レーウス経済戦争とは、
ダーケフオス危機後に発生したレーウス世界内での経済的な報復の連鎖のことであり、軍事的な戦闘を伴わなかったものの、国家規模の行き過ぎた報復から経済戦争と呼ばれた。しかし、過激な報復連鎖はやがてコントロールを失い、民衆の扇動を受けながら、
ジエール・サーヴァリア戦争?という軍事的な戦争へと発展した。
概要
レーウスバブルの崩壊と食料危機の発生
ドルヴァ・リントウィン社の倒産から始まったダーケフオス危機を影響で、加熱した開発競争は崩壊した。ヴァルエルク領内では惑星フィアネの急速な都市開発に農地の拡大が間に合っておらず、食料品のパニック買いが発生した。この状況は新興星間国家であるプトーキオンやジクラールでも同様であったため、レーウス世界では食料品の輸出控えが発生し、特にヴァルエルクからの原材料に依存していたサーヴァリアの食料加工産業が大打撃を受けることになった。
サーヴァリアでは市場の混乱から資金繰りが悪化し、企業の倒産が相次いでおり、またサーヴァリアの製造業に強く依存していたジエールの精密電子部品産業が打撃を被った。エルトワールの金融業はジエールの産業や研究に重点的に投資していたためこれらの連鎖がレーウス経済に深刻な打撃を与えた。
食糧危機の深刻化
ヴァルエルクの食料品の輸出控えから発生した食糧危機は、レーウス全体の食料価格高騰に直結した。新興星間国家であったプトーキオンやジクラールの開発前哨都市では全面的に食料が枯渇し、また工業化政策を推し進め食料自給率が低下傾向にあったジエール、金融大国としての地位を固めつつあったエルトワールでも食料品不足が顕著になった。ジエールは天嶺からの食料品の供給と合成食料品の開発と大量生産で食料供給問題を短期的に解決し、ジエールは国産の合成食料品ライセンスを無償で公開したため、レーウスでの食料危機は数カ月間のパニックを経て解決した。しかし、合成食料品の浸透と同時に自然食品はぜいたく品となり、生産の回復とヴァルエルクの輸出控えの解消まで価格高騰を続けた。
経済的な対立
このような経済状況の中、各国は政治的な対立を深めていた。ジエールはヴァルエルクの食料品輸出控えを非難するも、ヴァルエルクは国内企業の判断を尊重すると反論したり、食料加工品のシェアを合成食料に奪われたサーヴァリアはジエールの合成食料品の健康被害に関するデマを流布するなど民間での対立はやがて国家を巻き込む情報戦へと発展した。さらにジエールは歴史的な
リュイン高を受けて自国通貨を放出する為替介入を行い、輸出産業の活性化を図ろうとした。しかし、ヴァルエルクはジエールの積極的な為替介入を非難し、ヴァルエルク国内のジエール資産の一部凍結を発表。これに対抗し、ジエールはヴァルエルク国債の大量売却を行うなど、経済的緊張が高まった。
これを受けて、非中央集権化した暗号通貨であるドレヒンカージュ・シェオン《Drehinkaazh-Sheon》(クリプトゴールド)が高騰した。レーウス協定で各国通貨をバーンして発行されたレーウス協定トークンはエルトワールとジエールの保有率が高かったが、このトークンは協定国の開発者が関与したことから完全に非中央集権化されていないという懸念があり、「政府が随時ハッキングできる」などといったデマが流布されたことにより下落した。
自由貿易の破綻と金融の混乱からブロック経済化が進み、ヴァルエルク・サーヴァリア・プトーキオンVSジエール・天嶺・ジクラールの対決構造が浮き彫りになりつつあった。
ヒューヴル売却交渉
ジエールは経済的混乱からいち早く回復するため惑星アヴァイトラールの領有権をエルトワールに売却することを議会で承認した。惑星アヴァイトラールに存在するヒューヴル王国では伝統的な生活が好まれ、ジエールの技術供与や開発支援を頑なに拒んでいた。また、当時の資源調査では資源の埋蔵量が乏しいと判断されていたため、ジエールではヒューヴル不要論が盛んに議論されていた。宇宙進出競争に後れを取っていたエルトワールは外星領を欲していたこともあり、ジエールとエルトワールの経済協力関係も良好であったことから、両国間ヒューヴル売却交渉が始まった。
しかし、ヒューヴル売却交渉を受けてサーヴァリア王国連合が惑星アヴァイトラールの領有権を主張し、ジエールへの軍事的な挑発を繰り返した。中立を保ちたかったエルトワールはこれを受けて交渉を凍結し、サーヴァリアとの距離を調整した。
サーヴァリアの極右政権
サーヴァリア王国連合では経済的な混乱から、民衆の不満が増大し、極右政党「民衆の為の連合」が政権を獲得した。首相サルビェドンはダーケフオス危機を始めとする経済危機はヴァルエルクとサーヴァリアが原因であるということを否定し、経済的な被害が比較的軽微だったジエールやエルトワールを敵視する政策を行なった。
長らくサーヴァリアとジエールはイデオロギー的に対立していたものの、経済的な結びつきは強かった。しかし、サルビェドンは今回ジエールとのイデオロギー対立を全面的に押し出すことで民衆の支持を獲得した。サルビェドン政権はヒューヴル売却交渉に合わせて惑星アヴァイトラールの領有権を主張するなど、極端な主張を繰り返し、ヴァルエルク政府も距離を置きたがったが、経済復興の志を共にするヴァルエルク人は反ジエール・エルトワール感情を受けてサルビェドン政権を支持した。
経済的な対立はサルビェドン政権の軍事的な挑発を受け、徐々にエスカレートし紛争に発展し、ついにはヒューヴルの解放を開戦理由にジエールへ宣戦布告をすると国民の熱狂を受けてジエール・サーヴァリア戦争へと発展した。
関連項目
最終更新:2025年01月04日 13:16