魔法少女職人の朝は早い その2
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homuhomu_tabetai
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「ほむほむの寂しがりやな性格を利用するんです」
ほむ鵜飼いのベテランは語る
「こうしてほむほむは 仲間を求めて必死に探すんです」
「仲間を見つけると 泣きながら説得して手をつなぎます」
ベテランは手早く ほむ鵜の連れてきた野生のほむほむをカゴにいれる
「すぐに取り上げないといけません その仲間に愛着が沸くまえに離さないと」
「次の仲間を探さずに ずっと籠のまえから離れなくなるんです」
そうして・・・ ほむ鵜は ほむ鵜としての寿命が尽きるまで
泣きながら仲間を求めては 取り上げられ続けた・・・
ほんの少しの間でも その手に感じる温もりをもとめて・・・
おわり
ベテランにほむ鵜小屋に招待された
寿命のきたほむ鵜を絞めるそうだ
「こうして 最後には土に返してやるんですよ」
鍋に野草を入れながらベテランは
言う
「年をとったほむほむはこうして鍋にして食べてやるんです」
「ほむ鵜はそうやって やっと仲間に混ざれるんですよ」
泣きつかれたほむ鵜は 自分の運命を分かっているのか
おとなしく ベテランに押さえられている
「ありがとな お疲れ様」
ベテランの言葉を聞き 涙するほむほむ
一息に落とされたほむほむの首は ほむ鵜小屋の柱に結びつけられる
先代、先々代から続く風習だ
こうして ほむ鵜は 仲間と 仲良く ・・・
おわり
「マミマミーの餌はお茶の出涸らしなんですよ」
マミマミー栽培のホムダさんは言う
「マミマミーは育てやすいので、いかに大量に栽培するかが重要なんです」
ホムダ氏はマミマミー小屋の入り口で教えてくれた
「マミマミーはこうやって 小屋の囲いの中で1000~2000匹を同時に育てるんです」
「基本的に放任主義なんです(笑)」
ホムダ氏は満面の笑みだ
「孤立主義なので これだけ仲間がいても勝手に繁殖しないんです、それどころか喧嘩すらしません」
たしかに よく見るとお互いに適度な距離を保ち
各々勝手に髪の毛を弄ったり 周りの掃除をしたりしている
「喧嘩するのはエサの時間くらいなもんです」
ホムダ氏はエサの時間だ と言いながら奥へと進む
「これがマミマミーのエサです」
茶色くベシャベシャの物をスコップてすくい 餌入れに入れていくホムダ氏
「マミマミーの餌はお茶の出涸らしなんです」
マミマミーが一斉に餌入れに群がる
「マミマミーには水分を与えません」
「なので出涸らしから少しでも水分を摂取しようと貪欲になるんです」
出涸らしを血眼で求めるマミマミーの姿は野生そのものだ
「こうして貪欲にそだったマミマミーの背骨は、魔力よく吸いとるんですよ」
ホムダ氏はそういいながら 次の作業の準備をはじめる
「これですか? これはマミマミーの髪の毛です」
「出荷先から回収してくるんですよ」
ホムダ氏は小屋の一角にマミ毛を敷き詰めはじめる
「こうして 仲間の匂いが無いとマミマミーはすぐに弱ってしまうんです」
ーー何故隣のマミマミー同士で寄り添わないんですか?
「それが分かってないんです」
思案顔のホムダ氏
「マミマミーは孤立主義と言いましたが 極度な寂しがりやでもあるんです」
「おそらく、甘え方を知らないんでしょうね」
マミ毛に頬を摺り寄せるマミマミー達は幸せそうだ
死体の毛髪に塗れて眠るマミマミー
優しく撫でるホムダ氏の姿がある
「寝てる時しか撫でてやれないんです」
マミマミーは日中、起きてる時に体を触ろうとすると 激しく動揺して 最悪死んでしまうらしい
「本当に・・ 甘え方を知らないんでしょうね・・」
ホムダ氏はため息混じりだ
充分に育ったマミマミーは 主にほむほむ職人の元へ届けられる
愛玩用としての需要はほぼ無いそうだ
「育てやすいとはいえ、触ると死んでしまうような子ですからね」
「ただ育てるだけのペットに意味は無いと言うことでしょう・・・」
でも とホムダ氏は続ける
「マミマミーはこうして役目を果たして帰ってきてくれます」
「仲間を包むために、やっと仲間と触れ合えるんです」
黄色い毛髪を撫でるホムダ氏は どこか嬉しそうだ
「私はこれからも この子達のために頑張りますよ」
ホムダ氏は古いマミ毛を熊手で集めながら言う
その背中にマミマミー職人の誇りがあった
おしまい
さやか職人の朝は遅い
「ああ、さやかは放って置いても勝手に育つくらいですから」
職人は語る
「こうして定期的に間引かないとダメなんですよ」
ーーそんなに増えてしまうんですか?
「そんなに増えるんですよ 困ったことに」
「体が頑丈で死ににくいからね(笑)」
手際よく出来の悪いさやかを掴み バケツに放り込む職人
間引いたさやかはどうするのですか? と問う我々に さやか職人は満面の笑みで答える
「さやかはいい肥料になるんです」
さやかで育った餡子は美味いですよ と職人はニコニコと語る
バケツに入れたさやかを 大きな容器に放り込んだ職人は さやか小屋に戻ってきた
「ほら、さっきまでうるさかったさやかが静かになったでしょう」
「頑丈とはいえ しょっちゅう喧嘩してると 流石に死んでしまう個体も出てきますからね」
さやか達は仲良く遊んでいる
「まあ、私がやることといったら こんなもんです」
「あとは共食いをしないように適度にエサと水を与えれば充分なんですよ」
さやか職人の朝は遅い
おわり
餡子職人の朝は早い
「毎朝さやか職人からさやかを譲ってもらうんですよ」
「彼は寝てるんで 必要な分勝手に貰ってくるんです(笑)」
もちろん 御礼はしてますけどね と職人は語る
「餡子になる前の杏子 見てみますか?」
職人は杏子小屋へ案内してくれた
「杏子はこうして縛りつけて エサを大量に与えるんですよ」
太らせて 体に餡子を蓄えさせるんです 職人の目が光る
「こうして さやかを隣に置いてやると 食欲が増すんです」
ガツガツとエサを食べる杏子の目は必死だ
「エサを食べなくなったら 次の部屋に連れていくんです」
この杏子は頃合いだと 一人の杏子の縛を解く
「この頃になると さやかとも仲良くなってるんで さやかも一緒について来るんです」
職人は優しげに語る
「杏子はいい子なんです さやかともちゃんと友達になってやれるんです」
杏子の髪の毛を引きながら職人は次の部屋の扉を開ける
「こうして 杏子の髪をここに固定するんです」
「後は3日、胃の中の物が全て餡子に変わるのを待つんです」
ーーその間ついてきたさやかは何を・・・
「まあ見ててください(笑)」
職人の言うとおり しばらく観察をしてみよう
「ほら、わかりますか? さやかが杏子に話しかけてるんです」
ーー励ましてる ように見えますね
「ええ ああして杏子の心が折れないようにしてくれるんですよ」
手を延ばし 杏子に触れようとするさやかは真剣だ
「ギリギリ手の届かない高さに杏子を吊るすんです」
職人の技が光る
こうして 3日間の消化期間を終えた杏子は 次の工程に移される
「あとは捌いて 餡子を取り出すだけなんですけどね」
職人の愛用の餡子用包丁は 鈍く光る
職人の流れるような手捌きに我々は仕事を忘れてしまった
取り出した餡子を丁寧に保管庫へ運びながら職人は言う
「餡子を取り出された杏子は もう餡子を作れません」
「次の杏子産むためにしばらく休ませるんです」
「隣にいるさやかが健在なら そのさやかと共に子を成します」
ほとんどの杏子は 出産のために力を使い果たし 死んでしまうと言う
「子を残して 土に返って行くんです」
餡子職人は誇らしげだ
「杏子ほど純粋な生き物を私は知りませんよ」
餡子職人の朝は早い
おわり
ーー 残されたさやかはどうなるんですか?
「ああ さやかは頑丈だからね」
「可能な限り再利用するんですよ」
杏子の数の変動に合わせて 足りない分をさやか職人から補給するそうだ
餡子職人の朝は早い時もある
おわり
「まどかの生態は謎だらけなんですよ」
まどか獲り名人は語る
人工的に育てることは 今現在不可能とされるまどか
今回は 野生のまどかを獲る名人に話を聞こう
「名人なんて とんでもない」
「まどか獲りしかやってないだけですよ」
名人は謙遜して言う
「謙遜なんかじゃなく まどかはどこで獲れるかすら分かってないんです」
「一日中歩き回って 偶然見つけられる まどかってのはそういう類いの生き物なんですよ」
ーーそれにしては希少な物としてのイメージは無いですね
「個体数だけは多いからね」
名人はまどか獲り棒を組み立てながら語る
「実は捕まえるだけなら簡単なんですよ」
ーー本当ですか?
「ええ、捕まえるだけ ならね」
「まどかは非常にデリケートなんです」
名人曰く、無理やり捕まえると そのまどかは生涯誰にも心を開かなくなってしまうそうだ
「いかに傷つけず 優しく捕獲するかが重要なんです」
まどか獲り名人の朝は早い
おわり
「こうやってまどかと遊ばせてやるとほむほむは喜ぶんです」
ほむぅ!ほむぅ! まどか!まどかああああああああああ
「こうしてまどかへの執着を強くしてやるんです」
「頃合をみて まどかを取り上げると・・・」
グググルルルルルロロロロロロロ キュウベエ ゴロズ・・マドガ マモルロロロロロラロロラロ・・・
歯をむき出しにし QBへの怨念のこもった呪詛をつぶやくほむほむは まさに狩人だ
「Q棒だけだとどうしても実感が湧きませんからね」
「自分の敵はQBだと再確認させてやるんです」