ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

何気ない遊園地に、数々の出会い

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何気ない遊園地に、数々の出会い ◆eQMGd/VdJY



一人岬で風に包まれていたエレンは、リゾートを抜け遊園地の傍まで来ていた。
ここまで一直線に来た理由は駅。交通手段として用意された駅ならば、おそらく人の出入りも多いはず。
仮に誰かいなくても、ここを軸にある程度は一気に移動できると踏んだのだ。
かれこれ数時間、疲労が残らない程度の速度で走ってきたエレンは、ここでふと足を止める。
進行方向左にある、夜空に燦々と光を放つ遊園地から、人の声が聞こえた気がしたのだ。
耳に意識を注ぎ、流れていく雑音から必要な音を抜き出していく。
音楽。駆動音。叫び声。音楽。機械音声。駆動音。
微かなものだが、三つ目に紛れ込んだ音は間違いなく肉声。
エレンは注意深く遊園地の全景を視野に閉じ込めると、そこから一点だけ抜き取る。

(あれは……)

空には明るさが戻りつつあったが、いかんせん距離が遠い。
だがそれでも、二人の人物がとある場所で退治しているのは判別できた。
躊躇う事無く地を蹴り目的地を変更するエレン。
ドライや玲二である可能性は低いが、絶対にありえないとも言い切れない。
それに二人でなかったとしても、何かしらの情報を入手できる可能性もあるのだ。
だが、もし二人でなかったと仮定した場合、一つだけ注意しなければならない事がある。
これから行く先のどちらかが、完全に殺し合いに乗っている可能性。
そしてあるいはまた、双方ともに殺し合いに乗っている可能性。
こうなった場合は、戦わずに早々に離脱する必要があるだろう。
気付かれないよう相手の死界を狙いつつ距離を縮めていく。
やがて肉眼でも顔が判別できるところまで来て、エレンは足を止める。
視線の先にいる二人。厳密に言えば三人は、探し人ではなかった。
それどころか、予期した通りトラブルの最中らしい。相当に危険な香りが漂う。
向って右側。スーツ姿の男からは溢れんばかりの怒気が。
向って左側。面妖な仮面に和服。そしてもっさもっさの髭。その腕の中には女性の姿。
迷う事無く判断する。左側の仮面の方が危険人物だ。あれはきっと人攫いだろう。
するとここは、右側のスーツ男に加勢すべきなのだろうか。
だがしかし、真実はエレンの想像とは逆なのかもしれない。
スーツの男が執拗に女性を追いまわし、それを仮面の男が助けたのか。

(せめて、あの女性が目を覚ませばいいんだけれど)

あの極太の腕の中で眠る女性が、どちらに助けを求めるかすれば、判断材料が増える。
注意深く気配を影に沈め、女性の表情を徹底的に洗う。
抱かれた直前の表情が安堵ならば、仮面の男は白。恐怖なら黒。
しっかりと見定めたいのだが、間の悪いことに相手は常に動いている。
と、ここでようやく二人の間の空気が二つに切断され縮む。
同時に、双方ともに拳を腰に据えると、それを一気に前に撃ち出した。
見事に決まったクロスカウンターを無視し、エレンは女性の顔に意識の手を延ばす。

(……怯えているわね)

眉と眉の間には皺が刻まれ、口元は若干苦しそうに喘いでいる。
強張った表情もかなり青ざめていが、もともとなのだろうか。
とは言え決まりだ。あの仮面の男こそ、劣悪な人攫いなのだろう。
さて、ここで放置していた問題に直面する。果たしてこれを捨て置くべきか。
自ら戦いの種を撒かず、降りかかる火の粉のみ払おうと決めてはいたが、
自身を優先し、目の前の女性を置いて逃げることを、玲二はどう思うだろう。
ここでもし、誰かを助けることが叶うのなら、自分は玲二に近づけるだろうか。
瞼の奥の玲二に問い掛ける。

(そうね)

償ってみよう。吾妻エレンとして、可能な限りの子羊へ。
進んでみよう。この一歩が、この島で吾妻エレンを見つけられるように。
気持ちが固まると同時に、エレンは三人の前に踊り出た。
一番近いスーツの男から一番警戒心を向けられたが、エレンは男の間合いより前で足を止める。
今不必要に近付いても警戒心を煽るだけだ。
だから、相手がエレンの行動に対して準備できる距離を置く。
それが伝わったようで、スーツの男からの警戒心が若干低くなるのを感じた。
だが視線を交わす事はせず、そっとしまっておいた武器を両手に持つ。

「加勢するわ」
「他所の女子高生がそんなもの振り回すのは感心せんが、ま、今は感謝しよう」

両手に干将・莫耶を構え、エレンはスーツ姿の男の隣へと添う。
一方エレンが現れたことで、仮面の男はこちらにも警戒心を向け始めた。
当然だろう。いきなり現れた制服姿の少女が、切っ先を自身に向ければ、普通は警戒する。
まずは援護に回ろうと爪先に力を込めた所で、隣の男が唐突に声を掛けてきた。

「そうだ……済まんが、火を持ってたりしないか?」
「持ってないわ」

あっさり返すエレンに、男は寂しそうにタバコの箱をしまい直す。
戦闘前に一服などと考えていたのだろうか。どちらにせよ、エレンが気にする事ではない。
と、緩んでいたネクタイをさらに緩めながら、男は拳を腰骨に当て呟く。

「なかなか一服にありつけんな。ああ、見た感じ戦い慣れているようだが、聞かせてくれ」

軽く吐き出した言葉にピクリとするエレン。
見た目以上に、スーツの男は人を見る目があるらしい。
とは言え、何を聞かれても答えるつもりの無いエレンは、ただジッと前を見据える。

「なに、そう身構えるな。俺が聞きたいのはお嬢さんの名前さ」
「?」
「少なくとも、加勢してくれる生徒に対して「お前」と呼ぶのは、教師としてあれなんでな」

名を尋ねる理由は不明瞭だが、これは別に答えてもいいだろう。
そう思い口を開いたエレンだったが、問いに答える前に、男は仮面の男に向って拳を叩きつけていた。
だが人の首よりも太い豪腕に阻まれたのか、攻撃が効いた様子が無い。
渋い顔をしながら、スーツの男は相手からの反撃を受け流しつつエレンの元へと舞い戻る。
もっとも、受け流したように見えたが、どうやら軽く貰ったようだ。

「……エレン。吾妻エレンよ先生。援護ぐらいなら出来るわ」

痙攣する腕を抑えながら、男は一度だけネクタイを首元まで締めなおす。

「そいつは重畳。俺は加藤虎太郎。さっきも言ったが学校の先生だ」

自己紹介が終わると同時に、虎太郎は再びネクタイを緩めた。
それをきっかけとして、二人は仮面の男を軸に、左右へと同時に飛ぶ。
お互い意見こそ交わさなかったが、意思の疎通は出来ているらしい。
そんな二人を見て、仮面の男は奇妙な雄叫びをあげる。
腕に女性を抱きかかえたまま、仮面の男は仁王立ちで二人を迎え撃つ。
左右から突撃する二人と仮面の男は、ゆっくりと闇に溶けていく。




◇◇◇




かめんの おとこ か゛ いったい あらわれた!


こたろう
ニアこうけ゛き
 ひっさつ
 まもる
 と゛うく゛
 にげる

えれん
ニアこうけ゛き
 ひっさつ
 まもる
 と゛うく゛
 にげる


かめんの おとこ か゛ おたけひ゛ を あけ゛る
こたろう は へいき た゛
えれん は へいきた゛ 

こたろう の こうけ゛き!
かめんの おとこ に きいて いるようた゛

えれん のこうけ゛き!
かめんの おとこ に きいて いるようた゛

かめんの おとこ の はんけ゛き!
「うぅまうぅー!」
こたろう は また゛ け゛んき た゛


こたろう
 こうけ゛き
ニアひっさつ
 まもる
 と゛うく゛
 にげる

えれん
 こうけ゛き
ニアひっさつ
 まもる
 と゛うく゛
 にげる


こたろう の ひっさつわさ゛!
「くた゛き!」
こうか は は゛つく゛んた゛!
かめんの おとこ は くるしんて゛ いる 

えれん の ひっさつわさ゛!
えれん は けん を とうてき した
かめんの おとこ は ひらりと みを かわした

かめんの おとこ の はんけ゛き!
「うぅまうぅー」
こたろう は くるしそう た゛
えれん は ひらりと みを かわした


ゆめい か゛ めを さました
かめんの おとこ か゛ ふ゛きみ なえみ を うかへ゛ている
ゆめい は おののき すくみ あか゛って いる
ゆめい は きせ゛つ した


かめんの おとこ は おたけひ゛ を あけ゛た
こたろう と えれん は みか゛まえた


かめんの おとこ は にけ゛た゛した!


せんとう しゅうりょう

0 のけいけんち
0 のおかね   を てにいれた 









奇妙な感覚から現実に戻った二人は、即座に気を取り直す。
虎太郎の視線の先には、こちらを向きながらバック走で逃げる仮面の男の姿。
少し強めに髪を掻き毟ると、エレンに言葉を投げかけた。


「……ええい! 追うぞ」
「え?」

虎太郎の呼び掛けに、エレンは答えに窮する。
確かに手を出したのは自分だが、果たして最後まで付き合うべきだろうか。
自分が合流する前の戦いを思い出す。そう、二人の力は拮抗していた。
おそらく虎太郎一人では女性の奪還は難しいが、エレンが手を貸せば可能性は飛躍する。
だが、エレンの最終的な目的はそこではない。
誰かに振り回されていては、玲二とドライに会うことが難しくなる。
決断したらすぐに行動に移さなねばなるまい。
二つの道の岐路に立たされたエレンは、自身の答えを虎太郎に向けた。

「私は――」





◇◇◇




九鬼と別れた佐倉霧は、歓楽街を抜け遊園地へと来ていた。
美希ならばあるいは、こんな時でも明るく振舞っているかもしれない。
そんな事を思っていた折、目にとまった一連の奇妙なショー。
遊園地を縦横無尽に駆ける三人のアクターに、霧は一気に心奪われた。
だがそれは決していい意味で心奪われたのではない。
目の前の異常なやりとりが、ここではあの時と同じく許されるのだ。
自分が出会った二人が例外なだけで、殺し合いはすでに行われていると。
そう。少なくとも、あの三人は殺し合いに乗っている。
幸いな事に、誰もまだ霧には気付いていない。逃げるなら今だ。
そう思い足を動かそうとするが、筋肉は硬直し思うように動かない。
懸命に足を摩り、緊張を解こうとする。が、筋の硬さは相変わらずだ。
そうこうしている内に、ショーは急展開を迎える。
一人戦っていた仮面の男が、突然雄叫びを上げ走り出したのだ。しかも、背を向けたまま。

(こっちに来るッ!)

このままでは、自分もショーの一員にされてしまう。
強く拒絶した心が通じたのか、途端に身体の筋肉が霧に従い始める。
だが時間が無い。背中を向けながら近付いてくる巨漢に、霧の出した答えは――





【チーム『ぱっと見た感じ誘拐犯』】
【F-7 遊園地/1日目 早朝】
橘平蔵@つよきす -Mighty Heart-】
【装備】:マスク・ザ・斉藤の仮面@リトルバスターズ!
【所持品】:支給品一式、地方妖怪マグロのシーツ@つよきす -Mighty Heart- 不明支給品0~1】
【状態】:肉体的疲労(小)
【思考・行動】
基本方針:ゲームの転覆、主催者の打倒
0:……うぅまうぅー
1:女性(ユメイ)を男(虎太郎)から守るため戦略的撤退
2:女性(ユメイ)が目を覚ましたら、次の協力者を増やす
3:生徒会メンバーたちを保護する
4:どうでもいいことだが、斉藤の仮面は個人的に気に入った

※自身に掛けられた制限に気づきました。
※遊園地は無人ですが、アトラクションは問題なく動いています。
※スーツの男(加藤虎太郎)と制服の少女(エレン)を危険人物と判断。



【ユメイ@アカイイト】
【装備】:メガバズーカランチャー@リトルバスターズ!
【所持品】:支給品一式、不明支給品0~2
【状態】:健康、精神的疲労中、気絶
【思考・行動】
基本方針:桂を保護する
0:…………ひうっ……
1:桂を捜索する
2:烏月、サクヤ、葛とも合流したい
3:桂が悲しむので殺し合いには乗りたくないが、もしもそれ以外の手がなくなれば……
※霊体化はできません、普通の人間の体です。
※月光蝶については問題なく行使できると思っています。
※メガバズーカランチャーを行使できたことから、少なからずNYPに覚醒していると予想されます。



【チーム『ぱっと見先生と生徒』】
【F-7 遊園地/1日目 早朝】
【加藤虎太郎@あやかしびと -幻妖異聞録-】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、凛の宝石10個@Fate/stay night[Realta Nua] 包丁@School Days L×H、タバコ
【状態】:肉体疲労(小)。
【思考・行動】
基本方針:一人でも多くの生徒たちを保護する
0:くそ!馬鹿にしているのか!?
1:去っていく男から何とかして少女(ユメイ)を保護したい
2:子供たちを保護、そして殺し合いに乗った人間を打倒す:誰か、火を貸してくれんか?

※制限の人妖能力についての制限にはまだ気づいていません。
※ライターは破損、タバコのみです。
※仮面の男(橘平蔵)を危険人物と判断。


【エレン@Phantom -PHANTOM OF INFERNO】
【装備】:干将・莫耶
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康
【思考・行動】
0:どうしようかしら……
1:対主催、専守防衛
2:玲二に会いたい
3:人間らしい吾妻エレンになりたい
(キャルED後の設定です)

※仮面の男(橘平蔵)を危険人物と判断。




【佐倉霧@CROSS†CHANNEL ~to all people~】
【装備】:ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]
【所持品】:支給品一式、ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、ドラゴン花火×1@リトルバスターズ!
【状態】:健康、若干の恐怖
【思考・行動】
基本:山辺美希との合流
0:どうしようッ……!
1:山辺美希と合流するため、リゾートエリアを捜索
2:他の参加者に黒須太一支倉曜子の危険性を伝える
3:美希との合流後、H-4に若杉葛を迎えに行く
4:気が向いたら、出会った相手に「死んだことがあるか」という質問をしてみる

※登場時期は少なくとも支倉曜子に殺されそうになったイベント以降です
※若杉葛の知り合いはこの場にいないと聞かされています。
※人妖関連の話を聞いていますが、理解できていないので、断片的にしか覚えていません。
※エレン、加藤虎太郎、橘平蔵の三人(名前は知らない)は、殺し合いにのっていると判断。

049:胸には強さを、気高き強さを、頬には涙を、一滴の涙を。 投下順 051:私の救世主さま
048:クモノイト 時系列順 052:鬼神楽
022:Battle Without Honor Or Humanity アイン 062:楽園からの追放
032:月光カプリッチオ 加藤虎太郎 062:楽園からの追放
032:月光カプリッチオ ユメイ 062:楽園からの追放
032:月光カプリッチオ 橘平蔵 062:楽園からの追放
039:死を超えた鬼と少女 佐倉霧 062:楽園からの追放



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