『その玉座は凡人を拒む』
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概略:
ENの”西行寺利一”パーソナリティにて収録。
登場人物:
「ひまだなぁ……」
八王妃警察署事務室。同僚たちは全員事件へ足を運び、俺は一人暇を持て余していた。仕事? ああ、仕事ね、やんなきゃね、うん……暇だなぁ。
暇つぶしに本でも読んでいると、部屋に執事服を着た初老の男が入ってきた。
暇つぶしに本でも読んでいると、部屋に執事服を着た初老の男が入ってきた。
「西行寺様、ただいま戻りました。じいやです」
「……キミ誰? 一応ここ関係者以外立入禁止なんだけど」
「……キミ誰? 一応ここ関係者以外立入禁止なんだけど」
俺の執事のじいやを騙る男に向かってそう言い放ち顔を上げると、偽物が怪訝そうな顔を浮かべていた。動揺したり変装が乱れたりしないし、雰囲気もじいやのまま、なかなか優秀だなこいつ。
「これは面白い冗談でございますね、西行寺様」
「優秀だねキミ、まあほぼ100点あげてもいいんじゃない? よく真似出来てるよ、強いて言うなら俺の事を西行寺様、なんて言わなければ完璧かな」
「優秀だねキミ、まあほぼ100点あげてもいいんじゃない? よく真似出来てるよ、強いて言うなら俺の事を西行寺様、なんて言わなければ完璧かな」
じいやと全く同じ見た目、仕草をした侵入者の笑顔が固まる。
俺が偽物だと確信していることを察したそいつは諦めたように本来の姿を表した。
俺が偽物だと確信していることを察したそいつは諦めたように本来の姿を表した。
本来の姿は、一言でいうなら子猫のように愛くるしい見た目の美少女かな、妹キャラって感じ。雰囲気的に裏の人間、纏う血の匂いから恐らく本業は暗殺者。あの変装能力と可愛らしい見た目ならさぞかし仕事も楽に違いない。いいなー。
「私の変身がこんなに早く見破れるなんて久しぶり。流石は西行寺グループの当主ね」
「褒め言葉なんて聞き飽きてるよ。それで、用件は? あんまり俺も暇じゃないんだよね……いや結構暇だわ」
「ふふっ、面白い人」
「褒め言葉なんて聞き飽きてるよ。それで、用件は? あんまり俺も暇じゃないんだよね……いや結構暇だわ」
「ふふっ、面白い人」
可愛くて才能もあるなんて最高だな。普通に欲しい。用件によっては報酬代わりに雇っちゃおうかな? 変身能力なんていくらでも潰しが効くし、相場の二、三倍ぐらいなら全然だせる。
待って、暗殺者ってことは俺殺されるんじゃない? 一体なんの理由があって、心当たりめちゃくちゃあるな。……いや、だったらもう殺されてるか。こいつ多分俺より強いし。
じゃあ理由は……人脈、探し人だな。俺の事を鑑識じゃなくて当主って言った時点で金か人脈か情報。仕事と金に困るように見えないし、何となく勘だけど人探しなんだろうなぁ。
……なんか引っかかるな。あ、思い出した。UGNの知り合いの話で追われてるオーヴァードがいるって話。その話の内容的にこいつの正体それか。
待って、暗殺者ってことは俺殺されるんじゃない? 一体なんの理由があって、心当たりめちゃくちゃあるな。……いや、だったらもう殺されてるか。こいつ多分俺より強いし。
じゃあ理由は……人脈、探し人だな。俺の事を鑑識じゃなくて当主って言った時点で金か人脈か情報。仕事と金に困るように見えないし、何となく勘だけど人探しなんだろうなぁ。
……なんか引っかかるな。あ、思い出した。UGNの知り合いの話で追われてるオーヴァードがいるって話。その話の内容的にこいつの正体それか。
「それじゃあ気の短い当主様に手短に用件をお話しましょう。私は……」
「『殺されたくなかったらキミのお兄ちゃんの“最優のシャルル”を探す手伝いをして欲しい』って所かな? シャトランジュちゃん」
「『殺されたくなかったらキミのお兄ちゃんの“最優のシャルル”を探す手伝いをして欲しい』って所かな? シャトランジュちゃん」
意表を突かれた彼女は本当に驚いたようで、目を見開いたままたっぷり10秒ほど固まっていた。……なんか申し訳ないな。
「……あなた、一体何者なの?」
「ごめんな、俺ただの金持ちだからさ」
「ごめんな、俺ただの金持ちだからさ」
さあ、楽しい商談の始まりだ。