「Eternal Flame」(後編)◆7pf62HiyTE
Chapter05. ギバブ パバギゾビ ダグバ
『あ……あの……暁美……ほむらです……その……えっと……どうか……よろしくお願いします……』
『暁美さんは心臓の病気で入院していたの、久しぶりの学校だから戸惑う事もあるでしょう、みんな助けてあげてね』
それが全ての始まりだった――
『暁美さん、保健室行かなきゃいけないんでしょ、場所わかる?』
それが彼女との出会いだった――
『私、
鹿目まどか。まどかって呼んで』
『えっ……そんな……』
『良いって、だから私もほむらちゃんって呼んで良いかな?』
『私……その……あんまり名前で呼ばれた事ってなくて……すごく変な名前だし……』
『えーそんな事ないよー、何かさ燃え上がれーって感じで格好良いと思うなー』
『………………名前負けしてます……』
『そんなの勿体ないよ、折角素敵な名前なんだからほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』
そんなあの頃に――今はもう戻れない
「はぁ……はぁ……」
ほんの一瞬、昔を思い出したらしい。死に際に見る走馬燈なのか――
そのほむらの身体は巨木に叩き付けられていた。背後の巨木は強い衝撃で折れて倒れている。
全身に響くダメージはあまりにも大きく動く事すら厳しい状態だ――
あの瞬間、何が起こったのだろうか?
5発目を撃った瞬間、激しい暴風が起こりほむらの身体はほんの一瞬舞い上がった。
その直後、腹部にあまりにも強い衝撃を感じた。
ダグバがすぐさま懐に入り込みほむらに一撃を叩き込んだのだ。
何十トンの衝撃はほむらの全身を砕くには十分過ぎる。そのまま吹っ飛ばされ巨木に叩き付けられたのだ。
その際に持っていた拳銃はその一撃に巻き込まれ使用不能なまでに破壊されてしまった。
「何が起こったの……弾は……」
だが冷静に考えれば納得がいかない。弾を発射した時点ではまだ時は止まっていた筈だ。
その直後に動き出したとしても命中まではコンマ数秒も無い。その僅かな時間で対処が――
「今のはちょっと危なかったかな?」
――出来たというのか? コンマ数秒という一瞬で放たれた銃弾を掴むという事を?
「でも少し面白かったかな、きっと仕掛けてくると思っていたし」
「何を言っているの……まさか……」
「うん、また時を止めて首の右を狙うと思ったよ」
そう、ダグバはこの遊びに決着をつけるべく意図的に隙を作ったのだ。その隙さえ見せれば必ずほむらは仕掛けると踏んで。
「……わけがわからないわ、時を止められたら幾ら貴方でも対処は不可能の筈よ……それに私がいつ仕掛けてくるか何てわからない以上……」
散々時を止めたのだから止められる時間を把握していても不思議はない。
そのため、時が動き出した瞬間に仕掛けるという事自体は悪い手ではない。
だが、それには時が止まる瞬間が解らなければ仕掛けようがない。止められた側にしてみれた時が止まる瞬間=時が動き出す瞬間なのだから。
「時が止まる直前、その盾みたいなのが動く……違うかい?」
「!! まさか……気付いていたの? あの状況で……」
ほむらの魔法はその盾が作動する事で発動する。作動する時計を一時的に止めた瞬間に時が止まる。
それを踏まえれば作動の瞬間さえ把握すれば時が止まる瞬間も把握出来る筈だ。
しかしほむらにしても能力を悟られない様にある程度の注意は払っていた、幾らせっぱ詰まった状況でもそうそう簡単に看破される事はない。
だが、目の前のダグバはほむら自身を追いつめながらも十分に観察し魔法が発動する瞬間を把握したという事なのだ。
発動する瞬間さえ把握すればすべき事は難しくない。
ほむらが時を止めようとする瞬間に自身の能力で首の周囲の空気をプラズマ状態にし一気に気温を上げる。
そうすることで
温度差が発生し空気のレンズが形成される。
それにより目視であっても狙いにズレが生じる、勿論それによる外れるのは僅か数ミリ、だが首輪への直撃を避けられるならば十分過ぎる長さだ。
結局の所、数発ギリギリの所で外したのはそれが原因だ。
それでも最後の一発だけは命中する筈だった。だが、その瞬間に時が動き出したのだ。
着弾まではコンマ数秒も無い。だが、仕掛けるだろう事はわかっている為、銃弾が撃ち込まれているあるいは迫っている事は把握出来ている。
コンマ数秒あれば飛んでくる弾丸を掴む事など容易い。
そして、弾を掴んだ直後、自身に反逆したゴオマを返り討ちにした時と同様に周囲に膨大なエネルギーを嵐の様に巻き起こした。
それにより一瞬思考が停止したほむらへと急接近しお返しに一撃仕掛けたというのがその瞬間に起こった真相だ。
「……ずっと、貴方の手のひらで踊らされていたって事ね……」
ほむらは自分の失策を呪った。
思えば初手で致命的なミスを犯していたのだ。こちらの力が看破される前に仕掛ければまだ勝利の目はあった。
そう、最初に撃ち込んだ時に首輪を撃ち貫いていれば十分勝てた筈なのだ。
だが、それも仕方の無い事だ。普通に考えて的の小さい首輪を狙うよりも心臓や頭部を狙った方が確実だ。
それに、前提を否定しかねない話だが、激しい戦闘に耐えうるであろう首輪がそうそう簡単に撃ち貫かれても困る。
他に手がないが故に首輪を撃つという手段を取らざるを得なかったが、首輪を銃弾一発で爆破出来るというのも机上の空論に過ぎない。
それを考えれば初手から首輪を狙わなかったのを失策だと糾弾する事は誰にも出来ないだろう。
「それにしても本当に変わったリントだね、あの一撃でまだ生きているなんてね」
「……リントが何かは知らないけど……普通の人間という意味だったら私は違うわ……」
未だにほむらが無事なのは自身のソウルジェム自体は無事だからだ。
魔法少女となった瞬間、その魂は身体を離れソウルジェムとなる。つまりこの時点で肉体は魂無き抜け殻となる。
極端な話、肉体をどれだけ傷つけようが死ぬ事はなく、魔力で幾らでも修理が可能というわけだ。
その観点で言えば最早魔法少女は人間ではないと言えよう。
もっとも、肉体が傷ついたままでは動かすのに支障が出る事に違いはなく、それを治す為には魔力が必要だ。
そしてその度に消耗したソウルジェムの濁りは濃くなっていく。
口では幾ら強がっていても、ほむらの限界は近いという事だ。
「ふうん、やっぱりソウルジェムを砕かない限りは戦えるって事かな?」
「!!? どうしてそれを……」
何故ダグバがソウルジェムの事を知っている? いや、名称自体は知っていてもおかしくはない。
だが、魔法少女の事を知らない参加者が数多い状況、自身が魔法少女であると判断出来る材料は少ない。
時を止めた所で、それだけで魔法少女だと決めるには弱い。
「君、首輪着けてないよね」
「!!」
ダグバはほむらの首に自分達に着けられている首輪が無い事を最初は不思議に思った。
だが、加頭が口にしていた事を思い出し、
『ソウルジェムにも同様の爆弾が取り付けられています』
さらにほむらが首輪を着けていない事から首輪に変わるもの、つまりソウルジェムに爆弾が着けられている事、同時にソウルジェム所持者である事を看破したのだ。
「ソウルジェム……リントの言葉で魂の宝石、上手い表現だね」
「何処がよ……」
「それが砕かれない限り幾らでも戦えるなんてまるでクウガや僕達みたいだね」
ダグバは魔法少女の事を詳細に把握しているわけではない。
だが、ソウルジェムが砕かれない限り死する事無く幾らでも戦える事から、腹部に宿した石によって戦う力を得ている自分達グロンギやクウガと似ていると何となく思ったのだ。
ほむら自身、今更自分達魔法少女が普通の人間だとは全く思っていない、だがダグバの様な存在とと一緒だと言われるのは心外だ。
「未確認生命体だったかしら……貴方達はその力で何を望んでいるの……?」
だからこそ、ダグバにそう問いかけた。マトモな正答なんて期待してはいないが聞かずにはいられなかった。
「最初に言ったよ、僕を笑顔にしてくれるのかって……僕はそれを望んでいるだけだよ、でも君程度じゃまだ笑顔になれないけどね」
「狂っているわ……」
「多分、ガドルやゴオマも同じ……2人ともこのゲゲルを楽しんでいると思うよ」
「ゲゲル……また聞き慣れない言葉……」
「リントの言葉で言えばゲームの事だよ」
「ゲーム……遊びで人を殺すっていうの……本当に狂っているわ……」
ほむら自身、インキュベーター以上の巨悪が存在するとは考えていなかった。
だが、インキュベーターのやり口はあまりに邪悪でもその本質的な目的は宇宙を救う事に他ならない。
自分達にとってはたまったものじゃないが、宇宙レベルで考えれば絶対的な悪とは言い切れない。
しかし目の前の未確認生命体は違う。完全に私利私欲の為に人を殺そうとしているのだ。
対話など通じる相手ですらない、まどかを守る為には必ず排除しなければならない存在だ。
「ところで、君以外にもソウルジェムの持ち主っているのかな?」
「その人達と戦うって言うんでしょ……知っていても貴方に教えると思う?」
どうやら自分との戦いで魔法少女に興味を持ったらしい、どうやら自分のした事はむしろまどかを危機に晒す事に繋がってしまった様だ。当然、わざわざダグバに教える義理はない。
「いいよ、クウガを探すついでに自力で探すから」
「……さっきから思ったけど、クウガって何? 貴方達の仲間じゃないの?」
「違うよ、クウガはリントを守る戦士で……僕を笑顔にしてくれる存在さ、この地にもいる筈だよ」
その言葉からクウガはダグバと同質のものである一方、人々を守る戦士という事は把握出来た。
何より、ダグバ自身笑顔にしてくれる存在と語った事から唯一ダグバに対抗出来る存在という事になる。
しかし同時にある種の疑念もある。能力の本質自体はダグバと同様なのは確実だ。
つまり、クウガは裏を返せばもう1人のダグバという事になる。それを踏まえるならば全面的に信頼して良い存在とは言えない。
「もう1つ……インキュベーター、キュゥべぇの名前に聞き覚えは?」
「リントの名前にしては変わっているね」
「知らないなら別に良いわ……」
「そう、それじゃその様子じゃもう戦えないみたいだしそろそろ終わりにしようかな……」
そう言ってダグバがゆっくりとほむらに近づいていく。
「(くっ……まだ動ける程回復していない……)」
ほむらにしては珍しくダグバと話し続けていたのは回復の時間を稼ぐ為だった。
だが、未だ動けるにはほぼ遠い状態だ。動けなければ時を止めた所で撤退は不可能。
このままではこのままダグバに殺されるのは時間の問題だ。
「(まどか……)」
死ぬ事自体は恐くはない。
恐いのはまどかを救う事が出来なくなる事だ。
不意に目から一粒の涙がこぼれ落ちてしまう――
『君は休学してたんだっけな、友達からノートを借りておくように』
『準備体操だけで貧血ってヤバイよね』
『半年もずっと寝てたんじゃ仕方ないんじゃない』
『ほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』
『無理だよ私……何にも出来ない……人に迷惑ばっかりかけて恥かいて……どうしてなの……私、これからもずっとこのままなの……?』
結局の所、あの時と同じ――何も出来ず、何も変わっていない。
何度時計仕掛けの日々を繰り返そうとも変わらない。
ほむらという名前に負け続けている――
もうこの炎は究極の闇の中に消えてしまうのだろうか――
『だったらいっそ死んだ方が良いよね』
『死んだ方が良いかな……』
『そう、死んじゃえば良いんだよ』
『死んで……しまえば……』
Chapter.07 Through the darkness into perfect light .
そんな時だった――一筋の光が差し込んできたのは――
『もう大丈夫だよ、ほむらちゃん』
目の前にいたのは自分の名前を格好良いと言ってくれた少女、
『いきなり秘密がバレちゃったね、クラスのみんなには内緒だよ』
その時の彼女があまりにも格好良かった――だがそんな彼女も最期には勝ち目のない戦いに――
『ほむらちゃん。私ね、あなたと友達になれて嬉しかった。あなたが魔女に襲われた時、間に合って、今でもそれが自慢なの。
だから、魔法少女になって本当に良かったって。そう思うんだ』
そう言って彼女は――
だからこそ――
『私は……鹿目さんとの出会いをやり直したい、彼女に守られる私じゃなくて彼女を守る私になりたい!』
祈り――奇跡を起こし――
『鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ! これから一緒に頑張ろうね!』
「……?」
轟音が響く、一体何が起こったのだろうか?
目の前のダグバは未だ健在だ。だが――
「今のは……?」
ダグバ自身、今の攻撃に多少は驚いた様だ。
「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」
ピキ、ピキピキ――
何だろう、今大切な何かがブチ壊されそうな音が聞こえた気がする。
「全く、折角俺が心配してやったのに銃なんか突きつけたバチが当たったんだ、ザマーミロ」
ピキピキピキ――
「涼村……暁……」
目の前にいたのはほむら自身が追い払ったバカだ。
「で、この白い化け物がやったんだな。この際だ、ぶっ潰す」
そういってシャンゼリオンはダグバへと向き直る。
物語は少し遡る。森の中を進みほむらを探していた暁は戦いの音が響いているのを聞いた。
敢えて危険に巻き込まれるつもりは無かったが突然暴風が吹き荒れてきたのだ。
そして周囲を見回したら重傷を負って木に叩き付けられたほむらに迫る白い怪物を見つけたのだ。
流石に放置するわけにはいかず暁は一撃で決めるべく、
「シャイニングアタック」
その言葉と共に胸部からシャンゼリオン自身を模したエネルギー体が出現し、ダグバ目がけて突撃をかけた。
ダグバはその攻撃を察知し僅かに身体を動かし回避、
エネルギー体はそのまますぐ後方の巨木に直撃し大穴を開けたのである。
一方のシャンゼリオンはそのまま現場までかけつけ、
「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」
と声を掛けたのである。
そんな変わらぬ調子のシャンゼリオンを余所に
「面白い鎧を着たリントだね」
「リングだかマントだかわけの分からない事ばっかり言うんじゃないの」
「随分と楽しそうだね」
流石のダグバもそう問いかける。思えば自分を前にした者達は皆恐怖に震えていた。にも関わらずこの男は平然としている。
それがどうにも気になったのだ。
「そりゃそうでしょ、一度きりの人生、楽しまなくっちゃ」
「それなら僕を笑顔にして楽しませてくれるかな?」
「何言ってんの、俺に男を楽しませる趣味なんて無いっつーの、それは他を当たってくれ」
そんな中、ほむらがゆっくりと立ち上がりシャンゼリオンの側に駆け寄る。
「ん、どうしたのほむらちゃん、ここは危ないんだから離れていなさいって」
ビキビキ――
「……!」
わき上がる感情を抑えつつ小声で断片的に大事な事を伝える。
「え? 何だって?」
ビキビキビキビキビキ――
状況的に余裕なんて無い。だから察して欲しいのだが本当にバカ過ぎる。
故にほむらは密かに盾の中に入れていた為奪われなかったディバイトランチャーをダグバに悟られない様に突きつける。
言うとおりにしろ、さもなくば撃つと無言で伝えるのだ。
「は、はいー!」
「どうしたの? やるの? やらないの?」
業を煮やしたダグバが口にした次の瞬間、自身の身体に強い衝撃が走った。
「!?」
そして気が付いた時には2人の姿が消失していた。
「ははっ……」
どうやらあの瞬間ほむらが再び時を止め、隠し持っていた武器で仕掛けつつシャンゼリオンと共に撤退したらしい。
ほむらの脚力では逃げられないがシャンゼリオンのスピードならば時止めの能力もあり十分対処可能。
とはいえ、極端に遠いわけではないため追いつこうと思えば追いつけない事もない。だが、
「いいよ、今は見逃してあげる。次に会った時に笑顔に出来ればいいね」
あえて2人を見逃す事にした。魔法少女、そして自分を前にしても楽しそうに笑う結晶の鎧を纏ったリント、確かほむらと暁という名前だったか、
クウガ程では無いにしろ十分に自分を楽しませてくれる。それをあっさり殺すのは趣に欠ける。
自分を殺す為に入念に準備を進めるというのならむしろ望む所だ、少しぐらいは待っても良いだろう。
そんな中、元の姿に戻ったダグバは森を抜け道路へと出て、地図等を取り出し状況を再確認する。
現在時刻は2時30分を過ぎたぐらい、確かほむらと交戦を始めたのはG-7辺り、どうやら戦いを繰り返し移動する内にH-7まで来てしまった様だ。
このまま近くの市街地に向かっても良かったが道なりに進んで図書館方面に向かっても良いだろう。
運良くクウガか魔法少女に出会えるかもしれない。そんな期待があった。
そしてデイパックからもう1つダグバ自身に支給されたあるものを出す。
「これをエサにすれば戦ってくれるかな?」
それはグリーフシード、説明書きによればソウルジェムの穢れを取り除くというものだ。
詳しくは知らないが、ソウルジェムを持つ者にとっては重要なアイテムと考えて良いだろう。
つまり、ダグバ自身ソウルジェムの事を看破した理由にはグリーフシードの存在もあったという事である。
何にせよ、ソウルジェムを持つほむら達の様な者達にとっては是が非でも欲しいものである事は把握している。
場合によってはこれをエサにすれば戦ってくれるかも知れない。勿論、素直に渡す様なお人好しな真似をするつもりは全くない。
「本当に楽しいゲゲルだよ」
そう呟くダグバの表情は何処か楽しそうだ。市街地に行こうか、それとも図書館方面に行こうか、迷い所ではある。だが、
「リントの言葉にこんなのがあったね、ケセ・ラ・セラ」
あるグロンギが口にし、この地においても約1時間後ガドル自身も口にするであろう言葉をリントの言葉で呟くダグバであった。
【一日目/黎明】
【H-7/道路】
【
ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式×2(食料と水は3人分)、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、ランダム支給品1~4(ダグバ0~2、ほむら1~2(武器ではない))
[思考]
1:市街地に行く? それとも図書館方面に向かう?
2:この状況を楽しむ
3:クウガ(五代)、ヴィヴィオ、ほむら等ソウルジェムの持ち主(魔法少女)、暁のような存在に期待
[備考]
※参戦時期はクウガアルティメットフォームとの戦闘前です
※発火能力の威力は下がっています。少なくとも一撃で人間を焼き尽くすほどの威力はありません。
Chapter.08 さらなるライバル
「はぁ……はぁ……一体何が起こったんだ?」
そう息を切らすシャンゼリオンとほむらはようやくダグバを振り切った。近くには妙に変わった池がある。
ほむらが指示したのは至極単純な事、
『私の指示に従って!』
それだけであった。そしてほむらはシャンゼリオンの腕を掴んだまま時を止め、暁に自分を抱きかかえさせ走らせたのだ。無論去り際にダグバに向けてディバイドランチャーを撃ち込み怯む時間を稼ぐ事も忘れずにだ。
ほむらの力は基本的にほむら自身にしか適応されないが、ほむらが掴んだ人物だけは例外的に影響を受けないのだ。
そう、ほむらは気付いていた。目の前のシャンゼリオンではダグバには勝てない事に――
別に目の前のバカが死のうが生きようがどうでも良いがあのままでは自分も殺されていたのは確実だ。
故に確実に生き残る為にシャンゼリオンの脚力を利用し逃走したのである。
「はぁ……はぁ……」
何とか切り抜けたとは言え、ダメージは未だ大きく動くのにも支障がある状態。
更に連続して時を止めた事によりソウルジェムの濁りも濃くなっている。
このままグリーフシードを確保する事が出来なければ戦う事すらままならなくなるだろう。
「おーいほむらちゃーん、難しい顔して大丈夫?」
ブチブチブチブチブチ――
いや、これはバカなりに心配してくれているのだろう。
それにバカであっても彼が居なければ死んでいたのは事実だ、その行動を踏みにじる程ほむらも落ちぶれてはいない。
だが――
「助けてもらった事には礼を言うわ……でも……」
「礼を言う態度じゃないだろ」
「ほむら『ちゃん』だけは止めてもらえるかしら?」
そういってディバイドランチャーを構えようとする。
「なんでぇ? いいじゃないか、ほむらちゃんなんて可愛いじゃないか」
ビキバキベキボキ――
わかっている、暁に悪意が無いのは理解している。だが――
「例えそうでも、貴方にはそう呼ばれたくないのよ……」
助けられた時から感じていたが、ほむらちゃんと呼ばれる度にまどかとの大切な思い出がぶち壊される気がしたのだ。
感謝はしている。だが、これ以上思い出を汚されたくはない、故にそう頼んでいるのである。
「じゃあ何て呼べばいいんだ?」
「……暁美かほむらで良いわ。どっちにしても『ちゃん』付けはやめて」
「わかったわかった、ほむら、これで良いんだろ?」
暁もそれに折れ呼び捨てにした。流石にここに来てまで秘書である橘朱美を思い出す関係上、暁美と呼ぶ気は無い為、名前の方で呼んでいる。
「そうそう、一応聞いておきたいんだけど……ダークザイド……じゃないよね?」
「さぁ、知らない名前ね。何の話?」
「地球を狙う悪い奴ら、ま関係ないならどうでもいいか」
詳しくは知らないものの暁はダークザイドと戦う戦士なのだろう。とはいえバカの事情にそこまで関わりたくは無いのでそれ以上追求する気はない。
「ところで、グリーフシードか何か持ってないかしら?」
「グリーンカレー? そういや腹減ったなぁ、これから街で食事にでも行こうか」
「食料なら支給されていたでしょ……聞いた私がバカだったわ……」
暁はグリーフシードを持っていない。過度な期待はしていなかったが、正直哀しくなってきた。
真面目な話、すぐにでも暁と手を切ってまどかを守る為に再び動かなければならない。
だが、グリーフシードが無ければこれ以上の戦いはおろか単身で動く事すら厳しい状況だ。
グリーフシードを確保するまではこのバカを利用しなければならないというのは泣きたくなってくる。
「あれ、ほむら、もしかして泣いちゃった? 誰だこんな可愛い子を泣かした奴は、あの白い化け物か?」
「貴方よ……」
「え? 俺?」
「……貴方には人を不安にさせる何かあるわ……どうしてこんなのが……」
「失礼な事を言うなっつーの」
その時だった――
「三途の池か……こんな所で出会うとはな……」
1人の刀を持った男が2人に近づいてきたのは。
「おい、そこのお前、そんな危ない物持って何考えてんの!」
シャンゼリオンは変わらぬ調子で男に話しかける。
「……随分と楽しそうだな」
「そりゃそうでしょ、人生は一度しかないんだから楽しまなくっちゃ、ふんわかいこうよ、ふんかわとさぁ」
「
涼村暁……あの人……」
一方のほむらは目の前の男が放つ雰囲気を感じ取っていた。持っている刀の禍々しさから考えて恐らくは――
「そうだな、人生は一度しかないな……ならば!」
意を決した男は懐からガイアメモリを取り出し作動させる。
――Metal――
そして放り投げたメモリは吸い込まれる様に男の体内へと入り込み――
その肉体を銀色の怪人へと変化させた。そしてそのまま――
「シンケ……いや、ドーパントメタル、
志葉丈瑠、参る!!」
裏正を構えた――
意を決して戦場の近くまで来たが、そこにいたのはかつての家臣ともいうべき谷千明よりもずっと軽そうな結晶の鎧を身につけた暁と呼ばれた男と、重傷を負っているほむらと呼ばれた少女だった。
恐らく戦いに巻き込まれた少女を男が助けたといった所だろう。
傷ついた少女を見た所、普通の少女ではないのがわかった。恐らくは強い決意を胸に秘め、そのためならば殺しも厭わないのだろう。自分を見ても一切警戒を解いていない事からもそれは明らかだ。
一方の男は力は持っているが何処か軽くこの状況でも人生を楽しんでいる事は理解出来た。楽しむ余裕もなく剣に生きるしかない自分から見ればとても羨ましく思えた。
結局の所、丈瑠にとって2人は何処までも眩しい存在だったのだ。
名簿の中身を思い出せば暁美に暁、ああ名前の通り眩しい存在だ。
だが、丈瑠もここで引くつもりはない。丈瑠の中に残った最後の炎、剣に生きる事を果たす為、この2人と斬り合わねばならない。
その場所が三途の川を彷彿とさせる三途の池なのはある意味洒落が利いている。外道に堕ちるに相応しい場所というわけか。
ならば往こう、一人の剣士として――その想いを胸にシャンゼリオンへと仕掛けようとする。
「え? ちょっとお前何言ってんの!?」
「くっ……あの人も乗って……私はいつまでこのバカと付き合わなきゃ……」
後ろでほむらが暴言を吐いている気がするがこのままでは危うい
「シャイニングブレード」
そういって胸部から金色の剣シャイニングブレードを出現させ裏正による斬撃を弾く。
だが、丈瑠が変身したメタル・ドーパントは構わず次の一撃を繰り出していく。
「こうなったらマジで勝負だ」
その一撃をかわしシャンゼリオンもシャイニングブレードを構え、
「一振り!」
シャイニングブレードを振り下ろす。しかしメタル・ドーパントはその一撃を平然と受け止める。
「なっ……」
幾ら超パワーを持ったシャンゼリオンといえど暁には圧倒的に戦闘経験が少なすぎる。
幼き頃からシンケンレッド、侍として鍛錬を積み、長年に渡って外道衆と戦い続けていた丈瑠に及ぶわけがない。
「拙いわね……」
すぐ側で見ているほむらは察した、戦況は圧倒的に暁の方が不利。
暁が倒される事自体は別段構わない。だが、忌々しい事だがグリーフシードが確保出来るまでは力を温存せねばならない関係上、現状唯一利用出来る暁がこのまま倒されるのは困る。
それに殺し合いに乗っている丈瑠をこのまま放置するわけにはいかない、まどかの安全を守る為には倒さねばならないだろう。
(となると、私が奇襲をかけるしか無いわけね……え!?)
その最中、メタル・ドーパントの視線が一瞬自分の方に向いているのに気が付いた。
(私の動きにも気を払っている……くっ、あのバカがもう少し頼れるなら……)
恐らく、ほむらが何か仕掛けた時にはすぐさま対処出来るという事だろう。
退ける事ぐらいは出来ても、逃げられれば同じ事だ。
仕掛けるタイミングは見極めなければならない。
実の所、ソウルジェムの濁りは無視出来ないくらい厳しいのが現状だ。
動けるまで肉体の回復に消費すると後どれぐらい時を止められるかはわからない。
一方でここで時を止めて場を切り抜けた場合は肉体の回復に使えなくなる可能性が出てくる。
手持ちの道具も殆どが奪われていて状況は最悪といっても良い。
(それでも私は諦めない……)
『私には出来なくてほむらちゃんに出来る事お願いしたいから……ほむらちゃん……過去に戻れるんだよね? こんな終わり方にならない様に歴史を変えられるって言ってたよね?
キュゥべぇに騙される前のバカな私を助けてあげてくれないかな……』
『約束するわ……絶対に貴方を救ってみせる! 何度繰り返す事になっても必ず貴方を守ってみせる!』
それはある時間軸で交わした約束――
『もう一つ頼んで良い……私……魔女にはなりたくない……嫌な事も悲しい事もあったけど守りたいものだってたくさん……この世界にはあったから……』
『まどか……!』
『ほむらちゃん……やっと名前で呼んでくれたね……嬉しい……な……』
それは哀しくも大切な思い出――
(あなたの為なら……)
たった一人の大切な友達を助ける為――
彼女は永遠に続く旅路を繰り返す――
『ほむらちゃんも格好よくなっちゃえば良いんだよ』
胸に名前と同じく強い炎を絶やす事無く灯し続け――
【G-7/三途の池付近】
【
暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:全身にダメージ(極大・回復中)、疲労(大)、ソウルジェムの濁り(中・濁り進行中)、暁に対するイライラ、魔法少女に変身中
[装備]:ディバイトランチャー(シューター・ガンナー)、ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:無し
[思考]
基本:鹿目まどかを守る。
0:何とかして丈瑠を排除する。
1:鹿目まどかを発見する。
2:早急にグリーフシードを確保し、バカ(暁)と離れたい。それまではやむを得ないので利用する。
3:他の参加者から情報を集める。
4:ダグバ、ガドル、ゴオマは発見次第排除する。
5:鹿目まどかを守る目的以外の争いは避ける。
[備考]
※参戦時期は第11話キュゥべぇとの会話シーン後~ワルプルギスの夜戦前。
※制限をある程度把握しました。一度に止められる時間は数秒程度、ソウルジェムの消耗がいつもより激しいです。
※プリキュアに関しては話半分に聞いていますが、「特別な力を持つ存在」だとは解かりました。
※未確認生命体及びクウガについてある程度把握しました。
【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康、シャンゼリオンに変身中
[装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW、ウィンチェスターライフル(14/14)
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:願いを叶えるために優勝する。
1:丈瑠をどうにかする。
2:ほむらと一緒に行動する。
3:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。
[備考]
※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。
つまりまだ
黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)
【志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康、メタル・ドーパントに変身中
[装備]:裏正@侍戦隊シンケンジャー、T2メタルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:殺し合いに乗り、戦う
1:暁、そしてほむらを斬る。
2:十臓は最優先に探し出し、決着を着けたい。
3:流ノ介や源太が相手でも容赦はしない
[備考]
※参戦時期は、第四十六、四十七幕での十臓との戦闘中です
※流ノ介や源太と戦うことに、迷いがあります
[共通の備考]
※G-7の森がダグバの攻撃により炎上しています。
※ベレッタM92FSは破壊されました。
時系列順で読む
投下順で読む
最終更新:2013年03月14日 22:29