ノーベレン王国 Kingdom of Noberen


概要


ノーベレン王国は、バルドソス大陸北部に位置する立憲君主制国家。
首都はヴェッドフォート。
ノーベレン語ではNoberige(ノーベリエ)といい、ノーベア族の国を意味する。

20世紀から一貫した中立国であり、軍は専守防衛のため独特の軍事ドクトリンに則って運用されている。
現在も他国との軍事同盟には加盟していないが、JTFOには軍を派遣している。

高い工業技術力を活かした兵器の国産に熱心で、航空機、戦闘車両、軍艦などを自国開発し配備している。
ボフォース社の艦砲やサーブ社の軽戦闘機はその性能から世界的ベストセラーとなるなど、兵器の輸出にも活発である。



歴史




古代~中世以前


現在のノーベレンにあたる地域には、約1万年前には人類が進出した痕跡がある。

農耕が活発になり人口が増えてからは小規模な部族が各地に乱立していたが、4世紀頃にはその中でも有力な3つの豪族「ノーベア」「セルス」「キンスカ」が周囲の部族・豪族を統合し、それぞれ独自の王国を建国した。
その後6世紀頃にノーベアは他二国を併合し、カルトウス王朝を建てた。他民族による侵略やサリミ王朝の統合を経て首都をノルサリスに移し、これが現在のノーベレン王国の礎となった。



中世


カルトウス王朝下においても豪族は存在していた。彼らは各々が船団、艦隊を組織し、セルス海を中心とした周辺海域において交易や略奪を行った。俗にいうヴァイキングである。
彼らはその活動から沿岸の人々には恐れられてはいたとされるが、実際にはその活発な交易活動を評価し、喜んで彼らを受け入れた地域もあったという。

ヴァイキングは周辺地域だけでなく、現在のリュドスカヤ、ファーニケス、イタリカ沿岸にも到達し活動していたとされる。彼らの中には到達した先に移住してしまった者もおり、今ではノーベレン系○○人として生活している。
彼らは北大西洋を挟んで対岸の文化・技術をノーベレンに持ち帰った。

11世紀に入り、エンリ6世による東方進出(エストラント侵攻)が開始された。
やがてマーラント朝が成立すると、ノーベレンはエストラントを併合。ノーベレン=エストラントとし、大陸東部の海岸線(ノーベレンにとっての不凍港)を手に入れたノーベレンは、より活発な貿易活動を行うようになる。
既にこの頃には『海賊』としてのヴァイキングは姿を消しており、ヴァイキングの末裔となる海岸付近の住民が海上貿易ギルドを形成して活動していた。不凍港を得て季節に縛られない交易ができるようになった彼らは、以前より活発に大西洋を行き来するようになる。

彼らは中央政府の支援を受け海軍を組織し、自身の貿易船を護衛する任務を負った。(当時用いられたロングシップの復元船がヴェッドフォート民俗博物館に展示してある)

1362年に大陸西部においてナレマルクによる第一次カレリナ侵攻が失敗して以来、ナレマルクとカレリナの間で戦争が続いていた。
ノーベレンにとってアカトルイスの圧力が隣国に及ぶことは得策でなかったため、1363年からカレリナに対して武器の輸出、傭兵の派遣などにより支援を開始した。
初期のうちは後方支援や沿岸の警備など小規模なものにとどまっていたが、徐々に規模が大きくなり1380年代には海軍の主力艦隊(王立近衛艦隊含む)を派遣。ナレマルクの支援に駆けつけたアカトルイス軍の上陸を阻止し、ノーベレン海軍の優秀さを世界に示すこととなった。

その甲斐もありカレリナは半世紀に渡り抵抗し続けていたが、1416年に講和…事実上の降伏に至る。
これにより脅威が間近に迫ったノーベレンは急遽西部の防衛体制を構築しだした。

現在の首都ヴェッドフォートはナレマルクによる侵攻に備えて1420年頃に要塞として成立したことに端を発する。
当時のラスマン朝ファルンケルク王による築城時は数多く所在した砦の一つに過ぎなかったが、世代を重ねるにつれ都市として発展していき、いつの間にかノーベレン有数の大都市になっていた。


バルドソシニアン戦争


1593年9月、ファーニケスは培った国力を盾にバルドソス大陸東部沿岸に侵攻。バルドソシニアン戦争の開始である。
ファーニケスはエストラント南東、リア湾に上陸し、リア要塞を建設して侵攻の拠点とした。

不凍港を中心とした貿易活動を続けていたノーベレンにとって、大陸東部、ノーベレン=エストラントを失うことは海岸線の半分を失うことと同義であった。

しかしエストラント軍およびエストラント駐留ノーベレン軍は侵攻するファーニケス兵2万5千人に対し8千人という圧倒的な戦力差があり、10月にはエストラント領土の三分の一がファーニケスに占領された。
同月中、ノーベレン軍部は持つ戦力のうち8割の投入を決定。冬を迎え雪中戦に慣れないファーニケス軍の侵攻は遅延しており、そこにノーベレン軍の戦力増加が重なったため前線は膠着状態となった。
またノーベレン海軍は大西洋においてファーニケス輸送船団に対し、小型のガレー船を用いて海上ゲリラ戦を展開し、ファーニケスの兵站を攻撃。「ヴァイキングの復古」とも呼ばれたこの作戦は功を奏し、兵站能力の低下から大陸内のファーニケス・バルドソス植民軍は作戦の規模縮小を余儀なくされた。これを好機と捉えたノーベレン軍は巻き返しを図り、1594年2月には占領されたエストラント領土の9割を回復する。

ファーニケスはノーベレン海軍による輸送船襲撃に対抗するため、ケルヌンノス海軍を主体としたファーニケス連合艦隊を派遣。
連合艦隊による護衛が効果を出してくると、これに対抗しノーベレン海軍も戦力を増加させた。これが幾度も連続するいたちごっことなり、戦闘規模拡大の末遂に1594年4月にバルダン沖海戦が勃発。この戦闘によって喪失された艦艇の総数は90隻を越え、以後の海戦史に残る史上最大級の戦闘となった。

この海戦はノーベレン海軍の勝利という結果で終わった。しかし規模で劣るノーベレン海軍主力艦隊は疲弊しきってしまい、またファーニケス連合護衛艦隊の存在もあって、徐々に輸送船団に対して有効な攻撃をかけられなくなっていった。
同時に大陸は雪解けの季節となり、侵攻するファーニケス軍の行脚は加速。ノーベレン・エストラント軍は前進する前線を抑えきれず撤退を繰り返した。

94年10月、ノーベレン=エストラントはファーニケスに降伏し、その領土をファーニケスへ割譲。

形式的にはファーニケスとエストラントの戦争だったが、実質はノーベレンとファーニケスの戦争だったと言える。
そうして、ノーベレンの敗北という形でこの戦争は幕を閉じた。



近代工業の急速な進歩



バルドソシニアン戦争で勝利したファーニケスは得た領土の工業化を推し進めた。
これを見た時の王グスタフ3世は、自国が今後ファーニケスの覇権に負けぬためには同等の国力を保たねばならないと判断した。
そこで1597年、かつては(間接的にではあるが)争った相手であるアカトルイスと協約を結び、アカトルイスの工業技術をノーベレンに導入し、国内工業の育成を始めた。
当時のアカトルイスは暗にファーニケスを敵国としており、その点でノーベレンと立場が一致していた。そのためアカトルイスもノーベレンとの友好関係を築いておくことに意義があるとされたようである。

また、ノーベレンの在するバルドソス北部は資源が豊富ではなかったが、鉄鉱石や石炭など天然資源の大半をリュドスカヤから輸入することとして事なきを得た。

その後ノーベレンの工業化は著しく、また生産した製品を近隣のナレマルクや、海を挟んでリュドスカヤ、アカトルイスなどの対岸大陸にも輸出するようになった。
外国から輸入した資源を加工し製品として輸出するという貿易構造がノーベレンに富をもたらし、ノーベレンはさらに発展していく。

1690年代ごろにはその発展した国力を盾に、バルドソス大陸西岸の覇権を掌握。また太平洋北岸の貿易活動においても覇権を握った。
ナレマルクなど周辺国をも飲み込んだ当時のノーベレンは「ノーベレン帝国」とも呼ばれた。




北海戦争と革命


1700年6月6日、ナレマルクの港街ライガを謎の艦隊が襲撃した。
ノーベレンは防衛のため軍を仕向けたが、双方ともに被害はなく数日のうちに混乱は沈静化した。

しかしこの一週間後、ファーニケスの新聞には「ライガに寄港したファーニケス商船がノーベレン軍艦に攻撃される」という内容の記事が絵とともに掲載された。
ファーニケスはノーベレンに抗議するとともに、自国商船護衛のため海軍を派遣させると発表。
ノーベレンは「そのような事実は存在しない」とファーニケスに抗議した。

7月1日、ナレマルクにおいてファーニケス商船「ガレリア号」が撃沈され、新聞に掲載された。
ファーニケスはこれをノーベレン海軍艦の仕業と見なしノーベレンに宣戦布告、ノーベレン東部に攻撃を開始した。
「北海戦争」の始まりである。

リュドスカヤはファーニケス側に同調するとともに、ノーベレンに対して資源の輸出を停止することを表明。
この動きはノーベレンにとって全く予想外の出来事であった。

実はリュドスカヤはこの動乱以前、ノーベレンとファーニケスが交戦状態になった場合はリュドスカヤのノーベレンに対する輸出を制限するという内容の密約をファーニケスと交わしていたのである。

当初はそれでも応戦していたノーベレンだったが、ファーニケスはわざと進撃せず、かといってノーベレン側の攻勢も許さず、戦線を膠着させた。
またノーベレン付近の制海権をリュドスカヤ海軍とファーニケス海軍が掌握していたことでノーベレンは貿易活動ができなくなった。
かくして工業と貿易を中心としていたノーベレン経済は資源不足により完全に回らなり、無理に回そうとした結果激しいインフレに見舞われ、ノーベレン国内は大混乱することとなった。


10月、状況を打開できなくなったノーベレンはファーニケスに対し講和を持ちかける。
ノーベレンはファーニケスが提示した条件を受諾し講和成立。
戦争は終結したが、結果としてノーベレンは16世紀から17世紀まで一世紀かけて作り上げた覇権を失い、没落する。


その後はまた復興に力を注ぎ中興するなどするものの、自然災害などに見舞われ半世紀に渡り政情は安定しなかった。


1792年の革命により王政は消滅、立憲君主制が成立。1796年の総選挙に於いて自由社会党政権が誕生し、その後のノーベレンはそれまでの積極的な対外政策と正反対の、福祉重視と軍事中立を主軸とした政策を取るようになった。


その後、ノーベレンを含む世界各国は1930年代まで平穏な時代を迎える。



近代から現代



1940年からの8年戦争では、ノーベレンは中立国であったために直接参加はしていない。
ただし義勇軍を組織し戦域へ派遣したり、外交電文の経由地となるなどの形で参加はしている。
また、各国において政治的な問題から難民となった人々を匿うなどの活動もしていた。

戦中~戦後からジェット戦闘機が台頭してくるなど兵器の近代化が目覚ましい中、ノーベレンは中立国として独自のドクトリン、および兵器開発思想のもと兵器開発を行った。
代表的なものに山岳防衛戦に特化した駆逐戦車的主力戦車や、高速道路を臨時の滑走路やシェルターとして使用できる軽量戦闘機の開発がある。

兵器の自主開発を進める中で積極的な輸出活動もしており、またノーベレンの老舗銃砲メーカーであるボフォース製の銃砲も世界各国で使用されている。

一部ではこれらの特殊な、かつ規模の小さい勢力でも使いやすい性能を持った兵器が第三世界に流れることで、のちの大規模なテロリズムの台頭を招いたとも言われることがあるが、それを裏付ける証拠があるわけではない。


現代においても中立国としての立場は崩しておらず、紛争に積極的な介入はしていない。
しかし2000年代に入り国家対国家の戦争という構図が見られず、その代わり非対称戦と呼ばれる対テロリズムの動きが世界で活発になっている。
これを受けてノーベレンも徐々に政策を改めており、国連統合任務部隊(JTF)に対し武器の供給や部隊の派遣を行うなど、他国と協調して世界情勢に対応している。

20世紀から長年に渡り社会保証制度を充実させており、世界屈指の福祉国家として有名である。
教育費や医療費はほぼ無料であるが、その分国民の租税負担は大きい。




軍事



上記のとおりノーベレンは中立政策を基本としており、軍や兵器の体系もそれに準じている。

同じ中立政策を保持する諸国家とは異なり、国民皆兵制は廃止され志願兵制のみとなっている。

規模は大きくないものの陸・空・海軍ともに即応性が極めて高く、たとえば陸軍ならば招集から3日以内に70個大隊すべてを(常時即応体勢にある2個即応歩兵連隊も含めて)動員させることができるという。


陸軍


三軍の中では最も古くからある軍種。その歴史は15世紀にまで遡る。
現役兵の定員は2万人、予備役も合わせると7万人規模になる。
戦力としては機械化歩兵と空中機動歩兵を主体とした機動力・即応性に富んだ編成から成り、これに付随して機甲師団や砲兵師団がある。
機甲師団の主力戦車はレオパルト2であるが、最近はさらなる機動性向上のため装輪戦車の配備も進んでいる。
砲兵師団についても高機動化が進んでおり、"アーチャー"自走榴弾砲などの新鋭装輪自走砲が配備されている。
これらの装備は国内だけでなく、国外派兵やPKOの中で柔軟な活動を行えると評判らしい。



海軍


陸軍の次に古い軍種。
周辺に海洋脅威が少ない(特に冬場は港の7割が使用不能になる)ため、小規模な海軍である。規模は6000人程度。
フリゲート4隻、コルベット6隻と通常動力潜水艦8隻を主力とし、また多数のミサイル艇、2隻の砕氷艦を保有している。


+ 装備艦艇

エステル級フリゲート

本級は4隻建造され、その全てが2015年現在も在籍している。
ステルス性に配慮して設計され、ヘリ格納庫にはA109級の軽量ヘリコプターならば2機が格納可能。機関はCODOG方式を採用している。
兵装としては主砲の76mm砲をはじめMk.41VLS32セルとハープーン発射機4基、ファランクスCIWS、及びRAM1基を搭載する。VLS内にはVLA、ESSMを格納し、オールマイティな能力を誇る。

ヘルシング級コルベット

本級は6隻建造され、今後2隻の追加が予定されている。
エステル級の設計を踏襲して小型化したようなデザインで、ヘリ甲板は設置されているが格納庫は装備しない。機関はCODOGで駆動され、ウォータージェット推進を採用し、滑走型の船体と相まって最大速力は40ktである。
兵装はボフォース57mm砲、RBS-15SSM、魚雷発射管、RAMを装備する。

ヴァリヤント級潜水艦

本級は3隻建造され、1隻建造中である。
小型の通常動力型潜水艦で、ノーベレン沿海域の警備を主目的として設計された。機関にはスターリング機関を採用したAIPシステムを搭載し、長期間の潜行を行うことができる。
魚雷発射管4本を装備し、またIDAS艦対空ミサイルを発射することも可能。

ハイデマンランド級潜水艦



空軍


三軍の中で最も新しく、また独自性の高い軍。規模は4000人程度。
20世紀後半においてノーベレン軍の主任務は防空であり、空軍は最重要視されていた。
また高度な技術が必要な分野ではあるが、他国に頼らず運用できるよう戦闘機の自国開発も黎明期から行っている。
現在の主力はJAS-39グリペン。保有航空機総数は150機程度である。




建国者:Antares
Founding of a country by Antares

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最終更新:2016年10月29日 02:07
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