ハイラル平原メインテーマ
概要
ハイラル平原をはじめ登山道、ゾーラ川などフィールドで流れるBGM。
テンポの良い軽快なオーケストラ風の楽曲で、常にバックで鳴り続けている小太鼓の音が小気味良い。
ところどころにシリーズのメインテーマである「
ゼルダの伝説メインテーマ」のフレーズが入り込んでいるのも特徴である。
また戦闘や夜など状況に変わるとシームレスにBGMが切り替わるという、今までにない手法に驚いた人もいるはず。
初めてグラフィックが3Dになりフィールドが大きく広がった。新しい『ゼルダ』の冒険を飾るのにぴったりのワクワク感いっぱいの音楽として人気が高い。
この曲には構成や技術的な面で非常に画期的な点がいくつもあり、まさに今まで誰も試みたことのない実験的な音楽でもあった。
1つは曲は大きく3パターンに分け、シチェーションに応じてそれを使い分けていくというもの。
これは「
社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』」で、当時の
任天堂の社長である岩田聡氏と
横田真人氏の会話で詳しく解説されている。
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※岩田氏と横田氏による解説 |
横田:『時のオカリナ』の話なんですけど、メインの舞台であるハイラル平原で、
ダンジョンの冒険から、そこに戻ってくると、聴こえてくる音楽が毎回違うんです。
曲の流れ自体は、そんなに変わらないんです。でも、流れてくるメロディが、いつも同じタイミングでこないんです。
しかも、同じ曲であっても、敵と戦ったりすると、少しスリリングな曲調に変化して、戦闘が終わると、また雄大な曲に戻ったり、
リンクが立ち止まっていると、静かな曲になったりと、絶え間なく曲が変わっていくんです。
岩田:あそこでは決まった音楽をずっと流しているんじゃないんですよね。
横田:そうなんです。ハイラル平原では「普通」と「戦闘」、そして「静かな」という、3パターンの曲が切り替わるんです。
岩田:サウンドに割り当てることができるメモリの制限が厳しかったあの時代には、
一般的に事前につくった音楽をストリーミングという技法で流すことが多かったのですが、
『時のオカリナ』で絶え間なく曲が変わっていくようなことができたのは、
NINTENDO64でロムカセットの特長を活かして音楽を状況に合わせて合成していたからだったんです。
ただ、ハイラル平原のサウンドで近藤さんがそのような仕掛けを入れていても、
あの当時、それに気がついて、意識的に語れる人は少なかったかもしれませんね。
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もう1つは8小節の細かい音の部品をいくつか作り、それをランダムで曲の中に繋げていくというもの。
近藤氏によるとフィールドが広大になったため、どうしても長時間BGMを聞くことになってしまう、そこでBGMを聞き飽きにくくするための工夫だという。
これも「社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』」で近藤氏が詳しく解説している。
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※近藤氏による解説 |
近藤:ダンジョンに行って戻ったら、またいつも同じ感じで曲の頭から流れるようなことはぜひとも避けたいと思いまして、
いつ聴いても違った感じに聞こえる曲を流すにはどうしたらいいのか、ということをまず考えたんです。
そこで、8小節の細かい“部品”をいくつかつくって、それがランダムに鳴るようにしてみました。
岩田:それはつまり、コード進行が決まっていて、“部品”を取り替えながら鳴らすような仕組みなんですね。
近藤:そうです。なので8小節の最後は、どの“部品”にもうまくつながるようなコードにして、それをランダムに流しても、自然に聴けるようにしました。
岩田:その、8小節の“部品”って、何個くらいあるんですか?
近藤:20個くらいです。戦闘とかも入れて。
岩田:だから、全体的な曲の雰囲気は同じでも、毎回違うように聴こえるんですね。
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「毎回この曲を聴くたびに何か違うように感じる」と思ったプレイヤーは多いはずだが、それはこういったギミックが拵えられているため。
インタラクティブという『ゼルダ』の重要なテーマをこれ以上なく的確に表現した力作と言うべき楽曲である。
ちなみにサントラではそれぞれのパターンが1つにまとまったものが収録されている。
リメイクである『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』でもこのインタラクティブ性は忠実に再現。
新しく追加された「スタッフロール2」ではメドレーとしてこの曲のオーケストラアレンジが組み込まれている。
過去ランキング順位
サウンドトラック
ゼルダの伝説 時のオカリナ オリジナルサウンドトラック
最終更新:2025年03月11日 20:29