ダン=ラ=ハンの後継者たる
議会制民主主義獣人シャプチ国
Nînen-shapch-ie-efiûlaft-
gang-dan-la-hanggâsh saisbêgh
国の標語:Hashîche shchaîche
(万物へ寛容たれ)
国歌:愛国シャプチ行進曲
-いざ大いなるスワーシャカーチェよ-
主要言語 ダン=ラ=ハン語
首都 ジャフーグ
最大の都市 サグナシャーグ
政府 星衛参事会
国家元首の称号 星衛主席
政治体制 エフューラフト議会制
人口 約199億2130万人
主な宗教 スワーシャカーチェ集約神教
通貨 ニッカ , サウ
建国年 1342年
加盟年 1625年
主要惑星
母星 チャグマ=ダプラ
首都星 ジャフーグ
領 有
チャグンセーグ星系 チャグマ=ダプラ
ヴェシパ
プダージ
フシェーディセーグ
星系
ジャフーグ
ギーランセーグ星系 シ=ギーラム
ハシェーグ星系 タシュトヘム(一部)
サナイセーグ星系 サナシュ
セローダ星系 ラーニ
マウニ

「ケモ耳つけときゃ治る」
――マグラン=ガラン?(初代星衛主席、建国者)

 ニーネン=シャプチ(ダン=ラ=ハン語:Nînen-shapch, エミュンス語:Niinens:apc)はタシュトヘム宙域に位置する国家。

 1342年に政治結社タイユ=ウェグナによって引き起こされたシャプチ革命でダン=ラ=ハン帝国を打倒して建国された国家である。
 ニーネン=シャプチは政府がタイユ=ウェグナによって樹立されたことから、政教分離を行っておらず、現在ではスワーシャカーチェ集約神教の一つに数えられるシャプチ正教の思想に基づくイデオロギーを持ち、遺伝子改造テクノロジーを用いて頭部に人工的に動物の耳等を模したものをつけるケモ耳文化に代表される特色的伝統を持つ。かつては他国民を拉致し、自国民に帰化させる人さらい国家の一面も知られていた。

 領域と人口には恵まれており、軍事力は比較的優れている。経済面では農業と工業が平均的。商業は弱く、技術面は遅れがち。福祉は比較的充実しているものの治安はあまり良くない。


国名

 正式名称はダン=ラ=ハンの後継者たる議会制民主主義獣人シャプチ国(ダン=ラ=ハン語:Nînen-shapch-ie-efiûlaft gang-dan-la-hanggâsh saisbégh)である。
 通称、ニーネン=シャプチの名が用いられる。国内のダン=ラ=ハン語話者は通常「エフューラフトEfiûlaft)」というエンドニム(内名)で呼称する。
 略称はニーシャNîsha)、またはニーネンNînen)を用いる。ただし、ニーネンは「獣人(ケモ耳をつけた人全般の総称)」を意味するため、国内や関係の深い国々ではあまり使われない。

 Nînenという言葉は古代スモラヌンプラエ語ではninnaeshといい、開闢暦600年代(いつ?)の『スモラヌンプラエ世界人帳』においてまでは遡って存在が資料的に確認できる。そこで意味されているNinnaeshとは原カーリチ人のことである。
 一方でShapchは「シャプチ正教」を表し、シャプチ正教の母体となったシャプチ教の記述は中世に僅かに見られるのみである。

歴史


建国以前


 惑星チャグマ=ダプラの大陸西部にあるスューグ地方北部の遊牧民族であるギール人がスューグ世界を統一しダン=ラ=ハン帝国を建国した。
 ダン=ラ=ハン帝国は10世紀弱の間チャグマ=ダプラを支配しており、末期にはチャグンセーグ星系の別のハビタブル惑星であるヴェシパプダージジャフーグを開拓していた。
 しかしシャプチ革命によって最後の皇帝であるアイニ帝が退位しダン=ラ=ハン帝国は滅亡。間もなくマグラン=ガラン?らタイユ=ウェグナによってニーネン=シャプチが建国された。

シャプチ時代


 ニーネン=シャプチの建国初期は非常に不安定であった。ダン=ラ=ハン帝国による支配が長すぎたせいで政府のみならず民衆も混乱しており、従来の宗教間の対立やシャプチ教過激派問題、要人暗殺等が頻発し、この時代の星衛主席は秩序の安定に心血を注いでいた。
 混乱に対して強権的に統制する手法はモンケンプトゥーム政権で頓挫し、人々はソフトパワーにおける問題の解決を望み、穏健派の宗教活動家チェディシにその希望を託すことにした。

集約神教時代


 臨時星衛宰相に就任したチェディシは各地に赴いて表立って交渉するなど宗教対立・民族対立問題解決の取り組みに尽力した。様々な宗教行政改革を同時並行で進め、そうして出来上がったのがスワーシャカーチェ集約神教であった。スワーシャカーチェはニーネン=シャプチの全ての宗教を内包する宗教であり、ニーネン=シャプチの唯一の国教とした。
 これら政策の効果は大きく、空中分解寸前だったニーネン=シャプチを再び結束させることに成功した。その偉業を称えて、チェディシは『天命の人Kurkêchie)』と呼ばれ半ば神格化され、彼の思想は「チェディシの遺した理想」と言われるようになった。その一方でチェディシの改革によって生じた弊害を取り除くことが後任の星衛主席らの使命として期待された。

宇宙観測時代


 劇的に秩序が改善され、緩やかな経済成長によって当時のニーネン=シャプチは好景気下にあった。着実に技術発展を積み重ね、外宇宙観測を開始。まもなく外宇宙に星間文明の痕跡を見つけ、接触に向けての準備が進められた。
 調査が進むうちに大宇宙連合会議の存在を間接的に認知。ファーストコンタクトでしくじってしまえば加盟を認められず全宇宙の敵に認識され攻撃される可能性があったため、プロジェクトは慎重さをもって進められていた。
 しかし、計画的ファーストコンタクト直前の1618年、惑星シ=ギーラムを非領有ハビタブル惑星と誤認したジエール帝国連邦の調査部隊と現地警備隊の間でシ=ギーラム事変が発生してしまった。なんとかケルスト合意によって停戦に持ち込むことができたが、国内では国際的評価を懸念する声が上がった。

連合会議時代


 1625年、大宇宙連合会議に加盟。
 ニーネン政府は加盟に手こずると思っていたがすんなり加盟できたため肩透かしを食らった。
 加盟好景気で国内の経済に少しブーストがかかる中、ヴァルエルク共和国の新型戦艦建造を皮切りに建艦競争に追従。軍事力を蓄え、連合会議諸国に対してもその存在感をアピールできるようになってきた。

ゴルギア時代


 ゴルギアによる被害はニーネン=シャプチにも広がり、国内は再び情勢不安の危機に立たされた。これを受けて、対テロ徹底抗戦を訴えたツァニェー参事会が発足。
 ゴルギアとの対テロ抗争を繰り広げる中、アクース文明と接触。文明を代表するアクース連邦政府との国交樹立と連合会議加盟の仲介を行った。
 ゴルギア時代後半までに多分ジエールと関係改善していて、不死技術の青写真を入手している。国民経済党のパウタライ主席は秘匿名称74号計画を進め、スンシャ(人工獣人)技術に先立ち、1673年に最初のミュンシャとしてメチュートハシュナが製造された。

経済戦争時代


 1679年のダーケフオス危機でレーウス諸国が大パニックに陥る中、パウタライ主席はガニュー経済体制を発表。ニーネンが国際社会で初めて本格的かつ能動的な行動を起こした瞬間であった。ガニュー経済体制はダーケフオス危機に呼応して結成されたブロック経済同盟であり、ニーネン、ジエール、アクースが加盟した。
 しかしレーウス経済戦争を経てジエールはレーウス連合を脱退し、ジエール・サーヴァリア戦争が勃発。ニーネン政府はジエールを支援するため派兵を行った。ニーネンにとっては(ゴルギア戦争を除けば)初めての本格的な対外戦争であった。
 リーファイ平和友好条約が締結され、ジエール・サーヴァリア戦争が事実上の白紙講和に終わると、ニーネン政府は拉致政策を推進し始める。直後にラゴンセーグ星系が発見され、開拓プロジェクトの一環として拉致が大々的に行われるようになり、国際社会の信用低下を招いた。

通信時代


 拉致政策をごまかすためにギゼヴトラ・ZHL条約に批准したりサーヴァリア革命で中立宣言をしたりしたが、あまり効果はなかった。
 一方でヴァルエルク共和国への非難がヴァルエルク国民への不興を買って国際関係が悪化するなど、国際社会での立ち回りにおいて未熟さが目立った。

ゴスタル時代


 ニーネンはゴスタル・ブーム初期においてリヴァダー社?ではなくアイローム社?を支援していた。
 政府はアイローム・ゴスタルを試験的に導入し、主に惑星シャグマ=ラゴンの開拓補助で活躍した。

 1733年に勃発したアクース内戦では、スニャールフィエ星衛主席が資本家連合側(旧政府側)ではなく労働組合側(新政府側)の支持を表明。星衛評議会(国会)では国民経済党を中心に猛反発があったが、アランダイ軍団を派遣するなど直接的な軍事介入を断行した。
 しかし旧政府側はサーヴァリアのみならずベリオンの支援と介入を受けたため、ニーネンの支援する新政府側は敗北。アランダイ軍団も撤兵した。
 議会ではスニャールフィエの退陣を求める声で大荒れになったが、戦勝パレードで浮かれていた旧政府側の首班エルゲンの暗殺に成功すると、労働組合側の革命児エメルダが亡命先のヴァルエルクから故郷アクース帰国。間もなく第二次アクース革命が起こり、あっさりアクース連合が成立した。

 アクース内戦で大逆転勝利を飾ったニーネン政府はすかさずアクースとの軍事同盟であるラノー条約を締結。これを拡大してラノー条約機構とし、ファルトクノア共和国?とも同盟を結んだ。

 1740年に発生したマーカス内戦では、アイローム派で参戦した。シャグマ=ラゴンのアイローム・ゴスタルの世論を汲んでの参戦となったが、当時の星衛主席ダガイユルは前任の主席スニャールフィエとマッチポンプを計画し、スニャールフィエにデクトリア派の武装組織を結成させ秘密裏にマーカス内戦に派兵させた。
 ニーネン政府の目論見通り、兵器としての質に若干優れたリヴァダー派が優勢となり、アイローム派は窮地に立たされた。ニーネン政府は先導してデクトリア派との合作を企て、二人は一つの軍隊に合流した。
 泥沼化する戦況の中、7年にも及んだマーカス内戦でリヴァダー派を打倒することに成功し、戦勝国となった。

サイバー時代


 しかしマーカス内戦での代償は重たく、シャグマ=ラゴン開拓の苦境という形で現れた。
 開拓地での情勢不安は本国にも波及し、当時の国際社会の関心事項であった電脳空間技術に関して完全に出遅れてしまう。
 ニーネン政府は電脳空間への参入を検討し追従を試みるが、疫病の蔓延や自然災害、開拓地公社の汚職が相次ぎ、瞬く間にシャグマ=ラゴン情勢は悪化。
 また、ヴァルエルク共和国率いる自由解放連合諸国やサーヴァリア企業連合との関係悪化に歯止めがかからず、国際的にも孤立を深めてゆく。

反動時代


 国際的孤立とシャグマ=ラゴン情勢の悪化は歯止めがかからず、暗殺されたジェナウ主席の後任はナプトー主席であった。
 サーヴァリア関係改善と開拓地の経済発展を期待した当選だったが、ナプトー主席は十六人委員会のメンバー全員を暗殺しモンケンプトゥーム以来の統制経済を実施。一時的な沈静化には成功したが、統制によって反動は日に日に大きくなっていった。

 そして1785年、暗殺された十六人委員会のメンバーの娘アルチェは反政府組織のリーダーとなり、サーヴァリアからの支援を受けて植民地政府を名乗りニーネン本国からの独立を宣言。シャグマ=ラゴン戦争が勃発する。
 緒戦ではニーネン本国が優勢になり鎮圧完了寸前のところまで持ち込んだ。首謀者のアルチェもサーヴァリアとの交渉が決裂し植民地政府は空中分解しかかったが、ヴァルエルクが小さな革命家シチャインピルチを説得し植民地政府の首班に担ぎ上げたことで持ち直した。また、サーヴァリアやヴァルエルクが本格介入を開始し状況は一変して悪化の一途を辿り、覆し難い劣勢に立たされたニーネン本国政府は、余力の残っているうちに停戦交渉を提案し、セティスカトールプ講和条約に調印した。


 終戦後、ナプトー主席は戦争主導者に認定され失脚した。その後彼はヴァルエルク主導の戦争裁判にかけられ有罪判決を言い渡された後、惑星プダージのヴァルエルク軍が管理する収容施設で服役。愛国党は無期限解散とし、ナプトー一派から政治的権力の全てを剥奪した。
 ニーネン政府はシャグマ=ラゴン全域の支配権を失い、多額の賠償金を支払うことを認めた。シャグマ=ラゴン全域はセティスカトールプ講和条約に基づきヴァルエルクの租借地となったが、サクトマンク無血革命が起こりアイプゴン自治国が樹立されたため、期限付きでヴァルエルク保護国圏に加盟した。無血革命の影響はニーネン本国にも波及しシャミー政権に少なからぬ影響を与え、戦後大改革の発端となった。期限付きでヴァルエルク保護国圏に加盟した。

政治

 ニーネン=シャプチの政治体制はエフューラフト議会民主制である。
 エフューラフト議会民主制は一説によるとダン=ラ=ハン帝国時代に漂流してやってきたと考えられるサグページ=レサウ(レスオス・サグペオス・トレネオン)という人物が伝えたとされ、独自に発達した民主主義制度である。
 一般的な民主主義国家に比べ、任期が長く、より寡頭制の雰囲気を残しているのが特徴である。

 三権分立は時代を下るごとに厳格化される傾向にある。
 行政府は星衛参事会、立法府は星衛評議会、司法府は独立裁判所である。行政は星衛参事会と行政各院の調整によって実現される。

 行政各院は執政院招民院枢密院国教院の4つがあり、これらがニーネン=シャプチの様々な行政を所管する。

星衛主席

 星衛主席Chagun-sapskong-efiûtie)はニーネン=シャプチの国家元首の称号である。
 行政府を司る星衛参事会の代表者であり、彼ら参事官の議長としての性格が強い。対外的にはトップの座だが、時代によっては星衛参事会のメンバーとほとんど同じ業務を行うことも少なくない。

政党

 ニーネン=シャプチでは多党制が採用されており、時代を通して10~20程度の政党が存在する。
 星衛主席の任期が比較的長いため与党が何度も同一の政党であることはあまりなく、最長記録はナイユス=ハウム党とタイユ=ウェグナ党の4連続与党。また、党内派閥を嫌う傾向にあり、多くの場合は派閥が一定以上の規模になると独立した政党として旗揚げする。

 ニーネン=シャプチの政党は党や政治家個人の理念、信念、マニフェストを重要視する傾向にあり、選挙において国民は候補者とその政党のマニフェストが国益に能うかどうかを判断して投票する。政党や候補者がマニフェストや方針を変更することは一般的には顰蹙を買う行為であり、場合によっては落選よりも不名誉・不適切な行動であるとされる。
 このような背景があるため、ライバル政党や選挙戦の状況がどうであれ選挙中の方針変更は滅多に起こらない。同様に当選後にマニフェストを変更したり、星衛主席就任後に全く違う指針を打ち出すことも滅多にない。あるとすれば、相当の博打である。

国際関係

 エルミア的東西と言われていた連合会議加盟国の国際秩序の中で第三陣営としてラノー条約機構やガニュー経済体制などの国際派閥を創設したことがあり、それなりの影響力を持つ。
 その一方で大宇宙原加盟諸国との関係は良好でもあまり長続きはせず、関係が良くない国も少なくない。外交戦略の一つ「遠交近攻」が全くできておらず、通時代的にむしろ逆である。
 親密関係の国はアクース連合であり、ファルトクノア共和国?とも関係が深い。
 時代によってはジエール帝国連邦ヴァルエルク共和国とも手を組むことがあるが、敵対している場合もある。
 サーヴァリア企業連合?とは戦争で敵側になることが多いが、宿敵と見なしているわけではなくイデオロギー相性の問題であると言われている。
 ラヴェルト宙域やゲルデン宙域の国々とは関係が薄く、遺伝子改造を頻繁に行うためエルミア共和国からはしばしば非難され、国交がない。

軍事

 ニーネン=シャプチでは惑星内の軍隊として陸戦軍を、宇宙空間の軍隊として星系軍を保有する。
 兵士は遺伝子強化手術を受ける場合が多く、ナグシャや人工獣人(スンシャ)の割合が多い。
 星衛主席が立場上軍隊の再考司令官であり、重大な決定は星衛主席の認可が必要となる。軍隊は志願制である。

領域

  • チャグンセーグ星系
    • チャグマ=ダプラ
      • 母星。大きな大陸が一つあり、その周囲に複数の島がある。
      • 陸地の大部分は乾燥しており冷涼。広大な草原地帯を持ち、草原の惑星と呼ばれる。
    • プダージ
      • 入植:1188年
      • イェシュート文明が初めて開拓した惑星。ダン=ラ=ハン帝国時代に入植プロジェクトが行われた。ギリギリ居住可能な環境。
      • 大気が薄く地表での居住には適さないため、パラテラフォーミングされた。生活は建物内に限定され、コロニーは相互に連結されている。
      • 工業区画や軍事拠点が多く、遺伝子改造や諜報関連の政府の施設が多く、国際社会の明るみに出したくないものは大抵この惑星に集約されている。
      • プダージ造船所という巨大造船所があり、宇宙船製造が盛ん。星系軍艦隊の母港がある。
    • ヴェシパ
      • 入植:1216年
      • 二つ目に開拓された惑星。ダン=ラ=ハン帝国時代に入植プロジェクトが行われた。
      • 冷涼だが湿潤で、水資源が豊富。鉱物資源は乏しいが居住環境はかなり良い。
      • 快適な居住環境のため住宅区画と商業区画が多い。

  • フシェーディセーグ星系
      • 入植:1269年
    • ジャフーグ
      • 首都星。ダン=ラ=ハン帝国が開拓した最後の惑星であり、シャプチ革命はここから始まった。
      • 温暖かつ湿潤な惑星で、原生環境では森林面積が広い。開発がかなり進んでいるため、現在では都市圏の方が広い。

  • ギーランセーグ星系
    • シ=ギーラム
      • 入植:1395年
      • ニーネン=シャプチが最初に入植した惑星。プダージ同様に居住性ギリギリの惑星。
      • 大きい惑星だが、地表は有毒大気で満たされており、危険な原生植物が繁茂しているため地下の洞窟に居住区画がある。
      • 居住区画が入り組んでおり、その大半がスラム街である。マフィアの活動拠点がありその周辺は非常に治安が悪く、貧困層の割合が多い。

  • サナイセーグ星系
    • サナシュ
      • 入植:1572年
      • 低温湿潤な惑星。山岳が多い。夏は短いが涼しく魅力的な自然で人気のある旅行スポット。
      • 宗教関連施設が多く、聖職者の割合が多い。そのせいか治安が良く、「善人だらけの惑星」と呼ばれる。年間犯罪者数が最も少ない。

  • ラゴンセーグ星系
    • シャグマ=ラゴン
      • 入植年:1738年?
      • 居住性はやや低い。高山が少なく、全体的に平坦地形の傾向がある。
      • チャグマ=ダプラの環境に似ているが巨大な大陸はなく、4つの小大陸で構成される。

  • ハシェーグ星系
    • タシュトヘム
      • 入植:1620年
      • アクース連合が惑星の半分を領有している。
      • 温暖湿潤。居住環境が良く、鉱物資源の産出量にも優れる。

  • セローダ星系
    • ラーニ
      • 双子惑星。軌道の反対側にマウニが見える。
      • 寒冷型の惑星。サナシュの環境に近いが、サナシュほど複雑な地形ではなくやや平坦。
    • マウニ
      • 双子惑星。軌道の反対側にラーニが見える。
      • 熱帯型の惑星。夏は蒸し暑いが、果物がよく採れる。

経済

 イェシュート文明には元々資本主義という思想がなかったため、為替や株式といった高度な金融システムが発達しなかった。そのため、現在においても国内は計画経済の色合いは強く、市場経済としての機能は限定的である。
 大宇宙連合会議と接触した当時は、ヴァルエルクやサーヴァリアから金融市場制度を導入しようと何度か試みたことがあったが、いずれも失敗に終わった。1679年のダーケフオス危機などの一連のレーウス宙域で発生した経済危機を間近で見てきたこともあり、不況の影響を受けにくい計画経済のままで留まる方針を固めて以降は、計画経済をベースにした経済政策を採用している。
 資本の流動性を高めるため、通貨であるサウとニッカには有効期限が設定されており、取引によって(所有者が変わることで)期限が延長される。

スガイユン

 ニーネン=シャプチ国内には株式会社が存在しない代わりに、ダン=ラ=ハン帝国時代から続くスガイユンと呼ばれる職業組合が存在している。
 スガイユンは営団方式を採用しており、国からの補助金を受けつつ一定の利潤を得ることができる。企業とは異なり、莫大な利益を得ることはできないものの、経営破綻のリスクも少ない。
 スガイユンは規模が限定されており複数の部署や支社を設立することはできないため、巨大企業のようになることはできない。小規模のスガイユンが無数に存在しており、開業のハードルが極めて低いため、個人事業や家族経営の割合が高い。

税制

 政府は貧富の格差に敏感であるため、市場占有率によって定められる競争税や通貨の有効期限から逃れるために貴金属や宝石等の積立を行うのを抑制するための貯蓄税などが課せられる。消費税は存在しない。
 また、国民性の影響でオーダーメイドが頻繁に行われるため業務のキャパシティを制限する目的でオーダーメイド税や、国教院の財源確保のために信仰度合いに合わせて寄付を募る信仰税など変わった税制もいくつか存在する。

 税制度が優れているかというとそういうわけでもなく、過去にシャグマ=ラゴン開拓事業で課せられていたプラーディエ税や、ケモ耳をつけていない人を対象に税を課すケーシャ税などは賛否両論であった。

テクノロジー

 テラフォーミング技術が長けている。特にパラテラフォーミングではない、全球規模の気候や生態系の操作が得意とし短期間で効果的な処置を行うことができる。ただし、居住可能性の低い惑星は普通にパラテラフォーミングによる入植を行っている。
 その他得意とする分野は造船、遺伝子学、独自のFTLテクノロジー、反重力学などがある。
 宇宙進出が比較的早かったため17世紀にはレーウス宙域にいくつかの面でテクノロジーの優位を保っていたがその後の伸びの悪さで連合会議諸国の中で埋もれていった。

国民

民族

 イェシュート(ニーネン人)が78%前後で、「人種のサラダボウル」と形容されるヴァルエルク共和国に比べて多様性は乏しい。一時期拉致政策を行っていた関係上、少数ながら民族は多様である。
 他文明の民族としては、アクース人、ヴァルエルク人、リーエス人、ファルトクノア人が多い。

言語

 ダン=ラ=ハン語が事実上の公用語となっている。
 その他、会話語と呼ばれる共通語としてはマユィ語、ヴァルエルク語、ヴェフィス語、中央リナエスト語(リカルネ方言)などがある。
 少数言語としてイェシュート文明の言語であるスンダクラ語、シャチル語などが保護されている。

教育

 ニーネン=シャプチの子どもは6~10歳まで幼年学校に通い、10~14歳の中等教育では社会性重視のヴナフナ学校と専門性重視のハウム学校のどちらかに通うことになる。14~18歳の子どもは高等学校神学校貴族学校等に通う。大学は比較的少なく、その代わりにその名前を冠した分校が数多く存在する。大学は入学のハードルは低いものの卒業要件を満たすのが難しいとされる。
 授業料は大学まで無料だがスガイユンの給料から天引き方式で課税しているため、実質国民全員が負担している。

 教育水準は国際平均と同じ程度。通時代的に政府がテラフォーミング技術の振興を奨励しているため、生態学や工学系の研究が強い。

保健

 ニーネン人は健康意識はあまり高くなく、生活習慣病は遺伝子治療で済ませることが多い。国民保険はスガイユンの給料から天引きされる。

文化

国民性

 個性を重んじる国民性があり、風変わりでも自分の信念を大事にする人が規範とされる。逆に優秀でも他人の真似ばかりしている人は軽蔑されやすい。特定の能力や信念を持つ人にとって生きづらさを感じることなく社会生活を送ることができる一方で、自分のアイデンティティに悩む人が一定数いるもの事実であり、社会全体の課題となっている。

 このような気質があるためか、ニーネン=シャプチでは明確な流行というものがない。

食文化

 ダン=ラ=ハン帝国を建国した遊牧民族のギール族の食文化を基盤に様々なスューグ地方の民族からの影響を受けている。
 味にメリハリをつける傾向があり、ユグムの具以外に肉と野菜を混ぜた料理が少なく、肉は肉、野菜は野菜の料理が多い。甘じょっぱい系の味付けとは無縁の食文化で、おかずはしょっぱく、デザートは甘い。また、混ぜる・和える料理が少なく、調味料やソースを中途半端にかけて味の変化を楽しむ。ハーブやスパイスの種類が多く味付けは辛い。肉や卵を生のまま料理する文化があるが、食品の衛生基準が厳しいため安全である。動物の乳や乳製品を料理のソースや添え物に多用する。野菜は生野菜のサラダが好まれる。

主食
 主食はユグムと呼ばれるシャギという穀物を発酵させた皮を様々な具で包み、蒸した饅頭のようなもの。ユグムは国民的料理であり、非常食や軍事携行食にも様々な種類のユグムがある。

飲料
 カハイというミントに似た植物の細長い葉を煎じたカハイ茶、ヴァフリ乳、マグリ乳、あるいはニョーラ(ヨーグルトドリンク)が愛飲される。フルーツジュースや野菜ジュースなども入手できる。1680年代以降は炭酸飲料も登場し、主にソフトドリンクとして消費される。

嗜好品
 酒類と煙草は太古から利用されてきた。醸造酒と蒸留酒の両方がある。炭酸飲料で割る文化がなかったが、新しい文化として定着しつつある。蒸留酒と果実酒は宗教によっては禁忌とされている場合がある。
 また、覚醒作用をもたらすアルカロイド類を含有する果実があり、嗜好品として利用されている。サッコリャル?は惑星シ=ギーラムでのみ合法。

音楽

 連合会議諸国の影響を受けて多様化している。
 イェシュート文明固有の音楽文化の主流はダン=ラ=ハン帝国の軍楽から派生した2拍子の行進曲(マーチ)である。

建築

 伝統的な建築様式に「草原の家」というものがある。半地下で屋根に芝生を生やした寒さに強い構造の家屋になっており、伝統的な暮らしを保存する伝統園で実際に体験することができる。

宗教

 ニーネン=シャプチの国教はスワーシャカーチェ集約神教である。この宗教は元々は全てのイェシュート文明の宗教を内包するものであったが、現在では他の星間文明の宗教の一部も取り入れられている。全ての宗教を無条件に取り入れることはせず、国教院の監査の下カルト宗教ではないものが導入される。さらには定期的に査察が行われカルト化していないか確認を行っており、カルトと見なされた宗教に関しては破門される。

 スワーシャカーチェ集約神教には4大宗教というものがあり、シャプチ正教スワー=マ=カラン教カーリチ教チェディシ教の4つが該当する。あくまでこれらはチェディシの改革当時の情勢を反映したものであり、現在は他宗教の取り入れもあり実態は若干異なる。

服飾

 ダン=ラ=ハン帝国時代の名残りでナプランシという管状の襟のシャツがある。
 女性はスカートを着用する。靴はブーツを多用し、袖の広い服が好まれた。また、女性の服装の一つにセーラー襟のものが存在する。袖やズボンの裾の外側には独特の刺繍や模様の施されたラインが入る。

 ワイシャツはエルトリアの服飾文化が輸入されたもので、1625年の連合会議加盟以降に輸入された。

祝祭日

 ニーネン=シャプチでは新年等を除き宗教関係の祝祭日が非常に多く、それぞれの宗派によって祝日が異なる。

スポーツ

ゲーム競技
 連合会議加盟以降にジエール帝国連邦から輸入されて定着した。
 国内全体ではそこまで盛んではないものの、サンシャンマヒャパ?サリエ?など有名プロプレイヤーを輩出している。

ショクト
 チャグマ=ダプラ発祥の陣取りスポーツ。
 ニーネン=シャプチ有数の人気のスポーツであり、国民的娯楽の一つに位置づけられる。道端で子どもたちが遊んでいるスポーツの一つであり、政治家の会合やスガイユンでの親睦会でもプレイされる。国内では多数のプロチームが存在し、プロスポーツ興業が行われている。

関連項目


記事一覧

最終更新:2025年01月06日 00:21
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