基礎設定
舞台は22世紀初頭(西暦2107年)の地球、日本周辺を初めとした諸国。 基本的な歴史は、我々の地球の延長線上だが、大きく違う事がある。 それは即ち、『妖魅=エネミー』が現実的な脅威として存在する事。 この世界では太古から妖魅・悪魔・邪霊といった闇の眷属達が、 夜の影から、社会の裏側から、常に人類を脅かしていた。 それは文明が発達し、限定的ながらも火星圏にまで進出している 22世紀の『現代』でも一向に変わる気配がない。 むしろ技術や魔法理論の発達に比例するかのように、 彼ら人類の敵も、その力を着実に増してきたのである。 皮肉な事に技術の変化により生活が変り、豊かになっていく程に その隙を突き、堕落をもたらす妖魅達の勢力も増していく有様である。 PCはそんな近未来の地球を舞台に『退魔士』として『妖魅』達と戦う。
妖魅とは何か?
[[データ]]的なことを言えば、アリアンロッドに登場するエネミーは 全て『妖魅』として括られる。『分類:人間』の欄にある傭兵や 『分類:動物』の欄にあるタイガーなど一部の例外を覗き、 非現実的な生物は全てエネミー……『妖魅』として括られる。 仮にオリジナルデータで作成し、過去の生物である『アノマロカリス』等を 模したエネミーを作った場合、それも基本的には『妖魅』扱いとなる。 彼らは瘴気が集まって生まれた存在とも、魔界や黄泉といった 別の世界から来た存在とも言われている。そのどちらが正しいのか 結論は無い、あるいは両方とも正しいというのが正解なのかもしれない。 彼らはどこにでも存在する。例えば繁華街の裏道では、インプが笑いながら 浮浪者を焼き殺しているかもしれないし、夜の公園でいちゃつくカップルを 面白半分でアルプが襲う事さえも、一般的な事件というレベルで存在する。 あるいは直接的な危害こそ加えないものの、マフィアやテロリストと組んで 特殊な素材を使った薬をばら撒いたり、バイオケミカル系の企業に入り込んで 密かに、自分達の新たな同胞を増やそうとするなど、その活動は多彩だ。 だが一般的な民衆のイメージでは『妖魅』の出現という異変は、 突発的に『猛獣・害獣が出現するようなもの』と認識されている。 例えば、こんなケースがある。ある日の夜、とあるBARで従業員と客が 一人の生存者もなく惨殺され、店内には無数の獣の爪痕が残っていた。 この事件はほぼ間違いなく『妖魅による犯行』と断定され、周辺一帯は 警報が流れ、人・物・情報の流れも制限。そして暗がりに潜むバケモノを、 『退魔士』達が駆逐する事で平穏が戻った……大抵はこんな流れである。
退魔士
退魔士はPC、あるいはPCと同等の能力を持ったゲスト(NPC)の事である。 これは必ずしも魔法を使えるかどうかを意味しない。ウォーリアなら 『妖魅』に有効な武器を使って『妖魅』を叩き伏せる能力者であるし、 メイジやアコライトなら西洋魔術や神への祈り、あるいは発火能力のような 超能力者や、[[その他]]の特殊能力者となる。その拠り所となる力は様々だ。 この時代『退魔士』は、最早人間の営みになくてはならないものである。 それ故に危険と隣り合わせではあるが、尊敬されるべき職業でもあり、 その為普段は働かず『妖魅』やそれに類する勢力の討伐が必要となった時のみ 活動する“専業”の『退魔士』でも、社会的評価はそこそこ高く扱われる。 だが多くの人間は“専業”の場合、何処かの組織(警察・退魔士協会等)に属し、 経済的業務として活動をしている。それら以外の能力者は一般的な企業…… 若者の場合は学校等に属し、有事の時だけ『退魔士』として魔を祓っている。 基本的に何処の国でも『退魔士』はライセンス制なので、免許さえ持っていれば 武装も活動も自由に行える点が、“兼業”の『退魔士』を生んだ土壌といえる。 尚、ライセンスを持たない所謂“モグリ”もいるが、あまり派手に活動すると 退魔士協会に睨まれるし、何かあった時のフォローや保険など何処にもない。 だが群れる事を嫌う人種は常にいる。その為一定数が存在するといわれている。
退魔士が敗北した場合
危険と隣り合わせの『退魔士』が敗北した場合、大抵は死を迎えることになる。 だが、肉体的な性別が女性の場合は少し違い、凄惨な陵辱を受け続けた末、 『妖魅』の肉奴隷や、次代の苗床にされてしまうケースも少なくない。 女性『退魔士』の子宮から産まれた『妖魅』は、他に比べて強力な事が多い。 この性質に着目し、積極的に彼女達を『堕とす』事を目的にした連中は、 どの様な形質の『妖魅』であっても、相当数存在すると考えられている。 この陵辱行為は時に公衆の面前でも行われる事がある。退魔士協会等は 目撃者の記憶を消したりして、必死にこの事実を隠蔽しようとしている。 だがネットワークの発達もあり、とても全てを消去しきれないのが現状だ。 結果、アンダーグラウンドでは女性『退魔士』達の末路が流れる事など 日常茶飯事であり、少し裏に踏み込めば楽にその実態を知る事ができる。 が、事実を知らずに『退魔士』の道を目指す少女は決して少なくない。 これは、表向きの隠蔽が完璧な為だ。決して退魔士協会は、無力ではない。
『退魔士』と軍事能力
レベル(CL)の高い『退魔士』は一種の超人である。 何しろ独力で戦車や軍の一個大隊を軽くひねり潰せる 上級の『妖魅』とも戦えるのだから、その力は凄まじい。 一部の軍等では、優秀な『退魔士』を引き抜き自国の力とするべく、 合法・非合法を問わず、あらゆる手段を使うとも言われている。
『妖魅』との戦いの変遷
人類の歴史はそのまま、『妖魅』との戦いの歴史であったといっていい。 古代中国では妲己が殷の王室に入り込み、人と『妖魅』の争いを引き起こした。 日本では平安の頃から、鬼や土蜘蛛の蠢動に、武士や陰陽師達が立ち向かった。 中世欧州では、大規模な軍事遠征の影に他宗教との対立を煽る『妖魅』があり、 その影響を受けて対立の中を生き抜く交易商人達の姿も、また存在したと言う。 その欧州の人口を激減させた疫病の大流行、この病気自体は細菌の活動なのだが 最初の引き金を引いたのもまた、他ならぬ『妖魅』達だったのである。 二度の世界大戦では双方の陣営、その奥深くに『妖魅』達が紛れて接近し、 数々の蛮行を為したという記録が、非公式ながら確認されている。 (当然ながら、表向きではどの国も『妖魅』の力を借りた事は否定している) このように闇の眷属──『妖魅』は常に人類との敵対者で有り続けた。 直接的に破壊を繰り返したり人を襲うものもいれば、ある勢力の上層部に近づき、 その利害に協力する形で、様々な陰謀を巡らせたりするものも存在する。 どの国の法律でも『妖魅』と結託するのは重罪である。例えば強盗を計画した者が その実行犯に『妖魅』を使った場合、数ランクは上の別件で裁かれる事になる。 とは言え彼ら『妖魅』の力が、非常に便利かつ強力なものなのは確かであり、 その力を得て醜い欲望を満たそうとする輩は、全く絶える事がない。 そしてその歪んだ心に『妖魅』はつけ込み、その目的を達成するべく蠢動する。
アクエリアン・カタストロフ
これは西暦2097年(現舞台の十年前)に起こった『妖魅』達の大進攻を指す。 影響で『魔界への巨大な門が開かれた』とさえいわれるこの事件以降、 劇的に『妖魅』達の活動が活性化しているデータも、その規模を裏付ける。 この大進攻の特徴は、そのほぼ全てが『市街戦』であった事にある。 人間同士の戦争とは違い、唐突に現れる『妖魅』の集団の攻撃により 世界各地で悲惨な戦禍が巻き起こり、深刻な被害を残したのである。 三年間に渡って断続的に発生したこの戦争は、宝瓶宮の時代と言われる 21世紀に起こった為、『アクエリアン・カタストロフ』と命名された。
現在の地球
最初に述べた通り、基本的にこの世界は現実世界の延長線上にある。 だが大きな差異がある。その代表的な例が『魔法の実在』と『異種族の存在』。 加えて『科学技術の異常な発達』が上げられるだろう。
魔法の実在
この世界の人間にとって、魔法は身近な存在である。 なので遅刻しそうな生徒が教室に急ぐため《テレポート》を使っても、 特に奇異な目では見られない。(ただし、校則で禁止される事は有り得る) 交通事故等でもまず《ヒール》や《レイズ》で一命を取りとめた上で、 病院に運ばれ現代医療の恩恵にあずかる──というのが一般的な光景だ。 しかし幾ら身近に魔法の存在があるとはいえ、街中で攻撃魔法を使えば 改正銃刀法によって罰せられるし、《マジックロック》で鍵を開けて 勝手に侵入すれば。これも建造物侵入などの罪を問われる事となる。 あくまで魔法が使えるのは魔力と素質を持った人間のみとはいえ、 恐れられたり忌避される事は少なく、むしろ憧れの目で見られる事も多い。 だが、我々と社会常識がそう違わないという事には、気をつけるべきだろう。
科学技術の発達
『現代』では軌道上コロニーや、月面都市が建設されるにまでなっている。 だが、これらの新たなフロンティアにも『妖魅』はちゃっかり出現しており、 地球に比べれば頻度は少ないものの、絶対安全とは言い切れないのが現状だ。 またバイオケミカル系の研究は飛躍的に進み、倫理上の問題はあるものの その気になればクローン人間を作る事さえもできるレベルに達している。 特にこの分野で目覚しいのは、二酸化炭素の吸収効率が高い新植物の開発だ。 これらの発明により、地球環境の悪化はひとまず食い止められている。 またネットワークはさらに大容量化・超高速化しており、手軽に 仮想現実(バーチャルリアリティ)の世界を体感できる程に成長した。
異種族の存在
「アリアンロッド」シリーズに登場する種族は、全て使う事ができる。 原作とは違い、人間(ヒューリン)以外の彼ら異種族は、有史以来長きに渡る 『妖魅』との戦いで人間から分化した種族だ。例外はエクスマキナである。 彼らは古代より傀儡・ホムンクルス等と呼ばれ、人類の側にある存在であり、 最近ではロボット・アンドロイドという技術・通称が比較的よく使われる。 エクスマキナも含めたこれらの種族の間に、差別意識は原則存在しない。 (エクスマキナについては若干ながら専用の背景が存在する為、後述する) が、我々同様一部に倫理の偏った連中がいるのもまた事実であり、 種族的偏見に基づいた行動をしたり、美しいエルダナーンの女性や 少女型エクスマキナを取引するなどという事も、裏では行われている。
エクスマキナについて
エクスマキナはその身体構造上、自然発生により誕生する事はごく稀である。 当然、産み出す者は存在する。現在エクスマキナを大規模・迅速に量産する 技術を持っているのは『アークティカ』と呼ばれる国際企業のみである。 他の企業は数ヶ月かかって数体を作り出せれば御の字という状況であり、 これ以外にもハンドメイドのオリジナルエクスマキナ等が少数存在するが、 現在までの所、この機械の体を持った友人達を作り出せる業は、事実上 アークティカ社の独占技術である、と言って差し支えはないだろう。
エクスマキナ生誕から流通までの流れ
前述の通り、エクスマキナはアークティカ社の工場でその殆どが作られる。 が、その全てが退魔士としての能力を持つわけではない。他の種族に比べて 比率としては高いものの、(他の種族同様)決して確実と言うわけではない。 肉体の基礎フレームが完成した段階で(極力起動させずに)検査が行われ、 適性や能力の有無が調べられる。この検査段階で適性を確認された個体は 戦闘用にも調整される。(PC・ゲスト・モブ等が、此方に属するだろう) 一方能力を持たない個体は民生用に振り分けられる。(原則エキストラである) こうして調整されたエクスマキナ達は、受注先である退魔士協会や企業等へと 出荷される。そこで初めて起動され、特定の主人や共同体に仕える事となるのだ。 街にはエクスマキナの販売店も大小様々な形であり、個人で購入する人間は そこで条件に合う機体を探し出し、主人として自らを登録する事になる。
エクスマキナがいる風景
エクスマキナは一番新しい種族だが、街では最早珍しい存在ではなくなっている。 足の不自由な老人や病人の介助をする看護タイプはそこかしこで見かけられるし、 企業の警備員として制服を着た戦闘タイプも、銀行等で目を光らせているだろう。 一番多いのは一人暮らし用にと、家事を手伝わせるべくハウスキーパー型のを 大枚叩いて買うケースだろう。(それ故、俗称でメイドタイプとも呼ばれている)
エクスマキナと法律
エクスマキナは人の手で生み出された、被造物としての種族であるが、 意思を持ち独立した生命体でもある。“取引”は厳重な法規制の元で行われ、 大抵の人々からは、昔の奴隷のような扱いをされる事はなくなっている。 さらには主人が死別したり、一定の労務(主人に二十数年以上仕える等)を終えた エクスマキナは、『法律上、自分自身を所有できる』権利が法的に与えられる。 これにより所属に関係なく、一個人として生活していく事が可能となるのだ。 また、過度な虐待を加える事も禁止されている……とはいえ、彼らの身体構造的な 問題もある上、戦闘用エクスマキナが戦いで損耗した場合等は、判断が難しい。 その為、この法律はあまり機能していない。法改正の動きもあるが、挙動は鈍い。
法律の裏側
このように表向き、エクスマキナは法律で人間同様に護られている。 だが、その法律を守る気のない様な連中は、裏で非合法な取引を行う。 そこでは女性型が概して好まれている。彼女らには酷い仕打ちが行われており、 顔の形やスタイル、乳房の大きさや神経の感度までユーザー好みに調整された 性奉仕用のエクスマキナが並び、半陰陽処置などの極端なカスタムも可能だ。 こうした個体は表向き普通の物と同じだが、その性格やプログラムに到るまで 事前に弄くられてしまう。当然そこに自由等はない。事実上の奴隷売買であり、 暴露された時、大きな社会問題になっていく事は避けられない情勢だ。
アークティカ社
エクスマキナの大量生産技術を持つ、唯一の企業。関連の特許も多数保有する。 必然的にその利益は鰻登りであり、現在は戦闘型エクスマキナの生産効率を 高めるための研究等が、その潤沢な資金を元にして、盛んに行われている。 この会社の工場でしか、品質の整ったエクスマキナを多数確保する事はできない。 しかもその中で戦闘型の数は限られるとあって、警備用に購入を考えている企業は あの手この手で必要な数を確保しようと、様々なアプローチをかけている様だ。 だが最近、市場では根拠のない噂が蔓延り始めている。 『アークティカ社だけが量産技術を持つのは、“妖魅”と取引したからだ』 『エクスマキナの生産において、“妖魅”の素材が中枢部で使われている』 勿論アークティカ社は、この噂を全面的に否定している。 現在の所、それらの噂を裏付ける証拠も見つかっていない。
エクスマキナ倫理機構
各国政府が共同で設立した、第三者によるエクスマキナのチェック機関。 アークティカ社製のみならず、エクスマキナは必ずここの審査を受けねば マスターとの主従契約を認められない。その為、彼らを保護するための 実行機関の側面も持ち、専門のエージェントも有しているとの噂がある。
主な舞台~~東京~~
22世紀初頭の東京はさらに過密になり、肥大化を重ねている。 “超”のつく高層ビルが立ち並び、それらを空中の連絡通路が繋ぐという光景が ごく普通に見られるようになった……というよりはそうでもしなければ、 世界中から流入する人口を吸収できなくなった、というのが実情である。 並行して地下の開発も盛んに行われており、一時は地下30階にまで 到達するほどの巨大な地下都市も建設されるに到った。 ここまで過密になれば生活環境は一気に劣悪になりそうなものだが、 前述の新植物などの開発により便利で快適な都市になっている。 ここまでならある種理想の近未来都市なのだが、実際は甘くない。 『アクエリアン・カタストロフ』は容赦なくこの街をも襲った。
廃棄された地下都市
地下30階にまで達した巨大ジオフロントは、現在地下5階程までが運用されている。 というのも『妖魅』の度重なる侵攻で、深層部を完全に制圧されてしまった為だ。 地下都市の各所を結んでいた地下鉄網も殆どが強制的に廃線となり、現在では 昔ながらの地表直下数十メートルを走る路線しか使われていないのが実情である。 その後の調査で、地下10階以下に“『妖魅』の巨大都市”の存在が確認された。 報告に危機感を抱いた都庁は『退魔士』等を総動員、物理的・魔法的に “『妖魅』の巨大都市”と地上部の境界をひとまず遮断する事に成功する。 だがジオフロントの開発が進みすぎていたため、関係者ですらロクに知らない 多数の非常通路が事実上の隠しルートとなり、完全な隔離には至らなかった。 そのため地下5~10階の間は緩衝地帯となっており、一定以上の戦力を持つ人間、 厳密には『退魔士』だけが入場を許可される、事実上のダンジョンとなっている。 ここに入るには都の事前審査が必要だが、遮断後に設けられた秘密トンネル等が 各所に点在しており、それに誤って入った一般人を救助する事案が、後を立たない。 なお10階以下の“『妖魅』の巨大都市”に挑み生還した例は、ほぼ知られていない。
東京南東部
この辺り一帯は特に『妖魅』との戦禍が激しかった為、全く復興が為されていない。 そのため、殆どギャング化した暴走族や武装したヤクザ、外国から進出してきた マフィア・テロリスト等、曰く付きの輩が非合法な拠点を作り、好き勝手している。 ホームレス等の姿も多く、善良な一般市民なら、まず立ち寄らない[[エリア]]である。 彼らにとっても『妖魅』は基本敵なのだが、中には手を組んだ連中もいるらしい。
私立新城学園
男女共学・エスカレータ式の、幼稚舎から大学院まである私立マンモス校。 学力は上から下まで幅広く、平均すると中の中という何でもありの学舎である。 経営難に陥った複数の学校法人が合併、全生徒を巨大キャンパスに集めたためだ。 学園の気風としては、歴史の浅い事もあってか“実績”を作る事に執着しており、 勉強・スポーツ・文化活動、果ては退魔行に到るまで、生徒を幅広く支援している。 このためライセンスを持った学生『退魔士』が腰を落ち着けるのに丁度よく、 退魔士協会との仲も現在の所良好である。当然、在籍数もかなりの物である。 だが実績を求めすぎ、一部教師が周りを顧みない行為に出ているとの噂もある。
退魔士協会
かつては陰陽寮と呼ばれる国直属の機関だったが、時代と共に増えていく 『妖魅』に対応するべく、民間の術者も受け入れる総合退魔機関へと成長した。 民間企業だが、組織のトップは名目上『退魔士』達の頂点に立つとされている。 とはいえ協会としての仕事は『退魔士』の育成と斡旋、『妖魅』に敗北した 『退魔士』の救出や情報封鎖が主であり、あまり派手な活動はしていない。 ただ日本での退魔ライセンスを、政府の委託を受け発行する唯一の機関であり、 外国人でも審査を受ければ退魔許可を受けることができる、重要な企業である。
警察部隊『ヴォイドシーカー』
『アクエリアン・カタストロフ』以降に結成された“初の”警察による 対『妖魅』実働部隊。それまで日本では退魔士協会の権威が極めて強く、 退魔行の殆どを彼らに属する『退魔士』が行っていた。しかし、三年間の 戦争を経て爆発的に『妖魅』の事件が増えたため、ついに警察内部でも 問題視され、専業の治安維持部隊が設立されるまでに至ったのである。 部隊の新設に当たって各方面に無理を言って人材をかき集めた上に、 わざわざ独立した庁舎を構え、傘下に退魔用アイテムの開発機関を揃える等、 潤沢にも程がある大量の予算──勿論、税金である──が投入された。 そのため実力は折り紙つきだが関係各所との仲は良い方ではなく、 民間の『退魔士』とのトラブルも多い、曰付きの新設部隊である。
総合バイオケミカル系企業『アクハト』
扱う分野は化学、生命工学全般。22世紀『現在』において必要不可欠な技術 (前述の二酸化炭素高吸収植物や、安全な人造食用肉等)を開発したため、 一躍世界のトップ企業に躍り出た、新進気鋭の一大カンパニーである。 研究者をとことん厚遇し、新規研究にも半端でない金を惜しみなく注ぎ込む。 この為、次々に新しい商品を開発するなど、勢いは全く衰える気配がない。 またこのスタンスは広く知られており、学生達の就職先としても人気が高い。 が、その一方で『なりふり構わず』研究を進める……と一部噂になっている。