦っているみたいね…きりがないわ)
が、だからといって今更逃走には移れない、相手の挙動から見て間合いを離したがっているのは明白だからだ。
それが逃亡のためならばこのまま行かせるつもりだったが…殺気があるかないかわからない以上判断できない。
胸部を中心に攻めていた剣の切っ先を不意に変化させるエレン、狙いは首筋、だがそれは深優にも見えていた。
エレンの剣を力任せに払いのける深優、黒塗りの剣が手から離れるがエレンはまるで気にしない。
むしろその勢いのまま思い切り前へと踏み込む、その真の狙いは先ほどの防御でガラ空きになった深優の胸板、
そこに渾身の膝蹴りを叩き込む…はずだった、が。
それが逃亡のためならばこのまま行かせるつもりだったが…殺気があるかないかわからない以上判断できない。
胸部を中心に攻めていた剣の切っ先を不意に変化させるエレン、狙いは首筋、だがそれは深優にも見えていた。
エレンの剣を力任せに払いのける深優、黒塗りの剣が手から離れるがエレンはまるで気にしない。
むしろその勢いのまま思い切り前へと踏み込む、その真の狙いは先ほどの防御でガラ空きになった深優の胸板、
そこに渾身の膝蹴りを叩き込む…はずだった、が。
手抜き工事かそれとも潮風による風化が予想以上だったか、エレンの軸足の真下の床が軋んだと思うや、
鈍い音と同時に破れてしまう、この予想外の事態には彼女といえど対応できない、
その体勢を大きく崩してしまう。
そしてそれは深優にとって絶好のチャンスだった。
エレンが体勢を整えた時にはもう深優の姿は目の前にはなかった…が。
エレンは咄嗟に机の下に身を隠す、殺気も何もない、ただ己の勘を信じただけだ…そしてそれから瞬き二つ。
荒れ狂うようなフルオートの斉射音が教会に木霊したのだった。
鈍い音と同時に破れてしまう、この予想外の事態には彼女といえど対応できない、
その体勢を大きく崩してしまう。
そしてそれは深優にとって絶好のチャンスだった。
エレンが体勢を整えた時にはもう深優の姿は目の前にはなかった…が。
エレンは咄嗟に机の下に身を隠す、殺気も何もない、ただ己の勘を信じただけだ…そしてそれから瞬き二つ。
荒れ狂うようなフルオートの斉射音が教会に木霊したのだった。
「やはり機能が低下しているようです、変形も多用や併用は避けるべきですね」
バルカンへと変化させた腕を戻しながら呟く深優。
「さて…」
弾痕だらけの部屋を見まわし、それからズレたメガネを掛けなおそうとした時だった。
「?」
何かが飛来する音に眉を潜めると同時に、下腹部にわずかな衝撃…見ると服が裂けていた。
「今のはあなたですか?」
「上手くいってはくれないようね」
深優の背中側の席から姿を現すエレン、自分の支給された武器である白黒一対の剣が互いに引き合い、
手元に戻ることを知ったエレンの作戦、しかし幾度も練習したとはいえど、
やはり付け焼刃では成功するはずもない、そのまま暫し睨みあう2人だったが。
バルカンへと変化させた腕を戻しながら呟く深優。
「さて…」
弾痕だらけの部屋を見まわし、それからズレたメガネを掛けなおそうとした時だった。
「?」
何かが飛来する音に眉を潜めると同時に、下腹部にわずかな衝撃…見ると服が裂けていた。
「今のはあなたですか?」
「上手くいってはくれないようね」
深優の背中側の席から姿を現すエレン、自分の支給された武器である白黒一対の剣が互いに引き合い、
手元に戻ることを知ったエレンの作戦、しかし幾度も練習したとはいえど、
やはり付け焼刃では成功するはずもない、そのまま暫し睨みあう2人だったが。
「戦闘データの収集は十分なようです」
己の出力限界を悟られないために言い訳じみた言葉をあえて口にし撤収にかかる深優。
どうやら単に出力が落ちているだけではなく、ナノマシン自体の活動も抑えられているらしい、
事実、瞬時に修復されるレベルの傷が未だ残っている。
まずは休息、それから武器だ…換装はそう多く使えそうにないだけに早急に手に入れなければ…。
(しかしあのペンダントはいったい…解析不能な妙な何かを感じます)
己の出力限界を悟られないために言い訳じみた言葉をあえて口にし撤収にかかる深優。
どうやら単に出力が落ちているだけではなく、ナノマシン自体の活動も抑えられているらしい、
事実、瞬時に修復されるレベルの傷が未だ残っている。
まずは休息、それから武器だ…換装はそう多く使えそうにないだけに早急に手に入れなければ…。
(しかしあのペンダントはいったい…解析不能な妙な何かを感じます)
その背中にもう一度エレンが声をかける。
「もう一度教えて?何故戦うの」
「回答の必要はありません」
やはりそれだけを口にして深優は教会を後にし、そして残されたエレンも深追いはせず、
天窓から覗く星を見ながら呼吸を整えるのみ、そしてその心の中に去来する物、それは。
「やっぱり…会いたい、玲二」
この島で力なき者たちを最後まで守るために戦うと決めた彼女だったが、やはり未練は隠せなかった。
少なくともあの時出来なかったお別れだけは言っておきたかった。
それにキャルにも会っておきたい、改めて玲二のことを頼まなければ。
だが、彼女は知らなかった、この島にいる吾妻玲二は未だツヴァイのままだったし、
そしてキャル…いやドライの怨念も解けていないという事実に。
「もう一度教えて?何故戦うの」
「回答の必要はありません」
やはりそれだけを口にして深優は教会を後にし、そして残されたエレンも深追いはせず、
天窓から覗く星を見ながら呼吸を整えるのみ、そしてその心の中に去来する物、それは。
「やっぱり…会いたい、玲二」
この島で力なき者たちを最後まで守るために戦うと決めた彼女だったが、やはり未練は隠せなかった。
少なくともあの時出来なかったお別れだけは言っておきたかった。
それにキャルにも会っておきたい、改めて玲二のことを頼まなければ。
だが、彼女は知らなかった、この島にいる吾妻玲二は未だツヴァイのままだったし、
そしてキャル…いやドライの怨念も解けていないという事実に。
【H-8 岬の先端部/1日目 深夜】
【エレン@Phantom -PHANTOM OF INFERNO】
【装備: 干将・莫耶】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:対主催、専守防衛
2: 玲二に会いたい
(キャルED後の設定です)
【装備: 干将・莫耶】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:対主催、専守防衛
2: 玲二に会いたい
(キャルED後の設定です)
【深優・グリーア@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備:遠坂家十年分の魔力入り宝石】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:優勝する(理由は不明)
2: 武器(できれば銃器)を探す。
【装備:遠坂家十年分の魔力入り宝石】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:優勝する(理由は不明)
2: 武器(できれば銃器)を探す。
021:熱く、強く、私らしく、たとえ殺し合いの舞台でも | 投下順 | 023:愛する人の元へ |
020:誰が為に刀を振るう | 時系列順 | |
エレン | 050:何気ない遊園地に、数々の出会い | |
深優・グリーア | 052:鬼神楽 |