『札付妹! キョーコちゃん』









●REC

00:01


『あー……あー……。うん、これで一応録れてるよな……。よし』



『これを聴いてるのがうまるなら、本当は良いんだけど……。そう上手くはいかないよな…』

『…という事で、このレコーダーを拾ってくれた人へ。言葉を遺します』



『俺はタイヘイ…『土間タイヘイ』っていいます。普通にサラリーマンやっていて、結構年が離れた妹が一人いるのですが──』

『どうか、どうか。これを聴いてくださった方へ』


『厚かましいのは重々承知ですが、…どうかその妹・うまるを保護してくれないでしょうか。──…特徴としては……うーん…フード被ってて……面倒にかかる女学生がいたら十中八九うまるです』

『…俺もできるだけアイツと合流するよう努力はするのですが。……どうか本当に、保護をお願いします』




『……それと、』


『もし、貴方がうまるに会うことがあれば。ですが、この録音をあいつに聞かせないようにしてください』



『──…多分あいつの性格上、かなり精神的にきちゃうと思うので、できればこのレコーダーは廃棄してもらいたいです。……はい』




『………とりあえずこれくらいで良いかな…』




『俺からは以上です。一旦切ります』



 ブツッ─────



00:57






 数日前、何となく寄ってみた神社でお参りをしてみた。
…神社に惹きつけられた理由なんて大したものでもない。
あの日は無音の深夜。トラブルによる残業でメンタル的にもかなり疲労していたんだと思う。
五円玉を放り投げ、パンッパンと手を叩き「うまるがちゃんと自立できますように」──…とか、若干壊れちゃってた俺はそんな思い返すのも恥ずかしい行動を取っていたんだ。

────今思えば、あそこで俺は変な疫病神に取り憑かれたんだろなと思う。


それからというもの、叶課長とアレックスくんが揃って流行り病で高熱状態。
そのおかげで集中的に俺に仕事が集うようになり、ボンバと二人協力の残業デスマッチが始まった。
……こんなことを言うのも気が引けるけど、よりによって『ボンバ』だけが健康に出勤してたのも過労の原因だった。
帰宅時間が遅れる日々なものだから、当然うまるの不満も日に日に大きくなる。
「お兄ちゃん遅いじゃん!!」とか、「ブラックすぎでしょ!! ワ◯ミか電2に働いてるわけ!?」みたいな文句はまだ比較的可愛いモノ。
「…あっ、お兄ちゃんもう帰ってきたの…」──と、深夜一時過ぎにて散らかり放題の我が家を見たときは、天から舞い降りし天使たちの幻覚を見てしまった。……ほぼ召される寸前だったんだ、俺は。

疫病はミジンコのような小さなとこも細々と舞い降りてきた。
サイフを電車で落としたり、タイムカードを紛失したり、パソコンがいきなり再起動したり、重要会議の書類を本場が忘れたり……、とにかく怒られ三昧トラブル三昧で。
我ながら、この鋼メンタルの強さに有難みを感じるここ数日だった。


「……で、最終的には『バトル・ロワイアル』…というわけだが。……やっぱり行くべきだったかな、お祓い………」


ふと、うまるたちと遊んだパーティーゲームを思い出させられる。
『桃太郎…なんだか』というゲームだけども、それに出てくる貧乏神キャラがまんま俺に取り憑いた印象だ。
思えば、あの日以来やたら浪費…というか。
俺のカードに見覚えのない一万円の請求が来たのだから、金銭面でもジワリジワリ不幸化してるのは確かだな…。


「──って、それはうまるの仕業か…!! あ、…あいつめぇ…………」




 …とまぁ、なんだかんだでこの不幸の珠々繋ぎは現在にも至る。
というのも俺の、いわゆる支給武器がとんだ大ハズレというか……、…まぁ『これ』の紹介は後回しでいいか。
俺が今現在いる場所──つまりワープ初期位置はパチンコ店だった。
…うん、噂には聞いていたがとんでもない喧しさだ。
ボンバのやつ、よくこんなペットショップみたいな騒がしい店に通えるな……、と皮肉抜きの尊敬が込み上げてくる。


「……いや本気でうるさい…。頭がどうにかなりそうだ」


隣の筐体からビキニ姿の二次元少女と目が合う。
微笑みかけるブロンドの彼女……。
…ごめんな、許してくれ。
どれだけ「こっちよ~こっちよ~」と語りかけても、俺は今遊んでる暇はないからな……。
第一、パチスロのルールとかやった事ないから分からないし。


「…出るか。とりあえず………」


 一呼吸…──溜息混じりのそいつを吐いて、俺は出口へ足を運ぶことにした。
…出口へ向かう──……といっても、さっき言った通り俺はパチンコ店ビギナーなので、探り探りに店内をウロウロするだけなんだが。
とにかく、適当に歩き回ること十数分。
パチンコ台に次ぐパチンコ台……、眼精疲労の時見たら目玉が爆発するんじゃないか? ってぐらいのチカチカ迷路。
雑音に次ぐ雑音の嫌になる環境の末。
ようやく俺は────…、今自分がいる場所が『四階』であることを知らされた。


「………ふう……」


目の前にて流れていくエスカレーターと、横の館内案内図……。



「…………とりあえず、飲むか…」


今は一旦小休止…というか。
近くに備えてあった自販機から缶コーヒーを取り出した。

──…さっきも言ったが、十数分だぞ…。『十数分』。
【十数分間】彷徨うほどこのパチンコ店はとてつもない広大さだというのに、ましてやまだ四階。
出口に着くまで三階分また迷路をウロウロしなきゃいけないだなんて………。
…さすがに体が、これから迎える悪夢に備えて休息を欲していた。

立ちながらコーヒーを喉に流し数十秒。
特別喉が渇いていたわけではないが、なんだか妙に飲みたい欲望が発してしまい、一気に空にする。
カフェインと少量の糖が胃に吸収されて、脳が眠気覚ましの準備を開始…。
数分したら起こるだろうカフェインハイを待たずして、俺はエスカレーターに足を置こうとしたその時。




「……ーい……──」





「──…おーい………──」







「──…おーーォいッ!!!!」



 …俺はとうとう参加者の一人と出くわしてしまった。
パチンコ台迷路からズカズカ…とこちらに向かって速歩きしてくる──『彼女』。


「うわ…うっ……!!」


恐らく俺に向かって呼びかけてるのだろう彼女と目が合い、思わず顔が引きつってしまった。
というのも、うまると同世代──女子高生らしき彼女は、髪が金髪の真っ黄色。
…金髪といっても頭頂部は黒色なのでプリンのような髪色なんだが、彼女はプリンアラモードみたいなチャーミングさは一切ない表情で。
木刀を振り回しながら、こちらを睨みつけ近づいてきていた。

そんな容姿の彼女にガンを飛ばされるサラリーマンの俺。

……これってまるでヤンキーの親父狩──…、


「おいテメェ!! なんでさっきからあたしのこと見てんだッ?!! あァア?!!」

「…おわっ!!」


…知らない間にものすごく距離を縮まれていた。
俺の右腕あたりで体を思いっきり近づけ、ジロジロ視線を飛ばしに飛ばす彼女……。
俺はさっそうどうすべきか…どう話せば穏便に済むのか…………、悩ましかった。


「…いやっ!? 『何あたしのこと見てんだ』…って君が呼びかけたんじゃないかっ!!」

「…………………………あ?──」






「──………チッ!!…」

「ちっ、って…………」


…彼女自身よく考えもせずどなり散らした結果なんだろうか。
俺の返答に、まさしく『ぐうの音も出ない』といった感じで舌打ちのみを返された。
……な、なんなんだこの子は……。
というか、これにて絡みはもう終わりってことなんだろうかな…。


「…って、ンなもんはどうでもいいんだよッ!!! おいッテメェ!!!!」


…あぁ、まだ用件があるのか……。



「な、なんだ??(テメェ…って……)」

「テメェメガネくんよお、この辺でイカれた女見なかったかよッ?!」

「…え? なに?? いかれた女って……」

「…あー、分かったわ。見てねんだな。…クソがッ………!!」


…やべー女なら僕の目の前にいますよ。…とは口が裂けても言えないものだった。
会話途中に気付いたが、彼女の制服は千葉の高校だ。
あそこは確か県内屈指の高偏差値で、それこそ俺やうまるが通った学園のとほとんど同じクラスの優等校な筈なんだが………。
もしや、彼女は誰かしら千葉の高校生徒から制服をパクったんじゃないかとふと…──、


「ンじゃあ、テメェ『リボン』は見なかったか?!! リボンは!!」


…一人考える間も与えられず、彼女は怒鳴り散らしてきた。


「…え? リ、リボン…か??」

「あぁ…。いや、なんつぅーか……。『お札』だっけな………。あぁぁーー……」

「…お札??」

「…チッ!!! とにかく赤くて長い布みたいなん落ちてなかったかって聞いてんだよ!!! おいっ!!!」


スーツを乱雑に揺さぶり彼女は大声を上げてくる。
落とし物か何かなんだろうか、そのリボンを探している様子の彼女。
…理由は定かではないけど、彼女からは凄まじい焦りの様子が見えた。



  ──Why?(なぜ彼女はピクピクと焦っている?)



俺は乱れたスーツを整いながら、落ち着いて口を開いた。



「…悪いけど見ていない」

「あ?! あークソがッ!!! まじやべぇつぅのに……──…、」

「お札よりも何よりも………。君、ちょっと注意したいんだけども…いいかな?!」

「…は? あ??」

「確かに今は殺し合い中だ。だから気が動転するのも無理はないけど……、さっきからテメェとかクソとか失礼すぎると思うぞっ?! 僕達初対面じゃないか…! なんなんだその態度は?!」

「…あぁっ?! ンなもんどうでもいいだろッッ!!!!」

「よ、よくないだろ!!?」



…さすがにうまるほどではないが、あまりに教育がなってない彼女の態度が酷くて、つい俺は説教モードに入っていた。
考えれば逆上されて殺される…可能性もあったが、日頃うまるを叱る癖でついつい止められなくなってしまう。
ほんとに、こんな典型的なヤンキー目の当たりにするの…初めてだよ……と。
彼女に負けじとの勢いで声が荒がる俺だったが。



「……あっ────!!」



──…またしても、女学生の参加者に遭遇したのはこの時だった。




  ──Why?(なぜヤンキーの彼女はピクピクと焦っている?)


   ↓

  ──Answer.(それは、【危険人物】と出会したから。)






「……わ────んっ………!」


「…えっ?」


デジャヴというか。
奥のパチンコ台迷路から猛スピードでこちらに向かってくる女の子が一人。




「……げてぇ、助けておにいちゃ──────………!!」




小柄…、だがうまるらと同じく女子高生なのだろうその彼女。
彼女を見るなり、隣のヤンキー…ちゃんは木刀をギュッと握りしめ睨みつけていた。

猛スピード……。その表現がかなり適切な『猛スピード』。
少女の走り寄る速さはまるでトラック、いや…山手線のそれに勝る勢いで。
その人間離れした速さにて、あっという間に俺らとの距離は──…、




「お願いだから逃ぃげてええええええ───────っっっ!!!!!!!! うわぁああぁぉぁぁあああ───────んっっ!!!!!!!!」



──目と鼻の先にまで追い詰められていた。


…まるでワープしてきたかのような俊足に感じた。



「ちぃっ!!!! テメェッ!!!!」「うおわあっ!!!??」


刹那、振りかざされるヤンキーの木刀。

俺の目の前にいた少女は、涙目、かつ怯えきったかのような表情で。
真っ白な髪をパラパラと揺らしそれが特徴的だった。
…どことなく、…どことなくだが。
なんだか『妹っ娘』のような顔つきに感じられ、俺は彼女が危────。



「ごめんっ、ごめんねぇええええええ───────っっっ!!!!!!!! わ、私も…もう抑えきれなくて……ぁああぁぉぁぁあああ───────っっ!!!!!!!!」



──だなんて、悠長に特徴説明してる暇はなく…。
…そもそも彼女が目と鼻の先にいた時点で、考える時間などごく僅かに等しいんだが。



 ────ドッガアアアァァァァァァァッ


「うっ、がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


スクーターにひき逃げされたかのような衝撃と、一瞬遅れて破裂音が全身に染み渡る。
…少女の打撃を喰らい、なぜだか遅れてやってくる鈍い痛み。これはアドレナリンに似たような症状なんだろうか。
その痛みを、脳が理解したとき。

────俺は壁に激突したことに気付かされた。
…首元にて、あの白髪の少女が鋭い『牙』を向けながら………。



 ──ザシュッ



「…テメェこのッ!!! オラァアアッ!!!!!」



ヤンキー娘の怒号が響いた折、俺は意識を完全に失った。
視界が暗闇一色へと変貌していく……。






 ダクダクと流れる首からの鮮血。
そして、全身の激しい痛み。
…うまるから「FFの1ダメージってあばら骨が砕けるくらいの痛みらしいよ~~」といつだかに聞いたっけな。

なら、俺は今何ダメージ受けたんだ…? って言いたいぞ……。

骨折とかそういうのを遥かに凌駕した内臓シェイク状態だし、すげぇ激痛……。


…痛い、痛すぎる。
暗いし、寒い……。寒気がやばい…。


やばいっ………!!




(…あっ。何ダメージ受けた、って。さっきの一撃で全HP消えたんだろうな…………。俺の、HP………………)



はははっ……、
つまりはゲームオーバー──『死』……………………。



…ははは。なんだよ、それ………。





はははは……。







「…うまる、ごめんな」



最後にボソリと漏れた一言は無意識によるものだった。
騒がしかったパチスロ店も、今はもう静かだ。


俺は人生に悔いを残しながら生涯を終えた。




【土間タイヘイ@干物妹!うまるちゃん 死亡確認】
【残り65人】











「おお、お兄ちゃん。死んでしまうとはなさけない~~……」







「──って、うまる!! ふざけるなっ!!! 勝手に人を殺すんじゃないっ!!!」

「なにお兄ちゃん。軽いジョークだよ、ドッキリだよ」

「冗談にならないんだよっ?!! 誤解を生むだろうが!! …お前ってやつはもうっ………──…、」





コラ──────────────────っっ!!!!!!!!



………
……

.






 世の中には科学では説明のつかない超常現象、怪異、超越生命体というのがいる。
例によって俺の妹・うまるもその超越生命体に値するのだが、そのコトに気付かされたのは遅くも今だった。
普段なら普通の少女だが、家に帰った途端『変身』──二頭身のグータラ生物になるなんてまさにUMA…超生物といえるんだろう。
…『超越生命体』というにはかなりショボい部類なんだが……、とにかく自分の妹が普通ではないことに、彼女らとの会話を経て改めて認知させられた。


…うん。つまり何が言いたいって? って聞きたいだろうな。

あれから目を覚ました俺は、なんだかんだで二人の少女と行動を共にすることになった。
『襲撃者である白髪の少女』と、『ヤンキー娘』の二人だ。
そのうちの一人、つまり前者である『キョーコちゃん』が──………、


「………あっ、…さっきは本当悪かったわね。タイヘイさん……」

「あっ、いや。いいんだよ別に…痛っ! たたた…」




──まさしく超越生命体。
────いわば、『吸血鬼』だったんだ。





「…うぅっ……。私、あんな感じで暴走しちゃうから、ほんと気を付けてほしいわ。…ね? 吉田も!!」

「…チッ」


ヤンキ……改め、『吉田さん』が相変わらず舌打ちを打つ。


 吸血鬼・札月キョーコ。
ゲーム開始直後即彼女と出会ったらしい吉田さんが話すに、キョーコちゃんの『異常さ』に気付いたのはふとした瞬間だという。
二人が歩いてる途中、彼女の真っ赤なリボン。
──厳密には『お札』になんだか目がいったようで、彼女の取れかかったそいつを結びなおそうとしたら流れ風に飛ばされていき。
その瞬間、今までツンツンと傍若無人な性格だったキョーコちゃんが豹変したんだと言っていた。
突如、赤子のように泣きわめき、…そして凄まじい怪力で自分をねじ伏せ噛みつきにかかる……──いわば、『吸血鬼』に変貌だ。


「…ってか、ほぼほぼ吉田のせいよねっ?! 私も御札触らないでって言ったのに!!」

「なんだとッ?!! 大体にしてキョンシーだか血を吸うだか……、ンな眉唾話信じられるわけねぇだろうが!!!」

「…なによそれ?! 私のせいなわけ!!?」


吸血鬼の正体を現したキョーコちゃんは、うわ言のように特定のフレーズを呟き続けたという。
「お札を探して」「お札を結んで」…と、言葉とともに放たれるはプレス圧縮機のような平手打ち。
耐えかねず、さすがの吉田さんも逃走兼リボン探しで転がり込んだ先が────、このパチンコ店だった、という経緯だ。

つまりは、狼男…というかジキルとハイドというか……。
キョーコちゃんのユラユラゆれるリボンは、彼女の本性を抑えるリミッターらしく、外すとかなり厄介。
見境なく襲い掛かってしまうらしい。

……って、自分で状況整理しててひどく頭が痛む。
…なんだ、バンパイアって………。
首筋についたやや痛む噛み痕を擦りながら、俺は重くなった頭を抱えた。


「まぁ……、UMAには……UMAるには慣れっこっちゃ慣れっこだしな。俺は……………」

「…あァ? ゆーまがどうした? メガネ」

「いや、何でもないよ独り言(…呼称:メガネって………)」


とにかく、そんな凶暴性があろうと根はいい子…というか。
決してキョーコちゃんが【危険人物】でないことは、気絶明け後の二人の説明で理解できた。
ならば、この未成年二人を。彼女らを見てやらなきゃこれから色々危ないだろう。
社会人である俺が保護者として守らなきゃいけないだろう、という使命感で。
──今こうして俺は、ヴァンパイア&ヤンキーの二人と行動を共に至っている。

…俺が目覚めた時、胸倉をつかまれてるキョーコちゃんと吉田さんとで大乱闘の殴り合いをしてたのだから、そういう意味でも監視対象にしなきゃいけなかった。


「……でっ!! 吉田さん平然とパチンコ打ってるけど…、ダメだからなっ?!! それ!」

「そうよ。吉田。バッカじゃないの?」

「あ? 店員なんて一人もいねぇんだ。買ったって換金できないんだし別にいいだろ」

「よくないよっ!! ほらやめなさいっ!!!」



ガシャガシャガシャガシャ、ガヤガヤガヤガヤ…………。
あー、うるさいっ……!
吸血鬼よりも何よりも、この言葉遣いの荒いヤン…吉田さんが俺にとっての一番の危険人物だ…。


「……………はぁ。ったくもう……………」




腫れた頬の絆創膏を搔きながらスロットを打つ吉田さん、

その倍くらい顔中絆創膏だらけのキョーコちゃん、


ヴァンパイア娘と不良娘が共存するこの『バトル・ロワイヤル』という世界で、俺は『支給武器』を取り出し使用を始めた。
……支給武器といっても、こんなのだけど。っていうか『これ』武器といえるのか…っ?!

…とにかく、支給武器を片手に俺は録音を開始する。



「……あーマイクテステス。『吉田さん』という金髪の女生徒と、『キョーコちゃん』という白髪でリボンの子は危険人物ではありません。…この言葉を残します──」


「──あっ!! あとキョーコちゃんのリボンは絶対取らないでください! 絶対に!! …以上です」



俺の唯一の支給品は、『レコーダー』のみだったんだ。
あぁ、笑ってくれよ。もう…………。




 ブチッ──────





※※※



ザ───────────ッ

 ザ───────────ッ

  ザザザ───────────ッザザ



…す、てす…ザ───────────ッ


 えー……この……
ザ───────────ッ



 このテープを…再生してくれた貴方へ。

 これを聴いているということは、…私はもう既にこの世にはいないでしょう。






『…こころの手紙かッ』



【1日目/F1/渋谷センター街・パチンコ店/4F/AM.02:31】
【土間タイヘイ@干物妹!うまるちゃん】
【状態】背中に痣(軽)、吸血痕
【装備】ボイスレコーダー
【道具】なし
【思考】基本:【静観】
1:吉田さん、キョーコちゃんと行動。
2:うまるが不安…。

【吉田茉咲@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】
【状態】顔に傷(軽)
【装備】木刀
【道具】タイムマシンボール@ヒナまつり
【思考】基本:【対主催】
1:キョーコ、あぶねぇ奴だな…。

【札月キョーコ@ふだつきのキョーコちゃん】
【状態】ぶん殴られて「アイッター!」
【装備】???
【道具】???
【思考】基本:【静観】
1:あーーいっだい……。


前回 キャラ 次回
032:『菓子 034:『僕の青春はBattleRoyal
タイヘイ 054:『熊と眼鏡と書記と不良と幽幻道士と吸血少女(札)
012:『ターミネーター3 吉田さん 054:『熊と眼鏡と書記と不良と幽幻道士と吸血少女(札)
012:『ターミネーター3 キョーコ 054:『熊と眼鏡と書記と不良と幽幻道士と吸血少女(札)
最終更新:2025年03月13日 21:23