概要
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↑これである。
出典は2023年5月21日(該当ツイート)。
「物が4個数並んでいるから4コマである」という追求が初期からなされているのに対して、トランプは一歩進んで、作品の中に「コマの名実性」を追求することがしばしばある。「シリーズ〈器〉」に代表される、コマをコマと近い意味や印象を持つ他の物に置き換えて、4コマの代用を試みる表現行為の一環として、本作もまた生み出された。
約物の一つである「comma」の名称に従って、これをカンマと読むのと、コンマと読む例があるとき、後者を採用し、4つのコンマを並べ、これを4コマと近傍の存在であると言い張っている。4独楽と近いが、これは文字列として、電子上の表現としてデジタルデータ上に存在しうる、最も小さな単位の作品例である。
なぜコンマがコマを代替しうるのか?
単なる言葉遊びと片付けたり、画像作品ですらない文字列であると一笑に付することもできるかもしれないが、それは本作品を構成する一要素にすぎない。何故なら、これがコマの概念に近傍である理由が他にも存在するためである。
ここでは、トランプの用いる手法に本作を当てはめて説明していく。
ステージ1 - 四個数の物体の集合
現代4コマにおける一般的な手法の一つである、4個数の概念をコマに置換する行為。このベクトルにおいて、この作品はそれを遵守している、非常に模範的なものであるといえる。
この,を面として見た時、そこには変則的な図形によってコマが表されている。特にデジタルフォントは文字が「アウトライン」でデータとして入っているため、表示上のコンマはコマによって構成されている。この観点から、このコンマが単位系としてコマに置換されることに疑いがない。
ステージ2 - 単語感の類似による当て嵌め
上で述べたように「コマ」と「コンマ」の名詞の類似性が挙げられる。
コマと人間が認識していることがコマの定義を納得させる上で重要であるならば、単語として人間が認識している近傍な物体を「コマ」に結びつけて考えさせることはそれ以外のものをコマに結びつける行為よりも無謀性を帯びない。
故に、これがコマであって、4コマであるという説明は感覚的に自然である。
ステージ3 - 文章や文字列の区切りを表す約物という本来の意味性
もう一つの観点が「意味性」となる。例えば「シリーズ〈器〉」は、コマが何かを描写するための器であることから、器とコマが等価であると定義されていた。
では4コンマではそのベクトルにあるかといえば、答えは是である。お忘れだろうか。コンマとは「文字列を区切る約物、記号」なのである。
区切り、枠という意味を記号自体が有していることから、この作品は4コマ性を有している。この間に文字列を挟めば、4コンマ漫画が始まってしまうだろう。
ちなみに4独楽はこのステージを満たさない。
類似作品
『「」』(いととと)
鉤括弧という約物が1コマであるという定義の発想から、それを並べて4コマとしたもの。よりコマの印象に近い図形による表現ではあるが、コンテクストのアプローチとしては近傍である。
4メンマ(いととと)
4コンマから語呂を派生させたと思われる、ふざけた連想ゲームのような作品。語呂はより遠縁となったが、シルエットは従来のコマに一致しており、腹立たしいことに4コンマと別方向でバランスがとられている。