アットウィキロゴ

『巡り合う二人の会長』



[登場人物]  白銀御行兵藤和尊





 よく晴れわたった日曜日の朝。
ブランコは穏やかに揺れ、子どもたちの笑い声が澄んだ青空へ飛んでいく。
世界のどこにも淀みや影は見当たらない。
郵便バイクの音さえどこか遠く感じる、薄い水彩の膜に包まれたように静かな公園。
その一角にあるベンチで、──俺は、彼女の事を待っていた。

待つ相手がいる休日ほど、甘やかで幸福な時間はあるまい。
例えまどろみが襲おうとも、俺はただベンチに腰を沈め、ずっと。ずっと。
来たる気配だけを胸に灯し続けていた。


「か~いちょ!」


……気付けば、彼女はもう隣にいたようだった。
ベンチの裏からひょこりと顔を出し、無垢な笑みをぱっと咲かせる──四宮。
──ミニかぐや“ちゃん”。

……やれやれだな。その笑みには何が含まれているのだか。
待ち合わせ時刻を二十分も過ぎても悪びれる気配ひとつなく、笑顔だけはきっちり持参してくるとは。
よいしょ、よいしょと俺の膝元まで歩み寄ったかぐやへ、俺は静かに問いを投げた。
──『……遅れた理由は何だ?』──と。


「え~~! だって~……かぐや、ふにゃふにゃねむくなっちゃって……気づいたらゆめの中だったんだよ~~~!!」


返ってきたのは、力が抜けるほどあざとく、健気な甘え声だった。
……ふっ、莫迦な奴め。
心中でため息をつきながらもその調子に引きずられたのか、俺は怒る気にもならず、自然と次の問いを重ねていた。
──『……なら、どんな夢だ?』──と。
そしたら彼女はぱぁっと表情を明るくして、


「ゆめ? ……いいゆめだったよぉ~~~!──」


と、弾む声で続けた。



「──かぐやね、お空をみてたの!──」

「──お空はねぇ~、チョウチョさんと、真っ白なひつじさんがいっーぱい浮いてて~~! かぐやも負けないように、いっぱい草食べたんだよ~~~~!! むしゃむしゃ~むしゃむしゃ~~!!──」

「──そしたら、かいちょが来てくれたの。ね、ね! いっしょに雲を眺めて、スヤスヤおひるねをしてさ~~。──」

「──さいごは二人いっしょに、目をとじたんだよぉ~~。いつまでもいっしょでね~……。──」


「──ずっと、ずっと…………」



そう四宮は、俺の膝枕で眠る形で言葉を閉じていった。
無防備に差し出された額が微かにきらめくが、俺は特別撫でたりしない。
……撫でられるものか。
秀知院学園の生徒会長たる者、常に端正で、隙一つ見せぬ象徴であれ。
恋慕めいた情動など、風紀を乱す最たるものだ。

……まったく、恐ろしい女だ四宮は。
もし不用意に触れでもしたら、彼女はあの含み笑いで囁くに違いない。
「あら、会長ったら……おかわいいこと」
……その未来を想像しただけで、心臓がひとつ跳ねざるを得ん。
うかつにはなれん。決してうかつにはなれんのだ、俺は。
──そう自分に言い聞かせながら、俺は日差しの温もりが皮膚に滲むのをぼんやり感じていた。



 真っ白に澄んだ日曜日の太陽。
時を追うほどに光はゆるやかに膨張し、景色も、過ぎゆく影も、弾むボールさえ、全てひとつの白に溶かしてゆく。
何を約束事に、ここで待ち合わせをしていたのか。──そんな些事はもうどうでもいい。
彼女が眠り、その寝息を見下ろす俺という、二人だけの時間の鼓動。
触れれば壊れそうなほど儚い時間を、俺はずっとこの胸に味わい続けるまでだ。



永遠に続くと錯覚させるほどの、
柔らかな陽だまりの中で────。


……
…………
………………





………………
…………
……



「──し、しのみッ─────っ……!!──」



「──………………。……夢……か」



 チク、タク──チク、タク。
時計の進む音だけがこの空間を支配する。
涙で滲んだ視界を手の甲で拭い取ると、白で統一された天井と壁がゆっくりと輪郭を取り戻す。
まるで生まれる前の世界かのような──どこまでも静かで、雑音ひとつ存在しない部屋。
その無音の箱の中で、俺は目を覚ました。


「…………」


白を基調とした壁に、木目の落ち着いたパネル。
磨かれたガラス机の上には、整然と並ぶコーヒーセット。
ベッド脇のデスクでは、ノートPCがビガビガと脈を打つように光を漏らし、その明滅がひと気のない室内の影を淡く揺らしている。


……ここはどこだ。
……一体、何があったんだろう。
──そんな凡俗めいた台詞を吐くつもりはさらさら無い。


 ビルの一室で意識が途切れたところまでは記憶にある。
恐らく、危険を察した島田某あたりが、俺を安全圏であるこの部屋へ運び込んだ──という線が最も合理的な現状だろう。
まどろみの底では、遠藤と佐衛門三郎氏の声が微かに聞こえたものだが、ノートPCに映し出されたアフガニスタン情勢のチャートを見る限りこうも考察が付く。

つまり──、
俺の意識が落ちていたあいだ、あの三人は三人で、らしくもなく『ウルトラアトミック作戦』に手を伸ばしていた。
推進していたのか、阻止に回っていたのかまでは判断しかねるが、いずれにせよ介入はしていたようだった。


──この東急ホテル。
──『二一〇二号室』で、だ。


「……となると、随分と大胆な真似をしてくれたものだ。この状況で俺だけを置き去りとは。…………島田の奴、どこで何をしている…………」


茶色い扉に掲げられたナンバープレートを睨みつつ、俺は胸中で思索に沈んだ。
島田は一目で分かる輩のような男だ。
その野蛮な外見に違わぬ短絡さゆえ、俺の存在をうっかり忘れてスタコラ退散という可能性も否定はできない。
だが、より現実味のある線は別にある。
それは『部屋を後にせざるを得ない事態』が発生したという仮説だ。
遠藤と佐衛門三郎氏の姿すら見えぬ以上、その仮説には十分すぎるほど賭け金が乗せられるだろう。
──さらに論を広げれば、その『事態』とやらで三人が、すでにこの世にいないという可能性すらも……。


「…………」


無論、これらはすべて俺の独断的推察に過ぎない。
ただ、逆説的に言えば、そうした推察に頼るほかないほど、今の俺は情報そのものが致命的に欠落しているのだった。


「…………やれやれ」


……まったく困ったものだ。
『睡眠』とは、人間生活の三大不可欠作業に名を連ねる代物だが、実態はどうだ。
極限の疲労下では強制的に意識を奪い、長く眠ったところで体力が回復する保証もない。
つまるところ、無意味極まりない工程だ。
その無駄の象徴のお陰で俺は現状把握に遅れ、こうして島田某の所在を推理する羽目になっている。
……本当にどうにも扱いづらい代物だよ。
睡眠というやつは。


──もっとも。
死者定時放送で『あの名前』を聞かずに済んだのは、睡眠がもたらした数少ない恩恵ではあるが────。



「………………行くか」


指針はそれぞれ七時と十二分を指す。
島田某の携帯へコールを入れながら、俺は静かに扉の先へ足を踏み出した。


──夢の残滓。
──柔らかな笑みの『喪失感』は、今なお胸の奥に引っ付いて離れなかった。




………………
…………
……


「…………なんだ、これは……?」



 部屋を出て、わずか二歩。
視界に広がった光景は、俺から言葉という機能を一瞬で奪い去った。

壁一面に奔る、蜘蛛の巣のような無数の亀裂。
床を斬り裂くように走る断絶。
天井へと到達した裂痕の網は、もはや破損という軽語では片づけられない。
どれもが偶発的ではない──。
まるで巨大な何かがこの空間を押し潰したかのような、徹底的な暴力の痕跡だった。

天井の破れ目から、ぽた、ぽた、と規則もなく落ちる水滴。
鼻先をかすめる、生温い葬祭めいた匂い。
そして、階段の闇底から這い上がってくる、明らかな血の気配。
……もしこれが最初からそういうコンセプトのホテルなら、まだ笑って済ませられただろうに。
この廊下は──いや、このホテルは明らかに危険地帯そのものだった。


嫌な徴候はまだある。


「……島田っ……」


歩き始めてすでに五分。
そのあいだ、俺は途切れず島田某へコールを飛ばし続けているが、一度として応答がない。

──いや、それ以前に、この階層には人の気配というものがまるで存在しなかった。

無音と人類の残した遺物の共存。
生命の灯はどこにもなく、八幡の藪知らずのように不気味な沈黙が支配している。
この空気に長く身を置いていると、しまいには自分の気配察知が鈍ったのではないかと錯覚してしまうほどだ。


何があった……。
……ここで一体何人が命を落としたというのだ…………?


「……狂っているな、何もかも…………っ」


目の前の惨状を前に、俺が導き出す結論など一つしかない。
『長居は無用』──即退散だ。
もっとも、このホテルから即座に離脱する、という選択肢もまた軽率に過ぎる。
現地点は二階のようだが、下りた先で『何者か』が待ち構えている可能性を、無策で踏み抜くわけにはいかないものだ。

階下に沈む淀んだ闇。
血臭を纏うそいつはまるで「こちらへー、こちらへー」と誘う亡霊のようですらあったが。
……あいにく、その誘いに応じるほど俺は寿命を安売りしていない。


『おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波の届かない場所に──……、』

「くっ…………!! ……。──」


「──…………一旦は、作戦の遂行だな」


したがって俺は踵を返す決断を下した。
ひとまず元いた部屋に戻り、態勢を整える──それが現状取りうる最善手だ。
プロの軍人というものは、奇襲時にむやみに動かず、その場で体勢を立て直すと聞く。
別に受け売りというわけではないが、今の俺にとってその教義こそが理に適っていた。
……何より、電話口から八度も繰り返されたあの無機質な音声ガイダンスが、これ以上の徒労を諦めろと告げている。
壁面に刻まれた裂傷を軽くなぞった後、俺は身を返ろうとした。



──その一拍後の出来事だった。




「動かないで」





 ────、

  ────────。



──……背後から感じた、その鋭い視線は、



「……言いたげね。『生徒会長であるこの俺に命令だと?』──って。その背中から滲む自尊心、本当に鼻につくわ。──」

「──まぁ従うも逆らうもご随意に。けれども、あなたには賢く振る舞ってもらいたいわ。ムダな殺生ほど疲れることはないもの」



──……振り返らずとも察せる、弦を張り詰めた弓、その矢じりは、



「…………そう。理解したのね。──いいわ。私は『兵藤さま』の命を受けて、ここへ来たの」



──そして、『その声』は────。





「あのお方がお呼びよ。……七階のバー・テラスまで来なさい」





かすり傷ひとつ負わせずとも、俺を二重の意味で射抜いていた────。







 七階のバー。──店名:『天鏡』。
店内の柔らかな木目を抜け、テラスへ足を踏み出すと、ふいに視界が開ける。
ガラス張りの手すり越しにはビルの谷間。
ミニチュアのような車列が影を引き、点滅する信号が朝の光をかすめる。
街全体を丸ごと掌中に収めるような高さだった。

そのテラスの片隅で、朝日をバックに────ヤツは立っていた。



「退屈っ…………!!」



「……と、申されますと。兵藤さま」


「ぐうっ……! やれ限定じゃんけんだの……やれ人間競馬だの……。ワシはこれまで、幾度となく眺めてきた……。死の……悪魔のゲームを…………っ!──」

「──無論、あれらの発想そのものは凡……。極めて凡俗の遊戯よ……。じゃが……参加者どもの醜態、阿鼻叫喚のツラだけは、辛うじて『愉悦』と呼べる域に達しておった…………!!──」

「──それに比べてこの『バトル・ロワイヤル』は何じゃあっ!? つまらんにも程があるわっ…………!! 何故か分かるか!? あァ~~~? 小娘……!!!」


「さあ。ご説明お願いします」


「チッ、バカが……。──主催者が何の才もセンスも持たぬ……クズだからじゃっ…………!」

「…………」


「顔を見ずともよく分かる……。非生産的で、怠惰で、自堕落な人生が……。──」

「──人を愛さず、それゆえ愛されず……っ、努力を避け続け、それゆえ報われず……っ、職場とボロ汚い団地を往復するだけな……底の底のゴミ虫。──」

「──そいつが、一世一代かけて上げた花火が……こんな殺し合い(線香花火)なのじゃから…………。まるでアメリカの底辺が撮ったB級映画……陳腐…………っ!! 観て愉しいはずがあるまい…………っ!!──」


「──だからこそ、ワシなのじゃっ……!!!──」


「──クズ映画には、ヒッチコック……あるいは黒()明のような、有無を言わせぬ絶対的強権が必要…………。──」

「──ワシには、それを成し遂げる自信がある……!! 自身どころか、圧倒的力……!! 力があるのだ…………っ!!──」



「──そこで君を呼んだのじゃ。……クキキ……! 白銀君、だったかね?」

「…………」



  ざわっ……
 ざわっ……、ざわっ……


 目の前の爺さんを、俺は知っている。
もっとも、個人的に面識があるわけでも、過去に何か関与したわけでもない。
──『悪名高い帝愛グループ』の元締めを知己に持つほど、俺の人生は曲がっていないからな。


恐らく兵藤の部下であろう、弓矢を構えた女子に連れられ──。
俺の紹介を皮切りに、延々と愉悦の独白を垂れ流してきた杖の老人。
──兵藤和尊。
彼女と兵藤のやり取りから判断するに、“誰でもいいからひとり連れて来い”という指示の下、たまたま俺がランダムに拾われた……らしいが。
……何にせよ事情はどうでもいい。

兵藤和尊が、俺の『敵』である事──。
──それだけは火を見るよりも明白であった。


「……解せんな。お前の言い分だと、“この殺し合い(茶番事)を打破したい”……そう言うつもりなのか?」

「なにぃ? カカカ……キキキ……! そんなお行儀の良い平和論……ワシが抱くわけがないと……君は理解しているだろうに…………!──」

「──秀知院学園の……金の飾緒…………! 生徒会長にしか与えられぬその重みは……飾りなのかな?」

「…………飾り(・・)ではあるだろ。……どこかで聞いた台詞を……まったく」

「ククク……カカカカカっ…………!!! キキキキキ…………!!!!」


何がおかしいのか。
杖をバンバン叩いて笑い転げているあたり、俺がよほど奇妙な発言でもしたと言いたげだ。
こちらは弓矢で狙われ、笑っている余裕など一欠片も無いというのに……実に悠長な老人だ、と。

──そんな思考が脳裏をかすめた、わずかコンマ数秒の『隙』の出来事だった。


 ──バッ


「……。────ッ!? ……なッ…………」

「……ククク、キキキキ…………」


 気付いたときには、兵藤がいたはずの位置は空っぽ無人。
気配を察知しようと意識が動くより早く、兵藤の杖の先端はすでに俺の喉元に『完全静止』していた。
……無風。
……無音。
……無時間。
『老人にしては早い』などという、甘い評価で片づけられる速度ではない……っ。
神風にも似た一歩で死角へ滑り込み、俺の急所を完全掌握……。
人間離れのさらに外側にいる怪物──それがコイツだった。

兵藤は、まるで領収書でも切るような気軽さで、杖の先を俺の喉へ軽くポンと当て。
──ひと言、俺に告げる。



「──『制裁』────っ。──」




「──クキキキキ……すまないねぇ白銀君……! そんなに身構えなくていい。今のところ、君へ敵意はないのじゃ。殺しはせんよ…………殺しは……!」

「…………今のところ(・・・・・)、か。客人としても、呼ばれて即処刑ではさすがに品位を疑うところだからな……」

「クカカカ……!! そう焦るな。ワシとしても……君にはしっかり役目を用意しておる……!!」

「……ほう、役目…………。──」


「──……何がしたくて俺を呼んだんだ、兵藤さん」

「簡単じゃよ。『ゲーム』じゃっ…………!!」



────告げられたのは、ただ一語
──『ゲーム』。

それを皮切りとして、本題前の前菜とばかりに、奴は独白を始める。


まず、
“驚かせたことは詫びよう。この身に宿る剣術は太平洋戦争と、日常的に黒服へ与えてきた『制裁』で磨かれたものじゃ”
と、まるで自慢げな戦歴から。

続けて、
“そこの弓矢の小娘は、ワシが召喚した『アシストフィギュア』じゃ”
“このホテルには、しょうもない殺人者どもが複数潜んでおる”
“そのうちの一人が、今ワシの命を狙っておるらしい”
──と、疑問に思っていた点から枝葉末節まで、俺の疑問を掃き出すように淡々と列挙した。

全てを吐き終えた後、兵藤は満足げに舌を鳴らし、ようやく本題へと踏み込む。


「『ゲーム』の内容は未定……。メンコ遊び、ティッシュくじ、じゃんけん、運否天賦古今東西……今はまだ脳裏に降りて来ん…………!──」

「──じゃがな、仮に『君が』勝った場合……うむ……。【対主催】として、ワシは君に力を貸す…………!! 仲間になってやるのだよ、白銀くん…………!!!」

「ただし、『兵藤さんが』勝った場合は、参加者全員血のあられ。……俺も含めて、か」

「そうとも……【マーダー】…………っ!! 闘う王……アーサー王…………!!」

「あんたの力には恐れ入る。……参加者全員の命が俺の掌中に乗るとなれば、さすがに手が震えて……、」

「集中できないと? やりたくないと? ……道理にならんよ白銀君っ…………! 君には……、」

「拒否権がないわけだからな。まぁ参加券だけは律儀に用意されているようだから……トントン、か」

「……クク……!」



 ……困ったものに巻き込まれたものだ。
兵藤の背後では、弓を構えた少女の矢じりがこちらへ痛いほどの視線を送ってくる。
勿論、逃げようと思えば対策などいくらでも浮かぶ。
俺の頭脳なら、策のひとつやふたつ、寝起きでも捻り出せるものだ。
……だがあいにく、こんな茶番じみた遊戯のために思考を浪費する気にもなれないな。

ゆえに俺は、兵藤のゲームに向き合うしかなかった。
やるしかない。
やり遂げる覚悟はまだ固まりきっていない。
それでも、やらなければならなかった。


それは、俺自身のためにも──。



「…………言うまでもないがね。ワシは生涯人を助けぬ……と、そうハッキリ決めておる…………」


「…………」



「────悶え、のたうち、呪詛をあげる敗者の声……! 是非とも聞かせてもらおう…………!! 『敗者』としてっ…………!!」

「────悪いが俺は『ゲーム』が得意なんでね。甘く見られては困る。──」



そして────『彼女』の為にも。




朝日の切っ先がテラス席をまぶしく照らす。
緊張が濃度を変えて胸に沈殿し、拳をギュっと握ることで辛うじて鼓動の跳ねを誤魔化す。


俺は射抜くように見据えた。
天を。
こんな惨禍を生んだ主催者を。
そして、目の前の老人を。

視線を一巡させた後、最後に──『ゲーム』開始宣言代わりとなるべき言葉を。



「……なにせ俺は、勝者の座を一度も譲ったことはない。──」

「──盤面の裏の裏まで読み切り、あえて接戦を演出しつつ最後は必ず勝つ。それが生徒会室での毎日だったからな。──」


「────そうだよな? ……四宮…………」





ジャッジマンたる『弓矢の彼女』へ向け、真正面から眼差しを突き刺した。





「馴れ馴れしいわ。……下賤な人」




『弓矢の彼女』────
──氷かぐやに──────。





【アシストフィギュア No.13】
【氷かぐや@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 召喚確認】
【概要】
四宮かぐやの『もう一つの顔』であり、一年生時代に形成された冷徹な帝王学モード。
長い黒髪、無機質な眼差し、感情の起伏を極限まで抑えた、四宮家仕様の非情の器。
兵藤の召喚によって現界し、主の命にのみ従う。
携行武装は弓矢。







【白銀御行@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 第一回放送通過】
【兵藤和尊@中間管理録トネガワ 第一回放送通過】


【1日目/F6/東急ホテル/7F/バー・バルコニー/AM.07:30】
【白銀御行@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~】
【状態】健康
【装備】アーミーナイフ@映画版かぐや様
【道具】猫耳@かぐや様
【思考】基本:【対主催】
1:四宮かぐやを蘇生させる。
2:氷かぐやを救い出す。
3:兵藤の提示したゲームに勝利する。
4:崩壊プラン『ウルトラアトミック作戦』を指揮し、殺し合いを破壊する。
5:島田・サヤ・佐衛門の三名は暫定的同盟として扱う。
6:……島田の安否と所在が気掛かり。

【兵藤和尊@中間管理録トネガワ】
【状態】健康
【装備】杖
【道具】懐にはウォンだのドルだのユーロだの山ほど
【思考】基本:【微マーダー】
1:暇潰しとして『ゲーム』を最大限愉しむ。白銀を打ち負かす。
2:王は絶対負けぬ……、負けてはならぬのじゃ…………っ!





………………
…………
……






──COMING NEXT


090:第一回放送 へ続く────







前回 キャラ 次回
088:『鴉-巣立ち 090:『第一回放送
082:『あたしのあした 白銀
064:『支給品:『アシストフィギュア』について 兵藤
最終更新:2025年12月09日 07:57
添付ファイル