進撃 ◆IdwfK41Ttg



(この街はとっても広いね)

 先程から歩き続けているが、誰とも出会えていない。
 広い街に行けば大勢のリントが集まっていると考えていたが、まだ誰も見つけていない。
 暁美ほむらや涼村暁、それに園咲霧彦や高町ヴィヴィオとまた会えるかと思ったが、それは叶わなかった。
 だが見つからないなら、見つかるまで歩き続けるしかなかった。

(結構歩いたけど、まだ誰も見つからないな……)

 究極の闇を齎す者、ン・ダグバ・ゼバはぼんやりと市街地を歩いている。別にどこを目指しているかなんて考えてはないし、行くあてがあるわけでもない。
 ただ、歩いている内に参加者と出会えればそれでよかった。
 例え地図を確認して特定の施設を目指してもそこにリントがいるとも限らないし、無駄足に終わるかもしれない。
 それならそれで別に構わないが、だったら勘に頼って歩きながら探す方がずっと有意義だ。
 宿敵クウガや、未知の存在に変身する面白いリント達とゲゲルをする。それがダグバにとって、唯一の愉悦だった。
 もしかしたらこの島には自身や究極の闇となったクウガすらも、上回る存在もいるかもしれない。そう考えている内にダグバの表情は自然と笑みで染まっていき、足取りも速くなっていく。
 それはリントや並のグロンギが走る際の速度を遥かに上回っていたが、彼にすれば歩いている程度に過ぎない。ダグバにとって、数キロメートルという距離など数歩と変わらなかった。

(クウガ、君は今どこで何をやっているのかな?)

 不意にダグバはこの世界のどこかにいるであろう、宿敵のことを考える。
 一体彼は今、どこで何をしているのか? 
 自身に笑顔を齎してくれている存在になっているのか? 
 ゴオマやダグバのような存在と、どこかでゲゲルをしているのか?
 もしかしたら、究極をも超えた力を持つ者になっているのか?
 もしクウガが頑張っているのなら、その思いに答える為にもゲゲルを続けなければならない。そうする事で、究極の闇がもっと楽しくなるのだから。

(あのほむらってリント達が持っているソウルジェム……もしも、この剣で貫いたらどうなるのかな?)

 魔法少女達の首には首輪が無く、代わりにソウルジェムという宝石に輪が付けられている。
 それを砕いたら、一体どんな死に様を見せてくれるのか? それを考えると、面白くて仕方がない。
 彼のデイバッグに眠る一本の剣は、見せしめにされたクモジャキーが持っていた武器だった。本当ならこんな剣など必要ないが、あえてクウガを真似て使うのも面白いかもしれない。
 それに暁というリントが纏った鎧の鎧も、これでじっくり壊していくのもいいだろう。あるいは魔法少女の目の前で、グリーフシードを壊して絶望させるのも一興か。

(それにしてもガイアメモリか。これもとっても面白そうだよ)

 他にも、あの加頭というリントが見せてくれたガイアメモリというアイテムもある。これを使えばグロンギやクウガとはまた違う、人知を超えた力を持つ怪人になれるのだ。
 その名はナスカ。確か、最初に戦った霧彦というリントも使っていた気がするが、別にどうでもいい。同じ物が二つあっただけなのだから。
 これまでの戦いでこの二つを使わなかった理由は、単純に自分の力だけで謎のリント達と戦いたくなっただけ。要するに、気まぐれでしかないのだ。
 これからの戦いでも使うタイミングは、ダグバの気分次第で決まる。次の戦いで使うのか、それとも一度も使わないまま殺し合いが終わってしまうのか、まだ誰にもわからない。
 ただ、そろそろ使ってみるのも悪くないかとダグバは思っていた。

(本当に面白そうだね、クウガ)

 登り始めた太陽によって夜の闇が薄くなる中、ダグバは空を見つめる。
 あの太陽も、究極の闇の前ではすぐに葬られる運命しかない。この町に集まったリント達も一人残らず滅びるのだ。
 そしてそこに凄まじき戦士となったクウガが現れて、最高のゲゲルを始める。
 ああ、何て面白いのだ。それを考えただけでも、こうしてまた蘇った価値がある。

(さあ、リント達。早く僕の所に来てよ……そうしないなら僕の方から君達の所に行くだけだからさ)

 そんな事を考える王の笑顔はとても穏やかだったが、とてつもなく恐ろしかった。

(期待してるからね、クウガにリントの戦士達)

 心の中でそう呟きながらダグバは歩く。
 その道がどこに続いているのかは、彼にもわかっていない。
 ただ、面白い相手を見つけられればどこだってよかった。

(そうだ、建物を見つけたら燃やすのもいいかな? クウガやリント達をおびき寄せる為に)

 この身体には世界に存在する全ての物を塵に変える、超自然発火能力の力が宿っている。
 もしもこのまま歩いている内に、目立つ建物を見つけたなら自身の力でそこを火の海にするのも悪くない。
 その近くで待っていれば、クウガや強きリント達と会えるかもしれなかった。
 炎に警戒して逃げ出す弱者もいるかもしれないが、そんな奴らなど用はない。
 発火能力の威力はどういう訳か下がっているが、連続でやれば問題ないだろう。

(早く見つかるといいなぁ……)

 建物が先か参加者が先か。
 そのどちらを見つけられるのかは、王ですらもわからなかった。


【一日目/早朝】
【G-8/市街地】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[状態]:健康
[装備]:クモジャキーの剣@ハートキャッチプリキュア!、T-2ガイアメモリ(ナスカ)@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×2(食料と水は3人分)、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、ランダム支給品(ほむら1~2(武器ではない))
[思考]
1:市街地を適当に歩いて、リント達を探す。
2:この状況を楽しむ
3:クウガ(五代)、ヴィヴィオ、ほむら等ソウルジェムの持ち主(魔法少女)、暁のような存在に期待
4:どこかの建物を燃やして、リント達をおびき寄せようかな?
5:そろそろこの剣やガイアメモリも使ってみたい。
[備考]
※参戦時期はクウガアルティメットフォームとの戦闘前です
※発火能力の威力は下がっています。少なくとも一撃で人間を焼き尽くすほどの威力はありません。


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最終更新:2013年03月14日 23:02