ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

鬼神楽

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鬼神楽 ◆aa/58LO8JE


月に照らされた舗装路を一人の少女が駆けていた。
人にしては異常な速さで、しかし息一つ乱す事無く。
いや、元より眼鏡の少女、深優・グリーアは人などでは無かった。
『Multiple Intelligential Yggdrasil Unit――MIYU』
シアーズ財団が科学の髄を持って創りあげたアンドロイドであり、戦闘兵器。それが彼女だ。
なればこそ、その身は常人より速く走る事ができる。人のように疲れで倒れる事も無い。
まさしく彼女は人を超えたモノであった。
「やはり、出力は芳しくないようですね」
だが、少女の顔に浮かぶのは不満。
確かに常時であればこれ以上の速さで駆け、トラックの衝突にも無傷で耐え、
更には人外の化生と戦闘をこなしていた彼女にすれば、現在の出力は限りなく低下していると言えた。
能力制限。この地に居る全ての参加者にかけられたそれは、少女にもまた平等にかけられている。
(しかし碌な武器も与えず、出力も常時より数段低下させておきながら“ゲームを円滑に進めろ”とは……)
「理解不能ですね」
深優は小さく呟きながら、ゲーム開始直前の事を思い出していた。



某日、風華学園付近の海岸でアリッサ・シアーズ及び深優・グリーアとワルキューレ達との戦闘が発生した。
開始当初は数の差をものともせずアリッサ側の圧倒的優位で展開。
しかし、止めの一撃を放とうとした際にアリッサのHiMEの力が暴走する。
その力はオーバーフローを起こし、逆流。彼女は体組織を崩壊させながら死に至った。
そして、主を失いオーファンと化したチャイルド、メタトロンを深優が倒す事により戦闘は終結する。
息絶えたアリッサを背負い、教師でありシアーズに雇われた身でもある高村恭司と共に教会へと帰還する深優。
その最中に、彼女は今回のゲームの会場へと連れ去られる事となった。

爆発音と共に死亡した一人の少年。
蛇の姿をしたチャイルドを呼び出し、斬り殺された双子の少女達。
黒髪の少女を庇い、首輪を爆破される女性。
そして、ゲーム開始の宣言と共にそこに居た人々が次々と消えてゆき……

「ここは……?」
気がつくと、深優は薄暗い部屋に居た。
周囲に響くのは何か硬質の物体同士がぶつかる様な音。
「やあ、深優さん。ゲームが始まるというのに、引き止めてしまって悪いね」
その声に正面を見据えると、そこには学生服姿の男と屈強な体格の神父が居た。
二人はテーブルに向かい合うように座り、何かしらの作業をしているようだった。
身構える深優を学生服の男が手で制する。
「いえ、そう警戒する必要はありませんよ。我々は貴女に危害を加えるつもりはありません」
「彼の言う通りだ、深優・グリーア……さて、改めて自己紹介は必要かね?」
硬い正方形の物体――真っ白なサイコロを振りながら、そう口にする神父に深優は首を横に振って答えた。
「必要ありません。神崎黎人言峰綺礼。私を“引き止めた”理由を仰ってください」
深優の言葉に笑みを浮べながら頷き、神崎は両の掌を叩き合わせる。
その合図に反応して、彼等の背後にある壁がゆっくりと発光し始めた。

光り輝く壁。
否、壁と見紛う程に巨大なモニターに映し出されたのは、こことは違う何処か別の部屋の様子だった。
白一色で統一された部屋の中央に椅子が一脚。
それに座り込み、脱力して項垂れているのは金髪に黒い洋服姿の幼い少女だった。
「アリッサ様……? ですが、あの時アリッサ様は確かに……」
「確かに死んだはず、かね? しかし、こうして現に彼女は生きている」
言峰の言葉に反応するように、金髪の少女は体をぴくりと震わせる。
「み……ゆ……? どこにいるの……? 助けて、深優!」
「アリッサ様!」
不安げに叫ぶ少女に深優は顔を歪めながらも声をかける。
しかしその言葉に少女が反応する直前、男によって映像は消され、辺りは再び漆黒に包まれた。
「さて、僕達が君にお願いしたい事は二つです」
険しい表情の深優に、神崎は微笑を絶やすことなく言葉を発する。
「一つは“優勝を目指して積極的に殺す事”」
「もう一つは“殺し合いが加速するよう、他の参加者を扇動する事”だ」
「そうすれば、アリッサ様を解放するという事ですか?」
深優の言葉に二人は満足したように頷く。
しばしの沈黙の後、深優はゆっくりと口を開いた。
「疑問が二つあります。まず、あれが本物のアリッサ様だという証拠はあるのですか?」
「残念な事に証拠は無いんだ。だから彼女は偽者かもしれない。
 だけど、本物の可能性もある以上、君は従わざるを得ないだろうね」
神崎の言葉に表情を歪めながらも深優は疑問を続ける。
「では二つ目です。なぜこのような事を?
 今回のこれがゲームだというのなら、ゲームマスターの介入は明確なルール違反では?」
「ふむ……深優・グリーア。君はバック・ギャモンというゲームを知っているかね?」
神父の発した質問に深優は躊躇することなく答えた。


「今現在、貴方がたが行っているゲームですね。
 基本的なルールならば、知識としてインプットされています」
「例えばこのゲームを行うには、ゲーム盤と駒を準備する必要がある。
 しかし、逆に言えばそれだけではゲームは始まらない。
 誰かがサイコロを振る必要があるのだ」
言いながらサイコロを振る神父。
それは軽い音をたてながら転がり、やがて6の面を上にして止まる。
「さて、どうしますか深優さん。僕達のお願い、聞いてもらえますか?」
その言葉に苦々しい顔で深優が頷く。
彼等は満足げな笑みを浮べながら、彼女を会場へと送り出したのだった。



「お待ちしていてください、アリッサお嬢様。私はかならず、お嬢様を……」
と、不意に彼女の鋭敏な感覚が何かを捉える。
(血の臭い、ですか。かなり薄まっているようですが……)
電車用の鉄橋と並ぶように架けられた、小さな橋の上で立ち止まり周囲を見渡す。
本当に微かなその臭いは、どうやら橋の下から漂っているようだった。
橋の欄干から身を乗り出し下の川を覗き込む。
月に照らされた橋桁には赤に近い色をした何かが引っ掛かっているようだった。
(あれは……どうやら人の内臓器官の一部のようですね)
おそらくは腹部を損壊した参加者が川を流れて行ったのだろうと判断する。
可能性は低いが、もしかすると河口付近に死体と共に鞄が流れ着いているかもしれない。
一瞬の間にそこまで思考すると、深優は川の流れ沿いに河口に向けて移動を開始した。


数分後。
海岸まで辿り着いた深優は先客の姿を発見する。
全身ずぶ濡れになったその女性は青白くなった少年の体を抱えて、座り込んでいた。
茫然自失の表情でその眼は何も映さず、ただ遠くを眺めている。
容易に殺せそうなその少女を前に深優は沈黙する。
確かに彼女を殺そうと思えば、簡単に実行できるだろう。
しかし、その女性を目前にすると深優の頭脳にノイズが走る。
首筋が少し熱を持つ気がする。
月に照らされた夜の海岸。
少年の死体をしっかりと抱きしめるずぶ濡れの少女。
目の前にあるその光景は、アリッサが死んだ時の状況を髣髴とさせる姿をしている。
(私は何を……アリッサ様は生きていらっしゃったというのに……)
思い浮かんだ映像に頭を振りつつ、深優は目の前の少女に話しかけた。

「貴女は、そこで何をしているのですか?」
深優の言葉に少女は答えない。
「貴女はこのような所で座り込んで、いったい何をしているのですか?
 それはもう死んでいます。ただの物です」
ぴくりと、その言葉に少女が反応したような気がした。
「この空間は、殺し合いの世界。
 互いの命を賭けた弱肉強食の世界です」
少女の虚ろな瞳がゆっくりと深優に向けられる。
「彼のような弱者は命を落とし、彼を殺した強者がそれを糧に生き残る。この島はそんな世界なのです」
少女は頭を横にゆっくりと振る。が、深優は言葉を止めない。
「だというのに、貴女は何故このような所で座り込んでいるのですか?
 保身に走るわけでもなく、復讐を行おうとするわけでもなく……ここでこうして、蹲っているだけで」
首を勢いよく振りながら少女は、少年の体を強く抱きしめる。
しかしその様子に構わず、深優は言葉をぶつけた。
「貴女は、弱者です。
 大切な者も守れず、復讐する事も考えられない敗北者です。
 彼共々、強者に血を啜られ、骨まで喰らわれる運命の弱者です」
「……めろ……や……」
「……私は貴女とは違う。私は今度こそお嬢様をお守りします。
 ここに居るワルキューレ達も全て、殺してみせます」
「やめて……くれ……」
少女の小さな呟きも、深優には届かない。彼女はすでに己に向けて喋っているのだから。
「私は貴女の様な弱者に。強者の糧になるだけの存在にはならない」
そう言いながら深優は腕を剣状に変形させる。そして……


数分後、深優は月に照らされた道路を駆けていた。
手にした鞄は二つ。
自分の物と、先ほどの少女の近くに落ちていた物。
……結局、深優は少女を殺さなかった。
何故なのかはわからない。
考えようとすると脳裏にノイズが走る。
首筋に奇妙な熱さを感じる。
(まあ、参加者の扇動という目的からは外れていないはずです……問題はありません)
自身にそう言い聞かせながら、深優は北を目指し、道路を駆けていった。



【E-7 橋付近/1日目 黎明】

【深優・グリーア@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:遠坂家十年分の魔力入り宝石
【所持品】:支給品一式、乙女のデイパック(確認済み支給品1~2)
【状態】:健康
【思考・行動】
 0:アリッサを救うために行動する
 1:“優勝を目指し積極的に殺す”
 2:必要に応じて“殺し合いが加速するように他の参加者を扇動する”
 3:ここにいるHiME(玖我なつき、杉浦碧、藤乃静留)を殺す
【備考】
 ※参加時期は深優ルート中盤、アリッサ死亡以降です
 ※場合によってはHiME能力に覚醒する可能性があります
 ※アリッサが本物かどうかは不明です



                 ◇◇◆◇◇



レオと私が出会ったのは、まだ互いに幼い頃の事だった。
幼い少女だった私は年下のレオと仲良く遊んだものだ。
それから年月がたち一時期はレオと疎遠になっていた。
だがあの日、レオの両親に頼まれ同居する事になり、私達は再び仲の良い姉弟のように暮らし始めた。
そして、その日から私の周囲では様々な事が変化した。
レオやその友人達の生徒会への加入。
武道祭。
ある理由から体を鍛え、レオは乙女の後輩である村田にすら打ち勝った。
本当に様々な事があったのだ。そして……

「レオ……レオっ……」

彼は死んだ。
白い学ラン姿の男に殺された。
私には何もできなかった。
大切な弟を殺した相手に手も足もでず、私は敗北したのだ。
身体と精神を鍛え続けてきた私の人生は、その瞬間何の意味もなさなくなった。

「もう、いい……いっそ、このまま……」

こうしていたい。
ただこうして、レオの思い出に浸っていたい。
そして、このまま朽ち果ててしまえばいい。
そんな事を考えながら、私は回想を繰り返す。



レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――

レオと私が出会ったのは――



「貴女は、そこで何をしているのですか?」
不意に、胸に抱きしめているレオが何かを言った気がした。
いや違う、これはレオの声じゃない。
じゃあ、いったい誰の?
「貴女はこのような所で座り込んで、いったい何をしているのですか?
 それはもう死んでいます。ただの物です」
……そんな事くらいわかっているんだ。
でも、これはただの物なんかじゃない。
私の弟だ。私のとても大切な……
「この空間は、殺し合いの世界。
 互いの命を賭けた弱肉強食の世界です」
そう……なのか?
そうなのかもしれない。
いや、きっとそうなのだろう。
そんな事を考えながら私は顔を上げる。
そこには、冷たい――哀れみと蔑みの交じった視線があった。
「彼のような弱者は命を落とし、彼を殺した強者がそれを糧に生き残る。この島はそんな世界なのです」
違う。
弱いのは私だけなんだ。
レオは私なんかよりずっと勇気があって、私よりも強くて……
それなのにレオ、お前はどうして……?
悲しみに胸が張り裂けそうになりながら、レオをきつく抱きしめる。
「だというのに、貴女は何故このような所で座り込んでいるのですか?
 保身に走るわけでもなく、復讐を行おうとするわけでもなく……ここでこうして、蹲っているだけで」
ああ、そうだ!
それの何が悪いんだ!?
私はもう、生きていく事が嫌になったんだ!
もう私なんてどうなろうと構いやしないんだ!
だからもう放って置いてくれ!

「貴女は、弱者です。
 大切な者も守れず、復讐する事も考えられない敗北者です。
 彼共々、強者に血を啜られ、骨まで喰らわれる運命の弱者です」
「……めろ……や……」
「……私は貴女とは違う。私は今度こそお嬢様をお守りします。
 ここに居るワルキューレ達も全て、殺してみせます」
「やめて……くれ……」
どうして放って置いてくれないんだ……
私はもう、レオと一緒にいられるだけでいいのに。
私が弱者である事も、これまでの人生が無価値であった事も認めるから、だから……
「私は貴女の様な弱者に。強者の糧になるだけの存在にはならない」
そう呟く女の手は刃物に変化していた。
ああ、そうか、この女は私を殺すつもりだったのだ。
そうだ、私は死ねるのだ……レオ、これからはずっと一緒だからな。
振り下ろされる白銀色の刃を見つめながら私は……

首を吹き飛ばされた、あの赤毛の少女を思い出していた。

同時に私の背中に耐え難い悪寒と、拒否感が湧き上がる。
私は振り下ろされた刃物を全力で回避しようとする。
が、間に合わない。
砂浜に座り込み、両手もふさがった状態では避けようがない。
両手で抱えていた物を女に向かって投げ出し、私は両足を必死に動かして後退した。
その結果、私と女の間合いは開き、女の振るった刃物は私の放り投げた物体を両断するだけに留まる。
女はしばらくこちらを見つめた後で、何も言わずにその場を立ち去った。
私は大きく息を吐きながら、両断された物体を視界にいれる。

肉体を両断されたレオが、こちらに侮蔑の視線を送っていた。

「ぅ……ぁ……?」

「……痛いよ、乙女さん。一緒に死んでくれるんじゃなかったの?」

哀れみと蔑みの視線を送りながら、上半身だけのレオが言う。

「そんなわけないじゃない。結局は口だけだったのよ、この女は」

そう言って笑うのは赤毛の女と制服姿の少年。
二人とも、互いの頭を両手で抱え、ケラケラケラケラと笑う。

「そうね、てっちゃんはやっぱり最低の卑怯者よ」

杉浦碧のその言葉に、伊達と鮫氷、椰子が同意する。

「やはり、お前は弱者なのだ。俺のような強者に食らわれるためだけの存在」

白い制服姿の男はそう言いながら、私に白く輝く刃を向けた。

「どうするの、乙女さん……また、最愛の弟を盾にでもするの?」

何がおかしいのかケタケタと笑いながらレオはそう言う。

「い、やだ……私は……私は!」

死にたくなかった。
この期に及んで、まだ私は死ぬ事に怯えていた。
だが、弱者である私は生き残れない。
このまま強者の糧となって、喰らわれるだけの運命なのだ……


「生き残りたい?」


不意に、レオが優しい口調でそう問いかけてきた。
その言葉に私は勢いよく頷く。
そんな私にレオはにたりと笑いながらこう言った。


「強者になればいいんだよ。弱者を喰らい、糧とする強者に」
「でも、そんな事……私には、弱者を喰らうほどの強さはないんだ」
「目の前にあるだろう、この島で一番の弱者が」
白い学ランの男がそう言い、レオを含めた全員がゲタゲタと笑う。
「さあ、弱者を喰らえ。そして強者の一員へとなるのだ」

それは耐え難い誘惑だった。
私はまた強さを――何者にも負けない誇りを取り戻せるのだ。

「けど、それじゃあレオが……」
「大丈夫、これからはずっと一緒だから」

そう言ってレオが微笑む。
私はその笑顔に安心して手を伸ばし……


そのまま指をレオの両目へと押し込んだ。
根元まで入った親指を動かす。
その度にその穴は湿った音をたてた。
潰れた眼球と共に指を引きずり出し舐めると、濃厚な甘みが口いっぱいに広がる。
その味にに幸福な気分になりながら私はレオと口付けを交わした。
思い切って口内に舌を差し入れると、微かに感じる甘み。
レオの味。
でも、その甘みもすぐに唾液に流され消える。
物足りなさを感じた私は舌と舌とを絡ませあい、そのままそれを噛み千切った。
傷口から流れ出した、どろりとした液体を啜る。
それが完全に流れ出なくなるまで続けた後、今度は腹部の傷からレオの中へと腕を突き入れた。
すでに冷たくなってしまったそこから、僅かに残った臓器を引きずり出して口に含む。
肝臓、腎臓、膵臓、肺……
やがて、赤い握り拳大の塊を見つけた私は、嬉々としてそれに噛み付き中身を吸い出す。
どろりとした甘露が私の喉を潤すが、それもすぐに尽きる。

足りない。
あらゆる部分の肉に噛み付き啜ろうとするが、僅かに滲み出る程度で満足するには至らない。

少し考えた後、私はレオの頭を近くにあった岩場に叩きつける。
鈍い音を聞きながらもう一回。
もう一回。
もう一回。
もう一回。
しばらくすると、硬かった音が水気を含んだものに変わる。
柔らかくなった頭皮に指をたてて、そこに開いた穴を広げた。
溢れ出す濃密な匂いに陶酔しながら、私は割れ目に口をつけ内容物を啜る。
少しの苦味と、それを上書きするような甘さに歓喜しながら、私は溢れ出す液体で喉を潤し続けた。




夜が明けようとしていた。

服を着たまま海に入り体の汚れを洗い落とした私は、生まれ変わったような気分で砂浜に立っていた。
いや、それはまさしく生まれ変わったとしか言えない感覚だった。
体は軽く、五感は研ぎ澄まされている。
さらに第六感とでもいうべき部分も活発に活動しているように感じる。
レオの鞄から取り出した大きな太刀――斬妖刀文壱を両手で持って振り回す。
重く長大なそれは、しかし私の手によく馴染む。

「それじゃあ行こうか、レオ」

腹部を軽く撫でながら、私は歩き出す。
私自身が強者である事を証明するために。




                 ◇◇◆◇◇




そうして少女は立ち去り、砂浜には人だった物の残りカスが残された。


……果たして、『人を喰らった人』を『人』と呼んでもいいのだろうか?
否、それは決して『人』ではない。
『人』を喰らい畜生道に堕ちたそれは、すでに『人』の道を外れている。
そんな『人在らざる存在』の事を『人』は畏怖を込めてこう呼ぶのだろう。


             『鬼』と




【E-8 川の下流の砂浜/1日目 早朝】

鉄乙女@つよきす -Mighty Heart-】
【装備】:斬妖刀文壱@あやかしびと -幻妖異聞録-
【所持品】:レオのデイパック(確認済み支給品0~1)
【状態】:狂気、鬼
【思考・行動】
 1:自分が強者である事を証明する
【備考】
 ※アカイイトにおける鬼となりました。
  身体能力アップ、五感の強化の他に勘が鋭くなっている可能性もあります。


051:私の救世主さま 投下順 053:Destiny Panic!
050:何気ない遊園地に、数々の出会い 時系列順 056:おおきく振りかぶって(前編)
022:Battle Without Honor Or Humanity 深優・グリーア 058:Servantたちへ
037:吊り天秤は大きく傾く 鉄乙女 077:last moment


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