『あたしのあした』








 アスファルト上、丸々と肥えたオオナメクジが佇む。
ネットリと喉越しの悪そうな粘液をまとうソイツは、一目にして異常な存在だった。
否、異様なのはなにも外見の話ではない。
ナメクジが繰り出す『蠢動』こそが、生理的嫌悪を掻き立てる異常だったのだ。

ナメクジとは本来静かで緩慢なはずだが、目の前のそいつは打ち上げられた臓器の如き痙攣状態。
ビタンッ、ビタンッと肉の震えを叩きつけ、うねる身をねじりながら、生温い粘液を四方に撒き散らす。
死に物狂いで跳ねるその皮膚下には、糸状の寄生虫が脈を打っていた。
軟体生物に痛覚があるかは定かでない。ただ、その寄生虫はこめかみに浮かぶ青筋さながらの脈貌。
ナメクジは、痛みに激発したかのように身を震わせ続けた。
そんな醜悪な生命は結局、頭上から迫る巨大な影に気付くことなく──、

──ブチュッ、と。

ミルキーな体液を、少女の靴底に滲ませていった。




「はぁ……、はぁはぁ…………、はぁ…………しんど」

「…………」


「……着いた、ね。────ホテル……」


 宙ぶらりんの両脚と、両脚、両脚、両脚。
中でも、サンダルを履いた脚──柔らかさを孕んだ太ももと、ふわりと揺れるスカートから覗く内側の白陰が、網膜に焼き付いて離れない。


 気を失った白銀御行。
その身体を背負う島田虎信、佐衛門三郎二朗、そして遠藤サヤ──以上、四人は『東急ホテル』を目指して歩いていた。
追憶──。──爆発、のち一帯大規模停電。
非常用電源が働いたのか、沈んだ街で唯一光を放っていたのが、このホテルだった。

ゆえに四人(実質三人)は、灯りに集う夜行虫のように。
導かれるまま玄関口の輝きへと吸い込まれていく。


………………
…………
……




 エントランスから左の階段を昇って二階。『2102号室』にて。
白いベッドの上へ、白銀御行は静かに横たえられた。
ゲーム崩壊策『ウルトラアトミック作戦』の立案者であり、想い人を目の前で喪った会長、白銀。
彼の目の下に刻まれた濃い影が、言葉よりも深い疲労と悲哀を語っていた。

それは、白銀の用心棒役である島田もまた同じく。
白銀ほどの心労はないにせよ、彼を背負い続けた身体の重みが髄まで染みついている。
島田は柔らかなマットレスにて、全身の疲れを吸い取らせるように深く沈み込んだ。


「あぁーっ……しんどかった!! なんやねん急に停電て……アホちゃうか……」

「…………」

 ──カタ、カタ


「……。──」


額の汗を拭う島田。
そんな彼へ、労いの言葉一つかけることなく、備え付けのパソコンに集中するドライな横顔──佐衛門。
無表情にやや翳を宿し画面を凝視する佐衛門は、株のチャートを追っているわけでも、ソルスティスを遊んでいるわけでもない。
口ではあれだけ「狂っている」「倫理観がない」と吐き捨てた、ウルトラアトミック作戦の進行を行っていたのだ。


「──いやどんな心変わりやねん」

「……なんですか」

「そりゃ今更のツッコミやけどなぁ、“インポッシブルな作戦”ちゃうんかったんかお前」

「……」

「何やねん。急に必死のパッチやんけ、三四郎よぉ?」

「……あなたの関西弁は、大阪支社の木根崎さんを思い出して……心底うんざりする…………っ」

「ぁあっ?」


「いいですか。……形だけ……っ、あくまで半ば強引、形式上だけのようなものだけども…………認可っ……!──」

「──サヤさんは、白銀君を信頼し……仲間と認めたんですよ…………っ。──」

「──……とどのつまり、僕が従うのも筋が通っている……。……不満はありますが……、それでいて当然至極の行いです……。──」


「──それに、計画の途路、パソコンが絡むとなれば……、僕の領分ですよ」

「……御託ばっか並べとるけど、要はツンデレなんやろお前」

「……もういいですか。僕は集中をしたい……、無駄話は……本当に、邪魔なんです…………っ」

「あ? ……それは悪うござんしたやわ。……けっ!」


ウルトラアトミック作戦は、すでに三割近くまで進行している。
それは言い換えれば、ゲーム強制終了まで残された四十二時間で、いまだ半分以上が手つかずということでもある。
口と目で島田らを軽蔑しながらも、佐衛門は『無理難題』という壁を前にして、帝愛利根川グループ・エースの血が騒いだのだろう。
肉体労働の担当は島田、頭脳労働の担当は佐衛門。
歪ではあるが、白銀の掲げた『ウルトラアトミック作戦』には、優秀な人材が集ったこととなる。


「……いや、佐衛門さんのアタシ依存……だいぶ重くかかってんなぁーオイ…………(ボソッ」

「ん、なんか言うたかサヤ」 「……サヤさん?」

「えっ?! ちょ、ちょっと独り言だってば! 独り言~~!! ……。──」


「──はあ…………。──」



 ──カタ、カタ


  ──カタ、カタ



 そうなると、心細いのはこの場でただ一人。サヤ師のみだ。
何せ頭も力も並レベル、ごくごく平凡な普通の女子である。
特技としては珈琲の焙煎と、あとはけん玉やおはじき等の実力がプロ級に恵まれているという点があるが、殺し合いにおいてそれは何の貢献にもならない。
一応、佐衛門の精神的支柱という役割は担っているが、サヤ自身がこのメンバーで爆発的実績を成すとは、今も、そしてこれから将来もなく。
一人虚ろなアイデンティティの無さが、胸の奥でじわりと疼いていた。


「──…………あっ、────……~っ……!!──」

「──あ、そっ、そうだー! ねえねえ、佐衛門さんに~島田さんっ! 喉……乾かない?」


そこでだ。
取柄のないなら、発揮の機会が来るまでじっと耐えるまで。
サヤは雑用係として、まず飲み物の調達に率先した。
季節は初夏。
室内には空調が効いているものの、どこか妙な乾きがさっきから鼻につく。
重労働で疲弊した島田、佐衛門に何か一本を──それが彼女なりの気づかいだった。
サヤは、一階エントランスにある自販機の存在を告げ、静かに腰を上げる。


「おーん気ぃ効くやん。ほなオレ、レッドブル頼むわ。……三四郎も翼を生やしたい様子やで」

 ──カタカタ、カタカタ
「…………」

「……けっ! ほれ、千円。釣りはお小遣いや。どーせ御行の金や、ごっつう使ってまえ」

「……マジー? 大の大人が子供相手に貯金依存かよぉ~……。ま、とにかく行ってくるからね!!」

「おうー、気ぃつけやぁーー」


 ──タ、タ、タ、タ……



「……いや、バカですかっ」


「へ?!」 「あ? んやねん三四郎」

「あ。サヤさんにはバカと言ってないので心配なく……! ──島田さん……、女子一人で行かせる気ですか? 普通するでしょう、付き添いくらい……、常識的に……!」

「え?!」 「あ、あぁ~、せやったなぁ……! ……ったく、オノレは正論ばっかかましすぎやねん三四郎!」

「…………」


「ほなサヤ、いくでー。サッと買うてはよ帰ってこ……、」

「いやっ!!? い、いいからっ!! ほんとにっいいからぁっ!!!」

「……?」


島田の目の前で、突然あたふたと両手を振り回すサヤ。
その頬はうっすら紅潮し、額には汗が浮かぶように見える。
サヤは勿論、飲料調達を第一行動とするつもりだ。
二人のために何か一つでも役立ちたいという、その思いに偽りはない。
だが同時に、彼女にはもう一つ、一目散にも部屋から出ていきたい理由があったのだ。


──なぜ、
──このホテルには各部屋にトイレがないのか。


「……ア゙っ。も、もう行ってくるからね!! そんじゃっ!!!」

「いやおい待てって!!! 何を焦っとんのやお前……、」

「あ~~~~~~もうっ!! 『乙女のピンチ』なんだよっ! ピンチぃーーっ!! そ、それじゃねっ!!!!」

「……ああ?」 「…………あ。あぁ……」


太ももの内側をモジモジと擦り合わせ、スカートの端をぎゅっと握りしめるサヤ。
──かと思えば、膀胱内の甘酸っぱいシュワつきに耐えきれず、彼女は弾けたように部屋を飛び出していった。
切羽詰まった彼女の背中が、みるみるうちに廊下の薄暗がりへと消えて行く。


「…………サヤさん……っ」

「いやサヤさん~ちゃうわ!──」


サヤが電光石火のごとく去った今、
2102号室に残されたのは、どうにも形容しがたい気まずさと、白銀の静かな寝息。
そして、カタカタと響くタイピング音だけだった──。




 ──カタ、カタ


「──……んで三四郎、ちょっとええか?」

「…………」

「……おう我関せず決め込むんならそれでええわ。オレも構わず好きに喋らせてもらうけどな」

「……っ」


「ウルトラアトミック作戦の~~……スケープゴート対象の『天生翔』ってヤツ。……誰やねん? 白銀のアフガン標的といい、チョイスが凡人にはさっぱり理解不能やわ!」

「……秒速で十億稼ぐ男。……それが天生翔」

「あ?」


「詐欺で数十件の被害届を出された、情報商材ビジネスの親玉……。そいつは長らく行方不明ですから、スケープゴートにはまさにお誂え向き……。──」

「──……ヤツが今、海外逃亡中なのか、それとも山の中かは知りませんが……、反吐が出るっ…………! 善良な人間を踏みにじり、自分はねずみ講で肥え太った外道なんですからっ…………。──」


「──我々クズの当て馬には、ドンピシャでしょう……っ」






──ターンッ



 ──ターン…………



   ──ターーン………………




     ──ター……ー……………………




【1日目/F6/東●ホテル/1F/エントランス/AM.05:43】
【白銀御行@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~】
【状態】昏倒
【装備】アーミーナイフ@映画版かぐや様
【道具】猫耳@かぐや様
【思考】基本:【対主催】
1:四宮かぐやを蘇生させる。
2:ゲーム崩壊のプラン『ウルトラアトミック作戦』を指揮。ゲームを崩壊させる。
3:島田、サヤ、佐衛門はとりあえずで引き入れている。



………………
…………
……





        ──たー……ー……………………




      ──たぁ……たぁ………………


    ──ぅ……たぁ………………


  ──ょう……たぁ…………





────“ひょう太…………”



「うっ……!! ………………う、うぅ……。──」



 ホテル内で漂う──バッハ作曲『G線上のアリア』。
川のせせらぎと草原の匂い、レンガ造りの街並みを思わせるその旋律が、階段からエントランスにかけてほのかに薫る。
されど、そんな癒しのBGMも、彼の湿った心には一切響かず。


「──……メム、メム…………」


小日向ひょう太。
死人のような足取りで階段を下りながら、彼は腕に抱えた友人の名を呼んだ。
メムメム──彼女からの返答は、ない。
どれだけ呼びかけても、その身体からは、もはや生命反応は何一つ波が立たなかった。


──《回想》。
──厚着のフード大男から振り下ろされた、シャベル。
──その鋭い一撃を身を挺して防ぎ、ひょう太の前で息絶えた、メムメム。
──死後も、何十発にわたって打ちつけられた為、顔の損傷は見るに堪えないほどであったが、ひょう太はどうにかして彼女の顔を安らかな表情に整えた。
少しでも揺れれば、たちまち顔のパーツが崩れてしまう。
その危うさを抱きながら、彼は一段ずつ、一歩ずつ。歩を確かめるように階段を下りていく。


──痛々しく変形したその全身。
──オムライスの半熟卵にケチャップをぐちゃぐちゃに混ぜたような、変わり果てた顔。
──そして、生前。今際の瞬間に見せた、あの、笑顔。──

ひょう太の足取りが鈍いのは、何もメムメムの為だけではない。


「………………メム……メムぅッ……………」


目の前で大切な友を失い、死してなお踏みにじられるその姿を、ただ見ていることしかできなかった自分。
──自責。罪悪。吐き気を伴う懺悔。
それらが渦を巻き、ひょう太の心を底なしの闇へと沈めていったのだ。


「ぐうっ…………」



“あの時──”


“高木さんが大男に不意打ちをしていなければ、奴はメムメムをミンチになるまで痛めつけていただろう”


“何故、オレは止めなかったんだ”

“何故、オレの友情は、あの瞬間、恐怖の前に跪いていたんだ”

“メムメムはうざったいやつだった。トラブルメーカーで、アイツが騒げば決まってろくな目に遭わない。別の意味で悪魔なヤツだった”

“それでも、アイツとの重ねてきた時間は、かけがえのないはずだった”


“本来なら、オレ自身が守ってあげなきゃいけない、小さくてか弱い存在なはずなのに”



────“オレは、何もしなかった”




「…………ッ、う………………」



 高木さんには「メムメムを埋葬する」と、高層階からここまで降りてきたひょう太だが、真意はまた違う。
もちろん、メムメムの死を悼む気持ちは嘘じゃない。
しかし本心では「一人になりたい」。
彼はメムメムの亡骸を口実に、高木さんのもとを離れたのだ。


『ひょう太……』──。
──メムメムが最期にして初めて呼んだ、自分の名前。
胸に残り離れないその声が、脳内の壁や天井に反響していつまでもいつまでもエコーし続ける。
それは、右側から、左側から、真上から。
三か所にて響くメムメムの声は、意図的にズラされたかのように合唱され、三つのリズムが公倍数でカチっとハマった時、身体を持っていかれそうな感覚に陥る。

薬物中毒者が見る幻覚かのように、ぐにゃぐにゃに歪む自分の身体。
握れば潰れてしまいそうなほど脆い身体は、自責のリフレインのたびに、徐々に徐々に真っ黒く染まっていく。
足先から、手、胴、そして最後に頭へ。
焦点の定まらない目と、かすかに震える唇だけを残して、全身はどす黒い闇に呑まれていった。

涙は不思議と流れない。
ただ鼻は、まるで花粉症のように詰まり、息苦しい。

気を抜けば延々と流れるメムメムの声。
何かを考えようとすれば、自責と血しぶきの記憶がフラッシュバックし、
楽しいことを思い出そうとしても、蘇るのはメムメムとの平穏な日々ばかり。

優雅なヴァイオリンの旋律は、意識の焦点が沈むほどに、音は遠のき、沈み。
BGMすら届かない暗闇へとひょう太は閉ざされていく。



「オレは…………オレは……………………ッ。──」


 心が無風で揺れる中、気付けば彼は、ホテル一階。──エントランスの広間にまでいた。
あと少し歩けば、メムメムを埋めるための外が待っている。
高木さんに「少し待って」と言った件もある。
ゆえに、この一口饅頭にも満たない短い追悼時間にて、ひょう太はどうにか立ち直らねばならなかった。

ただ、否。
『気付けば彼は、ホテル一階。エントランスの広間にまでいた。』──とは、やや語弊がある。
というのも、彼は今、自分がエントランスにいることすら認識していなかったのだ。
それは、決して彼の知能が劣っているわけではない。
脳の働きは正常そのものではあるが、一方で思考回路の一部が麻痺していたのだ。

彼が直接、メムメムを手にかけたわけではない。
それでも、脳内で鳴り響く彼女の声が「……一人は寂しいよぉ」「ひょう太ぁあ……」「早くこっちに来てよぉ……」と、悪意を帯びた囁きに変貌していく。

あの瞬間が、彼の心に植えつけた罪の根はあまりに深かった。



ゆえに彼は、あるはずのない下り階段を目指して、ロビーをふらふらと彷徨い続ける。
壊れ物を胸に抱えたまま、いつまでも。


「──ぉ、オレはッ…………!!──」


いつまでも。





 ──バタリっ……──────。


「…………。──」


 場面は噴水近くにて。
不意にひょう太は、『ナニカ』につまずき、大きく転倒した。
受け身を取らずして胸をぶつけたその痛みは、常人なら絶叫もののはずだが、彼はまるで痛覚が抜け落ちたように、何の反応も見せず。


「──……。…………。…………あ、──」

「──あぁっ……!!! ああっ!!!」


──唯一反応を示すならば、倒れた拍子に、メムメムの顔のピースが散らばったその瞬間だった。

地面にたたき落としたサラダボウルの如く、大小異なる部分部分が転がる。
ゆえに彼は、あるはずのない下り階段を目指して、ロビーをふらふらと彷徨い続ける。
壊れ物を胸に抱えたまま、いつまでも。


「──ぉ、オレはッ…………!!──」


いつまでも。





 ──バタリっ……──────。


「…………。──」


 場面は噴水近くにて。
不意に『ナニカ』につまずき、ひょう太は大きく転倒する。
受け身も取らずに胸を打ちつけた衝撃は、常人なら絶叫もののはずだが、彼はまるで痛覚が抜け落ちたように、何の反応も見せず。


「──……。…………。…………あ、──」

「──あぁっ……!!! ああっ!!!」


──唯一反応を示すならば、倒れた拍子に、メムメムの顔のピースが散らばったその瞬間だった。

地面にたたき落としたサラダボウルの如く、大小異なる部分部分が転がっていく。
ひょう太は青ざめた顔で、それらを手あたり次第拾い集めた。
震える手で。零れ落ちても、埃がついても、構わずに。
ただ必死に、指先を濡らしながら欠片を集め続けた。
傍から見れば、それはこの世の地獄というべきグロテスクな光景なのだろうが、それはあくまで事情を知らぬ愚者の感想にすぎない。

運命共同体。
ある日突然、眠る彼の魂を狩りに現れたメムメム。
彼女とは長らく二人三脚であったひょう太の世界には今、自分とメムメムしか存在していなかった。


「メムメム……メムメム…………!!」


両手で具を掬い、ヘロヘロの皮へと無理くりに押し込んでいく。
ペタペタとどうにか顔を形づくるひょう太の姿は、できあがったメムメムの造形と共に揶揄して、まるで幼稚園児のねんど遊びだった。

それほどまでに、彼の心は深く蝕まれ、
もう、崩壊寸前だった。


「メム……メムッ…………!! ぁぁ、はぁはぁ!! はぁ!!!──」


「──ぁああ、ぁあああ!! はぁはぁ、ぁぁぁ………、──」




彼はただ、救いを求めていた──。
誰でもいい。
何かに、許されたいと願っていたのだ──。





 ──ピタッ



「──…………え」



 真っ赤に濡れた指先に、ふと『ナニカ』の感触が伝わる。
メムメムの死以来、初めて彼女以外の『存在』を認識させられた瞬間だった。

彼が転んだ起点──彼の足をつまずかせた、その『少女』。


「……………………………………ぇ」



『新庄マミ』。
結び目の部分が、やけに艶めかしい。
おさげ髪の毛先を散らばせ、噴水の縁で眠るように横たわる少女。

──スカートの隙間から、白い脚が大きく露出されていた。


噴水のほとり、まるで獲物を誘うように突き出されたその太もも。
あと少し風が吹けば、中身が露になってしまうであろうスカート。
マミ本人には色気などない。
胸も平坦で、ある意味では小児愛者にとっては大好物といった身体つきであるのだが、あいにくひょう太はロリコンではない。
かつてメムメムと出会った当初、想い人の五木杏から「ロリコンだ」と誤解されたことを思い出す。

その回想が巡った時、彼は何を思うか。
何を思って、そうも深く目を閉じたか。


「……………………」



ひょう太は、脚と巨乳が好きな点以外、アブノーマルな性癖がない普通の男子高校生だった。

そして、ひょう太は、もう、何もかもがどうでもよくなっていた。

本当に、何もかもが。


本当に。




「……」





小日向ひょう太は、




脚フェチだった。










………………
…………
……


(♪【G線上のアリア】 Air auf der G-Saite)
(-Johann Sebastian Bach)




「ぁ…………、ぁ………………、はぁ…………っ、──」



 バッハの旋律が、木漏れ日と調和して流れるホテルの朝。
さりげなく耳をくすぐるBGMが、皮肉なほど穏やかな朝を演出していた。



「──はぁはぁっ、はぁっ………、はぁ……、──」



ピカピカに磨かれた光を反射してくれる床。
歩むたびに心地よい柔らかな音を出してくれる赤い絨毯。
エントランスに並ぶ深緑のソファは、まるでまだ見ぬ客を夢見るよう。



「──はぁ……はぁっ……!!──」



そして、中央の噴水のもと。
直立したまま、水面のきらめきを無言で見つめるひょう太。



「──……うっ!! …………………………。──」



クラシックは、朝の光とともに、彼の荒れ果てた心をそっと包み込んでくれた────。




「──………………終わってんな……オレ」





 どこか憑き物が落ちたような顔で、ひょう太は小さく息を吐いた。
彼はマミの太ももに付着した汗などをそっと拭い、噴水の水鏡で洗い流す。
ユラリ、ユラリと。イカの泳様が如く、水に溶けていく汗など。
丁寧に指先をすすいだのち、ひょう太はその手の匂いを一瞬嗅ぎ、そしてまた顔を曇らせた。


マミ。──というか、『新鮮な少女の死体』と対面して、かれこれ数分近く。
全てがどうでもよくなっていた彼は、せめて『人肌のぬくもり』を感じようと、マミの太ももへ自分をぶつけていた。

他者を求める行為こそが人間の性だ。
冷たくしなった心を慰めるため、ひょう太は温もりを欲したのだ。
ゆえに、彼の一連の行いには、下卑た意図も、性の衝動も、卑猥な思いもない。込められてないと信じたい。
口では「終わってる」と卑下したひょう太だが、彼の行動は同情の余地があるものだった。


ただ、『人肌のぬくもり』といっても、マミはもう死んでいるのだが。



「…………マジで、普通に死ぬわ。……俺も死のう。高木さんとか……もうどうでもいいや。──」



「…死ぬ。本気で死のう、俺はダメだ。生きてちゃダメなんだ。…………いや、てかもう、なに…………。──」

「──なんだよこれ。神様は言いたいのか、俺に早く自殺しろって。俺はもう潮時だからやめちまえって。……そう言ってるようにしか思えないんだけど。はは。──」

「──……いやてか、神なんているわけないしな。……悪魔はいるのに神はいる。は? なんだそれ。ごめん、すごい笑えるわ。──」



「──…………ははは」



 声に出す必要のない言葉を、ひょう太はぶつぶつと吐き続けていた。
感情の死に切った笑い声が、G線上のアリアと絡み合い、天井へと淡く昇っていく。
濁り、邪悪とも虚ろともつかぬ色を宿す彼の瞳孔。
その足元では、真っ白い真珠のようなナニカがころりと、玄関へ転がっていった。
眼球サイズの真珠は、おそらくメムメムの一部である為、玄関(埋葬先)にコロコロ向かう様は皮肉なものである。


「……………………死にたい」


朝日のさわやかさに感化されたのか、ひょう太はどこか晴れやかな声で、その言葉を口にした。
血に濡れた左手が、支給武器──ナタをかすかに握り直す。
その様子から察するに、それは自死に用いるための武器なのだろうが、一体どうやってナタで死ぬ気なのだろうか。



美しいヴァイオリンの旋律をバックに、ひょう太は、力尽きたようにその場へ崩れ落ちた。



「……はぁ」









「なにやってんだ、アンタ…………っ?」







「………………え。──」



「──え゙…………っ」






──その一瞬。
──耳元でヴァイオリンの弦が悲鳴を上げるように響いた。





「……は? え、な……なに? …………何なの、これ……?」

「…………え……」

「こ、これ…………。……あ、アンタがやったっていうの……………? ていうか……さっきから何してたんだ……? てめぇ……」

「え……っ」




──その一瞬。
──ヴァイオリンの音が、山なりに膨らみながら、徐々に徐々に不協和音を増していった。




「や、ヤバイ…………! ヤバイヤバイヤバイッ……!! ヤバイって…………!!! ……は、早く……呼ばないと…………」

「え……、いや……、──」




バクンッ、バクンッ──。

かっぴらかれたひょう太の目からは、今にも荒い息が噴き出しそうだった。
状況の理解が追いつかないまま、全身が本能の警鐘を鳴らし始める。




「──ちょっと……待ってくれよ…………。──」


バクンッ、バクンッ──。

五メートルほど先。
目と鼻と鼻と鼻と鼻と鼻と鼻と目の先にて、顔を強張らせながらこちらを睨む、その女子。
「いや……、俺の何がそんなに怖いんだろう」──あまりにも突飛な対面にひょう太は、呑気なツッコミを心中吐いていたが、すぐさま冷静になる。

考えることを拒否していた。
現実を見たくなかった。
というよりも、今は高木さんでさえ誰でさえ。
今は誰にも、血塗れの自分を見せたくなかった。
社会の窓をだだっ開きにし、少女の死体と対面する終わった自分を目撃されたくなかった。

それだというのに、まるで空気を読まずして現れた少女は、
言葉も交わさず、
名も告げず、
ただ『恐怖の対象』として自分を睨んでくる。



「──ご、ゴカイ……。誤解なんだよ……。──」



バクンッ、バクンッ──。

鹿田ココノツを以てして、『……サヤちゃんは脚かなぁ』と言わしめた少女──遠藤サヤ。



「──だ、だからぁ……、──」



バクンッ、バクンッ──。

高木さんの生足に目を奪われ、マミの脚につまずき、そして目の前の少女はミニスカートで露出された脚が目立つという、脚づくしの今日。
これがバトル・ロワイヤル下ではなく、普段の平凡な日常ならばどれほど良かったものであろう。





バクンッッ────────。





「────待ってくれよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォっ!!!!!──」

「ひっ!!!──」





「「──あ」」




 二度あることは三度ある。
不運にも、転倒の拍子にひょう太の手から『すっぽ抜けた』ナタが、鋭い弧を描きながら宙を裂き。



そして、サヤの特徴的な片太ももを血飛沫と共に舞いらせた──。






………………
…………
……





………………
…………
……



「はぁ……はぁあっ……、はああっ………、ああああぁぁぁあああ…………」



──《回想》。


──右脚を断たれ、サヤは勢いのまま床へ崩れ落ちた。
──その衝撃で後頭部を打ち、即死していたならまだ、救いはあったものを。
──脚が無いという現実を理解した彼女は、サイレンの如く、喉からの絶叫を上げ始めた。
──ゴキブリに捕食されている途中の芋虫のように、のたうち回り、暴れ、痛みを吐き出す彼女。
──爪がへし折れる勢いで、断面を押さえつけても、止血など叶うはずもなく。
──真っ赤な紙吹雪が四方一帯に咲き乱り。
──鮮血の海がじわじわと広がり、切断面には、驚くほど整然とした白骨と赤肉が覗いていた。

──シャワーのように吹き上がる血潮の中、その光景を正面から浴びるひょう太の顔は、死人のように蒼白く、瞳だけが凍りついたまま震えていた。


──まるで食卓に投げ出された手羽先のような太もも。血の噴水と化したそれを添えて。



“い゛やああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!”

“あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!”



──拳を握りしめ、バンッ、バンッ、バンッと床を叩きつけるカタワの少女。
──その痛みはどれほどのものか。掌が潰れるほどの力で、生への執着を刻みつけるように床は殴打されていく。
──喉の奥から漏れる息は濁り、苦痛に歪んだ顔は涙と汗にまみれる。
──それでもなお、サヤは必死に這いずるようにして生を掴もうとしていた。

──そんな哀れな少女は、ふと開いたその瞳に映った光景を見て、完全に声を失った。


“あっ……!!?”


──自分の眼前にて、ナタを振り上げる男。──ひょう太の姿に。



“や……やめろ……よぉ……。……やめろってっ!!!!”


──目を血走らせながらサヤは必死に懇願した。


『ご、ごめんなさい………』

『本当に、ごめんなさいぃ……っ』

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……』

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ……』


──ひょう太は彼女の血眼に目を合わせずして、現実から逃避しながら謝罪の言葉を繰り返した。



──声は頼りなく震え、言葉は足元をふらつく子羊のように頼りないが、その震えの奥には確かな誠意があった。
──ひょう太の思いはこうだ。
──このまま放っておけば、サヤは出血多量で長い時間苦しむのは明白。
──つまりは、せめてもの良心として、彼女を『楽』にしなきゃならないだろう、と。
──ここは医療の行き届いた世界ではない。助けを差し伸べる手は期待できず、時の流れは残酷にしか感じられない。
──救われる見込みもなく、仮に助かったとしても、彼女にはもう自由な暮らしは残されないだろう。
──サヤを救うため、彼が選ぼうとしたのは、自己を汚すことで相手の苦しみを終わらせるという、最後の救済だった。

──それがたとえ自分を『殺人者』の烙印で汚すことであっても、最後の良心としての行為に思えたのだ。
──覚悟だったのだ。




“や……や……やめ…………”

“やめて……、お願いだから……”

“った、助けて……ぇ……”


──さっきまでの強気な威勢はもうなく、小動物のようなか細い声をあげるサヤ。



『うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


──それをかき消すように、ひょう太の喉から爆ぜるような叫びがほとばしった。
──それは声というより、胸の奥で長く溜め込んでいた何かが弾けた音だった。


“ぁあ、ぁああああっ……!!!”


『ごめんなさいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!』




──彼は無心の身を考えながら、脳天めがけて刃を振り下ろした。





 ──ザシュッ…………




『はぁ、はぁ………。はぁあ…………』



──思いのほかあっさりとした音が、グロテスクに響き渡る。
────だなんて、世界選だったのなら、きっとサヤは苦しまずに楽になれたことだろう。


──直前でビビってしまったひょう太は、結局サヤを殺害することができなかった。



『やっぱり………………、……できない』



──ナタを力なく零れ落ちる。
──彼から漏れ出たその情けない言葉が、物の全てを現していた。

──しばしの静寂。のち、無音。
──サヤは突き刺さるような冷たい視線を注いだ後、しばらくして。
──サヤは拳を握り、腕や脚を屈曲させながら、覚悟をきめたかのようにそっと目を食いしばった。

──眉は八の字に歪み、顔全体が痛みと恐怖と諦めでぐしゃりと崩れる。
──唇はかすかに震え、喉の奥から漏れる嗚咽が静寂を震わせる。
──それでも彼女は、涙を止めようとはしなかった。
──全身を震わせながら、弱々しい声で泣き続けるその姿は、あまりにも人間的で、あまりにも儚かった。



“……ココナ……。さ、寒いよぉ………やだよぉ…………、ココナツ、ココナツゥ…………”


“ごめん……、うぅっ……ごめん……なさい……、……ごめん……ごめん……っ……”


『え……?』



──その『ごめんなさい』はもしかして自分に宛ててか、ひょう太は麻痺した脳で思わず声を漏らした。
──もちろん、それは彼のあまりに身勝手で、滑稽な思い違いにすぎなかったのだが。



“ごめんなさいぃ…………ココナツ………っ!”


『………………』



──サヤの乱れたスカート、魅惑の領域をチラつかせる太ももには目もくれず。
──息とともにか細く溶け、光の奥へと吸い込まれていくサヤの声を、ひょう太はただ眺め続けた。



      ──ココナツゥゥゥ……ー…………………………


    ──ココ……ナァァツゥ………………


  ──コ……コナツゥ……ナツゥゥゥ……ナ……ツ……──





「はぁはぁ、…………はぁ、はぁっ……!!」




────そして現在もなお、噴水裏側にて。
ひょう太の体中に『ココナツ』という断末魔が延々とリピートする。



 結局、彼はサヤの最期を看取ることはできなかった。
無理もない。彼女の絶叫に引き寄せられるように、どこかの階層から二人組の足音が湧いてきたのだ。
慌てて噴水の裏側(──俗にはマミの死体が放置された場所付近)に逃げ込んだひょう太だったが、サヤの亡骸から響く悲しみの叫び、怒りの罵声には心底心に突き刺さった。
あの男たちが何を話していたかは聞き取れない。
ただ、幸いにも彼らは、近くで潜む殺人の張本人には気付く様子がなく。
彼は唇を噛みしめ、声を押し殺す。


「──ッ!! ────────────ッ!! ────────────ッ!!」

「はぁはぁ………!!」


「っっっ!!!! ────────────────────────っっっ!!!! ────────────っ!!!!」

「はぁ、はぁ…………!!」



「あ゛ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「はぁ……!! はぁ……………!!! ぁぁ……」



【G線上のアリア】。バッハ。
耳障りという言葉すら生ぬるい。
甲高く歪んだ旋律が、ホテルのスピーカーから不協和音を撒き散らす。
ザザッ────────、ザザッ────────、
途中で混ざる砂嵐のノイズが、心の瞼に痛いくらい突き刺さる。
鼓動と同期するようにぐにゃぐにゃに狂う調律は、音酔いよるほどの吐き気を催した。
しかし、その不愉快な音楽も、今のひょう太にはかえって良薬代わりとなっている。
耳に焼きついた悲鳴を、ほんのわずかでもかき消してくれるのだから、不協和音のアリアはこの上なく役に立っていた。



喉奥からこみあげる奇妙な何かが、妙に息の通りをスッキリさせてくれる。
地面がぐにゃりと歪み、座っているはずの身体が傾いて崩れそうになる。
恐怖。目を血走らせながら、ひょう太は今、人生最大級の恐怖を感じていた。
声を大にして「怖い」と叫びたいくらいに、彼は追い込まれていた。



「ぁぁぁぁぁ……、死にたい……死にたい死にたい……死にたいぃいい……………」




“彼は、本来、何ひとつ悪いことはしていない”

“すべては運が悪かった。それだけだというのに”


────そうやって、『自分』を『慰めつつ』。



ひょう太は、高鳴る胸を必死に抑えながら、今は時が過ぎることだけを待ち続けた──。





バクンッ……、


 バクンッ……。







リ、レナイ”


イ、”

檸檬ノ、”





バクンッバクンッバクンッバクンッ。
バクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッ……。
バクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッバクンッ。
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“ごめんね、あたし、”



“もう。”











【遠藤サヤ@だがしかし 死亡確認】
【残り60人】




………………
…………
……


 ちなみにだが、ひょう太は暖かい液体がかかると『女』になる性質の持ち主。
したがって、サヤの鮮血に浴びた今、激しい鼓動で膨らむ胸をモミモミと押さえつけるのだった。




【小日向ひょう太@悪魔のメムメムちゃん 第一回放送通過】




【1日目/F6/東●ホテル/1F/エントランス/噴水裏/AM.05:59】
【小日向ひょう太@悪魔のメムメムちゃん】
【状態】恐怖(大)、精神衰弱(大)、サキュバス(←→人間)
【装備】鉈
【道具】なし
【思考】基本:【マーダー】
1:死にたい。

※ひょう太は冷水をかけられると男、温水なら女(淫魔)になります


【1日目/F6/東●ホテル/1F/エントランス/AM.05:59】
【島田虎信@善悪の屑】
【状態】激怒(激)、頭部出血(軽)
【装備】なし
【道具】猫耳@かぐや様
【思考】基本:【対主催】
1:サヤを殺したクズを絶対ぶっ殺す。
2:白銀、三四郎(左衛門)と協力してゲームを崩壊させる。

【佐衛門三郎二朗@中間管理録トネガワ】
【状態】絶望(激)、右眼球切創、背中打撲(軽)
【装備】ヘルペスの改造銃@善悪の屑(外道の歌)
【道具】医療用●麻x5
【思考】基本:【静観】
1:サヤさん……っ!!!! サヤさんっ…………!!!!


前回 キャラ 次回
081:『ひだまりデイズ/血だまりデイズ 083:『ヒナ・まつり
074:『やりなおしカナブン ひょう太
069:『【Plan A】 - from Kaguya's Requiem 佐衛門
069:『【Plan A】 - from Kaguya's Requiem 島田
069:『【Plan A】 - from Kaguya's Requiem 白銀 巡り合う二人の会長
069:『【Plan A】 - from Kaguya's Requiem サヤ
最終更新:2025年10月22日 19:59