終幕 ─円卓会議、そして新たなる怪物─ ◆dGUiIvN2Nw
「いーちにーち一本♪ みーっかっで三本♪」
「……その変な歌、止めてくれない?」
「ん? ちょっと時代錯誤だった?」
イザナミはそう言って、今度は別の歌を歌い始めた。
「神様気分の俺様~♪ 俺様気分も逆様~♪」
「だから変な歌を歌うなと……」
「わかったのサ! バンプオブチキン!!」
「ピンポンピンポーン!! 大正解!!」
永琳は静かにため息をついた。
この場所に呼ばれ、既に三十分は経過した。
しかし、待ち人は一向に来る気配がない。
そんなかなり退屈な時間を、イザナミは奇妙な歌を熱唱することで潰していた。
「駅前TSUTAYAさんで♪ 僕はビートルズを借りた♪ セックスピストルズを借りた♪ ロックンロールというやつだ♪ しかし……何がいいんだか全然わかりませんんん!!!」
「神聖かまってちゃん!!」
「お、よくわかったね~」
もはやツッコミをいれるのも面倒だ。
円卓に用意された席の一つに座り、永琳は考える。
何故いきなり招集されたのか。疑問なのはその一点だ。
「……その変な歌、止めてくれない?」
「ん? ちょっと時代錯誤だった?」
イザナミはそう言って、今度は別の歌を歌い始めた。
「神様気分の俺様~♪ 俺様気分も逆様~♪」
「だから変な歌を歌うなと……」
「わかったのサ! バンプオブチキン!!」
「ピンポンピンポーン!! 大正解!!」
永琳は静かにため息をついた。
この場所に呼ばれ、既に三十分は経過した。
しかし、待ち人は一向に来る気配がない。
そんなかなり退屈な時間を、イザナミは奇妙な歌を熱唱することで潰していた。
「駅前TSUTAYAさんで♪ 僕はビートルズを借りた♪ セックスピストルズを借りた♪ ロックンロールというやつだ♪ しかし……何がいいんだか全然わかりませんんん!!!」
「神聖かまってちゃん!!」
「お、よくわかったね~」
もはやツッコミをいれるのも面倒だ。
円卓に用意された席の一つに座り、永琳は考える。
何故いきなり招集されたのか。疑問なのはその一点だ。
今回、対主催側は大きく一歩前進したと言ってもいい。
だがそれは情報面だけであり、実質的には未だ何も行動を起こしていない。
それにそもそも、イザナミは事を荒立てる気はないはずだ。
だからこそこちらを大した束縛もせずに放置している。なのに、殺し合い自体には無干渉を決め込んでいた神々を呼び寄せる必要がどこにあるのか。
だがそれは情報面だけであり、実質的には未だ何も行動を起こしていない。
それにそもそも、イザナミは事を荒立てる気はないはずだ。
だからこそこちらを大した束縛もせずに放置している。なのに、殺し合い自体には無干渉を決め込んでいた神々を呼び寄せる必要がどこにあるのか。
イザナミを相手に、どこか浮足たっているマルク。しかし、浮かれたい気持ちも分からないではない。
ゲームの難易度が分からないという無視できない要素があるとはいえ、対主催チームがこちらの切り札に気付いてくれたのだから。
だが、ここで気を抜く訳にはいかない。やろうと思えば、イザナミにはいくらでも対処法があることを忘れてはならない。
「心のまま♪ 声をあげて♪ この歌にのせてえええ!!」
永琳からすれば、比較的まともな歌だった。
「うーん。……ちょっとわからないのサ。何て曲?」
「VOICEって曲」
「歌手は誰?」
「薬師るり」
「聞いたこともないのサ。有名な人?」
「んー、どうだろうね。俺もOVAから入ったくちだから」
「オーブイエー?」
「良い子のみんなはググったりしたら駄目だよ! お兄さんとの約束だ!」
意味不明なことを言って、あらぬ方向にサムズアップしてみせる。
やはり、この男の考えていることだけはどうしても読めそうにない。
ゲームの難易度が分からないという無視できない要素があるとはいえ、対主催チームがこちらの切り札に気付いてくれたのだから。
だが、ここで気を抜く訳にはいかない。やろうと思えば、イザナミにはいくらでも対処法があることを忘れてはならない。
「心のまま♪ 声をあげて♪ この歌にのせてえええ!!」
永琳からすれば、比較的まともな歌だった。
「うーん。……ちょっとわからないのサ。何て曲?」
「VOICEって曲」
「歌手は誰?」
「薬師るり」
「聞いたこともないのサ。有名な人?」
「んー、どうだろうね。俺もOVAから入ったくちだから」
「オーブイエー?」
「良い子のみんなはググったりしたら駄目だよ! お兄さんとの約束だ!」
意味不明なことを言って、あらぬ方向にサムズアップしてみせる。
やはり、この男の考えていることだけはどうしても読めそうにない。
瞬間、空気が変わった。先程まで空席だったいくつもの椅子の全てに何者かが座っている。
お出ましか。
永琳は舌打ちしたい気分だった。
「やっと揃ったね。じゃあ始めるとしようか。円卓会議」
何が面白いのか、にこにこと笑いながらイザナミは言った。
「この件についてはそなたに一任していたはず。わざわざ私を呼ぶ必要などない。問題が発生したのならば、そなたが解決すればよい」
開口一番、彼女がそう言った。
イザナミを除いたこの集団の中で、唯一世界を創造した経験を持つ女神。
人に絶望し、完全な生物、完全な世界を求める女神。
「はっはっは。そりゃないんじゃないの? こっちはあんたらのためにあくせく働いてるってのにさ」
────イザナミ。確かにあなたのおかげで計画はここまで順調に始動した。立案者もあなただ。全面的に協力したいところではあるが、何の説明もなく緊急招集というのは些か性急ではないか?────
頭の中に直接響く声。テレパシーだ。
遺伝子操作されたポケモンから生まれたポケモン。自らを実験体とした人間を憎み、ポケモンだけの世界を求めるポケモン。
「訳を言え。さすれば、こちらも悪いようにはせん」
蒼き星の人間を皆殺しにしようと企み、同族から封印された月の民。彼もまた、自らの野望と意思が正しいことを示すために世界を求めている。
永琳の出自である月とはまた別の月から来た男。
「……なあに、創造者を目指すあんた方に吉報をと思っただけだよ」
イザナミは言葉を切り、意味あり気に言った。
「参加者が過半数を切った。君達が世界の主となれる日も近い」
全員が押し黙った。
それは、彼らが待ちに待ったものだった。
「私はそんなものになるつもりはないのだけれどね」
皮肉をこめて、永琳は言う。
「君も資格はあると思うよ。神と呼ばれる者には相応の身分が必要だ。世界の主くらいの肩書きは持っとくべきじゃない?」
永琳だけでなく、マルクにもその資格があるとイザナミは言った。そして、それは永琳も同感だ。
今回の計画の肝を握っているのはマルクだと言っても過言ではない。計画が順調に進んだなら、世界を創世するのはマルク自身なのだから。
それもこれも、マルクが肝である“入れ物”にロックをし、自分でないと扱えないようにしてしまったから。
だからこそここに呼ばれ、こうして神の仲間入りをさせられている。
永琳にはそれが可哀そうでならなかった。
彼はただ、友を守ろうとしただけだ。それなのに、こうして悪の一端を担わされている。参加者の憎悪を一身に受ける立場にある。
────気に入らんな。他の者はともかく、ここには人間が混じっているではないか。下等な人間が────
「まあまあそう言わないでよ。俺は彼のこと、けっこう評価してるんだぜ? なにせ、俺には考えつかなかった概念で神を確立した存在だ。世界を支配し、新たな秩序を生み出した。
正直言って、この中で一番創造主という名前に相応しい存在さ。ま、俺とそこの女神ちゃんを除いてだけど」
「実際の神にそうまで言われるとは光栄の極みだ。しかし、私自身はそのような認識はない。創造主というものには興味あるがね」
この中で一番気をつけなければいけないのがこの男だと永琳は考えている。
何だかんだと言って、イザナミ以外の神は皆どこか慢心している。
女神は元からそういう性格だし、他の二名は予期せぬ幸運で世界を作ろうとする存在、神となったのだ。自分の立場に浮かれ、力に溺れた愚か者など、永琳の敵ではない。
だがこの男は違う。この男は人間だ。止むことのない野望を持った人間。
自分を神として認識していないから、妙なプライドで足元を掬われることもない。ただひたすら実直に、目的の為に動いている。こういう人間は厄介だ。
「で、話は終わりか? イザナミ」
「いや~、そろそろ君達にも準備してもらおうと思ってさ。君達の思う、理想の世界作りの為にね」
お出ましか。
永琳は舌打ちしたい気分だった。
「やっと揃ったね。じゃあ始めるとしようか。円卓会議」
何が面白いのか、にこにこと笑いながらイザナミは言った。
「この件についてはそなたに一任していたはず。わざわざ私を呼ぶ必要などない。問題が発生したのならば、そなたが解決すればよい」
開口一番、彼女がそう言った。
イザナミを除いたこの集団の中で、唯一世界を創造した経験を持つ女神。
人に絶望し、完全な生物、完全な世界を求める女神。
「はっはっは。そりゃないんじゃないの? こっちはあんたらのためにあくせく働いてるってのにさ」
────イザナミ。確かにあなたのおかげで計画はここまで順調に始動した。立案者もあなただ。全面的に協力したいところではあるが、何の説明もなく緊急招集というのは些か性急ではないか?────
頭の中に直接響く声。テレパシーだ。
遺伝子操作されたポケモンから生まれたポケモン。自らを実験体とした人間を憎み、ポケモンだけの世界を求めるポケモン。
「訳を言え。さすれば、こちらも悪いようにはせん」
蒼き星の人間を皆殺しにしようと企み、同族から封印された月の民。彼もまた、自らの野望と意思が正しいことを示すために世界を求めている。
永琳の出自である月とはまた別の月から来た男。
「……なあに、創造者を目指すあんた方に吉報をと思っただけだよ」
イザナミは言葉を切り、意味あり気に言った。
「参加者が過半数を切った。君達が世界の主となれる日も近い」
全員が押し黙った。
それは、彼らが待ちに待ったものだった。
「私はそんなものになるつもりはないのだけれどね」
皮肉をこめて、永琳は言う。
「君も資格はあると思うよ。神と呼ばれる者には相応の身分が必要だ。世界の主くらいの肩書きは持っとくべきじゃない?」
永琳だけでなく、マルクにもその資格があるとイザナミは言った。そして、それは永琳も同感だ。
今回の計画の肝を握っているのはマルクだと言っても過言ではない。計画が順調に進んだなら、世界を創世するのはマルク自身なのだから。
それもこれも、マルクが肝である“入れ物”にロックをし、自分でないと扱えないようにしてしまったから。
だからこそここに呼ばれ、こうして神の仲間入りをさせられている。
永琳にはそれが可哀そうでならなかった。
彼はただ、友を守ろうとしただけだ。それなのに、こうして悪の一端を担わされている。参加者の憎悪を一身に受ける立場にある。
────気に入らんな。他の者はともかく、ここには人間が混じっているではないか。下等な人間が────
「まあまあそう言わないでよ。俺は彼のこと、けっこう評価してるんだぜ? なにせ、俺には考えつかなかった概念で神を確立した存在だ。世界を支配し、新たな秩序を生み出した。
正直言って、この中で一番創造主という名前に相応しい存在さ。ま、俺とそこの女神ちゃんを除いてだけど」
「実際の神にそうまで言われるとは光栄の極みだ。しかし、私自身はそのような認識はない。創造主というものには興味あるがね」
この中で一番気をつけなければいけないのがこの男だと永琳は考えている。
何だかんだと言って、イザナミ以外の神は皆どこか慢心している。
女神は元からそういう性格だし、他の二名は予期せぬ幸運で世界を作ろうとする存在、神となったのだ。自分の立場に浮かれ、力に溺れた愚か者など、永琳の敵ではない。
だがこの男は違う。この男は人間だ。止むことのない野望を持った人間。
自分を神として認識していないから、妙なプライドで足元を掬われることもない。ただひたすら実直に、目的の為に動いている。こういう人間は厄介だ。
「で、話は終わりか? イザナミ」
「いや~、そろそろ君達にも準備してもらおうと思ってさ。君達の思う、理想の世界作りの為にね」
けっきょく、円卓会議によって全員の逗留が決まった。それは永琳にとって不愉快以外の何物でもなかった。
(これを嫌がらせでしてるっていうなら、イザナミは正真正銘の外道だわ)
一人廊下を歩きながら、心の中で愚痴る。
「心外だな~。そんな風に思われるのは」
いつの間にいたのか。振り向くとイザナミが立っていた。
「勝手に人の心の内を想像しないで頂戴」
「俺はあんたを守ってやったんだぜ? 感謝の一つくらい欲しいもんだけどなぁ」
「あら。一体いつ守ってくれたのかしら」
「メダリオンのこと。ゲーム機のこと。前に言った通りちゃんと黙ってたろ? 女神ちゃんに喋ってたらきっとあんた、殺されてたぜ」
「……それはそれは。大変感謝致しております。ついでに大量の敵を連れて来てくださりありがとうございます」
「それほどでも~。ラスボスは多いに越したことないしね。……まあそれはいいや。でさ、ここらでちゃっちゃと教えてくんないかな?」
「あら、何を?」
「あんたが打った本当の仕掛けさ」
永琳は表情を変えずに黙り込んだ。
「まさかメダリオンだけなわけないよなぁ。いくら“アイツ”の力を借りようと、会場からこっちに来るのは少し厄介だ。どうしたって“かけ橋”が必要になる」
「……あなたなら全てお見通しなんじゃない?」
「どうだろうねぇ。会場内は隈なく探したけど、大した成果はなかったし。けど、あそこはあんたが作ったと言っても過言じゃない。誰にも分からない秘密の抜け穴があってもおかしくない」
「さあ。どうでしょうね」
イザナミは永琳の周りをぐるぐる回る。
その瞳は、永琳の表情を読み取ろうと一切緩まず彼女を見つめる。
「クリスタルが怪しいんだけどなぁ。でもそれじゃ少し安直過ぎる。かといって、あんたからすれば無視できるもんじゃないよな。俺の腹心に繋がる扉の入り口だもん」
「案外、無視してるんじゃないかしら。どうしたって回避できないなら、いっそ開き直るかもしれないわよ」
「なるほどぉ。俺みたいに?」
「……それ、どういうこと?」
「月の頭脳さんとまともに頭脳戦なんて愚の骨頂でしょ。それなら場を掻き回して、大前提を崩してやればいい」
「今回のように?」
「今回のように」
「そううまくいくかしら。監視組が何の為にいるのか分かって?」
「参加者を見張るという名目で、俺への干渉を妨げる。ははは。人間の考えつきそうなことだよな」
「けれど、それ故にあなたには痛手のはずよ。あのゼロって男、なかなか侮れないわ」
「俺にとっての敵は、目下君だけなんだけどね」
おもむろに永琳の顎を取る。
彼女はそれを振り払おうともしなかった。
「私にとっても、敵は目下あなただけよ」
「そりゃ光栄だ」
「……あなたの目的は何?」
「キス一つで少しだけ答えてあげてもいい」
指を使って、『少し』というのをアピールしながら、イザナミは言った。
「あら、それはリーズナブルね」
躊躇はなかった。
一瞬だけ触れる唇。
そこにはムードも何もない。あるのは策謀と、相手を出し抜こうとする意思だけ。
「……知ってる? 神って色情魔なんだぜ」
「あなたは、でしょ」
イザナミはにっと笑って、ポケットから携帯を取り出した。
「誰から?」
「恋人からのラブコールだ」
「……キスした相手の前でそういうことを言うのは、少し失礼じゃないかしら」
「俺はいつだって人間の味方さ。神様ってのはそういうもんだろ?」
それが先程の約束の答えだということを理解するのに、時間はいらなかった。
携帯を耳に当て、イザナミは手を振りながら去って行った。
(これを嫌がらせでしてるっていうなら、イザナミは正真正銘の外道だわ)
一人廊下を歩きながら、心の中で愚痴る。
「心外だな~。そんな風に思われるのは」
いつの間にいたのか。振り向くとイザナミが立っていた。
「勝手に人の心の内を想像しないで頂戴」
「俺はあんたを守ってやったんだぜ? 感謝の一つくらい欲しいもんだけどなぁ」
「あら。一体いつ守ってくれたのかしら」
「メダリオンのこと。ゲーム機のこと。前に言った通りちゃんと黙ってたろ? 女神ちゃんに喋ってたらきっとあんた、殺されてたぜ」
「……それはそれは。大変感謝致しております。ついでに大量の敵を連れて来てくださりありがとうございます」
「それほどでも~。ラスボスは多いに越したことないしね。……まあそれはいいや。でさ、ここらでちゃっちゃと教えてくんないかな?」
「あら、何を?」
「あんたが打った本当の仕掛けさ」
永琳は表情を変えずに黙り込んだ。
「まさかメダリオンだけなわけないよなぁ。いくら“アイツ”の力を借りようと、会場からこっちに来るのは少し厄介だ。どうしたって“かけ橋”が必要になる」
「……あなたなら全てお見通しなんじゃない?」
「どうだろうねぇ。会場内は隈なく探したけど、大した成果はなかったし。けど、あそこはあんたが作ったと言っても過言じゃない。誰にも分からない秘密の抜け穴があってもおかしくない」
「さあ。どうでしょうね」
イザナミは永琳の周りをぐるぐる回る。
その瞳は、永琳の表情を読み取ろうと一切緩まず彼女を見つめる。
「クリスタルが怪しいんだけどなぁ。でもそれじゃ少し安直過ぎる。かといって、あんたからすれば無視できるもんじゃないよな。俺の腹心に繋がる扉の入り口だもん」
「案外、無視してるんじゃないかしら。どうしたって回避できないなら、いっそ開き直るかもしれないわよ」
「なるほどぉ。俺みたいに?」
「……それ、どういうこと?」
「月の頭脳さんとまともに頭脳戦なんて愚の骨頂でしょ。それなら場を掻き回して、大前提を崩してやればいい」
「今回のように?」
「今回のように」
「そううまくいくかしら。監視組が何の為にいるのか分かって?」
「参加者を見張るという名目で、俺への干渉を妨げる。ははは。人間の考えつきそうなことだよな」
「けれど、それ故にあなたには痛手のはずよ。あのゼロって男、なかなか侮れないわ」
「俺にとっての敵は、目下君だけなんだけどね」
おもむろに永琳の顎を取る。
彼女はそれを振り払おうともしなかった。
「私にとっても、敵は目下あなただけよ」
「そりゃ光栄だ」
「……あなたの目的は何?」
「キス一つで少しだけ答えてあげてもいい」
指を使って、『少し』というのをアピールしながら、イザナミは言った。
「あら、それはリーズナブルね」
躊躇はなかった。
一瞬だけ触れる唇。
そこにはムードも何もない。あるのは策謀と、相手を出し抜こうとする意思だけ。
「……知ってる? 神って色情魔なんだぜ」
「あなたは、でしょ」
イザナミはにっと笑って、ポケットから携帯を取り出した。
「誰から?」
「恋人からのラブコールだ」
「……キスした相手の前でそういうことを言うのは、少し失礼じゃないかしら」
「俺はいつだって人間の味方さ。神様ってのはそういうもんだろ?」
それが先程の約束の答えだということを理解するのに、時間はいらなかった。
携帯を耳に当て、イザナミは手を振りながら去って行った。
「あ! いたいた。えーりんどこに行ってたのサ。ここって一人じゃ怖いから、あまり置いてかないでほしいのサ。……あれ? どうしたの? 口をゴシゴシして。何か変なものでも食べた?」
「そうね。気持ちの悪いものを押しつけられたってところかしら」
イザナミがどこまで気付いているのか。今回の会話でだいたい分かった。
わざわざ神々を招集したのも、全ては参加者がこっちに来た時の為だ。
何だかんだと言いながら、イザナミはこちらの仕掛けに対し手が出せない状態。
……いや、手を出すつもりが感じられない。だからこそ神を招集した。
目を増やせばそれだけ自分が動きにくくなるだけだ。
(元々動く気がないのか。……もしかして、殺し合いを放棄することを考えてる? でも、それは……)
今回の目的を全て無に帰すのと同じだ。これだけ苦労をして何故?
「ねえねえ。イザナミとなに話してたのサ。また何か目的があってのこと?」
言おうか言うまいか一瞬迷うも、けっきょく喋ることにした。
どうしたってマルクの協力が不可欠だということを思い出したからだ。
「過剰反応」
「え?」
「何か隠したいものがある時、必要以上に慎重になることがある。たとえば、やらなくていいことをして、何も隠してないと主張する」
「ほ~」
感嘆の言葉を漏らす。が、どこかわざとらしい言い方からしておそらくあまりきちんと理解はしていないようだ。
「マルク。瀬多総司を見張って頂戴。監視組にお友達がいたでしょ? 少しあからさまでもいいから、その人にお願いして会場を見てて欲しいの」
以前から疑問だったが、今回のことで明らかになった。
イザナミは男の姿で男口調。だが、その実、イザナミは女性だ。イザナギの伴侶であり、彼と共に大陸を作った。
マヨナカテレビの事件は既に周知のことだが、それを聞いた時から感じていた。
何故、外から来た瀬多総司のペルソナがイザナギなのか。イザナミにとって最重要人物である瀬多総司が何故イザナギを使うのか。
偶然?
ただの気まぐれ?
そんな筈ない。それならば、あそこで自分にキスなんかしなかった。
まるで、自分が男であるように勘違いさせようとしているような作為的な行動。
これは、瀬多総司……イザナギに執着している自分に気付かせないためだ。
ここにきて、イザナミが決定的なミスを犯した。この意味は大きい。
「わかった! じゃあボスにお願いしてみる!! たぶんカロリーメイトでOKしてくれるのサ!」
そう言って、マルクは元気に走って行った。
瀬多総司がマヨナカテレビ事件の際、外からやって来たという重要なポジションであったように、この殺し合いでも何らかの役割を担っている可能性がある。
思えば、瀬多総司はどこか優遇が過ぎる。
わざわざ理知的な考察ができる瀬多に攻略本なんていう重要アイテムを支給するように手配したり、
参加者内でも強者に分類され安定して対主催となる参加者、リディア、メタナイト、アイク、そしてそこそこ聞き分けの良いレミリア・スカーレットを近くに配置したり。
どちらにせよ、瀬多総司はイザナミを出し抜く上でのキーパーソンになり得る。
間接的でもなんでも、とにかく接触方法を考える必要がある。
「人間の味方……か」
ふと思い出すのはイザナミの言っていたその言葉。
どういう意味だろうと考える。だが、やはり納得のいく答えは出てこなかった。
やはりあいつの考えを読むのは至難の業。
だが、今回は一歩先んじた。
慢心はしない。こういう状況が一番足を掬われやすいことを経験で知っている。
最後の最後、最悪の作戦を取らずに済むよう、くれぐれも慎重に行動しなければならない。
「そうね。気持ちの悪いものを押しつけられたってところかしら」
イザナミがどこまで気付いているのか。今回の会話でだいたい分かった。
わざわざ神々を招集したのも、全ては参加者がこっちに来た時の為だ。
何だかんだと言いながら、イザナミはこちらの仕掛けに対し手が出せない状態。
……いや、手を出すつもりが感じられない。だからこそ神を招集した。
目を増やせばそれだけ自分が動きにくくなるだけだ。
(元々動く気がないのか。……もしかして、殺し合いを放棄することを考えてる? でも、それは……)
今回の目的を全て無に帰すのと同じだ。これだけ苦労をして何故?
「ねえねえ。イザナミとなに話してたのサ。また何か目的があってのこと?」
言おうか言うまいか一瞬迷うも、けっきょく喋ることにした。
どうしたってマルクの協力が不可欠だということを思い出したからだ。
「過剰反応」
「え?」
「何か隠したいものがある時、必要以上に慎重になることがある。たとえば、やらなくていいことをして、何も隠してないと主張する」
「ほ~」
感嘆の言葉を漏らす。が、どこかわざとらしい言い方からしておそらくあまりきちんと理解はしていないようだ。
「マルク。瀬多総司を見張って頂戴。監視組にお友達がいたでしょ? 少しあからさまでもいいから、その人にお願いして会場を見てて欲しいの」
以前から疑問だったが、今回のことで明らかになった。
イザナミは男の姿で男口調。だが、その実、イザナミは女性だ。イザナギの伴侶であり、彼と共に大陸を作った。
マヨナカテレビの事件は既に周知のことだが、それを聞いた時から感じていた。
何故、外から来た瀬多総司のペルソナがイザナギなのか。イザナミにとって最重要人物である瀬多総司が何故イザナギを使うのか。
偶然?
ただの気まぐれ?
そんな筈ない。それならば、あそこで自分にキスなんかしなかった。
まるで、自分が男であるように勘違いさせようとしているような作為的な行動。
これは、瀬多総司……イザナギに執着している自分に気付かせないためだ。
ここにきて、イザナミが決定的なミスを犯した。この意味は大きい。
「わかった! じゃあボスにお願いしてみる!! たぶんカロリーメイトでOKしてくれるのサ!」
そう言って、マルクは元気に走って行った。
瀬多総司がマヨナカテレビ事件の際、外からやって来たという重要なポジションであったように、この殺し合いでも何らかの役割を担っている可能性がある。
思えば、瀬多総司はどこか優遇が過ぎる。
わざわざ理知的な考察ができる瀬多に攻略本なんていう重要アイテムを支給するように手配したり、
参加者内でも強者に分類され安定して対主催となる参加者、リディア、メタナイト、アイク、そしてそこそこ聞き分けの良いレミリア・スカーレットを近くに配置したり。
どちらにせよ、瀬多総司はイザナミを出し抜く上でのキーパーソンになり得る。
間接的でもなんでも、とにかく接触方法を考える必要がある。
「人間の味方……か」
ふと思い出すのはイザナミの言っていたその言葉。
どういう意味だろうと考える。だが、やはり納得のいく答えは出てこなかった。
やはりあいつの考えを読むのは至難の業。
だが、今回は一歩先んじた。
慢心はしない。こういう状況が一番足を掬われやすいことを経験で知っている。
最後の最後、最悪の作戦を取らずに済むよう、くれぐれも慎重に行動しなければならない。
◇◇◇
カインの足取りは重かった。
必要な離反だった。
確かにそうだが、それでも何も感じないでていられるわけがない。
自分は、たった一人の親友を裏切ったのだ。
(……くよくよしてもいられないか。セシルが抜けたことで、戦力は著しく低下した)
この殺し合いで戦うには、やはり一人では駄目だ。
かといって、他に信用できる者など……
「なんだ。わざわざ来てみれば、貴様だったか」
ぎょっとして後ろを振り向く。
狂王アシュナード。
今一番会いたくない人間だ。
慌てて戦闘態勢を取る。
「そう怖がらずともよい。今は小休止だ」
そう言って、わざわざ剣を仕舞う。拍子抜けだ。今までのアシュナードと少し違う。
「相方はどうした?」
「……お前には関係ない」
「ふん。言わずとも分かる。離反したのだろう?」
図星だ。しかし、そんなことおくびにも出さず、カインは叫ぶ。
「戦うつもりがないなら去れ! 貴様の戯言に付き合ってる暇など──」
「あるだろう。なにせ、お前は今かなり焦っているはずだからな。しばらく殺しは中止。そんなことを考えていたのではないか?」
その通りだった。
セシルが抜けた穴をどうにかして埋めるまで、しばらく戦いから遠ざかるつもりでいた。
この男の言う事はいちいち図星を突いてくる。それが堪らなく腹立たしかった。
「お前はこの殺し合いで何を求める?」
「……生き返らせたい人間がいる」
アシュナードは笑った。
「そんなにおかしいか。誰かを想うことが間違っていると?」
「いいや。間違ってなどいないさ。別に貴様を嘲笑っていたわけではない。それどころか、我はますますお前を見直した」
「何?」
「お前は世界の過ちを知っている。世界の不公平を知っている。強者でありながら不幸を背負う、こんな世の中に反旗を翻そうとしている」
これは本当にアシュナードなのか。そんな疑問が浮かぶ。
狂王としての面影はなく、野心に輝く瞳は、こちらを惹きつけて止まない。
「叶えてやろうか? その願い」
「…………」
「我の願いは、強者が強者として生きる世界だ。マルク……いや、イザナミだったか。まあいい。とにかく主催者なんぞに願いを叶えてもらう気など毛頭ないが、貴様が望むのなら奴らに頼んでやってもいいぞ」
「まるで優勝するのは自分だと決まっているかのような言い草じゃないか」
「まあ、それしか手がないのなら優勝する。だが、瀬多の奴が少しずつではあるが脱出に向けて動いているのでな。
奴の言う通り、殺し合いという呪縛から解放されるには主催者を皆殺しにする必要がある。お前もそれに一枚噛ませてやってもよいと我は言っているんだ。主催者を殺す時にでも、その願いを叶えさせればよい」
願ってもない話だ。内容だけならすぐにでも飛び付く話。
だが、相手は狂王だ。戦闘狂のアシュナードだ。弱者を屠り、戦闘に愉悦を感じる異常者だ。
しかし、今のアシュナードは信じられる気がした。少なくとも、この男に取り捲いているのが狂気だけでないことは確かだ。
何かがアシュナードを心変わりさせたのか。
……いや、元々こういう男だったのかもしれない。
ただ、その狂気の部分が目立っていただけで、確かにアシュナードは理知的だった。
だからこそ瀬多を生かしている。こうして脱出の算段さえも講じている。
「我のところへ来い。カイン」
そう言うと、アシュナードは徐に手を伸ばした。まるで泥沼から引き上げてやろうとでも言わんばかりに、カインに手を差し伸べた。
その手を握ることはない。その代わりに、カインは膝を折っていた。
「クックック。思った以上に素直じゃないか」
別に忠誠を誓ったわけではない。
だが、この男は利用価値がある。利用できるものは利用しようじゃないか。そして、どうせ利用するなら最大限に活用してやる。
そのためなら、いくらでも頭を垂れよう。それで少しでもこの男が喜び、こちらの目的のために動いてくれるというのなら、これ以上のことはない。
「……俺は、あなたに従うことを約束します」
「言葉はいらん。忠誠を誓う必要もない。我は実力主義だ。腹に一物を抱えていようが、強者なら起用する。それが我の信条だ」
アシュナードはそう言って背を向けた。カインも、何も言わずに付いて行く。
主従関係などない。しかし、確かに二人の利害は一致していた。
必要な離反だった。
確かにそうだが、それでも何も感じないでていられるわけがない。
自分は、たった一人の親友を裏切ったのだ。
(……くよくよしてもいられないか。セシルが抜けたことで、戦力は著しく低下した)
この殺し合いで戦うには、やはり一人では駄目だ。
かといって、他に信用できる者など……
「なんだ。わざわざ来てみれば、貴様だったか」
ぎょっとして後ろを振り向く。
狂王アシュナード。
今一番会いたくない人間だ。
慌てて戦闘態勢を取る。
「そう怖がらずともよい。今は小休止だ」
そう言って、わざわざ剣を仕舞う。拍子抜けだ。今までのアシュナードと少し違う。
「相方はどうした?」
「……お前には関係ない」
「ふん。言わずとも分かる。離反したのだろう?」
図星だ。しかし、そんなことおくびにも出さず、カインは叫ぶ。
「戦うつもりがないなら去れ! 貴様の戯言に付き合ってる暇など──」
「あるだろう。なにせ、お前は今かなり焦っているはずだからな。しばらく殺しは中止。そんなことを考えていたのではないか?」
その通りだった。
セシルが抜けた穴をどうにかして埋めるまで、しばらく戦いから遠ざかるつもりでいた。
この男の言う事はいちいち図星を突いてくる。それが堪らなく腹立たしかった。
「お前はこの殺し合いで何を求める?」
「……生き返らせたい人間がいる」
アシュナードは笑った。
「そんなにおかしいか。誰かを想うことが間違っていると?」
「いいや。間違ってなどいないさ。別に貴様を嘲笑っていたわけではない。それどころか、我はますますお前を見直した」
「何?」
「お前は世界の過ちを知っている。世界の不公平を知っている。強者でありながら不幸を背負う、こんな世の中に反旗を翻そうとしている」
これは本当にアシュナードなのか。そんな疑問が浮かぶ。
狂王としての面影はなく、野心に輝く瞳は、こちらを惹きつけて止まない。
「叶えてやろうか? その願い」
「…………」
「我の願いは、強者が強者として生きる世界だ。マルク……いや、イザナミだったか。まあいい。とにかく主催者なんぞに願いを叶えてもらう気など毛頭ないが、貴様が望むのなら奴らに頼んでやってもいいぞ」
「まるで優勝するのは自分だと決まっているかのような言い草じゃないか」
「まあ、それしか手がないのなら優勝する。だが、瀬多の奴が少しずつではあるが脱出に向けて動いているのでな。
奴の言う通り、殺し合いという呪縛から解放されるには主催者を皆殺しにする必要がある。お前もそれに一枚噛ませてやってもよいと我は言っているんだ。主催者を殺す時にでも、その願いを叶えさせればよい」
願ってもない話だ。内容だけならすぐにでも飛び付く話。
だが、相手は狂王だ。戦闘狂のアシュナードだ。弱者を屠り、戦闘に愉悦を感じる異常者だ。
しかし、今のアシュナードは信じられる気がした。少なくとも、この男に取り捲いているのが狂気だけでないことは確かだ。
何かがアシュナードを心変わりさせたのか。
……いや、元々こういう男だったのかもしれない。
ただ、その狂気の部分が目立っていただけで、確かにアシュナードは理知的だった。
だからこそ瀬多を生かしている。こうして脱出の算段さえも講じている。
「我のところへ来い。カイン」
そう言うと、アシュナードは徐に手を伸ばした。まるで泥沼から引き上げてやろうとでも言わんばかりに、カインに手を差し伸べた。
その手を握ることはない。その代わりに、カインは膝を折っていた。
「クックック。思った以上に素直じゃないか」
別に忠誠を誓ったわけではない。
だが、この男は利用価値がある。利用できるものは利用しようじゃないか。そして、どうせ利用するなら最大限に活用してやる。
そのためなら、いくらでも頭を垂れよう。それで少しでもこの男が喜び、こちらの目的のために動いてくれるというのなら、これ以上のことはない。
「……俺は、あなたに従うことを約束します」
「言葉はいらん。忠誠を誓う必要もない。我は実力主義だ。腹に一物を抱えていようが、強者なら起用する。それが我の信条だ」
アシュナードはそう言って背を向けた。カインも、何も言わずに付いて行く。
主従関係などない。しかし、確かに二人の利害は一致していた。
【C-4 一日目・午前】
【アシュナード@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡】
[状態]メダリオン使用状態 頬に貫通傷(全て回復中) 弱冠のやりきれなさ 左目眼球に釘(回復不能)
[装備]魔剣グルグラント@ファイアーエンブレム 蒼炎の軌跡
[道具]支給品一式 書店で取った本を何冊か、首輪探知器 、クリスタル
[思考]基本方針:戦を楽しみ、理想の世界を創造するために動く
1:カインと共に弱者を一掃する(裏切りも想定)
2. 次に会ったらアドレーヌも殺す。
3. 瀬多を軍師として起用する
4. 脱出方法も一応考える。しかしほとんど瀬多頼り
5.ゼルギウスは殺す。イゴールも見つけたら殺す
※参戦時期は最終章でメダリオンを使用した直後。
※鎧は爆発の影響でボロボロの状態です
※少しナイーブ状態ですが、すぐに回復します
[状態]メダリオン使用状態 頬に貫通傷(全て回復中) 弱冠のやりきれなさ 左目眼球に釘(回復不能)
[装備]魔剣グルグラント@ファイアーエンブレム 蒼炎の軌跡
[道具]支給品一式 書店で取った本を何冊か、首輪探知器 、クリスタル
[思考]基本方針:戦を楽しみ、理想の世界を創造するために動く
1:カインと共に弱者を一掃する(裏切りも想定)
2. 次に会ったらアドレーヌも殺す。
3. 瀬多を軍師として起用する
4. 脱出方法も一応考える。しかしほとんど瀬多頼り
5.ゼルギウスは殺す。イゴールも見つけたら殺す
※参戦時期は最終章でメダリオンを使用した直後。
※鎧は爆発の影響でボロボロの状態です
※少しナイーブ状態ですが、すぐに回復します
【カイン・ハイウィンド@ファイナルファンタジーⅣ】
[状態]疲労(大) 胸に軽度の火傷 、全身に裂傷
[装備]グングニル@ファイナルファンタジーⅣ
[道具]支給品一式
[思考]基本方針:優勝し、ローザを含む全ての参加者を救済する
1:とりあえずアシュナードに忠誠を誓い、ついていく。裏切ることも想定
2:セシル……
[状態]疲労(大) 胸に軽度の火傷 、全身に裂傷
[装備]グングニル@ファイナルファンタジーⅣ
[道具]支給品一式
[思考]基本方針:優勝し、ローザを含む全ての参加者を救済する
1:とりあえずアシュナードに忠誠を誓い、ついていく。裏切ることも想定
2:セシル……
◇◇◇
気が付けば歩いていた。目的地もない、意味のない行為。
自分のデイバックすら置いて、それでもフラフラとセシルは歩いていた。
カインがいなくなり、ゴルベーザと完全に離反し、自分を保つものは全て消えた。
自分が全てを失って繋ごうとした願いも、けっきょく叶うことはなかった。
それなのに、何故僕は生きてる?
どうして僕はここにいる?
一体何を間違えた?
自分のデイバックすら置いて、それでもフラフラとセシルは歩いていた。
カインがいなくなり、ゴルベーザと完全に離反し、自分を保つものは全て消えた。
自分が全てを失って繋ごうとした願いも、けっきょく叶うことはなかった。
それなのに、何故僕は生きてる?
どうして僕はここにいる?
一体何を間違えた?
光の道に進んで欲しいという要望に対し、ゴルベーザはまったく聞き入れてくれなかった。カインが休息し、見張りをしている時、自分はそのことばかり思い悩んでいた。
そんな時、あの男が妙案を提示してくれた。
あの男の助言を聞いたのがいけなかったのか?
だが、確かにそれはうまくいった。
ゴルベーザの頑なな心がなければ、あれでうまくいっていた。
(……どっちにせよ。僕はカインに裏切られることになったんだから、意味のない話か)
なら、自分はどうすればよかったのだ。兄に正義を知って欲しい。そんな気持ちすら、抱いてはいけなかったというのか。
答えのない疑問が渦巻き、それすらもどうでもよくなる。
もう、いい。
もう、何もかもがどうでもいい。
そんな時、あの男が妙案を提示してくれた。
あの男の助言を聞いたのがいけなかったのか?
だが、確かにそれはうまくいった。
ゴルベーザの頑なな心がなければ、あれでうまくいっていた。
(……どっちにせよ。僕はカインに裏切られることになったんだから、意味のない話か)
なら、自分はどうすればよかったのだ。兄に正義を知って欲しい。そんな気持ちすら、抱いてはいけなかったというのか。
答えのない疑問が渦巻き、それすらもどうでもよくなる。
もう、いい。
もう、何もかもがどうでもいい。
ふいに、何かを蹴った。
何故、森の中にこんなものがあるのか。
そんな疑問よりも先に、セシルは直感する。これを手に取れば全てを忘れられる。これを手にすれば、全ての苦痛が消える。世界から、拒絶される。
セシルは求めた。セシルは、死を求めた。
だからこそ、それを手に取った。
光がセシルを包みこむ。
薄黒い、碧の甲冑。漲る力。多少あった傷も全て回復する。
しかし、……セシルは正常だった。狂ってなどいなかった。
「……はは」
乾いた笑み。
「なんだ……。僕を狂わせてはくれないのか」
なんだこれは。
全てを忘れられるんじゃなかったのか。
「はははははは!!!!」
セシルは笑った。息が続かなくて、苦しくて。それでも笑い続けた。
ああ、もういいさ。そういうことならもういい。
誰も僕を止めてくれないというのなら、誰も僕を楽にしてくれないというのなら、僕は狂人になろう。
狂って、狂って、狂いまくって、全てを忘れ、快楽の道へと逃げよう。
「……僕は死んだ。今、ここで」
狂人に相応しい行動はなんだ? 人殺しだ。皆殺しだ。血肉を浴び、死者を貪るように猛進し、惨殺する。それが狂人だ。
美しい小鳥が、セシルの前を過る。羽根をばたつかせ、まるでセシルから逃げるように羽ばたく。
セシルは傍に落ちてあった剣を拾い、徐に地面に突き刺した。
「暗黒」
感慨もなくそう呟く。
地面が黒に染まった。まるで闇が大地を浸食するように、セシルを中心に暗黒の円ができる。
瞬間、天にまで届くかと思われる勢いで、闇が駆け上った。
セシルの立っている地点を残し、円上に抉られた地面。何本も生え茂っていた木は、跡形もなく消滅していた。
セシルの前に羽根が落ちてくる。血で染まったそれをセシルは踏みしめ、歩き出す。
全てを殺すために。
何故、森の中にこんなものがあるのか。
そんな疑問よりも先に、セシルは直感する。これを手に取れば全てを忘れられる。これを手にすれば、全ての苦痛が消える。世界から、拒絶される。
セシルは求めた。セシルは、死を求めた。
だからこそ、それを手に取った。
光がセシルを包みこむ。
薄黒い、碧の甲冑。漲る力。多少あった傷も全て回復する。
しかし、……セシルは正常だった。狂ってなどいなかった。
「……はは」
乾いた笑み。
「なんだ……。僕を狂わせてはくれないのか」
なんだこれは。
全てを忘れられるんじゃなかったのか。
「はははははは!!!!」
セシルは笑った。息が続かなくて、苦しくて。それでも笑い続けた。
ああ、もういいさ。そういうことならもういい。
誰も僕を止めてくれないというのなら、誰も僕を楽にしてくれないというのなら、僕は狂人になろう。
狂って、狂って、狂いまくって、全てを忘れ、快楽の道へと逃げよう。
「……僕は死んだ。今、ここで」
狂人に相応しい行動はなんだ? 人殺しだ。皆殺しだ。血肉を浴び、死者を貪るように猛進し、惨殺する。それが狂人だ。
美しい小鳥が、セシルの前を過る。羽根をばたつかせ、まるでセシルから逃げるように羽ばたく。
セシルは傍に落ちてあった剣を拾い、徐に地面に突き刺した。
「暗黒」
感慨もなくそう呟く。
地面が黒に染まった。まるで闇が大地を浸食するように、セシルを中心に暗黒の円ができる。
瞬間、天にまで届くかと思われる勢いで、闇が駆け上った。
セシルの立っている地点を残し、円上に抉られた地面。何本も生え茂っていた木は、跡形もなく消滅していた。
セシルの前に羽根が落ちてくる。血で染まったそれをセシルは踏みしめ、歩き出す。
全てを殺すために。
【C-4 森の中 一日目・午前】
【セシル・ハーヴィ@ファイナルファンタジーⅣ】
[状態]メダリオン使用状態、暗黒騎士
[装備]ヴァーグ・カティ@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡、メダリオン@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡
[道具]なし
[思考]基本方針:全てを破壊する
1. 狂人として殺し合う。優勝も度外視
※メダリオンを使用しましたが正気です。が、本人は狂人として生を全うするつもりでいます
[状態]メダリオン使用状態、暗黒騎士
[装備]ヴァーグ・カティ@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡、メダリオン@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡
[道具]なし
[思考]基本方針:全てを破壊する
1. 狂人として殺し合う。優勝も度外視
※メダリオンを使用しましたが正気です。が、本人は狂人として生を全うするつもりでいます
【霧雨魔理沙@東方project 死亡】
【ハル・エメリッヒ@メタルギアシリーズ 死亡】
【キョウ@ポケットモンスター 死亡】
【カービィ@星のカービィ 死亡】
【風見幽香@東方project 死亡】
【足立透@ペルソナ4 死亡】
【ベトベトン@ポケットモンスター 死亡】
【ハル・エメリッヒ@メタルギアシリーズ 死亡】
【キョウ@ポケットモンスター 死亡】
【カービィ@星のカービィ 死亡】
【風見幽香@東方project 死亡】
【足立透@ペルソナ4 死亡】
【ベトベトン@ポケットモンスター 死亡】
【残り18人】