『全ては一冊から始まった(後編)』



[登場人物]  (三嶋瞳、小宮、)堂下浩次







「えぇ、本……ですか? 私に」


話は数ヶ月前に遡る。


「はい…!」

都内。昼休憩の最中。
レトロな喫茶店にて、テーブル席にコップが二つ対面する。


「いや、私……純粋に貴方様──、三嶋社長を崇拝してまして。社長が新聞などに寄稿されたコメントやコラム…全部読ませてもらったんですが……」

「…はぁ、」

男は、注文したデラックスパフェを一口入れると、目を輝かせ舌を回し始めた。


「まさしく『ニュージェネレーション』……! 我々、旧世代の社会人…よもや企業家すら思いつかなかった新感覚のビジネス論に…感動したんです……! …つまり、」

 ニヤリっ。
と目を合わせた後、男は名刺を差し出す。
『宝鳥社 担当編集者 小宮 哲也』と灰色かつ部分的にキラキラ輝いた名刺。
それを見て少女は、思わず息を呑む。


「これは本にすべきなのではないかと……っ! 本日私はそう依頼に、三嶋社長をお呼びしたわけなのです」

「…はあ。とりあえず、お褒めに預かり光栄です」


 紙は、舞い降りた。

 少女──三嶋瞳の元に、執筆の依頼が突如来たのである。
瞳はオックスフォード大学卒業後即企業し、今や大手コンサルティングのトップとして数十億稼ぐ若社長として(世間一般では)有名。
その童顔さもさることながら、圧倒的カリスマと仕事に対する敏腕さから多くの同業者から崇拝されている彼女。
日夜スケジュールが埋まり、多忙を極めるそんな三嶋瞳に本の執筆依頼とは。
正直、編集者・小宮も心中はダメ元であった。


「話が急すぎて正直…「う~~ん」って感じではありますが……」

「あっやはり……。いえ。三嶋社長。それはもちろん今すぐ決める必要は……」


 が、中学生の頃から一日何十件もアルバイトをこなし、スケジュール帳が真っ黒だった瞳にはもはや慣れたこと。
この程度の仕事なんて、引き受けて当然だった。


「ふふっ。まぁちょうど良かったです」

「…えっ?」

「私の理論が…。社会人の皆様に役立てるようであれば光栄中の光栄ですから、ね」

「…お、おおっ……!」


「前向きに考えさせてもらいます。ぜひ!」


 瞳は二つ返事で受諾した。
もっとも以前から本を書いてみたかった、なんて思いが軽く含まれているのもある。
こうして始まった三嶋先生の執筆活動。
了解を得た編集者が「バンザ~イ!」と立ち上がり雄叫んだのは若干違和感だったが、この日はこれにて解散。


「ふう、っと…」

帰社するや否や、瞳は早速ワープロを立ち上げる。
本格的に本を書き始めたのであった。


   カタ、カタカタカタ

 カタカタカタカタカタ



「とりあえず…こんな風に書いて……」


 自室にてタイプ音が波に乗る。
仕事は請け負ったものの、正直、瞳に自信はあまりなかった。
なにせ彼女はまだ十六歳。
当然、執筆経験なんてさんさらないので、ベストセラーのビジネス本数冊を参考に八苦しながらの出だしとなる。
小学生時代、作文で褒められた経験はあるものの、物書きといえばそれくらいだったので不安は残る。


(そもそも私自身、ビジネス論なんて持っちゃいないしー……)

 だが、これも天賦の才だったのか。
基本の『型』を理解すると、不思議と筆が乗っていった。
それはまるで取り憑かれたかのような。


「いや…待て。……我ながら結構いい文が書けたのでは?」

 気づけば瞳は、一章二章と楽々書き続けていた。


 カタ…
  カタカタカタカタ…

   カタッカタッ…カタカタカタカタ



 例によって、ある晩のこと。
時刻は二十三時過ぎ。
ワープロを前に、ぎゅっと眉間を指で押した瞳はぼそっと独り言を吐いた。

カタンッ。


「うん、よし。今日はここまで、と」

物書きとしての情熱が開花されたとはいえ、瞳は合間の時間すらほぼないベンチャー社長。
普段の業務に支障をきたすとまずいから、と。
無理せずコツコツにをモットーに、ベッドに眠ることとした。
睡眠は現代社会人にとって最低限必要不可欠。
布団を肩まで被り、目を閉じる。
束の間の無思考時間。明日に備え、ぐっすりと眠りに落ちていく…。


(………)



しかし、だ。


(…っ!! そうだ……!)


(ここに関しては、「~情熱を持った仕事で」で閉めたほうが文章の繋がりがいいじゃんか!!)


 瞳は突然、ガバッと起き上がる。
向かう先は、パソコンの置いてある机。


  カタカタカタカターー…


 執筆中よりも、何もしていないリラックス中のほうが良い文章というのが閃くようで、そうなるともはや寝る間など惜しんでいられなかった。
筆がノリ続ける瞳。


「はははっ、もう止まらないじゃん…! 文章書くのって…」

彼女は、この短期間で既に『覚醒』していた。


「楽しいっ!!」


 そういった具合で、瞳は移動中のタクシー、昼休憩、はたまた業務中のほんの数分生まれた合間を使ってでも書き続けた。
気がつけば、第三章、第四章までと書き上げ、その原稿を編集者に送った際、反応も良好。


〘小宮様 へ。〙
〘第四章が完成しましたので、お送りします。〙

↓ピロン↓

『三嶋様 へ。〙
〘拝読しました。素晴らしいっ……! 直す箇所など0!! 早く、早く続きを読みたいです…!!』



「…やった! よしよし…!」

 と、いった具合にOKの連続。
編集者の言う通り、大きな直しなど一つもなく、わずか一ヶ月で。


 カチッ


「よし、送信…と!」

 最終章も書き上げた。
その内容というのが、既存のビジネス論を理解した上で否定し、新しい観点から仕事のあり方を解説していくというもの。
これまでの瞳の経験を存分に書き上げた集大成で、書いた本人も陶酔するほど満足のいった文だった。
縦読みでこっそり「自分は経歴詐称だ」と訴えを差し込んだ箇所も含めて気に入ったらしい。

 完成した夜、会員制バーにて瞳は呟いた。
ノンアルコールのグラス片手に、氷が溶け動く。
達成感に酔いしれる、というか。新たな自分の可能性を噛み締めた様子であった。


「…ふふ。私向いてるかもしれないんです。案外…」

「ほお。と、いいますと」


カタカタ…とカウンターを指で鳴らし、瞳は説明した。


「書くことに、ですよ…!」




 で、翌日。
喫茶店にて。


「それでは三嶋先生、執筆お願いします」

編集者は万札の束をドサッ、と机に叩きつけた。周囲の客は注目せざるを得ない。
手元には、クッシャクシャになった原稿の茶封筒が…。


「えっ?? え? それはどういう…、」

「全部書き直しです。これは、原稿料ということで」


 瞳の言葉を遮ってまで、『リテイク』を突きつける。
注文したデラックスパフェのチョコを口にした後、編集者は平然とした顔で諭吉の束を差し出してきた。


「な、なな、何でですか?! あ、あれだけ大絶賛してたのに、その掌返しわけわからないですよ?!!」

「うーーーーーん…。僕も上手く口にできないですけど、そら最初は良かったですよ。でもさ、通しで読んでみたらなんというか…凡庸な内容かなー、ていうか…」

「はっ、はぁあ…、……?? 凡庸…?!」

「先生ならもっと上手く書けると思うんですよ…。あんぐっ、パクパク。…んだから、まぁ期待を込めて没かな、っていう」

「なっ……。そんな……、……おまっ……」

「んじゃ、また二週間後にお願いします! 三嶋先生!!」

「いや締め切り付きでっ?! …って」


 気づけば、スタコラサッサと編集者は喫茶店を後にした。
残ったのはゴミのように放置された原稿のみ。
もはや差し返すことのできなくなったテーブル上の札束は周りの目が痛く、仕方ないので懐にしまったが、瞳は絶望の眼差しで大きくため息をついた。


「書き直しって……」



「私の一ヶ月は……、なんだったの……?」



 帰社後、さっそく瞳は一からの構成を立て直した。
カタ…カタカタ……カタカタ
プロットから見直し、以前書いた内容とは真逆の主張を綴ったり、気に入った文章だけは主張そのままで表現を膨らませたり。
章を増やして、彼女は書けるだけ書き換えてみた。
二週間まで、という謎の期限付きである。
以前は楽しく趣味として書いていた本も、今では課題をやらされてる感覚で苦痛だった。


  カタ…カタ…
 カチン……


〘小宮様 へ。〙
〘最終章が完成しましたので、お送りします。〙

↓ピロン↓

『三嶋様 へ。〙
〘拝読しました。最高じゃないですか…! 明日、喫茶店で出版のお話を是非しましょう!!〙




「はぁあ──────……。やっと、終わった」


 それでも己の全てをぶつけて、瞳は書き上げた。
完成したのは、締め切りまで残り十時間に至った深夜だという。




次の日。
昼下がりの喫茶店…、


 ジャバジャバジャバ────────ッ。

「なっ????」


瞳の原稿に、熱々のブラックコーヒーが注がれた。


「なっ、なななぁ────────────────?!?!!!!???!」

 瞳が注文したコーヒーを、平然とした顔でぶっかける男──、編集者・小宮。
彼は誤ってこぼしてしまったわけではない。
むしろ、誤っていた方が瞳にとっては良かった。


「やり直しです。先生」

 そう言うと、小宮はまたしてもバンッッと万札束。──厳密に言うと前回の金額の十倍のそれを、テーブルに叩きつける。
ただでさえ痛い周囲の注目が、余計に濃くなっていく。


「お、お客さま!! 火傷は大丈夫でしょうか…、」

 当然、ウェイターが慌てた様子で来たが小宮は完全無視して瞳のひとみを見続けた。
先ほどの札束を叩きつける勢いといい、ギラギラした目といい、心中かなり激昂していることが察せる。
──対義して、ポタポタと零れ、濡れ果てた原稿の束は哀しいくらいにしょぼくれていた。


「いやー、すみません先生。崇拝する三嶋先生がこんな駄作を書いただなんて、私許せなくて。あんぐっ、パクパク」

「がっ…あが……いや………」


「だから、先生の名誉を守るため『無かったこと』にさせていただきました。はい、無しです。無し」


瞳は無理やりにでも言葉を振り絞ったが、出たのは一言が限界だった。



「んなっ……プレバトの俳句式…………」


 気づけば、小宮はパフェ代の会計を済ませ、今にでも帰ろうと出入り口付近に背を向ける。
帰り際、彼はやたら大きな声を瞳に飛ばした。
──こころなしか眼も飛ばしたように感じる。


「では、また三日後。喫茶店で! お待ちしてます!!」


ガラス張りのドアを蹴り上げ退店する編集者。
後にはポツリと、三嶋瞳が残されるだけであった。





〘小宮様 へ。〙
〘せめて、どこが駄目なのか教えてください。自力じゃもう分からないですよ!〙


 このメールは未だ既読さえつかない。
丑三つ時。
暗い自室にて、ワープロとにらめっこ状態の瞳。


 カタ…………

     カ、タ……



「はぁ…あが…ぁああ……」



  カッ、タ…



「あ゛ぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」


彼女はもはや一文字たりとも進むことができなかった。
スランプ──あまりにも理不尽なやり直し。

 本来なら瞳は気づくべきだった。
このあまりにも理外な直しの要求を受けた時点で。
いや、もっといえば。
執筆依頼するファーストコンタクトの時、悪びれもせずデラックスパフェを頼んでいる時点で。
小宮という男の、編集者としての能力の怪しさに。
我を無理やり通して、言ってしまえば自分の権利を行使してでも最初の原稿で通すべきだった。


 だが、無理。
彼女には無理だった。


 カタ、


  カタ、カタ


 タ………



「がっ、へ、…へへへ…ははっ…! は…!」


 何故なら、彼女は頼まれた仕事はどれだけ無理なものでも断れない性格だから。
クライアントの要求を飲み続ける人生をずっと送って来た彼女なのだから。
三日で一冊書き上げるため、隈を深くしてでも尽力した。

 そして、締め切り五時間前。
真っ暗だった空が薄い水色に変わり始めた頃。ついに。


「もう、これで……いいや……」


「適当なベストセラー本の文章を、丸々コピペして……」


 カチッ



「完成、っと…………」




「ぶふっ……! ふふふふ!」


度重なる疲れで、笑動的な震えが止まらない三嶋であった。





 そして、三度目の正午。
喫茶…、


「地上げ屋かァアアっ!! 三嶋ァ!! お前はっ……!!? どれだけ金を積めば満足だァア……?!! 金をっ!!!」

「ひっ!!?」


バリッ、

 ガシャアン──。



 札束が叩きつけれた先は、デラックスパフェ。
ガラス片が四方八方飛び散り、瞳の顔にクリームがぴっぴっと飛散していく。


「お客様?! ど、どうされましたか…?!」

「えっ?!」「な、なに??」


 ざわっ…
ざわっざわ、と喫茶店は一躍小宮の独壇場と化す。


「目を覚ませっ…!! 瞳を覚ませよ、先生っ!!!! 何のためにお前は書いてるんだ?? ええ?! この鬱屈した社会にて革新ビジネスを伝える…そのためだろうが…っ!! 違うか? 違うかァアアア!!!?」

「………ちょ」
(やっぱり手抜きバレたか…)


「確かに全体を通して新感覚というか、味わったことない文章でしたよ?! でも、この程度が三嶋先生かって、そうじゃないでしょうがっ…!! ねえ!!!」

(いや気づいてないんかいっ!)


 小宮という男はもはや常軌を逸していた。
開口一番ブチギレたかと思ったら、今度は額を床に擦り付けグリグリズリズリーッと土下座をしてみせる。
客、店員、奥にいる料理長。周り一帯のドン引きしまくった視線が瞳にとって物凄く辛かった。
自分は被害者の側なのに。
こいつと同セットで見られているのがはち切れそうなくらいきつかった。


「お願いしますっ…!! 三嶋先生!! 本気を出して書いてください!!」

「貴方様のような方にはこんな場末の出版社に本を依頼されるのはさぞつまらないでしょう……!! ですが、どうか!! どうかこの通りっ……!!」

「熱意を…っ!!! 熱意を注いだ本をお書きください!!!」



「先っ生ぇ~~~~~~~~~~~…っ!!」


言わずもがな、原稿用紙はグッチャグチャに丸められていた。





〘サラリーマンが少女に白昼堂々土下座…。三嶋瞳社長の黒すぎる噂。〙


〘「お願いします。お願いします。」〙

〘若い男性が、眼鏡の少女に土下座をする異様な光景。彼を前に立ち尽くすは、なんとあのネットで話題沸騰だった若社長・三嶋 瞳氏(26)だったのだ。〙

〘男性がなぜここまで懇願しているのかは定かでない。しかし、ただごとではない事態なことは確かと言える。三嶋氏の恐ろしい裏の顔という訳か。経済ジャーナリストの田宮氏は、語る……〙



「んだよ、これ…」

 デスクを前に、瞳は頭を抱えた。
検索エンジンを開くとデカデカとピックアップされていたのが、これ。
コメント数からしてお祭り騒ぎなことは想像も容易い。
もはやこうなった以上、心配なのは本どころじゃない。株価だ。
完全なる風評被害とはいえ、自社のネガキャンに繋がるやばいニュースが飛び出たのである。
なんとかしなくてはならない。なんとか。


(損切り…すべきだった……。本なんかっ……)

 瞳は後悔した。
自責点は0点だが、元はといえば必要ない『執筆』という仕事を引き受けてしまった自分のせい。
仕事の取捨選択をすべきだった、と今はとにかく心中戒め続けるのであった。



そんな矢先。
電話が爆音を鳴らし始めた。


「……え」

連絡先には「宝鳥社 編集部」…と──。


『あー、もしもし。三嶋さんですよね』

「あっ、てめっ…!! どっどうしてくれんですか!! なんなの……。私、なんも悪くないですよね?! おかし…、」

『担当の小宮が有給を取ったので変わりました。私、里田と申します。えーとですね』

「…え?」

『昨日没になった原稿ですが、すごく良かったので出版決定しました』


「……え??」


『おめでとうございます。ついでに、没にされた第一原稿も出版化しました。というわけで、後日、印税とか諸々の話をしたくご連絡をさせて頂きましたので、日程の………────、』



え???






 数ヶ月後、三嶋 瞳 著『私だから伝えたい ビジネスの極意』が出版。
そして、即重版。炎上も即風化。
ビジネス本としては異例の百万部を売り上げ、働き方改革に大きな一手を打ち出したという。




「…なんだったんだよ。この期間は……」


渡されていた万札束はテキトーな財団に全額寄付した。





…挫けそうになるかもしれません。
そんなときはこの本を覗いてみましょう。
これを書いたのは、あなたと同じ熱意を持っていた私なんです。

いつかあなたのビジネスが軌道に乗って、この本を離れることを願いつつ。
それまで、私があなたに本を通してつきっきりで、社会についてサポートさせていただきます。
お粗末な文章ですが、お付き合い。よければお願いします。


(『私だからこそ伝えたい…ビジネスの極技』-宝鳥社 二頁より抜粋)





(うぐっ…うぐっ…うぐっ…!!)

 時は変わって現在。
ド深夜の渋谷。言わずもがな、バトル・ロワイアル中である。


(うぐっ…!!)


ボロボロ、と。
涙が止まらなくて止まらなくて仕方がない漢がいた。
やかんの湯なんかよりも熱い、熱すぎる。
そんな男泣きが。涙が零れつづけていた。


「すごいっ…! 読んだこと…ねえよ……!! こんな名文をよおっ…!!」

 男には、理想があった。
理想の男像、人間像があり、それに向かって日夜厳しい運動で身体を鍛えあげてきた。


「すみませんでしたっ…!! 私が悪かった…。極悪人だっ…!! 殺し合いに乗るだなんて…だいそれた過ち…!!」

 だが今宵、その理想像が虚構かつちっぽけだったことを知り、男は打ちのめされる。
全ては支給品である一冊の本から知った。
真の理想、とは。
それはまさしく本の著者である──、


「三嶋瞳先生……っ!!! ですよねっ……!!!」


 男は荷物を放り投げ、駆け抜けた。
涙はまだ止まりを見せないが構わない。
コンビニを、居酒屋を、ビルを、光の速さで追い抜いていく。
男が猛ダッシュする目的地──、それは理想の人間の元。


 ────「『参加者名簿』っかぁ。えー、ライオス…野原ひろし…『三嶋瞳』…内笑美利…なんか色々いるな!」


「ぜえ、はぁはぁ…はぁ…、待っててください…!! 三嶋大先生…!」


 理想の崇拝する人間が、偶然にもこの殺し合いに巻き込まれていたことは既知していた。
彼女を守りたい。
そして、保護した暁には、この殺し合いという腐ったゲームを崩壊させる。
絶対に。
この自分が。

固い決意という名のボールを抱き、ラガーマンはフィールドを蹴り飛ばしていく。



  『ペンは剣より強し。』
  (──一九世紀イギリスの小説家・劇作家・政治家リットン(Lytton))



「三嶋大先生ぇ────────っ!!!!! 私が…、──堂下浩次が、貴方を全力でお守りすることを誓いますっ!!!!」



瞳の情熱は、バカに火をつけた。



【1日目/A7/街/AM.03:20】
【堂下浩次@中間管理禄トネガワ】
【状態】疲労(大)
【装備】なし
【道具】本『私だから伝えたい ビジネスの極意』
【思考】基本:【対主催】
1:三嶋瞳大先生にお会いして、忠誠を誓う
2:殺し合いを終わらせる


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堂下 040:『未来はオレらの手の中
最終更新:2025年02月20日 21:07